ヘニング・マンケル 『苦悩する男』2023/01/22

刑事クルト・ヴァランダー・シリーズの最後の長編小説。
もう一冊、『手/ヴァランダーの世界』という本があります。


ヴァランダーは五十五歳の時に田舎に家を買い、ユッシという犬を飼い始めた。
それから三年が経った2007年。
ヴァランダーの糖尿病は進み、毎日インシュリンの注射をするようになっている。
一番変わったのはリンダだ。妊娠し、女の子を産んだ。
赤ん坊の父親は投資信託会社でヘッジファンドを扱う部門で働いているハンス・フォン=エンケという貴族出身の男で、二人は同棲している。
ハンスの父親のホーカン・フォン=エンケは退役した海軍司令官で、母親のルイースは元語学教師で、ヴァランダーが思っていた以上にいい人たちだった。

ある日、ヴァランダーは家で手入れをするために銃を持ち帰った。
そしてその夜、突然思い立ち、イースタの町に行き、レストランで食事をした。
次の日、マーティンソンにその拳銃を見せられる。レストランの椅子に忘れていったというのだが、ヴァランダーは何も思い出せなかった。
内部調査が行われることになり、ヴァランダーは休暇を取らせられる。

ハンスの父親が七十五歳の誕生日パーティを開くというので、リンダから誘われ、暇になったヴァランダーは出席することにする。
パーティの最中にヴァランダーはファン=エンケから1980年代に起きた謎の潜水艦事件の話しを聞く。

そのパーティの三ヶ月後、突然ホーカン・フォン=エンケが姿を消す。

フォン=エンケがいなくなってから四十八時間が経ち、息子のハンスからストックホルムへ行って捜査に協力して欲しいと頼まれる。 
病欠をとっていたヴァランダーは引き受けることにする。
ハンスもルイースも心当たりがないというが、ヴァランダーはパーティの時のフォン=エンケに違和感を持っていた。

海軍時代の知り合いに話を聞きにいくが、何も手がかりを得られなかった。
そのような中で、妻のルイーズまでもが姿を消す。

イースタ署にはマーティンソンとニーベリ以外に前に一緒に働いていた同僚はもういません。私はフーグルンドに注目していたのですが、一体彼女はどこに行ったのでしょう?
マーティンソンは孫のいる年齢になっています。ヴァランダーとの間は前と同じ感じになっていますが、ヴァランダーが銃を忘れたことをマスコミにチクったのは彼か、署長なのか?それとも…。

日本とスウェーデンとの違いは、子どもができたからといって結婚するわけではないというところと、子どもの親にはなっても、一生一緒に暮らすとは限らないと思っているところですね。
同棲カップル(サンボという制度があるらしい)も結婚カップルも社会的にも法的にもほぼ同じように扱われているからなのでしょうね。

ヴァランダーは老いることをとても恐れています。
彼自身が気づくほど記憶力が減退してきているので、なおさらなのかもしれません。
そんな中、一人で捜査をしていき、すべてが明らかにはならなくても、それなりに真実に近付いていけたのは流石です。
バイバとのことは、これは男性の願望ですかね。女は別れた男のことをサッパリと忘れると思いますよww。

このシリーズはミステリーではありますが、人間がよく描かれています。
ヴァランダーと同じ年代の男性が読むと、なお一層身につまされ、感慨深いものがあるのではないでしょうか。是非読んでみてください。


<今日のわんこ>
やっとパパの水を飲んでくれました。


昨日寒かったので、今日は厚着をさせたからでしょうか?
二匹共に飲んでいます。
しかし…。


ママには塩対応です(>o<)。

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