天童荒太 『ジェンダー・クライム』2024/02/21

「ジェンダー・クライム」とは「性にまつわる犯罪」。


裸で、両手を後ろに回され、両手首にガムテープを巻かれた状態で、道路から一メートル下の草地に、うつ伏せで横たわった中年男性の遺体が見つかる。
八王子南署に捜査本部が設置される。

八王子南署刑事課強行犯係の捜査員、鞍岡は本庁捜査一課の志波倫吏と組むことになるが、志波は初の捜査会議には出ず、立川大学の法医学教室にいた。
彼はレイプの可能性を指摘し、教授の磯永に調べてもらうと、遺体の肛門に擦過傷らしき痕があり、体内から小さなポリ袋が発見された。
その中には「目には目を」と書いた紙が入っていた。

まもなく遺体は佐東正隆、五十四歳のものと判明する。
佐東の息子の進人は準強制性交、つまり集団レイプの加害者だった。
三年前、十九歳だった進人を含めて四人が被害者の飲み物にレイプドラッグを入れ、犯行におよんだ。
四人のうち、余根田と楠元が暴行し、佐東と芳川は未遂だと否定していたという。
佐東は見張り役で、レイプドラッグを入れたと言われている。
全員が実行犯として検察に送られたが、起訴は見送られた。

怨恨のせんで調べることになるが、なぜ三年も経ってからなのか。
なぜ直接犯行に関わった奴らじゃないのか。
疑問は多い。

準強制性交の加害者たちと佐東進人の居所を突きとめ、話を聞き、被害女性と、その周辺の聞き込みをすることになる。

警察小説ではありますが、謝辞を読むと、天童さんがこのお話に込めた思いが明確にわかります。
この本は「ジェンダー」について書かれた、「ジェンダー」について考えるきっかけになる本です。
是非多くの人に読んでもらいたいと思います。

わたしが仕事に就いた頃は「ジェンダー」などという言葉はなく、職場では当たり前のようにお茶くみをやらされていました。
今でも覚えているのが、上司に「○○さんはお茶を入れてくれれば、何もしなくていいよ」とニコニコしながら言われたことです。
初めは冗談かと思いましたが、真面目にそう思っていたのです。
ちなみに仕事は男女差のない専門職でしたけどね。
何十年か経って、駅でばったり会った時に、彼はわたしを見て、実に嬉しそうな顔をしました。
アラ、わたしあの言葉を聞いてから彼につっけんどんな態度を取っていたはずですけど、笑。

本の中に、ある女性が<わたしの主人はわたしだから、夫のことを「主人」とは呼ばないことにした>というエピソードがありますが、わたしは昔に読んだ本の中に同じようなことが書いてあり、なるほどと思ったので、配偶者に「主人」とか「旦那」は使いません。

天童さんはこう書いています。

「そうした対等でない関係を裏に秘めた言葉を、無意識に使う(暗に求められている)文化が、女性や子どもが被害を受ける犯罪やハラスメントを生む要因の一つになっている…と言われても、多くの人は戸惑うばかりだろう。
 だが、言葉は、人の暮らしや社会の在り方を、縛ったり、ある方向へ導いたりする力がある。ささやかでも、呼び方一つの影響は小さくない。
 そんなことを鬱々と考えている日々のあいだにも、女性が被害に遭う事件が次々と起っていた。しかも、マスコミや一部の政治家・文化人は、加害者ではなく、むしろ被害者を責めるという、信じられないような不条理な事態も生じていた」

ジェンダー・ギャップはわたしの頃よりも少しずつよくなっていると思いたい。
でも、「ジェンダー・ギャップ・レポート2023」で日本は146ヶ国中125位です。
男女平等を阻む社会的、文化的なものがまだ根強く残っているのでしょうね。
わたし自身のジェンダー・バイアスとの戦いも続きますww。

ジェンダーなどと聞くと、拒否反応を持つ人がいるかもしれません。
性暴力は「魂の殺人」と言われており、書かれている被害者の痛ましさに目を覆いたくなるかもしれまん。
それでも、警察小説としてもいい線行っていると思いますので、一読の価値はあります。

わたしは主人公の鞍岡と志波のペアや、ここには紹介しませんでしたが、生活安全課の依田課長と館花未宇巡査のその後を読みたいです。
最後は何とかうまくおさまりましたが、根本的なことは何も解決していませんし、彼らのキャラが好きなんです。
天童さんはミステリ作家ではないので、これが最初で最後になる可能性が強いですけどね。

わたしの今年のベストになりそうな本です。
そうそう、天童さんが影響を受け、この本を書くきっかけになったらしいレベッカ・ソルニットの『説教したがる男たち』も読んでみたいと思いました。

加納朋子 『1(One)』2024/02/19

<駒子>シリーズ、『ななつのこ』『魔法飛行』、『スペース』に続く四作目。
二十年ぶりの新作ということです。


「ゼロ」
ゼロはレイちゃんのわんこ。
彼女が大学生になった春に一家に迎え入れられた。
大学生になってレイちゃんはパン屋でアルバイトを始める。
ところが、そのバイト先にストーカー男が現れる。
ゼロは知っていた。そのストーカー男はゼロたちのお散歩の時に跡を付けていた奴だと。
ゼロはレイちゃんのために一肌脱ぐ。

「1(One)前編」
ぼくはぼくだけの犬が欲しかった。
小学校一年生の夏に山の多い町に引越した。
隣の家が白い大型犬、シロを飼っていた。
シロはケンちゃんの犬で、生後六ヶ月ぐらいの時に彼の祖父が山で拾ってきたという。ぼくはケンちゃんと一緒にシロの面倒をみる。
シロは散歩に行くと山の方へ行きたがる。
たぶんいっしょに暮らしていた黒犬に会いたいのだ。
ある日の夜、黒犬がシロを迎えに来る。

「1(One)中編」
わが家に犬と赤ちゃんがやって来た。
楽しいわが家だが、実は妻はあることを画策し、行動にうつしていた。
しかし、洞察力のある夫はそれに気づき、止める。
だが、因果応報。

「1(One)後編」
ワンはわが家の犬。世界一有能で忠実な愛犬。
「一(ワン)」とは、無限大の可能性を秘めた数字。
彼は幼い家族のために戦う。

どこが<駒子>シリーズなんだろうと思って読んでいたら、あるところでポンと謎が解けました。
この本は犬好きの人、特にYAや小学生におすすめです。
前の本を読んでいなくても大丈夫ですよ。

犬といえば、四国犬が次々に人を噛んだというニュースがありましたね。
はっきり言って、犬ではなく、飼い主が悪いです。
コロナ禍にペットを飼う人が増えたといいますが、マナーはどうでしょう?

どこの道にも犬のうんちが落ちています。
リードをつけずに犬と歩いている飼い主がいます。
兄犬は住宅街の道でリードをつけていない犬に二回、追いかけられましたが、それを見ていた飼い主は謝罪もしませんでした。
家の近くを犬たちと散歩しているときに、三匹の大型犬に吠えられ、襲いかかられそうになり、怖かったです。
大型犬を連れていたのは小柄な女性が二人で、一生懸命に犬たちをなだめようとしていましたが、なにしろ犬の力が強いので、抑えるのが大変そうでした。
もし持っているリードが外れたら、その犬たちはわたしとわんこに襲いかかって来たでしょう。とにかくすぐにわんこを抱えて逃げましたよ。
それから時間をずらすようにしましたが、何故か会ってしまいます。
それ以来、その犬たちがいないかよく確かめ、道を選んで散歩をしています。
この頃、会わなくなったのでホッとしています。
大型犬を飼おうと思う人はよく考えてください。
犬の力って思った以上に強いんです。あなたは犬を抑えられますか?
うちの三キロの犬だって、力いっぱいに止めないとダメな時がたまにですがあります。そういう時にママの重い体重が役立ちますけどね、笑。

そうそう、マンションの植栽のところで猫の餌付けをしている人がいるので、止めて欲しいという回覧板が来ていました。
うちの庭をどこかの猫がおトイレにしているみたいで、した後の糞は持って帰って欲しいですわ。
マンションと言えば、エレベーターの中に動物(だよね?)の糞があったことがあるそうです。

まあ、マナー違反は次々と出てきますね。
犬を飼っているわたしでさえ、これぐらいあるのですから、ペットを飼っていない方はもっと頭に来たことがあるでしょう。

これからもご迷惑をおかけしないようにしますから、よろしくお願いいたします。


「おねがいします、ワン」ペコリン。

これからペットを飼いたい人へ、本の中にあった言葉を載せておきます。

「わかっているかい?犬だけじゃない。生き物を飼うということは、命に責任を持つということだ。それは決して、いいことや楽しいことばかりじゃない。面倒くさいこと、思うようにいかないこと、不便なこと、がっかりすることもたくさんある。犬のために、別の楽しいことやしたいことを諦めたりね。ちゃんと飼おうとすればお金だってたくさん必要になる。その分、我慢しなきゃならないことだって出てくる」

一応ミステリの中に入れておきましたが、ミステリというよりも、家族とわんこの絆を感じさせられる、心暖まるお話です。
『ななつのこ』から読み直したくなりました。

所沢航空記念公園に行く♫2024/02/18

地図を見ていると、所沢の方に航空記念公園があり、犬も連れて行っていいようなので、行ってみました。


東駐車場に車を止め、わんこを連れて歩いていくと、階段があります。


何故か兄が階段の上でお座りをしました。いつもは写真を撮ろうとすると、そっぽを向くのにね。


右側に誰でも使えるドッグランがあります。
まだ早かったので、それほど犬がいません。
中型・大型犬用と小型犬用の二つあります。


左側は小噴水。冬なのでまだ使わないのでしょうか?

急に水が出る音がしたので、振り返って見てみると、カラスが水飲み場にいました。
カラスが蛇口を開けたのです。頭のいいカラスです。
蛇口を閉めてくれるといいのですが、そこまではしないでいなくなったようです。


時計塔。
公園にはランニングコースがあり、普通の道と分れていて、膝にいいように道にクッションがきいているような感じがしました。
(後で調べてみると、アスファルトの上に膝への負担が軽減される赤い特殊舗装がカーベット状に施されているそうです)


時計塔の左側に健康器具があり、レンガ色の服を着たおじいさん(右の人)が使っていました。
小高い丘みたいな場所なので、シートを持っていって座るのもよさそうです。
下に降りていくと、右に梅園があります。


満開を過ぎてしまったという感じです。


子どもがいい匂いがするとか言っていましたが、ママは花粉のせいか鼻が詰まっていて、匂いがしませんでした、笑。


左には遊具があり、子どもが遊べます。


梅園のところをグルッと回ると、花の丘に着きます。


菜の花とかラベンダーとか何種類かの花が咲くようですが、まだ花は咲いていませんでした。


わんこたちにおやつを見せると、こっちを向いてくれました。


楽しそう。


兄はおやつ欲しさに言わなくてもお座りをします。


これはラベンダー。そのうち花が咲いて、いい匂いがするのでしょうね。


広々とした野原が続きます。
この公園は手入れがいいみたいで、芝生がきれいそうです。


食いしん坊の兄はママがおやつをくれないかと見ています。


航空発祥記念館があります(飛行機の後ろの白い建物付近)。
この飛行機はC-46A輸送機(天馬)で、航空公園駅東口駅前広場にはYS-11(戦後初の国産旅客機)が展示されているそうです。


ちょうど小学校駅伝大会だかなんだかがあるそうで、子どもと保護者の人たちでゴチャゴチャしていて近づけませんでした。


日が出てきて暑くなってきたので、お水を飲ませようとすると、弟が早く飲ませろとチンチンをし、兄はお座りをして待ちます。


仲良く(?)一緒に水を飲もうとします。
二匹で飲むほど大きい飲み口ではないのですけど。


「ママ、お水が美味しいです」by 兄犬


帰りにドッグランの横を通ったのですが、10時頃になると混み合うみたいです。
大型犬はドッグラン中を走り回って遊んでいますが、小型犬はドッグランの真ん中にはいなくて、端っこにいます。何をしているんだか、笑。

お天気もよく、50㏊以上もあるからか、ゆったりとした雰囲気の公園で、わんこたちも気にいったみたいです。
また来ようね。

読んだ文庫本&漫画2024/02/17



<読んだ文庫本>
中山裕次郎 『外科医、島へ 泣くな研修医6』
三十一歳になった雨野隆治は医者になってもうすぐ七年になる、駆け出し外科医。
四月から半年間の予定で神仙島へ派遣されることになる。
神仙診療所には医師は所長の瀬戸山と雨野の二人、看護師は半田志真と繁田秀子の二人がいる。
島では今までとは違い、あらゆる病気を診なければならず、技量のなさを思い知らされる毎日だが、雨野は瀬戸山や志真たちの助けを借り、なんとかやっていく。
三十年以上もこの診療所で働いている瀬戸山。
彼が人生をかけて築いてきた医療体制と守ってきた島民の命、そして、諦めてきたいくつもの命がある。
あらゆる診療科の、あらゆる疾患を診て、全ての責任を負う瀬戸山の姿は、雨野には本当の医者の姿に思えた。
雨野は瀬戸山みたいな医者になりたいと思う。

人として、医者として、一回り大きくなった雨野くんです。
Dr.コトーを思い出しますが、雨野くんは島に残らず帰ってしまったのが残念でした。

喜多みどり 『弁当屋さんのおもてなし 巡り逢う北の大地と爽やか子メロン』
第一話 氷雪の下の幸を揚げる
札幌の弁当屋くま弁を夫婦で経営するユウと千春は、一泊二日でサロマ湖畔へ旅行に行く。宿泊した民宿はくま弁のお客だった華田将平が働くところだ。
宿で食事をしていると、将平が一人の女の子のことを気にしている様子がうかがえた。彼女は食事にあまり手をつけていないのだ。
次の日、将平と待ち合わせをしていたのに、将平が現れない。
将平はユウたちに食べさせる昼食の下見に出かけたらしいが…。

第二話 夕張小旅行とテッカメロン弁当
ドラマやバラエティで人気の有名人になった黒川茜がくま弁に現れる。一人の女性に後を付けられているという。その女性がくま弁の中にまで入ってきて、茜を探しているようだ。千春が声をかけると、店を出て行った。彼女は夕張市で開催されている映画祭のフライヤーを落としていく。
彼女のことに見覚えがあるような気がするという茜は、実際に夕張に行ってみると言い出す。
千春は明日はくま弁が休みの日なので、業務用バンで夕張まで行くことを提案する。

第三話 イカタコパーティーセット
お土産のイカとタコがあるので、ユウたちは休日に気心知れた友人たちを招いて食事会を開く。どんな料理がいいか訊くが、なかなか意見が合わない。ユウはあきれて厨房へ行ってしまう。
いつもユウに料理を作らせていると気づいたみんなはそれぞれタコとイカを使った料理を作ることにする。

第四話 冬の怪談と北海道巡り弁当
くま弁の近くのパティスリー・ミツで幽霊が出たという噂が…。
幽霊と間違えられたのはパティスリー・ミツのファンの梨之木という女性だった。
彼女は旅行に行けないので、道内で小旅行をした気分になれるお弁当を作って欲しいとユウに頼む。
ユウが作った弁当は…。

このシリーズは時が行ったり来たりします。
今回はユウと千春が籍をいれて数ヶ月の新婚の時のお話です。
お弁当で美味しいと思ったことはあまりありませんが、くま弁のなら食べてみたいです。
財政破綻した頃の夕張に行ったことがありますが、ゴーストタウンみたいでした。今はどうなんでしょう。メロンの食べ放題があるようですね。食べたいわぁ。

<読んだまんが>
大島弓子 『サバの秋の夜長』&『サバの夏が来た』
なんと猫が人間の姿で同じ大きさをしています。猫だけではなく、ノミやカラスなどの動物がみな人間の姿です。面白いですねぇ。
でも、このスタイルは続けず、猫は猫になりましたね。

漫画マキヒロチ 原案まろ(おひとりさま。)『おひとりさまホテル 1~3』
わたし、ホテルが大好きです。いろいろなホテルに泊まりに行きたいのですが、この頃ものすごく高くなっています。インバウンドのせいですね。
海外の旅行者価格と国内の旅行者価格の二つにしてくださいませんかね。
続々と新しいホテルができているようで、この漫画に出てくるホテルにいつか泊まりに行きたいと思っています。

一色さゆり 『ルーブル美術館の天才修復士 コンサバターⅣ』2024/02/16

コンサバター・シリーズの四巻目。
コンサバターとは絵画などの文化財を修復保存する仕事をする人のことです。
絵画は好きだけど、それほど詳しくないという方向きの本です。


「第一章 ニケの指輪」
糸川晴香はロンドンからパリへ向かった。
一ヶ月もの間音信不通になっていたパートナーのケント・スギモトから連絡が来たからだ。
パリに着くとすぐに、晴香はスギモトがいると思われるルーヴル美術館に行く。
すると≪サモトラケのニケ≫が展示されていたホールは現在修復作業中のため封鎖されているという注意書きがあった。
案の定、そこにスギモトがいた。


何故晴香に黙って姿を消したのか、スギモトが言うには、ルーヴル美術館にはフランス人しか職員として受け入れないという表向きのルールがあり、英国からスギモトを招く手続きが極秘で進められていて、年が明けてようやく正式に、修復プロジェクトに単発で加わることが決まり、仕事上のパートナーである晴香を呼び寄せる許可も下りたからだという。
しかし、そう簡単に晴香が受け入れられるわけがなかった。
常勤職の修復士で、ニケの修復プロジェクトの責任者のマルタンは晴香に冷たかった。

修復中のニケの襞の隙間に金の指輪が見つかる。
指輪の内側にギリシャ語の格言、『翼はひとつでは飛べない』という文字が刻印されていた。
マルタンに内緒で指輪を持ち出したスギモトは、指輪の持ち主を探し当てる。

「第二章 芸術家たちのカフェ」
≪サモトラケのニケ≫の修復チームから不服申し立てがあり、晴香がロンドンに帰らされる可能性が出てくる。
晴香とスギモトが滞在しているモンパルナスのアパルトマンの側に一軒のカフェがある。
そのカフェはまるでチェスの盤上のようだ。
オーナーによると、カフェは1920年に彼の曾祖母により創業され、彼女はチェスの名手で、客ともよくチェスをしていたそうだ。
晴香とスギモトは、彼らが修復士であることを知ったオーナーから店に飾ってあるチェスの絵画の鑑定とケアを頼まれるが、晴香は女店主の肖像画も合わせて修復することを提案する。
チェスの絵画はピカソが1911年に描いた≪チェス≫とよく似ているが、偽物なのか?

                          パブロ・ピカソ ≪The chess≫(1911年)

「第三章 汚された風景画」
晴香はマルタンから修復チームに加わって欲しいと言われる。
そんなある日、環境活動家と名乗る女がコローの風景画≪カステル・ガンドルフォの思い出≫に黒い液体をかける。

         ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
     ≪カステル・ガンドルフォの思い出≫(1865~1868年頃)

黒い液体は水性の無害なもので、絵がガラス板付の額縁に入っていたため、大きな問題はなかった。
スギモトは疑問を呈する。
何故、あの女性はコローのあまり有名とは言えない絵を狙ったのだろうか。
そして、晴香は気づかなかったのだが、≪カステル・ガンドルフォの思い出≫は横長なのに、縦長の作品に使われる額縁に入っていたという。
何かの思惑があってそのような額縁が選ばれたのだろうか?

「第四章 ショパンと雨」
スギモトと晴香はルーヴル美術館の館長ルイーズからドラクロワが描いたショパンの肖像画の復元を頼まれる。

この絵は元々はショパンとかつての恋人であったフランスの女流作家ジョルジュ・サンドとともに描かれた二重肖像だとされている。
スケッチによると、ショパンはピアノを演奏し、その傍らでサンドは刺繍をしながら耳を傾けている。
この絵画は未完に終わり、ドラクロワの死後にアトリエで発見され、その際ショパンとサンドの部分が切り離された。
サンドの腰から上の部分を描いたカンヴァスはコペンハーゲンの美術館の管理下に置かれている。


ショパンの姿は顔のみ切り取られ、ルーヴル美術館が所蔵している。


スギモトたちがつきとめた絵に隠された秘密とは…。

実はこの絵はこんな感じではなかったかと複製画が描かれています。


絵としては、あまり…。ドラクロワってこんな感じの絵を描いてましたっけ?

絵を見るのが好きなわたしですが、それほど詳しくないので、こういう本を読みながら知識を蓄えています。
なにしろ記憶力が今一なので、読んでは忘れていますww。

次はレオナルド・ダ・ビンチにかかわる極秘調査だそうで、楽しみですね。

サラ・パレツキー 『コールド・リバー』2024/02/15

V.I.ウォーショースキー・シリーズの21作目。


ヴィクは犬たちを走らせようと、シカゴとエヴァンストンの境界線近くにある墓地に車を止めた。
すると、ミッチが逃げ出してしまう。
ミッチを追いかけていくと、岩場の二つのコンクリートブロックの隙間に一人の少女が倒れていた。

翌日、顔見知りのシカゴ市警部長刑事レノーラ・ピッツェッロが、ヴィクが岩場で見つけた身元不明の少女の件でやって来る。
ピッツェッロは少女が何か電子機器を持っていなかったか訊いてくる。
警察はすでに身元を知っているのかと疑うヴィク。

その翌日の朝、少女は病院から姿を消す。
少女が消える前に、ハンガリー語を話せる清掃員を連れた警官が少女に会いに来ていた。
ヴィクは病院に雇われ、少女を探すことになる。

そんな時にヴィクがロティから頼まれ、見張っていたシナゴーグに、サイレント・パートナーとして支援したいと、<クロンダイク>の代表取締役コーキー・ラナガンから電話が来る。
何故ラナガンはシナゴーグが欲しいのか、ヴィクは疑問に思う。

そこにまたピッツェッロがやって来て、しつこく消えた少女のことを訊いてくる。
彼女の何が重要なのか?
ピッツェッロの上司で知り合いの警部補フィンチレーに電話をして訊くが、拉致があかない。

そんなところに昔の面倒な知り合い、ペテン師ぞろいのリトヴァク一家の子ども、ヴランウェルがやって来て、父親のドニーが何かトラブルに巻き込まれているようなので、助けて欲しいという。

その夜、清掃員が殺され、ヴィクのアパートメントに三人の警官がやって来る。
その中の一人、シカゴ市警ホーマン・スクエア署警部補のスコット・コーニーはヴィクを威嚇し、暴力も厭わず、執拗に身元不明の少女のことを訊いてくる。

次から次へと難問をかかえるヴィク。
身元不明の少女とシナゴーグ問題、リトヴァク一家、<クロンダイク>、そしてコーニー。
これらがどう繋がっていくのか…。

パンデミックの頃のお話なので、シカゴの町は不穏な雰囲気です。

子どもに弱いヴィクは凝りもせず、子どもを助けるために、一銭にもならない事件に足を踏み入れていきます。
その上、ヴィクに対して敵対心溢れる、腐れ縁のリトヴァク一家を相手にするなんて、バカですねぇ。
その結果、また満身創痍。
50代だというのに、我らのヴィクはワンダーウーマン(最強の女戦士)です。
川に飛び込み、拳銃に狙われ、命からがら逃げ、それに悪徳警官にも負けないんですから。
原題は『Overboard』ですが、印象的なのがシカゴの川なので、日本ではわかりやすく題名が『コールド・リバー』になったのでしょうね。
それにしてもシカゴのカリュメット川って汚さそうです(失礼)。

ヴィクもその他の登場人物たちもお年です。
一作ごとに年を取っているはずなので、ヴィクはたぶん五十代後半のはず。
友人の外科医ロティは70代か80代で、今でもメスを持っているのが不思議です。
隣人のコントレーラスさんは90代で、ものすごく元気です。
わんこたちは、なんと20歳ぐらい。いくらなんでも大型犬でしょうから、長生きし過ぎですよね。
それにサラ・パレツキーさんも76歳。
このシリーズはマンネリ化しないで続いているので、できるだけ長く続けて欲しいのですが、中途半端に終わるのだけは止めて欲しいです。
悲しいけど、そろそろ幕引きを考えて下さいませ。
ヴィク・ファンからのお願いです。

シリーズの二十二巻目、『Pay Dirt』が4月に発売されます。
週末に行ったカンザスで、南北戦争までさかのぶるトラブルに巻き込まれるようです。
今度は知り合いの大学生のために人肌脱ぐんだけど、ヴィクにとって大学生も子どもよねぇ。
子どもに弱いのも考えものだわwww。


<ヴァレンタインのチョコレート>


ケイタマルヤマの新しいチョコ缶とベルギーのピエール・ルドンのチョコレートです。


普通に美味しいチョコです。


ケイタマルヤマのチョコレート缶には洋梨のパート・ド・フリュイと宇治茶のホワイトチョコレートが入っています。(落としたので、抹茶のが割れてます、笑)
これも美味しいのですが、わたしはピンク缶のチェリークランベリーが一番好きですわ。

馬橋稲荷神社に行く2024/02/13

今年は辰年なので、龍のいる神社が流行っています。
東京ではどこかにないかと探していたら、前に一度行ったことのある馬橋稲荷神社がネットに紹介されていたので、近くに行く用事があったので、行って来ました。

神社の後ろにある細い道から入ったのですが、正面まで行きました。


ここが神社の参道の入り口です。
二の鳥居に龍がいます。


ハッキリ見えませんが、両方の柱に龍が巻き付いています。


左側の龍。


右側の龍。


三の鳥居。


手水舎にも龍がいます。


随神門。


社殿。
左側に厳島神社(水神社)があります。
水のある神社は気がよさそうです。
おみくじや「願かけ狐」が可愛いみたいですが、人がいたので、今回は見送りました。次は授与してもらいますわ。

三連休の最終日にふぐを食べに行きました。
コロナ禍以前はほぼ毎年食べに行っていたので、やっと解禁です。
ふぐの日とかで、別のふぐ屋では予約が取れず、いつものところになりました。


まず湯引きとてっさ。
そして、ふぐの唐揚げ。


てっちり。


雑炊。
最後のデザートはナッツアイス。

今年は年内にもう一回は食べたいものです。

連休のわんこ2024/02/12

三連休は用事があるので公園には行かず、わんこたちは家付近をお散歩します。
わんこたちはみんなで一緒にお散歩ができて、嬉しいみたい。


グイグイ行きます。(ママが前に行くと着いてくるのです)


今回は珍しくおやつを持っていきました。
休憩時におやつを見せると、顔を向けてくれます。


見て下さい。いつも不細工なムッとした顔をしている兄が笑っています。
おやつが大好きなんです。
食べた後もおやつをくれないかとしばらくママの方を見ていました。
さすが食いしん坊くん。

<三連休のおやつ>
一日目はパパが出先でケーキを買ってきました。


残念なことにイチゴが酸っぱく、中に入っていたのがいよかん(?)みたいなみかんだったので、あまり好きな味ではありませんでした。(コラコラ)

二日目はミスタードーナツがゴディバとコラボしているというので、買物に出たついでにドーナツを買ってきました。


可愛らしいですね。
味はものすごく甘いわけではないのでいいのですが、ゴメン、わたしふわふわよりも普通のオールドファッションのような固いドーナツの方が好みです。

「ママ、いいかげんにしてください。僕たちにはいつものボーロしかくれないのに。プンプン」  by わんこたち

「ゴメンナサイ。贅沢はいいません」

三日目は君たちを置いて、これからママとパパは美味しいものを食べに行きます。
楽しみだわ~♡。

マルゴ&ジャン・ル・モアル 『ブルターニュ料理は死への誘い』2024/02/11

フランスのコージーミステリの新シリーズ。


フランス、ブルターニュ地方のリゾート地ロクマリア村の住民たちは、村で最も金持ちの農場経営者、ジョルジュ・ラガデックが狙っていたケルブラ岬邸を誰が購入したかに興味津々。
屋敷を買ったのは、カトリーヌ・ヴァルトというアルザス地方出身の五十一歳のバツイチ女性。
妹亡き後、新しい土地で人生をやり直そうと思い、この村でアルザスの郷土料理のレストランを開くことにしていた。

カトリーヌは早々に村の人たちと親しくなる。
イギリス人でレストランの隣にある食料品店のオーナー、チャールズ・ハイベリーとは恋の予感。
ミニスーパーの店主ナターシャ・プリジャンはカトリーヌに嫉妬心丸出しだった。

カトリーヌはレストランで使う地元の高品質の食材を卸してくれる信用のおける生産者を探した。
問題はシェフだ。
困っていると、イヴォンヌ・ル・モアルが来て、彼女の孫のエルワンを雇ってくれと頼まれる。
エルワンはジョルジュ・ラガデックの息子で、父親とは上手くいっていない。

レストランの開店披露パーティの日にエルワンが行方不明になり、万事休すとなったが、親切な住民たちの助けでどうにかなる。
心を入れ替えたエルワンはシェフを続けることになり、レストランは順調だったが、とんでもないことが起る。
冷蔵庫が何者かに故意に壊されたのだ。
そしてその十日後、金曜日のシュークルートの夕べに、<皇帝風シュークルート>を食べた元町長ジャン=クロード・ケレとその子分のジョルジュ・ラガデック、ジョルジュの長男のマチュー・ラガデック、ケレの缶詰工場の元工場長マルク・デュブールの四人が吐き気を催す。
その翌日にケレが死亡し、遺体から強力な催吐剤が見つかる。

レストランは営業停止になる。
ナターシャはケレの親戚だったこともあり、ここぞとばかりにカトリーヌがケレを毒殺したと糾弾する。
他の住民たちは父親と兄に恨みを持っているエルワンが仕返しをした、ラガデック親子が村に迷惑をかけたことを根に持った誰かが代償を祓わせようとした、妻の浮気を知った男が復讐したなど色々と推察を言い合っている。
そんな中、<ウエスト・フランス>紙にロクマリア村の住民を侮辱するような記事が載る。

憲兵隊が捜査をする一方、カトリーヌたちの無罪を信じる<ウエストフランス>紙の記者ヤン・ルムールは独自に事件を調べ始めるが…。

コージーミステリというと、アメリカという感じで、フランスのは初めて読んだと思います。
そういえばフランスのミステリって、この頃読んでいないような…?
わたしが知らないだけかもしれませんが、あまり翻訳されていないのかしら?

このミステリは初めがとっても読みにくく、読むのを止めようかと思いました。
でも、ヒロインのカトリーヌが出てくる辺りから気にならなくなりますので、少しの我慢を。

アメリカのコージーミステリのヒロインって年をとっていてもせいぜい30代ぐらいですが、さすがフランス、ヒロインが50代です。
それに年下の女性に嫉妬されているんですから、アムールの国は違いますね。
何歳になっても恋に現役なんですね。
フランスというと、人は人と割り切っていて、あまり他人のことに首を突っ込まないような印象があったのですが、小さな村になるとどこもいっしょなんでしょうか。噂話がすごかったり、人間関係がややこしかったりしています。
いい人はもちろんいますが、あ~、やだ、こんな村には住みたくない、とわたしなんか思ってしまいますww。

シリーズ物ということなので、カトリーヌはこれからもナターシャに悩まされるのでしょうね。
記者のヤンとの関係の変化と彼女がどうやって屋敷を買えるほどの大金を稼いだのかが今のところ気になります。

そうそう、フランスの警察制度が変わっています。
都市部が内務省管轄下の国家警察で、地方は国防省管轄下の憲兵隊が担当しており、国家警察は文民警察官で、国家憲兵隊は軍人により構成されている。
コミューンは自治体警察を設置できる。
警察活動は司法警察活動と行政警察活動に分れている。
司法警察活動には犯罪被疑者の追跡と逮捕などがあり、司法警察活動を行うのは司法警察官と司法巡査、司法巡査補で、逮捕と捜査令状の執行は司法警察官だけが完全な権限を持ち、司法巡査はその補佐を行う。
日本とは違う制度ですね。

二巻目の『Une pilule difficile à avaler (飲み込むのが難しい錠剤) 』は、一巻の終わりからするとエルワンの過去が主となりそうなのですが、あらすじを読むと、カトリーヌが海岸に打ち上げられた死体を見つけるようです。麻薬と関係がありそうということは…。
フランスでは「プレッツェルと有塩バター」シリーズとなっていて、四巻まで出版されているようです。

柚月裕子 『風に立つ』2024/02/09



小原悟は困惑していた。
父の孝雄が補導委託を申し出たというのだ。

補導委託とは、「家庭裁判所が少年の最終的な処分を決める前に、民間のボランティアの方に非行のあった少年をしばらくの間預け、少年に仕事や通学をさせながら、生活指導を行い、更生への手助けを行う制度」。

孝雄は岩手県盛岡市にある南部鉄器工房『清嘉』の親方で、職人は悟と健司、研磨専門のアルバイトひとりだ。
悟は補導委託に反対だったが、健司と昨年結婚して家を出ている妹の由美は賛成していて、悟の話を聞こうともしない。

一ヶ月後、仙台家庭裁判所の調査官である飯島久子が預かる少年の庄司春斗と父親の達也、母親の緑を連れて来た。
春斗は16歳。彼の非行が始まったのは高校に入学してからで、万引きや自転車の窃盗などの問題行動が収まらなかったので、高校は退学処分となった。
父親は仙台市で弁護士事務所を構えており、母親は専業主婦だという。
悟は春斗にはできる限りかかわらないと決めていたが、彼の両親を見て、自分の先入観に気づく。
非行少年というだけで、親のネグレクトや貧困などの家庭環境が悪いのではないのだ。

それにしても何故孝雄は補導委託を申し出たのか。
自分の子供には手をかけなかったのに、どうして他人の子供の面倒を見る気になったのか。
孝雄は家族に対してはいつもぶっきらぼうで、態度も冷たかった。
それなのに、春斗には口調が穏やかで、態度も優しい。
いったいどうしたというのだ。

春斗と工房で働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の気持ちはだんだんと変化していくが…。

今回出てくる父親は二人とも不器用で、思いが子供に届いていません。
子供には親の気持ちが、近すぎて見えていなかったり、子供の気持ちを考えずに強制しようとするので、子供の負担になっていたり…。
最後は上手くいってよかったのですが、実際にはこんなに上手く行くことなんて、滅多にないだろうと思います。

親との関係に悩んでいる人は悟に共感できるかもしれません。
心暖まるお話を読みたい人にはピッタリの本でしょう。
でも、ゴメンナサイ。
柚月さんのファンの方には物足りないでしょうね。
わたし、何も意外性がなく、みんないい人というお話が読みたいとは思いません。
残念ながら、この本はわたしが望む柚月さんの本ではなかったです。


<今日のわんこ>


この頃、兄はよく寝ます。
今年で12歳。人間で64歳ですから、立派なシニア犬です。
食い意地だけは、ママと同じで、あります、笑。