ジジ・パンディアン 『壁から死体?<秘密の階段建築社>の事件簿』 ― 2024/09/19

事故の責任を取らせられ、仕事を失ったイリュージョニストのテンペスト・ラージは、ラスヴェガスからサンフランシスコのヒドゥン・クリークに戻り、実家の工務店<秘密の階段建築社>を手伝うことになる。
<秘密の階段建築社>は、秘密の読書室やドアが隠された柱時計などだれもが一度は夢見た、巧妙な隠し部屋を造ることに特化した工務店だ。
テンペストの初仕事は築百年の屋敷、ナイト邸。
ところがキッチンの隣のパントリーの壁から布袋に入った死体が出てきた。
好奇心に負け、テンペストは袋の口を開けてなかをのぞいてみると、それは白骨死体でも腐乱死体でもなく、よく知った人物だった。
キャシディ・スパロウ。
テンペストそっくりの裏切り者のステージ・ダブル(替え玉)。
誰が死体をどうやって壁のなかに閉じ込めたのか?
なぜキャシディはヒドゥン・クリークに来たのか?
テンペストに会いに来たのか?
名門マジシャン一族でもあるラージ家には言い伝えられた呪いがある。
「一族の長子はマジックに殺される」
ラスヴェガス市警はキャシディのボーイフレンドのアイザック・シャープを逮捕する。
だがテンペストは彼がやったのではないと確信していた。
ほんとうの狙いは自分ではないかとテンペストは思った。
テンペストは旧友のミステリ好きアイヴィの助けを借り、トリック(策略)を解こうと考える。
そんな時にテンペストは五年前に失踪した母の幽霊を見る。
五代前まで遡る名門マジシャン一族でもあるラージ家は、インド系アメリカ人。
なんとも魅力的な家族です。
祖父のアッシュは元医師で今はみんなの料理人。彼の作ったワダ・ドーナツとか食べてみたい(涎)。
祖母のモーはスコットランドで生まれ育った音楽家で美術家。
父のダリウスは隠し部屋を造る工務店を経営。
亡くなった叔母のエルスペスと行方不明の母、エマが元イリュージョニスト。
ペットのアブラカダブラは人を見る目が鋭い灰色の巨大なウサギ。
家族は鍵穴のない赤い玄関のあるツリーハウスと<フィドル弾きの阿房宮>と呼ばれている家に住んでいます。
これだけでわたしなんかは魅了されてしまいます。
テンペストはプリンセス天功みたいなもんですかね。
イリュージョンってどんなもんか、一度は見てみたいです。
ラスヴェガスまで行かなければ見られないかしら。
島田荘司の『占星術殺人事件』が密室トリックを扱っているミステリのひとつとして出てきました。海外でも有名なんですね。
Wikipediaをみると、2014年1月にイギリスのガーディアン紙で「世界の密室ミステリーベスト10」の第二位に選ばれているんですって。知りませんでした。
そのうち読んでみます。
他にもミステリに関する蘊蓄とか色々と出てきますので、そういうのが好きな方は読んでみてもいいかも。
しかし、本格的ミステリではなく、コージーミステリ的味付けがありますので、気をつけてくださいね。
<秘密の階段建築社>シリーズは三巻まで出版されていて、来年四巻が出版されるようです。
二巻目の「The Raven Thief」は降霊会で起ったミステリ作家の殺人事件で、どうもテンペストはイリュージョニストに戻らないようです。
コメント
_ ろき ― 2024/09/20 04時20分46秒
_ coco ― 2024/09/20 11時15分11秒
次はイリュージョン中に事件が起るのを期待していましたが、そうもそうじゃなさそうで、ちょうっと残念ですw。
あら、『占星術殺陣事件』ってKindleのお勧めで出てくるほど有名なんだ。読んだ感想を教えて下さいね。良さそうだったら、わたしも読みますww。
あら、『占星術殺陣事件』ってKindleのお勧めで出てくるほど有名なんだ。読んだ感想を教えて下さいね。良さそうだったら、わたしも読みますww。
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クセ強で面白そうなシリーズですね。
『占星術殺人事件』、英訳が先日キンドルのお勧めに出てきました。どうせなら日本語で読もうかな。