東野圭吾 『クスノキの女神』2024/07/04

クスノキの番人』の続編。


直井玲斗は大学の通信教育部で勉強する傍ら、月郷神社の管理人として働き続けている。
伯母の千舟はMCI(軽度認知症障害)を患っており、時々記憶が抜け落ちることがあるため、二ヶ月前から玲斗は柳澤家の屋敷に住んでいる。

ある日、神社に三人の子供がやって来る。
女子高生と小学校の高学年らしき少年と彼より年下の少女だ。
女子高生は早川佑紀奈といい、神社に自分の詩集を置いて欲しいという。
代金は200円。作りが雑なので、売れないとは思いつつも、玲斗は引き受けてしまう。

詩集を置いてからしばらくして、アロハシャツ姿の男が詩集を盗む。
玲斗は彼を捕まえ、代金を払うように言うが、金がないので払えないという。
そこにやって来た佑紀奈は気が向いた時に払ってもらえばいいと言って男を帰す。
その男は千舟の小学校時代の同級生、久米田松子の息子だった。

近所で強盗致傷事件が起る。
被害者は命に別状はないが、血を流して倒れていて、保管してあった現金が消えていたという。
被疑者として詩集を盗んだ久米田が捕まる。

そんな頃に、千舟といっしょに認知症カフェに行った玲斗は記憶障害のある少年、針生元哉と出会う。
彼は絵を描くのが上手く、『スター・ウォーズ』の熱烈なファンだ。
『スター・ウォーズ』の話がきっかけになり、神社に来るようになる。
その時に、たまたま佑紀奈の詩集を手に取った元哉は詩からインスピレーションを受け、絵を描いた。
その絵を見た玲斗が佑紀奈と元哉を会わせると、二人は意気投合し、いっしょにクスノキの絵本を作ることになる。

玲斗の回りに警察の姿がチラつく。
強盗致傷事件に関することか…?

ミステリというよりも、一人の青年と縁があって関わり合う様々なバックグラウンドを持った人たちとの心暖まるお話です。
『クスノキの番人』ではなんだこいつと思うような奴だった玲斗が素の自分を取り戻し、千舟を始め、特に二人の少年少女にそっと手を差し伸べます。
簡単に言うと、過去や未来を思い煩うよりも現在を大切に生きようということですね(簡単過ぎ?)。
ア、いっしょに絵本も出版すると、売れると思いますよ(下世話な話でゴメンなさい)。
久しぶりに泣いてみたい方、是非読んでみて下さい。
東野圭吾のガチなミステリを読みたいぜ、という方には勧めませんけどww。