今野敏 『審議官 隠蔽捜査9.5』2023/02/13



竜崎伸也が警視庁大森署長から神奈川県警刑事部長に異動してから起った周囲の出来事を描いた短編9篇。

「空席」
竜崎が神奈川県警に異動した日、後任の北海道警から大森署に異動してくるはずだった女性キャリアの着任が遅れ、一日署長が空席となる。
そんな日に限って難題が持ち込まれ、にっちもさっちもいかなくなり、竜崎がいればどうしただろうかと思う貝沼副署長と斉藤警務課長。
結局貝沼は新任の署長に、斉藤が竜崎に電話をしてお伺いを立てることになるが…。

「内助」
竜崎冴子はテレビのニュースに妙な既視感を覚えた。
いったん家に戻って来た夫の竜崎に話してみるが、「警察がちゃんと捜査をしている。おまえがあれこれ考える必要はないんだ」と言われる。
すっきりしない冴子は竜崎のいない間にこの謎を解いてみようと決意する。
仕事から帰って来た娘の美紀の助けを借り、冴子が辿り着いた犯人とは…。

「荷物」
竜崎の息子の邦彦は悩んでいた。
ポーランド人のヴェロニカから頼まれ、アントニという男性から預かったバッグの中に白い粉が入っていたからだ。
ヴェロニカとは連絡がつかなくなっていた。
ヴェロニカは一体何をしているのだ。まさか覚醒剤の売買では…。自分は運び屋なのか?
邦彦は一度ヘロインの所持・使用で捕まっていた。
父は家族の不祥事を問われ、懲罰的な降格人事をされた。
今度捕まったら父がどんな処分を受けるかわからない。そんなことに耐えられないと思う邦彦。
そんな時に竜崎が部屋にやって来る。冴子に様子を見てこいと言われたというのだ。忙しいだけと言いごまかしたが…。

「選択」
竜崎の娘の美紀は通勤途中で痴漢だと思われる男の逃亡を阻止する。
しかしその後、痴漢詐欺の共犯ではないかと疑われ、ターゲットとされた男性からは名誉毀損で訴えると言われる。
会社では警察に事情を聞かれ遅刻してきたのを咎められ、プレゼン失敗の責任をおしつけられ、課長のパワハラの餌食にされる。
八方塞がりだと思い、どうしようもなくなった美紀。
帰宅して食事をしていた時、母から「どうしたの?何かあった?」と訊かれ、ちょうど父もいたので、美紀は今までのことを話してみることにする。

「専門官」
板橋捜査一課長は困っていた。捜査一課の捜査官の矢坂が前任の本郷部長の時と同じように新人の竜崎部長に楯突くのではないかと思っているのだ。
そんな中、港北署管内で連続強盗事件の一つではないかと思われる強盗事件が起り、矢坂が臨場する。
板橋が捜査本部設置の可能性を告げると、矢坂は設置に反対だと竜崎に抗議しに行く。

「参事官」
池辺刑事総務課長と竜崎刑事部長が佐藤県警本部長に呼び出される。
阿久津参事官と参事官兼任の平田組織犯罪対策本部長の折り合いが悪いので、なんとかしろと言うのだ。
ノンキャリアはキャリアを嫌っている者がいるが、阿久津と平田の対立の原因もそこなのか?
とりあえず池辺に何かわかったら教えるように指示する竜崎だったが…。

「審議官」
竜崎は長瀬審議官に米海軍犯罪捜査局(NCIS)の特別捜査官リチャード・キジマが日本国内の事件の捜査をしていたことを自分に知らせなかったことを咎められる。
彼は海外の捜査機関が好き勝手に日本国内で捜査できるとなれば、日本の警察の権威は失墜し、日本の警察の危機を招くと言い張り、ついては竜崎の処分を考えろと佐藤本部長に命じる。
竜崎は何が問題なのか理解に苦しむ。
しかし阿久津参事官から情報を仕入れ、竜崎はいい解決方法を思いつく。

「非難」
大森署副署長の貝沼は困っている。
第二方面本部の野間崎管理官が署に頻繁にやって来るのだ。
それも藍本署長に会うために。
藍本百合子警視正は四十歳のキャリアで、彼女の大きな特徴が見る者を引きつけずにおかない美貌なのだ。
野間崎が署に来る言い訳が、戸高の非違行為について調べる為というが、野間崎は署長にはその話はせず、するのは世間話ばかり。
解決策の浮かばない貝沼は伝家の宝刀を抜くことにする。

「信号」
竜崎は避けていたキャリア会に八島警務部長の強引な誘いに負け参加することになる。
後日、そこで話し合われていた赤信号を守るかどうかという話が外に漏れ、県警トップが交通法規を守らなくていいと、自ら公言したと物議を醸し出す。
どうしようもなくなった本部長は竜崎を呼び出す。

原理原則に忠実でぶれない竜崎がいいです。
人はどうしても、他の人や自分より階級の上の人がどう思うのかを考えてしまいがちです。
そのため考えなくていいことまで考えてしまい、どうすればいいのかわからなくなってしまいます。
竜崎は人の思惑なんてどうでもよく考慮に入れないので、彼に相談すれば、単刀直入にどう解決すればいいのか答えてくれます。
それにしても嫌な奴はどこにでもいるもので、竜崎はそういう奴にも負けずに冷静に対処していくのが流石です。
そしてたとえ妻の言うことであっても、真摯に受け止め、聞くという姿勢がいいです。

奥さんの冴子さんは竜崎に負けないくらいいいキャラしてます。
息子や娘(たぶん竜崎も)をよく見ています。自分の力でできるところまでやらせて、ここを過ぎるとまずいという時に手を差し伸べるタイミングがいいのです。
娘さんはパワハラ上司に辟易しながらも、回りに助けてくれる人がいてなんとかやっていけそうなのですが、息子は大丈夫かと言いたくなりました。
彼はまた何かやりそうです。竜崎に面倒かけるなよ、笑。

「荷物」と「選択」で気になったのが、邦彦や美紀は竜崎の子どもだったから警察の尋問を逃れられたけれど、もし親が普通の人だったらどうなるのかということです。
そう簡単にいかないように思うのですが、どうなんでしょうね。

次回の『隠蔽捜査10』では美貌の藍本署長と一緒に何かやってくれるといいのですが。もちろん問題刑事(失礼)の矢坂と戸高もね。


<昨日の兄犬>
昨日、兄犬が変でした。
散歩で外に出た途端に歩かなくなったので、ママが抱いてお散歩をしました。


具合の悪そうな顔をしています。どうしたのでしょう?
また膝が痛くなったのでしょうか?特に足を引きずっているわけではありませんが…。


こんな写真を見つけました。
珍しく兄犬が楽しそうに笑っている写真です。
これからはあまり無理をさせずに、わんこたちが楽しく暮らせるように考えていきますわ。

<今週のおやつ>
バレンタイン前なのに、チョコレートを食べてしまいました。
今年は美味しそうなのを沢山買っています。


日本のウィスキーが海外で流行っているそうですね。
竹鶴の入ったチョコを食べてみました。


ウィスキーの匂いがプンプンしました。アルコール分は3%。食べ過ぎると酔いそうです。


インターナショナルチョコレートアワード、アジアパシフィック大会で金賞と銀賞になったというチョコレートの入ったセットです。
右上「ごま抹茶」が銀賞で、左下「濃い抹茶」が金賞です。
私、馬鹿舌らしく、あまり抹茶の苦みを感じませんでした。
どちらも甘さ控えめです。