大崎梢 『春休みに出会った探偵は』 ― 2024/06/18
「きらきらを少し」
中三になる前の春休みに、安住花南子の父親がシンガポールに赴任することになり、花南子は83歳になる父の祖母の五月が大家をしている、築三十五年という古アパート、「さつきハイツ」の102号室で暮らすことになる。
食事は五月が作り、彼女の部屋の101号室でいっしょに食べる。
とことが、五月がぎっくり腰になり、病院に入院してしまう。
そんなある日、郵便受けに茶封筒が入っていた。開けてみると、その中に「直井善弥」に関する書類と写真、地図が入っていた。
花南子は隣のクラスの根尾新太から、直井のことを聞いていたのを思い出す。
直井は老人のひとり暮らしで、この前、夜中に大きな物音や悲鳴のようなものが聞え、近所の人が不審に思い、翌朝、チャイムを押したり、雨戸を叩いたりしたが、誰も出てこないので、警察が呼ばれたという。
根尾は直井の家がよく見えるアパートの二階に住んでいたので、直井の不在を不思議に思っていたこともあり、花南子と根尾は直井のことを調べてみることにする。
「ここだけに残っている」
直井の件で助けてもらった「さつきハイツ」203号室に住む今津カホルは調査会社に勤める調査員で、花南子と根尾は彼を探偵と認定している。
ある日、花南子の部屋を覗く不審者が現れる。花南子は今津に相談し、しばらく様子を伺ってもらう。
すると、不審者が現れ、今津が跡をつけるが、逃げられてしまう。
不審者は中学生狙いの変質者か?
それとも、父親と関係があるのか?
「マイホームタウン」
根尾が今津に相談があるらしい。
二ヶ月前にとなりの部屋に引越してきた若い男が根尾の母親の跡をつけているという。彼は何故か母親が川清掃のボランティアをしているのを知っており、自分もやりたいと言って、今度母親と一緒に行くのだそうだ。
彼を見張るために、花南子と根尾も川清掃のボランティアに参加すると、彼から人を探して欲しいと頼まれる。
「おばあさんがいっぱい」
今津が急に引越してしまい、がっかりする花南子。
花南子は五月から、彼女の古い友だち、相馬希実子が犯人と疑われたという、四十六年前の相馬家アクセサリー事件のことを聞く。
事件後の相馬家について話してくれた翌日、五月はちょっと調べてくると言って出かけたっきり帰ってこない。
心配になった花南子は根尾といっしょに今津の会社に行き、五月のことを相談するが、今津に「おとなしく家に帰れ」と言われる。
花南子と根尾は相馬家に行ってみることにする。
「ここから上がる」
今津が直井の依頼内容を聞きに来ることを突きとめた花南子は、今津に会えないかと直井家の近くまで行くと、根尾の住むアパートの火災に遭遇する。
花南子は取り残された子どもを助けに行くが、煙に巻かれてしまい…。
図書館では一般書ではなく、YA(ヤングアダルト)になっていましたが、大人が読んでも大丈夫です。
とにかく好奇心旺盛な花南子が根尾君といっしょに、後先考えずに身近に起る謎に首を突っ込んでいくというお話です。ホント、危ういです。
そのフォローをするのが今津。
最後に明らかになる今津の正体には驚きました。
軽い日常の謎を解くのかと思って読んでいたら、結構今っぽい重い内容です。
表紙が可愛すぎですよ。小人のお婆さんがいっぱいwww。
根尾君、最後にいいことを言ってくれています。
「コップを大きくすればいい」
「どうやって」
「安住さんも勉強しなよ。いろんなことを学んで、本を読んだり人と会ったりしていると、たぶんコップは大きくなるんだ。飛んでも跳ねても水はこぼれなくなる」
いっしょに湘南高校に入れればいいですね。
湘南高校って本当にあり、偏差値72だそうです。
神奈川県立高校の中ではピカイチですね。
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