堂場瞬一 『小さき王たち 第二部 泥流』2022/08/25

第一部は新聞記者側の勝利でしたが、第二部では政治家側の反撃が始まります。


今では当たり前になった携帯電話やパソコンがまだ一般的ではなかった、1996年12月。
蒲原土石流の取材に駆り出されていた東日新聞新潟支局の新米記者・高樹和希のもとに、名指しで鈴木と名乗る男からタレコミがあった。
今年の選挙で初当選した友岡拓実のスタッフだった畠という男が違法なビジネスで選挙資金を調達していたというのだ。
和希はとりあえず裏を取ってみることにする。

一方、和希の父親で今は社会部長をしている高樹治郎は、東京地検特捜部の副部長、松永光正から特捜部が新潟三区の友岡拓実を狙っていると知らされる。
治郎は部下を動かし、取材を始める。

図らずも高樹たち親子は同じネタを追うことになるが、その背後に二十五年前の因縁が…。

驚いたのが、政治家・田岡の執念深さ。
二十五年もの長きに渡って恨みを抱き続け、報復する機会を伺っていたなんて、政治家は普通の神経の持ち主ではできないと思っていましたが、こういう執念深さも必要なのでしょうか。
それも田岡の場合は不正を行った上での個人的恨みですからねぇ。

「新聞は政治を邪魔してはいけない」
「メディァは国益に添う報道をすべきで、政治のやり方に口を出すのは無意味なことだ、権利もない」

もしメディァが田岡のように考える政治家にコントロールされることになったら、政治が間違った方向に向いてしまった時に、どうなるのでしょうね。
まさかもう日本はこうなっているなんてことはないわよね…(怖)。

第三部の『激流』は10月に発売予定です。
時は25年後の2021年、高樹親子は雪辱を果たすことができるのでしょうか。
治郎は退職していますから、次回は是非とも和希に頑張ってもらいたいと思います。