読んだ本2022/11/22

軽く読める文庫本の紹介をします。


五十嵐佳子 『願い針 結実の産婆みならい帖』
シリーズの三作目。
結実が祖母の真砂に弟子入りをし、産婆見習いの修行をしてから八年が経った。
もうひとりの産婆見習いのすずは幼馴染みの町火消しの英吉と祝言をあげ、子どもができる。
六月のすずのお産が始まった晩に真砂が卒中で倒れ、結実は否応なしにひとりですずのお産を取り仕切る。
七月に結実は父がいとなむ大地堂で見習い医師をしている源太郎と祝言を挙げる。
突然独り立ちをせざるおえなくなり、戸惑いと不安でいっぱいの結実だが、今やお産を扱うのは結実ひとりとなってしまう。
さて、結実は産婆として独り立ちできるでしょうか。

「産婆」って何?と思う人が多いでしょうね。
実は実家の祖母が産婆をやっていたので、わたしは祖母にとりあげられています。何かの用事でお産をしているお宅に行った時に出てきた祖母の手が血で真っ赤だったのを覚えています。とりあげる途中だったのかしら?

昔も今も女性が仕事を持つことは大変なんですね。
結実と源太郎夫婦が共に一人前に成る日が来るのが楽しみです。

山本巧次 『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 司法解剖には解体新書を』
おゆうこと関口優佳は江戸と現代の二重生活を送っている。
現代はコロナ禍なので、おゆうは江戸にコロナを運ばないように気をつけている。
そんなある日、おゆうと南町奉行所定廻り同心の鵜飼伝三郎は南町奉行所内与力の戸山兼良から呼び出される。
筑前守の配下だった河村右馬介が急に三日前に亡くなり、河村と長崎在勤の頃から懇意だった唐物商の平戸屋市左衛門も五日前に死んでいた。
河村は心の臓の発作が死因だと言われているが、これまで一度も心の臓が弱いとか悪いとか言われたことがなく、ふたりの亡くなり方がそっくりだったという。
戸山が何か隠しているのではと思いつつも、おゆうたちは二人の死の調査を始める。

今回の歴史上の有名人は杉田玄白の弟子・大槻玄沢です。
おゆうが玄沢にも関係した事件を解決したので、おゆうは玄沢のサイン入り『重訂解体新書』をもらいます。そうとうの値打ち物ですね。
「千住のせんせい」の宇田川はバラして分析したいと言い出しますが、笑。
次にどんな有名人が関わってくるのか、楽しみなシリーズです。

澤村御影 『准教授・高槻彰良の推察8 呪いの向こう側』
深町尚哉君は捜査一課の刑事の佐々倉から柔道を習い始める。というのも簡単な護身術も教わりたいと佐々倉に言ったら、早速佐々倉は柔道場を貸し切ってしまったからだ。口は災いの元、笑。
尚弥は投げられてばかり。珍しく佐々倉は高槻とケンカをし、むしゃくしゃしているようだ。

第一章:押し入れに棲むモノ
正月に実家に帰省した尚哉。親と彼の間には色々とあり、互いに遠慮し合っている。親が新しく飼いだした犬のムギを散歩させていると、小学校で同級生だった田崎涼と偶然に出会う。
新学期が始まり、高槻からバイトだと呼び出される。それは涼の兄で小学校の先生をしている田崎晋からの依頼で、『モンモン』というお化けが学校に出たという。高槻は尚哉に友達がいたと喜ぶが、複雑な気持ちの尚哉。
大学の講義では童謡(『サッちゃん』や『かごめかごめ』、『なべなべ底抜け』)にまつわる怪談や都市伝説を扱う。

第二章:四人ミサキ
春休みに尚哉は自動車教習所に通い始める。
休みでも高槻からのバイトの呼び出しが入る。
今回は高槻の五歳下の従弟、優斗の妻、美華子からの相談だ。
彼女が通っていた英会話学校の友達の光莉が怖い目に遭っているという。
彼女と小学校の時に仲の良かった四人グループのうちの一人、美紗紀が亡くなり、その後に美紗紀から彼女の描いた絵をおしつけられた可乃子が亡くなる。
そして家のポストにその絵が描かれた紙が入っていた芽衣はインフルエンザから肺炎を起こして入院したという。
可乃子も芽衣もその絵が来てから、美紗紀の夢を見、美紗紀に呼ばれると言って恐れていたようで、光莉は次が自分が呼ばれる番だと思って怖がっているのだ。
果たして不幸は連鎖するのか。

第三章:雪の女
高槻と佐々倉といっしょに尚哉は新潟の湯沢町にあるゆきのや旅館の『幸運の猫』に会いに行く。高槻と佐々倉はスキーもやるという。スキーがあまり得意ではない尚哉に高槻たちはちゃんと面倒をみてやるというが。
スキー場で高槻たちが休憩をしている時に同じ宿に泊まっている男女五人組に話しかけられる。その中の一人、野中が二十年以上も前に会った雪女を探しに来ていると聞くと、高槻はもう我慢ができない、笑。
なんと野中は雪山に迷い込んだ時に雪女に助けられたというのだ。
本当に雪女はいるのか。

高槻の家族の話が出てきました。徐々に高槻の秘密が明かされてくるのでしょうかね。

七海花音 『英国紅茶予言師』、『英国紅茶予言師 古城の悪魔』
イギリスのパブリック・スクールについて知りたかったので読んだ本です。
主人公は風森心という十六歳の男の子。
彼は東京の下町にある小さな児童養護施設で育った。施設の前に捨てられていたのだ。何故かシンは誰にも引き取られず施設に残っていたので、園長の風森がシンを気の毒に思い養子にした。
彼は記憶力がよい上にケタ外れに賢く、一昨年、園長がイギリス留学試験を見つけてきてシンに勧めた。シンは見事合格し、奨学金をもらい、三年間パブリック・スクールのレイトン校で学ぶことになった。
園長はシンが合格したのを知ると安心したのか、しばらくして亡くなってしまう。
そんなわけで、シンは今や天涯孤独の身だ。

財団が援助してくれるのは、学費と寮費と食費、教科書代などで、渡航費と生活費は援助してくれない。
十三年生が着る燕尾服などフルセットで三千ポンド(約四十五万円)もする。
お金のないシンは制服を卒業生から譲ってもらうことにする。

卒業式でシンはエドワード・エリントンという伯爵家の次男と出会う。
シンはエリントン家のみんなから気に入られ、学校が始まるまでロンドンのエリントン家のタウン・ハウスで過ごし、エドワードから制服を譲ってもらう。
学校には彼をからかう奴らや日本人に敵対心を持つ学園長がいるが、寮の同室になったギルことギルバート・クラークソンとはすぐにいい友達になる。
ギルは没落貴族で、根暗でネガティブなことばかり考える子だったが、シンが紅茶を飲むと二、三日後の予言ができることを知ると、紅茶占いで人助けをしないかと提案する。
シンが紅茶予言師(ティー・カウンセラー)になり、ギルが紅茶を選び、見料は七ポンドで、シンとギルがそれぞれ三ポンド、残りは茶葉ということにする。
後にシンはこのことで大事件に巻き込まれることになる。

これはYA向きの本ですね。大人が読むと、わたしみたいなパブリック・スクール好きじゃなければ、怒っちゃいますね。
でもわたしはシン君の過去が気になるので、続けて読みますけど。

どれもシリーズ物ですが、それなりに面白いので、軽いものを読みたい方、手にとってみてください。

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