いせひでこ 『グレイのものがたり』2022/12/21



画家で絵本作家でもあるいせひでこさんがスケッチとエッセイで綴った、シベリアンハスキーのグレイといせさん家族のお話です。
『グレイが待ってるから』と『気分はおすわりの日』、『グレイのしっぽ』の三冊の合本です。

絵描き(いせさん)が友人からハスキーの子犬が生まれたからもらってくれないかと言われ、見に行ってすぐに決めたのがこの子。
名は子どもの大きい方のM(姉)が決めた。

人にそれぞれ個性があるように、犬にも個性がある。
グレイにもグレイの個性がある。

「甘えん坊なのか気が強いのか、おく病なのか、繊細なようで楽天的で、人のふところ具合も考えないでよく食い日ごとにふくれんでいく大きな存在」

そんなグレイにおびえはじめた絵描きさんは道で声をかけてくれた夫人から訓練士をつけた方がいいと言われ、訓練士に来てもらうことにする。
よくあることだが、訓練士の言うことはきくけど、家族のは…笑。

ところがある日、散歩の途中で突然グレイは吐き、倒れそうになる。
てんかんの発作だ。
それからグレイは三週間周期で発作に悩まされるようになる。
やっと薬で抑えることができるようになると、今度は紫外線アレルギーになる。
食欲がすごくなり、以前のグレイはいずこ…。

「食べてねてグレイはドアストッパーになった」(笑)

家は絵描きがチェロを弾くので、音楽に溢れている。
グレイが好きなのはバッハのゴルドベルク変奏曲。(犬のわりにいい趣味しているね)

グレイが四歳になり、一年以上も発作がなかったので安心していたら、絵描きが出かけるという日の夜に大きな発作を起こす。

絵描きはグレイのために引越す。
1戸建ての庭付きでアトリエが一階にあり、いつでも庭にいるグレイが見える家。
ところが引越した後すぐにグレイはまた倒れてしまう。
脾臓が異常に腫れ、肝臓も…。

グレイは退院し、少しずつ元気になっていくが…。

「私とグレイは、フラトレス(兄弟)で、お互いのタブラ・サラ(空白)をうめるために、なくてはならない相手だった」

そう自分とグレイのことを語る絵描きの気持ちが痛いほどわかります。
大型犬は小型犬ほど長生きをしないとはいいますが、二歳でてんかんを発症し、五歳でこの世を去ってしまうなんて…。

「時の観念も死への不安も、ヒトが作り出したものにすぎないから、イヌは臨終かもしれない今日を平気なカオして生きていられるのです」

こう獣医が言ったそうです。

私もいつかみえない犬と暮らし始めるだろう。
その日まで、一日一日を大事に犬と暮らしていきたいと強く思った。

コメント

_ ろき ― 2022/12/22 21時26分33秒

画家の描いた愛犬のイラストがキュートですね。ハスキーは大きくて可愛い。
ペットは別れが辛いですね。
犬は死を恐れないけど自分が死ぬのはわかるんじゃないかな。
実家の雑種犬は最期、体を起こして挨拶したそうですよ(”自分より上”と思う人間にだけww)。
生前をできるだけ幸せに、良い思い出を作っていくのが良いのでしょうね。

_ coco ― 2022/12/23 14時54分34秒

ろきさん、『動物のお医者さん』に出てくるハスキー犬が可愛かったですよね。その頃かな、ハスキーを飼うのが流行ったのは?
そうですね。犬でも猫でも、自分の死ぬ時はわかると私も思います。

最期に挨拶をしたんですか。いい子ですね。エ、自分より上の人間だけなの。

兄犬は10歳なので、いつ死んでもいいように、その心構えだけはしておこうと思ってます。苦しんで欲しくないです。

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