米澤穂信 『栞と嘘の季節』2022/12/07

図書委員シリーズの新刊。『本と鍵の季節』の続編。


高校で図書委員をしている堀川次郎は、放課後、図書室の返却本の中に押し花の栞が挟まっているのに気づく。
そこにいた同じく図書委員の松倉詩門が、押し花の花がトリカブトではないかと言い出す。
植物図鑑で調べてみると、トリカブトだった。
栞の持ち主はこのことを知っているのだろうか?
二人は栞のことを二人だけの秘密とし、持ち主にトリカブトの毒性を警告することにして栞を隠し、持ち主に向けて掲示を出すことにする。

別の日の放課後、たまたま写真コンテストで金賞を取った写真を見た堀川は驚く。
写真のモデルが持っている花がトリカブトだったのだ。
堀川はすぐに松倉を呼び出す。
二人は写真を撮影した岡地恵に撮影場所を聞きに行く。
岡地が写真を撮ったという校舎の裏に行ってみると、花壇のところに瀬野という女子がいた。
彼女は墓を掘っていたというのだが、嘘に気づいた堀川が掘り返してみると、埋められていたのは、トリカブトの塊根だった。
彼女とトリカブトの関係は…?

次の放課後、図書室に瀬野が二人に会いに来る。
栞は自分のものだと宣言し、返すように強いる。
しかし堀川は本を返却した女子生徒の後ろ姿を見ていて、それは瀬野ではなかった。
そのことを指摘され、瀬野は栞を奪い、ライターで焼いてしまう。

その翌日の昼休み、救急車が学校にやって来る。
運ばれたのは生徒指導の横瀬という教師だった。

翌週の月曜日に瀬野がまた図書室にやって来て、栞の持ち主のことを訊いてくる。
どうやら横瀬はトリカブト中毒っぽい症状で倒れたらしい。
堀川と松倉は乗りかかった船だと、瀬野とともに栞の持ち主を追うことにする。

翌朝、横瀬が毒を飲まされて倒れたという噂が出回る。
やがてその毒が憎んでいる相手の食べ物や飲み物にそっと混ぜられ、服んだ者の半分は死に、半分が生き残るという嘘がまことしやかに広まっていく。
そのためパニクる子が…。

そもそも水仙の花も知らない松倉がなんでトリカブトの花のことを知っていたのかしら?
今の高校生は友人とあんな話し方をするのでしょうか。ちょっと大人び過ぎていませんかね。
そして「切り札」が必要なほどに、女の子たちにとって今は生きにくい状態なのでしょうか。

〇十年も前に高校生だった私にはところどころに散りばめられた嘘がなかなかわかりませんでしたし、動機がピンと来ませんでした。
結末も何やらはっきりしないし、次作まで待つしかないのでしょうかね。

トリカブトの花ってどんなものか知りたくなりますよね。
東京薬科大学の東薬植物記をご覧ください。
紫の美しい花です。

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