ジャナ・デリオン 『アリゲーターには手を出すな』 ― 2026/03/30
<ワニ町>シリーズの九作目。

CIAの秘密工作員のフォーチュン・レディングはCIAを辞めた後の生活を考えている。
友人のアイダ・ベルやガーティ、カーターのいるシンフルには残りたい。
なら、自分には何ができるのか。
母のような建築士にはなれない。エビ漁?バーの経営?
するとアイダ・ベルがいい案を出してくれた。
私立探偵だ。
アリゲーターの密漁の話を聞き、フォーチュンは私立探偵のお試しとばかりに密猟者について調べることにする。
さて、フォーチュンたちはいつものような大騒動を起こさずに事件を解決できるのか…。
たった二ヶ月しか経っていないというのに、フォーチュンはシンフルで一体何件の事件に巻き込まれているのかしら。
すざましい勢いですねww。
それにシンフルに住んでいる人たちの中には彼女たち以外にも変人がいるようです。
例えばバットマンのコスプレをし飼い犬にワンダーウーマンの格好をさせたり、裸でボートに乗ったり…。
この頃はアイダ・ベルは新しいSUVに夢中で、ガーディはバイユーでこそこそと何かやっているようです。
アイダ・ベルのスピード狂はわかりますが、ガーディは?
どうも彼女は普通ではない特殊な能力(?)を持っているようです。
ここでは詳しく述べませんが、どんなことかは読んだ時のお楽しみにねw。
今回は前よりもトーンダウンした感じで、あまり笑わせてくれなかったです。
でも、フォーチュンが無事にシンフルに残り、カーターと幸せになってくれることを祈っておきますわ。
このシリーズ、29巻まで出版されています。
翻訳を急いでもらわなければ。
10巻目の『Hook, Line and Blinker』ではアイダ・ベルの新しいSUV、改造したブレイザーが盗まれそうになるようです。
フォーチュンたちは車泥棒を捕らえることができるのかしら。
ちなみにブレイザーはアメ車でシボレーの車らしいです。
リン・メッシーナ 『公爵さま、狙われています』 ― 2026/03/25
シリーズの八冊目。

ケスグレイブ公爵夫人のベアトリスはパイナップルに辟易していた。
贅沢だとは思うが、一週間経つとパイナップルに我慢できなくなったのだ。
何故なら朝食だけなら我慢できるが、この頃、昼食にも夕食にも、そしてラウトケーキにもパイナップルが入っているのだ。
ベアトリスはどうやったらパイナップルを食べなくてすむのか策略を考え始める。
そんな頃、ほとんど付き合いのないスーザン伯母さんが屋敷にやって来る。
いやいや面会してみると、それはベアトリスのスキャンダルをでっちあげて、公爵との結婚を台無しにしようとしたノートン夫人で、スーザン伯母さんに変装していた。
ノートン夫人曰く、彼女が調べたところによると、公爵の父親の弟、つまり公爵の叔父のマイルズ・マトロック卿が、自分の息子に爵位を継がせるために後継者を産む可能性があるベアトリスの命を狙っているというのだ。
もちろん、ベアトリスを嫌っているノートン夫人が親切心から知らせてに来たのではない。
罪の償いだとは言っているが、真の目的はアルマックス・クラブへの出禁を取り下げてもらうことだ。
次の日、従妹といっしょにカラザース氏に会いに行ったベアトリスは、彼がマイルズ卿の弁護士、ダグラス・ジョーダンの事務所がある建物の中の事務所で働いていることを知り、彼に案内してもらいジョーダンに会いにいくことにする。
だが、そこでベアトリスはジョーダンが殺されていて、そばに銀の燭台を握りしめて立っているケスグレイブ公爵を見つける。
ダグラス・ジョーダンは公爵の叔父のマイルズ卿だった。
一体ジョーダンを殺したのは誰なのか。
まさか、公爵が…。
またまた殺しの現場に遭遇し、犯人探しに奔走する公爵とベアトリス。
命知らずのベアトリスは、自分の殺しを請け負った凶悪な暗黒街の帝王に会いに行ったりします。
それにしても公爵という爵位はすごいんですね。
暗黒街の帝王までもが恐れているんですもの。
この当時は公爵がたとえ人殺しをしたとしても、権力にものを言わせ、罪に問われないようにすることができるんですね。
今はどうなんでしょう。
イギリスのアンドルー元王子が逮捕されていますけどね。
このシリーズは今年の三月に14巻まで出版されています。
九巻目の『An Ominous Explosion』では発明家が蒸気自動車のお披露目式で起きた爆発で亡くなります。
ベアトリスは何かおかしいと思い、調査を始めるようです。
結婚しても落ち着かないベアトリスですねww。
ローラ・チャイルズ 『ピーチ・ティーと仮面舞踏会』 ― 2026/03/20
せっかくの三連休ですが、天気がよくないですね。
私は咳がいつ出るかわからないので、外出を控えています。
でも、桜の開花宣言も終わったことですし、外なら咳をしてもそれほど嫌がられないと思うので、桜を見に行こうと思っています。
そうそう、先週、神明宮に行って、桜の刺繍の御朱印を頂いてきました。

世田谷区に桜神宮があると聞いたので、先々週に行ってみましたが、休日だったのでものすごい列で、諦めて帰ってきました。
御朱印集めはこの頃の流行りなのでしょうか。
さて、お茶と探偵シリーズの28作目です。

インディゴ・ティーショップはチャールストン・オペラ協会による秋の資金調達イベント、「マッドハッターの仮面舞踏会」でケータリングを担当した。
ティーショップのオーナー、セオドシア・ブラウニングはティー・ブレンダーのドレイトン・コナリーといっしょに会場を散策している時に、道を間違えて閉鎖された古い製粉所に行ってしまい、そこで、機械の歯車にはさまっている男性を見つけてしまう。
その男性はエリシラン銀行のCEO、ハーラン・サドラーで、オペラ協会の理事、クリケットの夫だった。
セオドシアは、社交界の華であり、交際相手を次々と替え、地元のゴシップに通じている、ブティック<コットン・ダック>のオーナー、デレインにクリケットの力になるように頼まれる。
ティーショップが忙しい中、セオドシアはハーラン・サドラー殺人事件を調査することになる。
すごいですよ。セオドシアは「リージェンシーのお茶会」、「チョコレートめぐり」、「愛書家のお茶会」、「シルクロードのお茶会」と四つのお茶会を一週間中に開催するのに殺人事件にも関わるんですから。
だんだんとセオドシアの行動も大胆になってきていますし、そのせいで危ない目にも遭っています。
それでも懲りずに探偵まがいのことをやってしまうというのは、大胆不敵な女性ですね。
刑事である恋人も悟りの境地に入ったのか、事件に関わるのを止めるように言うのは止め、何か見つけたら教えてくれと言うようになっていますww。
これなら警察はいらないですね。
さて、恒例のお茶会の様子をお伝えしましょう。
迷ったのですが、シルクロードのお茶会を紹介します。
セオドシアたちスタッフは着物をはおってお客様をお迎えします。
テーブルセッティングは白地に青の柄の食器がメインでナイフとフォークに箸を添え、持ち手のない焼き物の小さなティーカップ。ハイビスカスを一輪。
ランチの前にシルクロードのお話を語ります。
一品め:ジンジャーのスコーンと味噌汁
二品め:シュリンプトースト、サーモンの照り焼き、小さなヌードルサラダ
デザート:緑茶のチーズケーキ、ライチのアイスクリーム、アーモンドのクッキー
お茶:煎茶、エンパイア・キーマン、雲南紅茶
ジンジャースコーンと味噌汁が合うのかしら?
味噌汁の具が書いてなかったので、どんなものかちょっと心配です。
それ以外は美味しそうですね。
そうそう、愛書家のお茶会では面白いお茶が紹介されています。
<シンプソン&ヴェイルズ(Simpson&Vail)>の文学のお茶シリーズ(Literary
Tea Series)の「不思議の国のアリス」や「嵐が丘」、「シャーロットホームズ」、「若草物語」などの名作をモチーフにしたブレンドや、エドガー・アラン・ポーやジェーン・オースティン、マーク・トウェインなどの作家をイメージしたブレンド、<ビングリーズ・ティー(Bingley's Teas)>のJane Austen Inspired Collectionから「Darcy’s Pride」、<プラム・デラックス(Plum Deluxe)>の読書スペースのためのブレンド(Reading Nook Tea Blend)など、どういう紅茶か試したくなりますね。
Tea Series)の「不思議の国のアリス」や「嵐が丘」、「シャーロットホームズ」、「若草物語」などの名作をモチーフにしたブレンドや、エドガー・アラン・ポーやジェーン・オースティン、マーク・トウェインなどの作家をイメージしたブレンド、<ビングリーズ・ティー(Bingley's Teas)>のJane Austen Inspired Collectionから「Darcy’s Pride」、<プラム・デラックス(Plum Deluxe)>の読書スペースのためのブレンド(Reading Nook Tea Blend)など、どういう紅茶か試したくなりますね。
三社ともにアメリカにあるようですが、日本で売っているのかしら?
オンラインなら買えるかもしれませんね。
ネットで見てみると、<シンプソン&ヴェイルズ>のEmily Dickinson's Jasmine Tea とかWalt Whit-man's Organic Green Tea Blendを飲んでみたくなりました。
カラスの絵のラベルのEdgar Allan Poe's Black Tea Blendは飲む勇気がないですわww。
紅茶と言えばイギリスというイメージですが、アメリカにも紅茶の会社があるんですね。
クレオ・コイル 『罪と罰のコーヒー・ラウンジ』 ― 2026/02/24
「コクと深みの名推理」シリーズの21冊目。

テレビの人気番組のロケ撮影がおこなわれてから、ビレッジブレンドの売り上げは低迷を続け、店の存続が危ぶまれる状態が続いている。
マネジャーのクレオ・コージーはスタッフミーティングを行い、店の財務状態の厳しさと今後の雇用の見通しを素直に伝え、問題を解決するための新規のマーケティングについて話し合った。
様々な案が出たが、たまたま壁に飾られていた「ライターズブロック・ラウンジ」という銘板が解決策をもたす。
数十年前、ビレッジブレンドの二階の「ライターズブロック・ラウンジ」に作家が集まって活動をしていたという。
現代のライターたちもそういう場を求めているのではないか。
そう思ったスタッフたちは現代版の「ライターズブロック・ラウンジ」をやってみることにする。
しかし、ビレッジブレンドの経営者のマダムに話をしてみると、乗る気ではないようだ。
というのも、当時、店の裏の路地で乱闘が起き、その数週間後、ブルックリンの空き地でライターズブロック・ラウンジのメンバーの俳優の遺体が見つかったという。
店の常連で、この日、裏の路地で意識を失っていて病院に送られたミスター・スクリブもライターズブロック・ラウンジのメンバーだったという。
ミスター・スクリブが忘れていったノートの仕切りポケットに、万が一のことがあったらワッカーの世話を頼むと書かれたタグとカギがあった。
クレオは店のスタッフのエスターといっしょに彼の家に行き、彼の身内をさがそうと古い契約書を探していると、出版社との契約書があり、彼が「無題の実録犯罪」という本を執筆していることがわかる。
ミスター・スクリブはライターズブロック・ラウンジのメンバーだった俳優の死について書いていたため襲われたのだろうか。
店の重大事だというのに、クレアはまた他人の厄介ごとに首を突っ込んでいく。
素敵なコーヒーハウスが、ロケで休んでいるうちにお客さんが来なくなることなんて、実際にあるのでしょうか。
コロナ禍なんて忘れたように、スタバなどのコーヒーハウスは込み合っていますけど。
平均以下の品質の豆を使い、人工香料まみれのドリンクを提供する全米チェーンのドリフトウッド・コーヒーに負けることなんかあるんですか。
最上級のコーヒーを出していれば、お客さんは来ると思うのは、私が世間知らずだからかしら。
新しくできたライターズブロック・ラウンジに人が押し寄せていますが、NYだからでしょうか。
東京でもやっているようなことが書かれていましたが、ネットで調べてみると、本に出てくる『ライターズ・カフェ』という名前のカフェはなく、高円寺に原稿執筆カフェがあるみたいです。
専門の原稿執筆カフェに何時間もいるのならいいのですが、普通のカフェに何時間も粘っている人がいて、なかなか席があかないということがよくあります。
私なんかはカフェではサッと飲んで食べて、たまに本をちょこっと読んで出ていく人なので、せいぜい一時間ほどしか滞在しないんですけど、座るところが見付からず、諦めることが多いです。
一番いいのは、家でゆっくり静かにコーヒーや紅茶を飲んで、買って来た美味しいスィーツを食べることでしょうか。
まあ、経済的に安上がりだからいいかな。
クレアは元夫のマテオと組んで仕事をしていますが、そろそろ止めた方がよさそうです。
前もそうでしたが、すぐにビレッジブレンドを売ってお金にしようとしますもの。
何事も低い方へ流れる人で、なんとしてもビレッジブレンドを守っていくという強い思いがないのです。
今回もあきれてしまいました。
コージーミステリですから、謎解きは期待せずに、事件が解決するまでの人間関係を楽しみに読んでいきましょう。
次作の『Eat, Drink, and Get Buried』は来年の九月に出版されるようです。
クレアは成功したビジネスウーマンになった娘のジョイの親友エイヴァの華やかな屋上パーティでケータリングをしますが、そのパーティで女性が突き落とされて死亡します。容疑者はエイヴァの恋人。
本にパーティ用のレシピもついているようです。
今から英語版は予約ができるようですが、翻訳本は再来年ですかね。
ジル・ペイトン・ウォルシュ 『セント・アガサが揺れた夜』 ― 2026/02/02
<イモージェン・クワイ>シリーズの四作目ですが、作者がお亡くなりになっていますので、シリーズの最後の作品となります。

セント・アガサ・カレッジの学寮付き保健師イモージェン・クワイの自宅に、フランセス(フラン)・ブリャンとジョシュ・コリフッドのカップルが下宿している。
ある日、フランから演劇クラブ<キッド・プレイヤーズ>の役員会を家で開いてもいいかと聞かれ、イモージェンは承諾し、役員会を傍聴することにした。
<キッド・プレイヤーズ>は、稽古場が火災で焼け、火災保険に入っていないかったため破産目前だったが、大富豪の息子マーティン・モトルが救済を申し出てくれたという。
ところが彼のつけた条件がとんでもないものだった。
これから上演する『ハムレット』をモトルが演出し、主役を演じるというのだ。
困ったことにモトルはひどい大根役者なのだ。
普通に演じると、とんでもないことになる。
そう考えて、急遽、全幕が一時間ぐらいで終わる<粗悪な四つ折本>を使うことにする。
ところが『ハムレット』の公演中、モトルは思いもかけない行動を取る。
昨年、セント・アガサ・カレッジの学寮の塔から<ハーディングの悪ふざけ>をしようとした英文学科のフェロー、ジョン・タレンタイアーが転落死していた。
モトルはタレンタイアーの死は単なる事故死ではなく、殺人だと示唆したのだ。
同じ頃、寮から学生がいなくなる。
イモージェンはいきがかり上、彼女の養母に会いに行く。
何も関係のなさそうな二つの出来事だったが…。
過去の恋人の裏切りを未だに忘れられないイモージェンは、高齢の男性との穏やかな付き合いの中に幸せを見出しています。
しかし、それはいつか来る別れの影がつきまとうものでした。
シェイクスピアのテキストにはいくつかあります。
昔、学んだとは思いますが、記憶が…。
本の中に『ハムレット』に関する蘊蓄など色々と出てきますので、気になる方は読んでみて下さい。
各カレッジにはそれぞれ変な伝統的ないたずらがあるのでしょうか?
<ハーディングの悪ふざけ>は危ないのにねぇ。
後、ネタバレになるかもしれないので、詳しくは書きませんが、イギリスの裁判の…。
最後がとても美しく、いい終わり方です。
<シリーズの順番>
③『貧乏カレッジの困った遺産』
④『セント・アガサが揺れた夜』(本書)
ジョアン・フルーク 『ピンクレモネード・ケーキが振りかぶる』 ― 2026/01/17
お菓子探偵ハンナ・スウェンソン・シリーズの29作目です。

ミネソタ州レイク・エデンの保管官助手のマイク・キングストンが退職したいと言い出す。
<クッキー・ジャー>を経営するハンナ・スウェンセンと町の仲間たちはミネアポリス市警の刑事ステラ・パークスの助けを借り、なんとかしてマイクの退職を阻止しようと考える。
ステラはマイクに長期休暇を取らせ、ロング湖にある彼女の両親のキャビンに彼を連れていき、のんびり過ごさせることにする。
そんな時に、レイク・エデンで野球のオールスター・トーナメントが開催される。
トーナメントの前に招待選手の元メジャー選手のバーニー・ノーノー・フルトンは地元の女子校生を車の後部座席に乗せ、勝手にパレードをして、町の人々を激怒させる。
どうもノーノーは過去にも色々な人々を怒らせているようで、その一人がハンナの母のドロレスだった。
ノーノーは野球大会の前夜に開かれた晩餐会で、またもやドロレスを侮辱したため、ドロレスは「復讐してやる」と宣言してしまう。
翌日、野球大会の最中に売店にいるハンナのところにドロレスがやって来る。
しばらくして携帯電話を落としたことに気づいたドロレスは探しに行くが、なかなか戻ってこない。
ドロレスを探しに行ったハンナはバットを持って立っている彼女を見つける。
ドロレスは観客席の下でノーノーの死体を見つけたと言う。
またもや死体を見つけてしまうハンナたち。
第一容疑者はドロレスか…。
ハンナは、飼い猫が元夫が殺されていた家に入れなくなったので、歯医者のノーマンの家に居候しています。
ふたりはとってもいい雰囲気です。
マイクはそれがショックなのかもしれないですねぇ。
もう結婚しちゃえばいいのにと私だけではなく、町の人々も思っていることでしょう。
シリーズを長引かせるのもそろそろ止めてほしいですわ、ということを考えていたら、なんと最後に驚くことが起こります。
フルークさんも考えますねぇ。
30作目は「Pumpkin Chiffon Pie Murder」で、これから刊行されるようです。
放火事件が起こり、現場で遺体が見つかり、放火犯を捕らえるために、ハンナが同窓会パーティを開催するらしいです。
ノーマンとの関係は進展があるのでしょうかねww。
デ・ラ・モッツ&モンス・ニルソン 『死が内覧にやってくる』 ― 2025/12/26
スウェーデン・ミステリの新シリーズ。

ストックホルムの国家殺人班の犯罪捜査官ピエテル・ヴィンストンは娘のアマンダの十六歳の誕生日パーティに出るためにスコーネ地方の田舎町エステリエンにやって来た。
元妻のクリスティーナが再婚してエステリエンに住んでいる。
ここ三年ばかり、誕生日パーティの参加を断っていたが、失神発作が起こるようになり、疾病休暇を取るように言われたため、娘の誕生日パーティに参加することにしたのだ。
ヴィンストンはなんとか苦手なパーティを乗り切るが、パーティの翌日にクリスティーナに誘われ、ギスレブビーチにある物件の内覧に行くことになる。
ところがそこでセレブな不動産ブローカーで有名なジェシー・アンダーソンの遺体を見つけてしまう。
ジェシー・アンダーソンはギスレブビーチの海際に豪邸を建てるという不動産プロジェクトを立ち上げ、早々に建築許可をとりつけ、地元民の怒りをかっていた。
彼女は住民を懐柔するために、村の自治会が欲しがっていた彫刻を買って、内覧物件に飾り、その家が売れば彫刻を村に寄贈すると言っていた。
皮肉なことにジェシー・アンダーソンはその彫刻、真鍮製の巨大な釣り針、ザ・フックに刺さって死んでいたのだ。
たまたま現場にいたため、ヴィンストンはアドバイザーとして初めて殺人事件を担当する地元シムリスハムン署の犯罪捜査官トーヴェ・エスピングの捜査を手伝うことになる。
北欧ミステリというと、風光明媚な土地ととっつき難い住民たちが出てくる暗いトーンのお話という感じですが、このお話は全く違い、明るいです。
ヴィンストンは上質な三つ揃いのスーツを着て、高級革靴を履き、モレスキンの革製のノートを使っているというスウェーデンらしからぬ人で、潔癖症。
動物が苦手で、車が牛たちで通れないのに牛が怖くて追い払えず、借りたコテッジにいる猫にも近づけないという、情けない人です。
対するエスピングは、地元出身で自分に自信があり、捜査を一人でやりたくてたまらず、ヴィンストンが邪魔で仕方がないという女性です。
うまく行きそうもない二人ですね。
スコーネ地方は元デンマークだったということもあり、方言も独特で独自の文化があるそうです。
次回が楽しみなシリーズです。
ローラ・チャイルズ 『ブレンド・ティーは死を占う』 ― 2025/12/20
お茶と探偵シリーズの27作目。

「インディゴ・ティー・ショップ」のオーナー、セオドシア・ブラウニングとお茶のソムリエ、ドレイトン・コナリーは、悲惨な幽霊話が伝わる古い館、ブリトルバンク・マナーで撮影されている『暗黒の運命』という長編映画の撮影現場でケータリングをしている。
ケータリングと言っても、食事ではなくクラフトテーブルという、出演者とスタッフのために軽食と飲み物を出すものだ。
セオドシアは監督のジョッシュ・モロの気まぐれから紅茶占いの占い師役をさせられる。
ところが、その撮影中に、モロ監督が感電死してしまう。
彼が座っていた椅子に何者かがワイヤーを巻き付けていたのだ。
ティドウェル刑事と恋人のライリーから事件に関わらないように釘を刺されたのもあり、セオドシアは関わるつもりはなかったが、友人のデレイン・ディッシュがモロと短期間ではあるが付き合い、別れたばかりだということがわかり、彼女は容疑者の一人となり、セオドシアに泣きついてきた。
仕方なく、事件のことを調べ始めるセオドシアだった。
デレインに頼まれる前から首を突っ込む気満々のセオドシア。
彼女に付き合うドレイトンもドレイトンですが、それが彼の若さを保つ秘訣なのかもしれませんww。
さて、いつも楽しみなお茶会をひとつご紹介しましょう。
「詩のお茶会」です。あまり日本人には詩などは縁がないですが、西洋人には好きな人が多いようです。
テーブルの上には日本人が大好きなウェッジウッドのワイルドストロベリーの食器とピンク、青、ピーチ色のランチョンマット、ロバート・フロスト、ウォルト・ホイットマンの詩をプリントアウトしたもの、ガーベラをいけた花瓶、キーツ、シェイクスピア、ロバート・バーンズの胸像、詩集、何十本と言う小さな白いキャンドル…。
お茶会のメニューはオスカー・ワイルドのベリーのスコーン、T・S・エリオットのティーブレンドに挟んだシェイクスピア風サラダ、ウィリアム・ブレイク風シーフードのベイク、デザートはエリザベス・バレット風のブラウニーとエズラ・パウンド風のケーキ。
お茶はルイス・キャロルのカモミール・ティーとエミリー・ディキンソンのダージリン・ティー。
ここに出てくる名前はイギリスやアメリカで有名な詩人たちです。
余興としてドレイトンとセオドシアがお茶にまつわるお気に入りのフレーズを3つ紹介します。
探せたものを原文で載せておきますね。(訳は本書による)
小説家で批評家のヘンリー・ジェイムズが『The Potrait of a Lady (ある貴婦人の肖像)』の冒頭に書いている文です。
「Under certain circumstances there are few hours in life more agreeable
than the hour dedicated to the ceremony known as afternoon tea.」
(アフタヌーンティーという名で知られる会に人生の数時間を費やすのは、何物にも代えがたい)
イギリスの小説家、ジェーン・オースティンの有名な言葉。
「I would rather have nothing but tea.」
(私はお茶以外、なにもほしくない)
もう一つのラルフ・ウォルド・エマーソンの『木箱に入ったお茶は多くの詩情と洗練された感情が詰まっている』はすぐには探せなかったので、誰かわかったら教えてください。(ごめん、調べるのが面倒なの)
セオドシアは今までミステリのお茶会、ヴィクトリアンのお茶会、チョコレートのお茶会、ラベンダーのお茶会、グラムガールのお茶会、プリティ・イン・ピンクのお茶会などを開催していたようです。
今回は詩のお茶会の他に『ティファニーで朝食を』のお茶会とヴィンテージのお茶会も開催します。
どんなものか興味がある方は是非本を読んでください。
28作目の『Peach Tea Smash』ではオペラ友の会の資金集めのパーティの最中に会長の夫が殺され、セオドシアは調査を依頼されるようです。
ティー・ショップにお茶会に殺人捜査と忙しいセオドシアですねww。
リン・メッシーナ 『公爵さま、謎解きディナーです 行き遅れ令嬢の事件簿⑦』 ― 2025/11/15
前からですが、自分のブログを開けようとしたり、写真やブログをアップしたり、コメントを見ようとすると、時間がかかり、ひどい時には時間切れになってしまいます。
他の会社のブログではそういうことはないので、朝日ネットの方の問題ですかね。
とてもストレスフルなんですけど。どうにかしてもらいたいものです。
「行き遅れ令嬢の事件簿」シリーズの七作目。

ケスグレイブ公爵夫人になってから初めての事件であるフランス人シェフの生首事件を解決したベアトリスだったが、その事件が新聞に取り上げられ、ベアトリスが勝手によその屋敷に入り込み、生首を持ち上げて調べたなどと書かれ、彼女への世間の評判は最悪だった。
そこで、ベアトリスの母の親友だったレディ・アバクロンビーがベアトリスの評判を改善しようと、社交界のセレブたちを招いた謎解きディナー開催を思いつく。
ベアトリスは反対したのだが、うまく丸込められてしまい参加することになる。
しかし、謎解きディナーの当日、出席者の一人、プジー卿が殺されてしまう。
他のセレブたちは我先にと帰ろうとするが、ベアトリスは彼らを阻止する。
なぜなら彼らの中に犯人がいるはずなのだから。
ベアトリスは犯人捜しを始めるが、悩む。
このままではベアトリスのせいで公爵さまに迷惑をかけ、彼の評判も地に落ちるのではないのか。
だが、公爵さまは気にしていない。
ケスグレイブ公爵という存在は完全に別格。唯一無二の存在なのだ。
さて、ベアトリスは本物の殺人事件を解いて、名誉挽回できるのか。
ベアトリスも変わっていますが、それ以上に公爵さまは変わっています。
ベアトリスの「頭脳明晰さ」が魅力的に見え、彼女の「探偵癖」を愛しているんですもの。どう考えても普通ではないでしょう。
「割れ鍋に綴じ蓋」、「蓼食う虫も好き好き」、「似合う夫婦の鍋の蓋」、「似たもの夫婦」。
他に何かありましたか?
そうそう、彼女のおじさん家族たちも変わっていましたよね。
おばさんは言うに及ばず、従妹のフローラはまだ翻訳されていない番外編で殺人事件を解決しようとして、自分の力を過信してしまったようです。
読んでいると彼女が滑稽に思えてしょうがありません。
フローラの悪いところがベアトリスとどうも似ているようです。
フローラのこれからが心配ですね。
公爵さまの家族も何やらありそうです。
少し触れてありますが、次回に詳しく紹介されるのではないのかしら。
このシリーズは来年三月に十四巻目が発売されるようです。
日本では八巻目『A Malevolent Connection』の翻訳が来年の今頃になりそうです。
ケスグレイブ公爵の叔父さんがベアトリスの幸せを台無しにしようと目論んでいるようです。
やっぱり公爵の親戚もおかしいのか…。
<今日のわんこたち>

パパに抱かれたわんこたちはママが写真を撮ろうとすると、目をそらします。
カメラの光が嫌なのかしら。
アリスン・モントクレア 『奇妙な花嫁候補 ロンドン謎解き結婚相談所』 ― 2025/11/09

前よりも黄色が強くなったと思います。
そろそろここのイチョウは葉が落ちそうです。
ロンドン謎解き結婚相談所シリーズの五作目。

アイリス・スパークスとグウェン・ベインブリッジが経営する<ライト・ソート結婚相談所>に予約なしで様々な人たちがやって来る。
とにかく娘をすぐに片づけたいという父親、自分が死んだ後に昆虫学者の夫に後添えを望む、余命わずかな女性、オックスフォードの卒業生で蛾を愛する22歳の女性…。
その頃、グウェンは精神医療裁判所に身分変更の申し立てをしていた。
同じ頃、モリソン卿から<ベインブリッジ・リミテッド>の取締役会に出席することを求められる。
取締役会ではグウェンの後見人のオリヴァー・パースンが動議を提出し、最高経営責任者からベインブリッジ卿を解任するように求めた。
動議は否決されたが、今度は精神医療裁判所の審議でパースンは取締役会での出来事を口実に、グウェンの身分変更の申し立ての同意を取り下げたいと言い出す。
グウェンは一週間で近友を召喚しなければならなくなる。
絶体絶命の状況に陥るグウェン。
それだけではなく、夫に後添えを望んだ女性、アデラ・レマーゲンの遺体がエセックス州の森で見つかる。
警察は自殺だと判断するが、アデラはグウェンと彼女の夫の再婚相手を探す代わりに自殺はしないと約束していた。
アイリスはグウェンの苦しみを少しでも和らげるために、他殺を疑っているエセックス州警察ラウトン署のヒュー・クイントン巡査の捜査を手伝うことにする。
グウェンは近友にふさわしい人がいないかと考え続け、やっと一人思いつく。
そして喜びのあまり愚かな行為をしてしまう。
その夜、パースンが撲殺された。
二つの殺人事件の容疑者になるアイリスとグウェン。
彼女たちは今までのように自分たちの力で事件を解決できるのか…。
グウェンは夫が戦死したと知らされた時とひとり息子の監護権が義父母に奪われたと知った時の二回、自殺未遂をし、1944年3月17日に精神医療裁判所から精神疾患者と宣告されました。
それから二年が経ち、息子の監護権を取り戻すために身分の変更を申し出たのですが、いくら貴族でも、女ですから、軽んじられているんです。
その怒りが突如として出現してしまい、彼女が不利な立場になることがあります。
今回もそうですが、アイリスという得難い友人が助けになります。
前のドールハウスのお話もそうでしたが、戦後のアメリカもイギリスも同じような状況だったのですね。
本の中に出てくる「近友(きんゆう)」というのは「指名された第三者としてミセス・ベインブリッジの申し立てを助ける人」だそうですが、イギリスの裁判用語なんでしょうか。
原書でなんと書いてあるのか確かめたいところですが…。
来年の1月に八作目が発売されるようです。
六作目は『Murder at the White Palace 』で、依頼人たちのために大晦日の夜会を開催しようと、二人は空きビルを探し回りますが、そこで遺体を見つけてしまうようです。
グウェンの監護権を取り戻すための裁判がどうなるのか、そして次なる二人の活躍が楽しみです。
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