堂場瞬一 『罪の年輪 ラストライン<6>』 ― 2024/03/19
刑事・岩倉剛が活躍する、「ラストライン」シリーズの六作目。

立川中央署刑事課強行犯係の刑事である岩倉剛は、捜査一課の理事官、宮下真に呼び出される。
一体何の用なのかといぶかしく思う岩倉に、宮下は自分は石本課長の名代で来たといい、そろそろ捜査一課に戻って欲しいと頼む。
犯罪に関する異常な記憶力の持ち主である岩倉は、彼の特異な能力を研究したいというサイバー犯罪対策課から逃れるため、都心を離れて所轄に勤務していた。
そろそろ本部で仕事をしてもいい頃合いだといえるが、岩倉は住めば都、立川もいいと思っていたので、返事は保留にしておく。
そんなある日、玉川上水で殺しが起る。
被害者は87歳の元小学校教師の小村春吉。
退職後、立川に家を構え、自宅を開放して、「小村塾」という名前で子どもたちに無料で勉強を教えていたという。
誰に聞いてもトラブルはなかったという。
しばらくして87歳の三嶋輝政が自首してきた。
しかし、三嶋は頑として動機を話そうとはしない。
一体二人の間に何があったのか?
やがて、六十六年前の砂川事件との関係が浮上してくるが…。
定年まで後十年。そろそろ定年を視野に入れて、これからの人生を考えなければならなくなった五十五歳の岩倉。
恋人の美里は日本にいるが、具合の悪い母親の世話をするために実家に戻っている。母親のことも含めて、二人のこれからのことを考えなければならない。
宮下に若い刑事に捜査のノウハウを伝えることをメーンにお願いしたいとは言われたが、岩倉はまだ現役でもいたい。
人生の岐路に立った岩倉がどういう答えを出すのかが、今回の読みどころです。
もう一つの読みどころは、岩倉と若手刑事のやり取りです。
最初に組んだ男の刑事の戸澤はとんでもない奴で、途中で岩倉は放り出してしまいます。可哀想ですが、仕方がないですね。
次に組んだ女刑事、平沼多佳子は優秀な刑事になりそうです。
次も彼女と組んでもらいたいです。
事件の方は、途中から動機がわかってしまい、「お願いだから違うと言って」と願いながら読むこととなりましたが、残念ながら、願いは叶えられませんでした。
悪事の隠蔽はよくない。
その後にどれほどの人の人生が狂わせられたことか。
胸クソ悪い事件でした。
シリーズではありますが、この本だけ読んでも問題ないので、興味を持ちましたら、是非読んで見て下さい。
とりあえず、今までのものを載せておきます。
①『ラストライン』(2018年)
②『割れた誇り ラストライン2』(2019年)
③『迷路の始まり ラストライン3』(2020年)
④『骨を追え ラストライン4』(2021年)
⑤『悪の包囲 ラストライン5』(2022年)
⑥『灰色の階段 ラストライン0』(2023年)
⑦『罪の年輪 ラストライン6』(2024年)
<今週の美味しいもの>

イギリスのコーンウォール名物のパスティ。
思うに、イギリスのはもっと大きいのではないでしょうか。
これでは鉱山で働く人たちはお腹がいっぱいになりませんものww。
もう一種類、カレー味のがあったのですが、食べてしまいました。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://coco.asablo.jp/blog/2024/03/19/9669003/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。