沖田円 『丘の上の洋食屋オリオン はなむけの皿』2025/06/05



昨日まで涼しかったのですが、今日から暑くなってくるようです。
そろそろ梅雨が近づいているので、紫陽花も盛りになってきました。
色のついた紫陽花もいいのですが、白いのも素敵です。
夏休みを目指し、憂鬱な梅雨を乗り切りましょうね。

丘の上の洋食屋オリオン』の続きです。


晴ヶ丘五町目の高台のにある『洋食屋オリオン』は昔から変わらぬ美味しいお料理をだすお店。お店に入ると看板猫のネロが迎えてくれる。
さて、今回はどんなお客様がやって来るのか。

「第一話 はなむけのナポリタン」
社会人四年目の花耶は、母親から急に、とっくに死んでいるはずの父親が今朝亡くなったと聞かされる。
実は花耶は不倫で出来た子で、相手が既婚だとわかり、別れた後に生まれたのだ。
行く気はなかったのだが、母親に忌引き休暇が有給だと聞き、花耶は葬儀に行く。
父親には颯馬という息子、花耶にとっては腹違いの弟、がいた。
颯馬が花耶について来たので、一緒にご飯を食べ、父親のことを色々と聞く羽目になる。

「第二話 ミートドリアと星の声」
文が飼っているキジトラの茶々は今年で二十歳。だんだんと食欲が衰え、眠っている時間が長くなり、高いところにのぼらなくなった。
茶々の様子を窺いながら、家事と仕事をする毎日だ。
たまに妹の結に茶々を見てもらい、夫の賢吾と外出することがある。
そんな時に行くのが『洋食屋オリオン』だ。
ネロと茶々は直接会ったことはないのに、ネロは茶々の体調が高齢のせいで思わしくないことを知って、気にかけてくれる。

「第三話 夏暁の野菜たっぷりカレー」
高校二年生の蓮太郎は不登校気味。一年のときに仲のよかった友達とクラスが離れ、今のクラスで最初は上手くやっていたつもりだったが、何気ない一言の後から避けられるようになった。それから学校に行ったり行かなかったりしている。
テストを受けた帰り道に晴ヶ丘の高台に行ってみようと思いたち、自転車をこいでいると、熱中症になり、高校生の男子に助けられる。
その子はなんと中学の同級生だった桐島蒼だった。中学生の頃、蒼がいじめに遭っていたのに、蓮太郎は見て見ぬ振りをしていた。
つい蓮太郎は蒼にその時のことを訊いてしまう。

「第四話 リスタートを告げる桃のムース」
ホテルのウエディングプランナーだった環はパワハラ野郎の上司を殴って首になる。実家に帰ろうと片づけをしていると、友人の開から電話が来た。
ちょうど開がルームシェアしていた相手が結婚するので家を出て行ったというので、一緒に住むことにする。
開の家があるのが晴ヶ丘の近くで、環は前にホテルで料理人をやってた子が三年前に退職して晴ヶ丘にあるおばあちゃんの店を継ぐといっていたのを思い出す。
開がたまたまその店のことを知っていたので、引越した後すぐにその店に二人で行ってみる。

「第五話 思い出の冷製かぼちゃスープ」
洋子が週に一度、『洋食屋オリオン』に通い始めて十年が経つ。
毎年夏に季節限定メニューとして出されるのが、かぼちゃの冷製スープで、洋子の大好きなひと品であり、特別なメニューでもある。
あずきさんが引退してからくるみちゃんが引き継いでいる味でもある。
これにはある理由があった。

様々な人たちの思い出の一品。
その料理を食べると、思い出すことがあり、それが辛かったり、楽しかったり、色々な思いがあるかもしれませんが、いつしかこの上もない最高の一品になることもあります。
どんな人の心にも寄り添い、心が癒される、そういうお料理が出てくるのが『洋食屋オリオン』なのです。

私の思い出の一品は何かと考えていますが、思いつかないです。
私の小さい頃に外食するという習慣がなかったんですもの。
たまに外で食べるものはお寿司とか塩ラーメン、お蕎麦ぐらいしかないですね。
これらがすごく美味しかったわけでもないですし、私の暮らしている町にイタリア料理屋とかフランス料理屋なんてなかったです(たぶん)。
今では外食や旅行が当たり前になってしまい、いい時代ですww。

読むと心がほっこりとなるお話ですので、心がささくれ立ったときに読むといいでしょう。
読むうちにお腹が空いてきて、きっと何か食べたくなりますよ。
私はナポリタンかな。あなたは?

コメント

_ ろき ― 2025/06/06 03時25分47秒

第一話、あー遺産相続が面倒くさいことになる、と思った私、心が汚れてます(笑)。

思い出の1品は、庭で火を焚いて茹でて、飼い犬と分けあった採りたて「とうきび」かなw

_ coco ― 2025/06/06 07時05分35秒

ろきさん、残念でした。この本は心がほわっとするいいお話がメインなので遺産争いは描かれていません。ありそうですがw。
採りたてのとうきび、美味しいですよね。庭が広いんですね。

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