M.C.ビートン 『ゴシップ屋の死』2023/02/10

アガサ・レーズン・シリーズを書いたビートンの新しいシリーズ。


主人公はスコットランドの北部ハイランド地方の小村ロックドゥの巡査ヘイミッシュ・マクベスです。
彼は三十五歳を過ぎているのに、独身で、村人にはたかり屋だとか人の邪魔ばかりしているとか、色々と言われています。
実は彼の父親は小作農で、彼の弟と妹の六人の子どもたちを養えるだけの稼ぎがないので、彼が仕送りをして養わなければならないのです。
本に書かれていたのですが、ケルト系の家族では、長男があとに生まれた弟や妹が自立するまで独身でいるのが当然だと考えられているそうです。今はどうなんでしょうね。
そんなわけで、彼は家族に給料を仕送りするためにロックドゥ村の巡査になり、給料の他に鹿肉やサケを密漁し、飼っているニワトリやガチョウの卵の儲けなども両親に送っています。
ヘイミッシュは持ち前の気楽で素直な性格なので、この運命を受け入れているようですが…。

夏の間、ロックドゥ・ホテルに泊まりながらロックドゥ・サケマス釣りスクールで釣りを習うことができます。
このスクールは手ごろな料金で絶好の釣り場で釣りができるということで、釣りのアマチュアだけではなく熟練の釣り師にも人気があります。
今週行われるスクールには参加者が八人:ニューヨークから来たロス夫妻、労働党議員の未亡人のレディー・ウィンターズ、ロンドンからジェレミー・ブライスとアリス・ウィルソン、マンチェスターから十二歳のチャーリー・バクスター、前にも参加したことのあるピーター・フレイム少佐、そしてオックスフォードからダフネ・ゴア。

楽しくレッスンできるかと思ったら、とんでもありませんでした。
レディー・ウィンターズは参加者たちの住所を手に入れ、汚点を探っていたようで、参加者たちの秘密をバラしていくのです。
彼女の行いに苛立つ参加者たち。
ヘイミッシュは厄介なことが起らなければいいと思っていましたが、とうとう恐れていたことが起こります。
スクールの四日目にレディ・ウィンターズが殺されたのです。
ストラスベイン警察からブレア警部がやって来て、ヘイミッシュを事件の捜査から外します。
ヘイミッシュはこんな高度な犯罪を扱うには経験不足で、自分たちは経験豊富だからだと言うんです。
最初はやる気のなかったヘイミッシュですが、こんな風にバカにされては黙っていられません。

さてヘイミッシュはブレアよりも先に犯人をつきとめることができるのでしょうか。

ブレアとヘイミッシュの間に何かあったのでしょうか?
それともブレアの性格が悪いだけでしょうか、笑。
村人たちからは昼行灯みたいに思われているヘイミッシュですが、やればできる人で、その上家庭に問題がある子どもを助けたり、失恋した女性を慰めたりととっても優しい人です。
地主の娘プリシラ・ハルバートン・スマイスのことが好きみたいですが、身分の差もありますし、兄弟を養わなければならないので、結婚をそう簡単にできそうにありません。
でもプリシラはヘイミッシュの良さをわかっているようなので、これから進展があるかもしれませんね。
楽しみにして読みましょう。

マクベス巡査シリーズは35巻まで出版されているようです。
ビートンさんはお亡くなりになっていますので、これ以上増えませんが、こんな小さな村で35人も殺されたら、住民がいなくなっちゃうわねwww。
二巻のあらすじを見てみると、ブリシラはロンドンの劇作家と婚約してしまうみたいです。
アラ、ヘイミッシュの思いは届かなかったのかしら…。

順番に翻訳されるかどうかわからないので、アガサのように英語で読んでみようかどうか考え中です。