マイクル・コナリー 『ダーク・アワーズ』2023/02/17

ハワイ出身のロス市警ハリウッド分署深夜勤務担当刑事レネイ・バラードが主人公のシリーズ、二作目。
愛犬を失ったバラードは、ビーチでのテント生活を止め、マンションに部屋を借りました。


2020年大晦日。ロス市警は毎年恒例の警戒態勢に入っていた。
バラードは性犯罪課のリサ・ムーアと組んで、午後六時からの十二時間勤務についていた。
バラードは五週間の間にふたりの女性を襲った二人組のレイプ犯、ミッドナイト・メンを追っており、彼らが今夜再度犯行をおこなうのではないかと警戒していた。

新年の午後零時のカウントダウンのあと、空に向けて銃の発砲がおこなわれるタイミングで、ハビエル・ラファという男性が銃で撃たれたという通報が入る。
調べてみると彼は後頭部を至近距離から撃たれていた。
目撃者は現れなかったが、ラファの息子が場違いに見える男を見ていた。
ラファは元ラス・パルマス13団のギャングだったが、十四年前に金を払い、足を洗って堅気になっていた。
バラードはラファが金を払って足を洗った経緯を聞ける相手を探すが、なかなか見つからない。
そんな中、薬莢から別の事件がヒットする。
それは2011年の未解決事件で、捜査担当者はハリー・ボッシュだった。
バラードはボッシュに会いに行く。

ボッシュと別れ、マンションに着いた時に連絡が入る。
ミッドナイト・メンの被害者が昨晩レイプされたと、いまになって通報してきたというのだ。

射殺事件と二人組のレイプ犯の二つの事件を追うことになるバラードだったが、はからずも彼女は警察の暗部に足を踏み入れることになる。

バラードの地道な捜査が素晴らしいです。
彼女と比べると、無能な同僚女がウザかったです。こんな女、いるなぁ、バラードは甘いなぁと思いながら読んでいくと、期待通りに(笑)とんでもないことをしてくれます。自分のした行為を棚に上げ、バラードを恨んで陥れようとするんですから。女の敵は女というのは、ある面で正しいと思いますよ。
バラードって女友だちがいなさそうで、女のしたたかさやかけひきを知らないんでしょうね。

ロス市警は2020年5月のフロイド事件をきっかけに広がった市民の警察への反感や不信感、嫌悪感から起きた抗議行動により事なかれ主義に陥り、益々腐敗していったようです。
バラードはそんな現状を憂え、警官として市警にいることが苦痛になっていた時にボッシュという素晴らしいメンターに出会ったこともあり、心境に変化が訪れたようで、意外な行動を起こします。
次作で彼女がどうなっているのか、楽しみです。

もうボッシュが主人公のシリーズは書かれない感じで、残念です。
これから彼はバラードをバックアップする立場になるのでしょうね。
今という時代背景で書かれたミステリーの中で、コナリーの作品は面白く読めます。
次作の『Desert Star』はこの続編だということなので、早く読みたいです。
あとがきに「衝撃的な内容」と書いてあるので、もしや…。