朝井まかて 『落花狼藉』&『残り者』2022/09/09



傾城屋西田屋の女将の花伃は、幼い頃親に捨てられ、西田屋の主である現在の夫、甚右衛門に拾われ、遊女としてではなく、娘分として育てられた。
幼い頃は乱暴者の鬼花伃として恐れられ、誰も嫁にもらってはくれず、甚右衛門が妻とした。

甚右衛門は吉原を「売色御免」の町にするために奔走していた。
やがてその願いは認められ、甚右衛門が町の総名主となり、吉原は作られる。
しかし次々と難題が…。
遊女たちの色恋沙汰、陰で客を取る歌舞伎の踊り子や湯女の存在、二度の大きな火災、幕府からの土地引き渡しと吉原移転…。
花伃は夫を支えようとするが…。

吉原が誕生してから花伃が亡くなるまでの吉原の悲喜こもごもと共に、武士の時代から商人の時代に移る様子も描かれています。


徳川家に江戸城明け渡しが命じられ、明日が引き渡しという時、大奥の女たちに天璋院から退去命令が出される。
呉服之間に奉公するりつは御針の始末のことが気にかかり、戻ってしまう。
そこに天璋院の猫「サト姫」を探しているという御膳所の御仲居、お蛸が現れる。
お蛸と一緒に猫を探すうちに、長持に隠れていた御三之間のちかを見つける。
ちかは天璋院は必ず城に戻ってくると思って隠れていたのだ。
手柄欲しさに、ちかも猫探しに参加する。
やっとサト姫を捕まえたが、籠に入れた方がいいということで、三人は籠を求めて天璋院の部屋に行く。
するとそこに天璋院に仕える御中臈のふきと静寛院宮付の呉服之間に勤めるもみぢがいた。
行きがかり上、りつともみぢは腕競べをすることになる。

やがて女達五人は江戸城引き渡しを秘かに見届けてから、退去することにする。

急に会社が潰れましたから、あなたがたは好きにしてくださいなどと言われたら、どうしたらいいのか困りますよね。
読みながら大奥に勤めていた女性たちが、その後どういう人生を歩んでいったのかに思いをはせました。

江戸時代の初期と終焉のお話です。
それぞれに関わる女たちがどういう思いでいたのかを考えさせられました。
興味のある方は読んでみて下さい。

コメント

_ ろき ― 2022/09/09 19時34分57秒

どちらも面白そうですね。時代の変化の中で、女性たちがどう身を処したか。
今よりずっと厳しい環境でしょうね。
今もコロナ不況のしわ寄せで女性が苦しんでいるようですが。
一度も読んだことのない作家さんです。近々入手してみよう。

_ coco ― 2022/09/09 23時57分45秒

ろきさん、意外と面白かったです。吉原とか大奥って未だ謎ですから。女性の方からの視点で書かれているのがいいですねぇ。
朝井まかてさんはオススメの作家さんです。

そういえば、エリザベス女王がお亡くなりになりましたね。
ご冥福をお祈りいたします。

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