「ニューヨーク 親切なロシア料理店」を観る2022/06/24

映画の日本語の題名に対して文句を言いたくなることがありますが、これもひどいです。
原題は「The Kindness of Strangers」。
なんでロシア料理店が出てくるのかと思うでしょう。
ロシア料理店が舞台になっているからです。


マークは弟とレストランを経営していた。しかし弟が悪い仲間とつきあい、ドラッグを常習し、売人となったため、止めさせようとしていた。だが店に捜査が入り、マークは八年の刑になってしまい、なんとか四年で出所する。
弟はマークが刑務所に入った二年後にオーバードーズで死んだ。
ある日、弁護士で友人のジョン・ピーターとロシア料理店「ウィンター・パレス」に食事をしに行く。
「ウィンター・パレス」は老舗の店だが、スタッフはみなロシア人を装ったアメリカ人で、料理は不味く、経営難に陥っていた。
マークはオーナーのティモフェイと知り合い、店を建て直すために住み込みのマネージャーとして働くことになる。

「ウィンター・パレス」の常連客の看護師・アリスは救急病棟に勤めながら、教会でグループセラピー活動やホームレスへの炊き出しをしている。
恋人に裏切られてから、一人暮らしを続けており、同僚の心ない言葉に傷つき、淋しさを持て余していた。

ジェフは不器用で、どんな仕事も上手くやることが出来ず、クビにされ続けてきた。家賃を四ヶ月もためていたため、とうとう部屋から追い出されてしまう。
アリスの行う炊き出しでボランティアと間違えられ声をかけられ、炊き出しの手伝いをするようになる。
しかしホームレスになったジェフは凍えて死にそうになり、アリスが働く病院に運びこまれる。
その後、アリスに紹介され、教会の雑用をするようになる。

クララは二人の息子、アンソニーとジュードを連れ、ニューヨークにやって来る。
実は警察官のDV夫から逃げて来たのだ。
義父のところに行き、泊めて貰おうとするが断られる。せめてお金をと頼んだが、これも断られる。クレジットカードを使うと夫に知られてしまう。
お金がないので、ホテルにも泊まれず、車の中で寝るしかない。
服やバッグを万引きをして、着飾り、パーティに入り込み、食べ物を盗み、息子たちに食べさせる。そうできない時は炊き出しに行く。
暖を取ろうと、昼間は図書館に行く。
そのうち車はレッカー車で持っていかれてしまう。

そんな頃、中華料理店に入り、他人の残した物を食べていると、夫が現れる。
子どもたちの機転で、トイレに行く振りをして夫から逃げる。
行くところのないクララたちはアリスの教会に辿り着く。
アリスは親切にも事務所に泊めてくれるが、夜中に外に行ったジュードは中に入れず、外で凍えてしまい、翌朝教会に来たジェフがアリスの病院に運ぶ。

行く当てのないクララとアンソニーは偶然「ウィンター・パレス」に迷い込み、ピアノの下に隠れて、寝てしまう。
マークは二人に気づくが、そのまま寝せておき、食事を用意してやる。
起きたクララにマークは「ウィンター・パレス」の屋上にある自分の部屋で暮らさないかと提案する。
他に行くところのないクララは世話になることにする。
しばらくするとジュードが病院にいることが父親にバレ、クララはアリスにお願いし、ジュードを父親に会わせないようにし、ジュードを秘かに「ウィンター・パレス」の部屋に連れてきてもらう。
アンソニーは、父親がパソコンの中に拷問の証拠になる写真を保存しているのを見ており、マークのパソコンを借りて、父親のパソコンに侵入しようとする。
写真の存在を知ったクララは離婚裁判をしようと決心し、マークに弁護士のジョン・ピーターを紹介してもらう。

離婚裁判の行方と心を通わせ始めたクララとマークの関係はどうなるのか。
そして孤独なアリスとジェフ、ジョンたちは…。

今のアメリカの状況を描いた作品です。
題名からこんな悲惨なお話だとは思いませんでした。
クララは夫が息子たちに暴力を振るっていることを知らずにいて、知ってしまうとこのままではいけないと思い、計画を立てずに衝動的に家を出たのですね。
夫が警察官というのが不利ですよね。
ニューヨークに行っても誰も助けてはくれず、自分から闘うのを決心しなければなりませんでした。
夫が父親に暴力を振るったので、裁判は上手く行きますが、そうでなかったら、どうなったことか。
結局他人の優しさだけではダメなんですね。自分でどうにかしなければ、何も変わんないのです。
最後はハッピーエンドでよかったです。
俳優さんたちが意外と私の好みだったので、最後まで観ていけました。
オーナー役の人(ビル・ナイ)、もっと活躍して欲しかったです。