アン・クレア 『雪山書店と愛書家殺し クリスティ書店の事件簿』2025/06/16

クリスティ書店の事件簿シリーズの一作目『雪山書店と嘘つきな死体』に続く二作目です。
原題は『Last word to the wise』ですが、このシリーズの日本でのタイトルは『雪山書店と○○○○』に統一するようです。


コロラド州の片田舎の町、ラスト・ワードでブック・シャレーを切り盛りするエリー・クリスティと姉のメグ・クリスティは、図書館でブラインド・ダブル・デートをする羽目になる。
というのも、いとこのローナが『愛書家に運命の出会いを』という読書の趣味に基づいた結婚仲介業を始めたので、試運転のためのデート用モルモットにされたからだ。
メグの相手は颯爽とした貴族のような雰囲気の起業家であり慈善家のジョー・ダーシー。
一方、エリーの相手は全身ツイードのミッド・マウンテン・カレッジの英文学教授のドクター・ワルドン・オグレディ。
メグたちはいい雰囲気になり、翌日のデートの約束をしたようだ。
しかし、エリーの方のドクターはアガサ・クリスティをそしりあげ、自分の専門のベケットについてとうとうと話し続ける退屈な男だった。

次の日、ジョー・ダーシーはデートに現れず、家のデッキから落ちて死んでいるのが発見される。誰かに火かき棒で殴り殺されたようだ。
どうもダーシーには裏の顔があったようだ。
彼に最後にあったのがメグだったので、メグは容疑者の一人になってしまう。
メグのアリバイを確かなものにするため、エリーは動く。

そんな最中に、劇場に行ったエリーとメグは事件に遭遇する。
その時にエリーはアガサ・クリスティの戯曲『ねずみとりー注釈付き舞台劇』が階段の途中に落ちているのに気づくが、後で見に行ったときにはなくなっていた。
事件と何か関係があるのか。

キュートな刑事に惹かれながらも、エリーは姉の容疑をはらすために奔走する。

アメリカのコージーミステリでお馴染みなのが、主人公に絡む強烈なキャラのワガママ女です。
このシリーズではエリーのいとこのローナがその役割のようです。
金銭的余裕があるらしいので、様々な事業に手を出すことが出来て、うらやましいです。
メグとエリーはローナの強引さに辟易しながらも、協力しているのは何ででしょうね。
ちゃんとブラインド・デートはイヤだと言って断っていれば、事件に巻き込まれなかったのに。
これからもずっとメグとエリーはローナに悩まされていくのでしょうねww。

もうひとつのコージーミステリのお約束はくず男の存在です。
このシリーズではメグの元夫がそうです。
メグちゃん、何であんな男に引っかかったのと言いたくなります。
今回も色々とやってくれました。

後は主人公の恋のお相手がいればバッチリですね。
どうなるのかと思ったら、二作目に出てきました。
お相手が刑事というのはよくあるパターンですが、サム・イバラとエリーの関係がこれからどうなるのかが楽しみです。

そう言えばもうひとつ足りませんね。
しつこいマスコミ関係者はいるので、主人公と敵対する存在です。
そのうちに出てくるのでしょうね。

アメリカで三作目はまだ出版されていないようです。
そういえばアメリカでは発売されているのに、日本ではシリーズの途中なのに知らない間に翻訳されなくなった本が結構あります。
例えばスー・グラフトンのキンジー・ミルホーン・シリーズなんて2005年に『ロマンスのR』が発売されてから翻訳されていません。
続きが出るのをずっと待っていたのですけど、もはや出そうもないですね。
『S is for Silence』から『Z is for Zero』までの八冊をそのうち原書で読んでみようかしら。
クリスティ書店の事件簿シリーズは今のところ面白いので、続くとは思いますが、出版事情がわからないので、何とも言えませんね。


<今週のおやつ>


「masahiko ozumi paris」のクッキー。
小さい缶なので、すぐになくなってしまうのが難です。
ゆっくりと優雅にティータイムをしたいものですが…。

リース・ボウエン 『貧乏お嬢さまと消えた女王』2025/05/20

貧乏お嬢さまと毒入りタルト』に続く「英国王妃の事件ファイル」シリーズの
18巻目。
ジョージーは結婚して王位継承権を放棄したはずですから、もはや「英国王妃」ではないですし、それに既婚者ですから、「お嬢さま」も変ですね。
原語では「A Royal Spyness Mystery」シリーズとなっています。


アイルランド貴族ダーシー・オマーラと結婚し、息子を授かったジョージーは、愛する夫と息子の世話をしながら自分の家で静かな日々を送っていた。
それなのにダーシーがエドワード国王に呼び出され、とんでもないことを押し付けられる。
エドワードはシンプソン夫人と結婚することを決断し、議会に貴賎結婚を提案するという。
このことが公になると、シンプソン夫人はマスコミに追い回されるので、彼女を世間の目から隠しておくために、彼女を預かって欲しいと頼まれたのだ。
何しろシンプソン夫人の満足するようなものを出せるようなお金はないし、しかもジョージーはシンプソン夫人が嫌いだ。
なんとも迷惑な話だ。
それだけでもウンザリするのに、義理の姉のラノク公爵夫人のフィグが手紙をよこし、息子が入学する候補の学校を見学しにやって来るというのだ。
それだけではない、屋敷の主のサー・ヒューバートがハリウッドの撮影隊を引き連れて帰って来た。
彼が撮影を許可したばかりに、屋敷は厚かましい撮影隊にどんどん占拠されていく。

そんな最中に、シンプソン夫人と映画の子役がいなくなる。
シンプソン夫人はともかくとして、少女は誘拐されたのか・・・。

エドワード8世が二度の離婚歴のあるシンプソン夫人と結婚するために退位したのが、1936年12月11日だというので、ジョージーが大変な思いをしたのが、この年ですね。
退位後、ウィンザー公爵夫妻となった二人はナチス政権から目をつけられます。
ドイツ人の実業家と付き合っているジョージーの母がどうなるのか、ジョージーたちは心配していますが、おいおい書かれるでしょう。

それにしても人の都合も聞かずにやって来て、えらそうにする兄の嫁が嫌です。
貴族の方々はいつもそんな感じで親戚の屋敷に押しかけるもんなんですかね。
映画の方々も相当ずうずうしいですけど。
ダーシーもジョージーも人がよさ過ぎです。

19巻目の『From Cradle to Grave』が今年の11月に出版されます。
ロンドンで起きている連続殺人事件を解決するように、ジョージーはゾゾに頼まれるようです。
日本語の題名がどうなるのか、楽しみです。


<今週のおやつ>


エシレの「パルミエ・エシレ」。
一度は食べてみたいと思っていたのですが、いつもすぐに売り切れてしまい、買えませんでした。
近頃、買えるようになっていたので、早速に頼んでみました。
けっして美味しくないという訳ではないですが、どちらかというと私はガレットやサブレの方が好きです。

ジジ・バンディアン 『読書会は危険?』2025/04/13

壁から死体?』に続く、<秘密の階段建築社>の事件簿シリーズの二作目。


テンペストがラスヴェガスの花形イリュージョニストから転職して仕事を始めた<秘密の階段建築社>が最近、手がけたのは、ラヴィニア・キングズリーの自宅の一部、<ラヴィニアの隠れ家>の改築だった。

ラヴィニアは町で人気のカフェ<ヴェジー・マジック>の経営者で、浮気をした夫、コービン・コルトを家から叩き出し、元夫が執筆用オフィスにしていた地下室をブッククラブのミーティングスペースとホームオフィスと読書コーナーを合わせた空間に改装した。
テンペストの友人でイリュージョニストであるサンジャイがラヴィニアのリフォーム完成お披露目会でパフォーマンスをすることになる。
よりにもよって、サンジャイ曰く、コービンの魂を家から追い出すための「インチキ降霊会」をだ。
テンペストはサンジャイから協力を頼まれる。

降霊会には八人が参加した。
降霊会の最中、点滅を繰り返しているかすかな赤い光が止まり、真っ暗になった時、手をつないだ八名が囲むテーブルの中央に、胸にナイフが突き刺さっているコービン・コルトの死体が現れる。

コービン殺害には「四つの不可能の要素」があった。
テンペストはサンジャイと共にどんなトリックを使えば可能になるかを考えるが、祖父のアッシュが逮捕されてしまう。
テンペストは謎を解き、アッシュを救うことができるのか。

コービンが残した手稿から、テンペストはおばの殺人事件と母親の失踪事件の解決と「ラージ家の呪い」の解明に一歩近づいたようです。
彼女の引退公演はいつになるんでしょうね。楽しみです。
本の最後にアッシュにおじいちゃんのレシピが載っています。
アッシュはインド系アメリカ人なので、ターメリックやコリアンダー、カルダモンなどの香辛料を使っていますので、カレー好きの日本人には食べやすいかもしれません。是非お試しを。(私は作らないので、作った方のご一報が欲しいですww)

前回にも登場していた島田荘司の『占星術殺人事件』の他に横溝正史の『八つ墓村』が紹介されています。
横溝正史は海外でも有名なのでしょうか。
彼の書く、日本の地方の村特有のおどろおどろしさが海外の人に伝わるのかしら。

三作目は『A Midnight Puzzle』。
<秘密の階段建築社>にブービートラップがかけられるようです。
テンペストたちはその罠から逃れられるのでしょうか。

ローラ・チャイルズ 『ハニー・ティーと沈黙の正体』2025/04/09

「お茶と探偵」シリーズの26冊目。


インディゴ・ティーショップのセオドシアとドレイトン、ヘイリーの三人は新しく整備されたペティグルー公園で行われる「蜜蜂のお茶会」のケータリングをしていた。
お茶会はイマーゴ・ギャラリーのあらたな始まりを祝い、芸術愛好家やアーティストをもてなし、ビジネスチャンスを掴もうとするギャラリーのオーナー、ホリー・バーンズのためのものだった。
それなのに選挙の時期ということで、招待されていないオズグッド・クラクストン三世が長々とみずからの輝かしい業績と州議会の議席を自分にあたえるべき理由を語っていた。
セオドシアは演説を続けようとする彼を止め、お茶会を始めた。

ふた品めを出そうとした時に突然、防護服姿の養蜂家が現れた。
お客はイベントの一部だと勘違いし喜んだが、養蜂家はクラストンに近づき、燻煙器を彼の顔に向け、乳白色の蒸気を噴射させた。
それはただの煙ではなかった。
会場は混乱し、お客はパニックになる。
そこに一発の銃声が響き渡る。
気づくと、クラストンが養蜂家の足元に倒れていた。
養蜂家は満足そうにクラストンを見てから、全速力で走り出した。
危険をかえりみずセオドシアは彼を追いかけたが、のがしてしまう。

その翌日、ホリーとホリーのビジネス・パートナーのジェレミーがティーショップに現れる。
昨日の殺人事件の連帯責任を負わされ、契約を交わした画家の何人かが手を引くと言ってきた上に、大口顧客のうちの三人が注文をキャンセルし、全額返金を要求してきたという。
イマーゴ・ギャラリーはこのままでいくと立ち行かなくなる。
困ったホリーたちは「ご近所探偵」のセオドシアにオズグッド・クラクストンを殺した犯人を突き止めて欲しいと頼みに来たのだ。
チャールストン警察殺人課のティドウェル刑事からも、恋人のライリー刑事からもかかわるなと言われていたので躊躇するセオドシアだったが、好奇心と冒険心に負け、調べてみることにする。

「ご近所探偵」と言われていい気になり、セオドシアはまた殺人事件に手を出してしまいます。
もう誰にも彼女を止められません。殺人事件を調べると聞き、本来なら止めなきゃいけないティー・ブレンダーのドレイトンもシェフ兼パティシエのヘイリーも一緒になってウキウキしているんですもの。
ドレイトン、お年なのに大丈夫?
殺人事件を解決することは麻薬みたいなものなんですかねww。

さて、お茶会ですが、ドレイトンは「キツネと猟犬のお茶会」とか「秘密の花園のお茶会」を考えつきます。次回に開催されるでしょうかね。
今回は「たのしい川べのお茶会」を御紹介しましょう。
『たのしい川べ』はケネス・グレーアムが書き、E.H.シャパードがイラストを描いた、川辺に住む動物たちの日常生活を描いた児童書です。


岩波書店の岩波少年文庫から出版されています。

セオドシアが考えたお茶会のテーブルの飾り付けは、緑色のドライモスを敷き、黄色いラッパズイセンをクリスタルの花瓶にいけ、『たのしい川べ』の絵本を何冊か置き、動物のぬいぐるみをずらりと並べるというものです。
お皿は『たのしい川べ』の世界を描いたロイヤル・アルバートのもの。
最初のひと品は、あなぐまのバジャーの大好物のクランペットにクロテッド・クリームとエルダーベリーのジャム添え。
ふた品めは、ひきがえるのトード特製、イギリスのマヨネーズを使った燻製マスのティーサンドイッチ。
メインはもぐらのモールのチェダーチーズとソーセージのスコッチエッグ、つけ合わせとして緑の葉物野菜を柑橘ドレッシングで和えたサラダ。
デザートは、川ねずみのラッティーのジンジャービールのカップケーキ。
お茶はたのしい川べと名づけた特製オリジナルブレンドで、紅茶に細かく砕いた桃、リンゴ、ヒマワリの種を混ぜたものです。

ジンジャービールはショウガを発酵させて作るジュースで通常はノンアルコールだそうです。美味しいのかしら?
一度でいいから本格的なお茶会に参加したいのですが、お茶会なんてどこでやっているのでしょうね。
自分で考えてやってみましょうか。
そのうちに何がいいか、考えてみますわ(たぶん)。

サマンサ・ラーセン 『公爵家の図書係は恋をする』2025/02/28

公爵家の図書係の正体』に続く「英国貴族の本棚」シリーズの二作目。


ティファニーは兄の跡を継ぎ、ボーフォート公爵家本宅、アストウェル・パレスの図書係になり、ブリストル・コッテジを手に入れた。
しかし、いいことは続かない。
ある日、仕事に行こうと外に出てすぐに、何かにつまずいてしまう。
それは、男性の死体で、ボーフォート公爵家に仕える元フットマン、バーナード・コラムだった。
一体、彼はここで何をしていて、だれに、どうして殺されたのか。
ティファニーは治安官であるサミール・ラスロップに同行して、バーナード・コラムについて聞いて回る。

ティファニーはサミールを愛していた。
しかし、バーナード・コラムの姉のイーヴィという女が現れ、彼女とサミールは夫婦だと言う。
十一年ちかくまえに結婚したが、イーヴィはすぐにバーズリーの鍛冶屋のところに行ってしまい、それ以来二人は会っていない。
それなのに、彼女は妊娠していた。

そうするうちに、バーナード・コラムの父親が、バーナードがサミールを脅しているのを聞いたと言い出し、それを根拠にサミールは逮捕されてしまう。

ティファニーは愛する人のために、たとえ二人は結婚できないとしても、自分自身で本物の殺人者を見つけようと決意する。

ティファニーに次々と試練が与えられています。
サミールはインド系なので、人種差別をされることが多く、たとえ治安官をしていても簡単に逮捕されてしまうのです。
あとがきによると、被告は「証拠の記録」も見られず、自らを守るための意見を述べることもできなく、裁判は迅速に行われ、判決も迅速に出され、1868年まで公開処刑が行われていたそうです。
誤認逮捕が沢山ありそうですね。

この本によると、ティファニーの生きている十八世紀のイギリスでは、離婚はめったになかったそうです。
もちろん、裕福な上流階級の人は例外ですよ。
でも、抜け道はありました。
女性にとっては屈辱的なことですがね。
ホント、この時代に女性として生まれなくてよかったと思います。

三作目は出版されるのかどうかわかりません。
これで終わってもいいのですが、私はティファニーにもっと毒づいて欲しいですけどねww。
18世紀の人種差別問題やフェミニズムなどに触れたコージーミステリって感じです。
興味のある方はお読みください。

ジェス・Q・スタント 『ミセス・ワンのティーハウスと謎の死体』2025/02/24



気がつくと、梅の花が満開で枯れそうになっています。
寒いので、春は遠いと思っていたら、来週は三月です。
早いですね。
三連休は犬たちとはどこにもいかず、五島うどんを食べに行ってきました。
島で食べた方がおいしかったような気がします。



ヴェラ・ワン・チュウチュウはサンフランシスコのチャイナタウンに住む六十歳の女性。
夫のジンロンは亡くなり、ティルバードという法律事務所で働くジュニア・アソシエイト弁護士の息子がいる。
ヴェラはティリー(ヴェラは息子をこう呼んでいる)に毎朝四時頃と夕方にメールを送るが、滅多に返事は来ない。
ヴェラはチャイナタウンにある<ヴェラ・ウォンの世界に名だたるティーハウス>のオーナーだ。
昔は多くの常連客がいたが、今はアレックス、ただ一人で、客はほとんど来ない。
アレックスの妻のリリーは一年前にアルツハイマー病と診断され、いまでは家から出られないほどだそうだ。

ある朝、ヴェラはティーハウスの真ん中に死体がころがっているのを見つける。
すぐに警察に連絡して、警察官のためにお茶を用意した。
しかし、警察官はここで飲食はしないと言って、ヴェラを邪険に扱った。
ヴェラは<CSI:科学捜査班>を観ているから、捜査のことは知っている。
それに自分の店で人が死んだんだから、捜査状況を逐一知らせてもらいたいし、死の原因だって、仮説を提供する権利があるはすだ。
ところがグレイ巡査はヴェラを排除した。
そこでヴェラは決めた。役立たずの警察官の代わりに自分が事件の捜査をしようと。
早速、ヴェラは地元紙とティックトック、Xに死亡記事を出す。
これで犯人はティーハウスに来るはずだ。

ティーハウスにやって来た容疑者は4人。
リキ・ヘルワントという二十五歳の<バズフィールド>のレポーターとサナ・シンという犯罪ドキュメンタリーのポッドキャストをやっているという女性、殺されたマーシャルの双子の兄のオリヴァー、そしてマーシャルの妻のジュリア。
ヴェラは彼らに絶品料理を用意して、懐柔していく。

読み始めはヴェラおばさんの一日の描写なので、つまらなく思えるかもしれませんが、殺人が起きて、容疑者たちが集まり始めると、俄然面白くなりますので、しばし我慢を。

ヴェラのパワーは凄いです。彼女の強みは美味しい料理とお茶が作れることです。美味しい料理の前では、誰もが我を忘れますものね。
ヴェラは有無を言わせず、四人に料理を食べさせ、仲良くなり、殺人事件の調査を進めていきます。
ヴェラのパワーに屈した若者たちはこれからも彼女に引っ張られていくのでしょうね。

この本は昨年、MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞最優秀ペイパーバック賞を受賞したそうです。
二作目は『Vera Wong's Guide to Snooping(on a Dead Man)』といって、今年の四月に刊行予定です。
息子にガールフレンドが出来、人生も順調でしたが、一回目の殺人事件捜査に味をしめたヴェラは、知り合った若い女性の行方不明の友だち探しをするみたいです。
ホント、お騒がせなヴェラです。
二作目も面白そうですね。

ジョアン・フルーク 『キャラメル・ピーカンロールは浮気する』2025/01/20




ハンナ・スウェンソン・シリーズの28作目。

ベーカリー兼コーヒーショップ<クッキー・ジャー>の経営者、ハンナと妹のアンドリアは、<レイク・エデン・イン>のオーナーのサリーから頼まれて、フィッシング・トーナメントのある一週間だけ、ホテルのデザートシェフの代わりに働くことになる。
ハンナたちのデザートは評判がよく、楽しく働いていたが、それもつかの間。
息抜きに出かけた湖の上で、釣り番組の人気出演者で釣り大会のゲストのソニー・バウマンの死体を発見してしまう。
アンドリアの夫で保安官のビルは出張でいないため、保安官助手のマイクが捜査を担当するが、何やら様子がおかしい。
いつもはハンナに首を突っ込むなと言うのに…。
こんな状況で無事に犯人が見つかるのか?

ハンナが結婚詐欺にあってから、また面白くなったシリーズです。
今度はマイクがどうなるのかという感じですね。
いつまでもハンナを追いかけているのではなく、早く別の女性を見つけて欲しいです。
美味しいデザートのレシピがあるので、お菓子作りが趣味の方が読むといいと思います。
私は美味しそう、で終わってますww。

このシリーズは30冊目が今年の8月に発売される予定のようです。
29作目は『Pink Lemonade Cake Murder』。
夏至祭でMLB選手が殺されるようです。

モリー・フィッツ 『ペット探偵と秘密の子猫』2025/01/06



アンジー・ルッソは7つの準学士号を持っている、フルトン・トンプソン&アソシエイツ法律事務所の法律事務員。
法律事務所の会議室にある古いコーヒーメーカーに感電して臨死体験をしてからオクタヴィウス・マクスウェル・リカルド・エドムンド・フレデリック・フルトン、短縮してオクトくんと話せるようになる。
オクトくんはトラ猫で、飼い主のエセル・フルトンが殺されたとアンジーに訴えたのだ。

オクトくんのことが気になったアンジーは、病院から戻るとすぐに法律事務所に行き、フルトン夫妻に動物心理学を学んだと偽り、オクトくんの世話を申し出、家に彼を連れて帰る。
彼によると、誰かがエセルの夕食とお茶に毒を入れたという。

アンジーはオクトくんといっしょにエセル殺しの犯人を捜すことにする。

オクトくんが飲むのはエビアンで、食べるのはファンシーフィースト社のグルメ缶。人間が近くに立って見ていてくれないとご飯が食べられないんだそう。
iPadが扱え、フェイスタイムを使って電話もかけられるという、こんな猫、本当にいたら、飼いたいわ。
我儘で生意気だけど、可愛い猫ちゃんです。

このシリーズはアメリカでは「Pet Whisperer P.I.」シリーズというらしく、18冊も出版されているようです。
Kindleで読んだのですが、ページの組み方が変で、日本語の間違いが多いです。
二冊目はちゃんと校正してから出して欲しいものです。

猫事件ばかり扱うと思ったら違いました。
二冊目の動物は犬でヨークシャテリアです。
きままなオクトくんはちゃんとアンジーを助けてくれるのかしら?

リン・メッシーナ 『公爵さま、これは罠です』2024/12/27

本がたまり過ぎですが、書く時間がなさそう。そのうち一遍に紹介します。
「行き遅れ令嬢の事件簿」シリーズの五作目。
「行き遅れ」なんて失礼よね。


公爵さま、前代未聞です』の事件後、ケスグレイブ公爵と婚約したベアトリス・ハイドクレアですが、いよいよ結婚という時に、叔母さんを始めみんなが結婚を少し延期してはどうかと言い出します。
仕方なく、みんなの意見に従い、ベアトリスは結婚を一週間先延ばしにします。

そんなところに、思いもかけない人がやって来ます。
ベアトリスに”くすみちゃん”というあだ名をつけ、ベアトリスの社交生活を台無しにした性悪女でかつての宿敵、ミス・ブロアムです。
彼女はソールズベリーのミスター・ノートンと結婚して今やノートン夫人となっています。

一体全体何をしにやって来たのか?
まさか和解をしたいのか?

ノートン夫人は昨夜のベアトリスとウェム伯爵との対決を見て、ベアトリスが相当に腕のいい探偵だと確信したので、自分の祖父が隠した有名なダイヤモンドをいっしょに探して欲しいというのです。
止めればいいのに、ベアトリスはにっくきミス・ブロアムをひれ伏せたいがために、引き受けてしまいます。

これがベアトリスの失脚を狙う罠だったとは…。
ベアトリスはまたもや殺人事件に関わることになります。

公爵夫人になるんだから、もう殺人事件に関わるのはおやめ下さいと言いたくなりますが、もうベアトリスを止められる人は公爵以外にいません。
でも、その公爵がおもしろがって、いっしょに事件を解決しようとするんですから、もうどうにもなりません。
二人の様子をこのまま見ているしかないですねww。

さて、次回は公爵夫人となり、慣れない環境に身を置いたベアトリスですが、隣の屋敷で起った首切り事件に首を突っ込みに行きます。
困った伯爵夫人ですね。
このシリーズも続いていて、来年の三月に十三冊目が出版されるようです。


<昨日のわんこ>


チワマル(チワワとマルチーズのミックス犬)の兄はなんでも口にくわえるのが好きみたいです。
たまたま手袋が落ちていたので、くわえたようです。
ヨーキー弟が怪訝そうに兄を見ています。

ママはうっかりしていました。
弟の洋服が裏返しでした。ゴメン。

C.A.ラーマー 『ライルズ山荘の殺人』2024/12/13

早いもので、もう12月。今年が終わろうとしていますね。
年を取ると、ホント、一年が早く過ぎていきます。
特に12月は健診やら歯医者、眼科に行かなければならなくて忙しいです。

眼科は前の主治医のところに戻りました。
手術をした左目は真ん中が見えないので、正常に見える高眼圧症の右目は、何かあってからでは遅いので、今から眼圧を下げておくといいとのことです。
目薬もミケランよりも効き目の強いキサラタンを点すように言われました。
左目に白内障があるとは言われていたのですが、右目も軽い白内障があると言われました。だから眩しいのかしら。
白内障にならないように、緑内障がわかった三十代からサングラスをするようにしていたのに。
目の老化ですね。悲しいですわ。
色々と検査をしたのに、前の病院よりも治療費が安かったです。
原発性アルドステロン症の方も病状の変化はないので、普通のクリニックに通った方がいいかもしれません。
今後の暮らしのことを考えて、無駄な経費を削るようにしていきたいものです。


オーストラリア・ミステリ。
「マーダー・ミステリ・ブッククラブ」シリーズの四作目。


<マーダー・ミステリ・ブククラブ>はメンバーが減ったので、新メンバー募集公告を新聞に出した。

初期メンバーは五人。
ブッククラブの主宰者で編集者のアリシア・フィンリーと彼女の妹でウェイトレスでシェフの卵のリネット・フィンリー、ヴィンテージ古着ショップのオーナーのクレア・ハーグリーヴス、シドニー博物館の学芸員のペリー・ゴードン、そして図書館員のミッシー・コーナー。

新しいメンバーは四人。
バルメインの野外上映会で起った事件で出会ったフローことフローレンス・アンダーウッドとロニーことヴェロニカ・ウェステラ。
新聞のメンバー募集にいち早く申し込んで来たサイモン・クリートとメンバーは八人だというのに、しつこく何度も電話を掛けてきて、仲間に入れて欲しいと懇願したブレイク・モロー。

九人のメンバーが集まった初めての読書会に選んだのが、人里離れた山奥の風光明媚な土地に九十年前に建てられた<ライルズ山荘>で、課題書はクリスティの『そして誰もいなくなった』。
山荘は過去にタイムスリップしたような優雅な内装で、改修工事が始まる前にブッククラブが格安で貸しきりで使える。
山荘にはヴェイルという支配人とジョーン・フラナリーという料理長の二人しかいない。
ヴェイルによると、今季はかなり乾燥していて、森林火災の心配があるという。
四十五年前に山火事が起り、山荘の狩猟ツアーの案内人が命を落としたという。

次の日、フラナリーもヴェイルも見当たらない。
何やら嫌な雰囲気だ。
≪支配人室≫でアリシアが見つけたのは、冷たくなったヴェイルだった。
元看護師のロニーによると、ヴェイルは毒殺ではないかという。
外部に連絡をしようとしたが、電話回線は切れており、ネットもつながらない。
携帯の電波も届かない。
山を下ることのできる乗り物はブレイクのベンツしかない。
町に行っているというフラナリーはいつまで経っても帰って来ない。

ブッククラブのメンバーたちはブレイクがベンツで救援を要請しに行った後に、山の中腹で火災が起っているのに気づく。

三日目の朝、地下の貯蔵室を見つけたペリーは貯蔵室で亡くなっているフラナリーを見つける。

山荘に十一人いたのに、残るは八人。
二つの殺人と森林火災の恐怖にブッククラブの面々はどう対処するのか。

この本の題名は『When There Were 9』です。
そうです。クリスティの『And Then There Were None』のオマージュなんです。日本語の題名ではわからないですね。

アリシアは想像力のたくましい人で、常に頭のなかは「めまぐるしいパニック映画さながら」だそうです。
例えば車が普通に道路を走っている場面では、アリシアの目には「狂人が歩道に乗り上げて歩行者たちを轢き殺す場面」が見えるそうです。
かなり変わった人ですね。「大丈夫?」と訊きたくなりますwww。

このシリーズは七巻目まで発売されています。
五巻目は「The Widow on the Honeymoon Cruise」です。
四巻目で仲良くなったクレア・ハーグリーヴスとサイモン・クリートは結婚し、グレートバリアリーフを巡る新婚旅行クルーズに参加します。
そのクルーズ中に殺人事件が起こり、船の持ち主のサイモンがアリシアの恋人のリアム・ジャクソン警部補に相談し、マーダー・ミステリ・ブッククラブが乗り出すようです。

「マーダー・ミステリ・ブッククラブ」シリーズの順番
④『ライルス山荘の殺人』