ヘニング・マンケル 『ファイヤーウォール』 ― 2023/01/03
今朝、美容師さんから電話がありました。
コロナ感染か帰省先の東北から大雪で帰れなくなったのか…どっちかだろうと思ったら、コロナ感染でした。
神経質な人で、感染に気をつけているようだったのですが、もはやコロナは誰でもかかると思っていた方がいいですね。
犬たちは元気にお散歩です。

しつこく写真を撮ろうとするママに兄犬は胡散臭そうな顔をしています。


みんないっしょのお散歩では落ち着きなく動き回る弟犬。
何年も前に買ったマントが似合います。

カメラを向けると無表情に前を見つめる兄犬です。動かないとぬいぐるみみたいです(親ばか)。

昨年読んだヴァランダー・シリーズの八作目。
ヴァランダーに三年前の事件でアメリカ先住民の化粧をして復讐をした少年の母親から電話が来る。少年が精神病院の建物から飛び降りて自殺した。参列者がだれもいないので、ヴァランダーに葬式にでて欲しいと言う。
ヴァランダーは葬式に行く。
糖尿病は医師の忍耐強い指導のおかげで、週4回一時間の散歩をし、ハンバーガー・バーで食べるのを控えたので、血糖値が下がり、体重も減った。
それなのに同僚は誰もスマートになったことにコメントしてくれない。
交際相手がいないことがヴァランダーの一番の憂いだ。
娘のリンダは心配してヴァランダーに交際相手紹介サイトに登録してはどうかとアドバイスする。
このことが後にヴァランダーに災いをもたらすことになる。
十四歳のエヴァ・ペルソンと十九歳のソニャ・フークベリという二人の少女が、タクシーの運転手をハンマーで殴り、ナイフで刺すという事件が起る。
お金が欲しかったというが、ヴァランダーは彼女たちのことが理解できない。
しかし同僚のフーグルンドは理解できるかもしれないと言う。
彼女たちは「自分たちは必要とされていないだけでなく、歓迎されていないという」状況が見えてきて、暴れる。「暴力を振るうのは、現状への反発」だと。
逮捕された少女たちの態度はふてぶてしく、悪いことをしたとはこれぽっちも思っていないようだ。
ヴァランダーの尋問中に14歳の少女のエヴァ・ペルソンが母親を殴ったので、ヴァランダーは思わず彼女に平手打ちをしてしまう。
夜中の一時にスーパーマーケット近くのATMのそばで男が死んでいるという通報が入る。その男はITコンサルタント会社をやっていて、残高照会をしたようだ。心臓発作を起こしたのではないかと思われた。
ソニャは警官の隙を見て逃亡する。
その日、スコーネの四分の一が停電する。
変電所ではゲートが壊され、建物のドアが開いており、変電室でソニャの死体が見つかる。
一体ソニャはどうやって変電所まで行ったのか。
自殺か他殺か…?
そういう時にATMのそばで死んでいた男の主治医がやって来て、十日前に健康診断を行い、心臓の状態は二十代の若者と同じようなコンディションだったとヴァランダーに告げる。
タクシー運転手の件の報告書を読んでいるとホルゲソン署長が現れ、ヴァランダーがエヴァを殴った写真が掲載されている夕刊をヴァランダーに見せる。
署長はこれは職務違反の調査対象になると言う。
彼女はエヴァと母親が嘘を言っているというヴァランダーのことを信じていないようだった。署長に対する不信感が芽生える。
そんな頃、ITコンサルタントの男性の死体がモルグから盗まれる。
死体の代わりに変電所の継電器が置いてあった。
タクシー運転手とソニャ・フークベリ殺害事件とITコンサルタントの謎の死は繋がりがあるのか。
捜査を始めるが、ヴァランダーは苦手なコンピュータに立ち向かわなければならなくなり、疎外感と孤独感をつのらせる。
題名の「ファイヤーウォール」とは”防火壁”を意味し、ネットワークとネットワークの間に設置され、事前に決められたルールのもとで通してよい情報かどうかを判断し、不正アクセスやサイバー攻撃を防ぐ仕組みのことです。
50歳間近のヴァランダーはコンピュータが苦手で、同僚のマーティンソンに頼らなければなりませんでしたが、それを境にどうも二人の間は上手くいかなくなったようです。
「これからは、まったくちがうタイプの警察官が必要になるということだ。彼自身が身につけた経験や知識が必要ないというのではない。ただ、彼のような警官には参加することのできない分野があるということだ。
さらに言えば、自分が本当に年取ったことを受け止めなければならないということだ。新しい芸を習うことができない老犬だ」
警察でもIT社会に適応し、新しい技術を習得することが要求され、仕事内容が変化しています。
ヴァランダーはそういう社会に適応できない自分を、時代遅れの「老犬」だと言っています。
その上年をとったせいか、益々怒りっぽくなり、同僚に対して不信感を持ち、自尊心が傷つけられることを嫌い、より依怙地になっています。
ヴァランダーはわかってはいても、どうしようもない感じです。
チームのみんなもそんなヴァランダーと組むのは大変でしょうね。
ヴァランダーのチームはこれからどうなるのでしょうか。
デジタルネイティブ世代はベジタリアンが多いのでしょうか。ハッカーのモディーン君、にんじんジュースとかもやしとかオムレツとかしか食べないみたいですものね。
ヴァランダー世代は糖尿病に罹るほど、肉類が好きそうですwww。
マンケルは1990年代からIT社会に警告を与えており、そんな社会はもろいと言っています。
日本は未だにスウェーデンほどではないと思いますが、どうなんでしょう。
ドラマとは全くちがう展開ですので、どちらもオススメです。
次は警察官になったヴァランダーの娘、リンダが主人公のお話らしいです。
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