ローラ・ブラッドフォード 『レンタル友人、はじめました 崖っぷちエマの事件簿1』2023/03/17



可愛らしい表紙ですが、私は原書の表紙が好きです。


このシリーズは「A Friend for Hire Mystery」シリーズとして二巻まで発売されています。1巻目が『A Plus One for Murder』で二巻目が『A perilous Pal』。
表紙を見て、なんで原書の方が好きかわかったでしょう。
殺人現場に可愛いわんこがいるからです、笑。
名前はスカウト。ゴールデンレトリバーです。
今までの本の中ではダントツに犬の出現率が高いです。

英語のシリーズ名とは違い、日本では「崖っぷちエマの事件簿」。
というのもエマは文字通り今や崖っぷち。
彼女は旅行会社を経営していましたが、顧客が次々といなくなり、ここ数ヶ月一件も予約が入っていないのです。
頼みの綱は半年前から始まった週に一度のドッティとの儀式とも言えるお茶会。
これはドッティの夫、アルフレッドとの約束で、エマがドッティとお茶するたびに彼の遺産から小切手が出るのです。
今のままでは大おばから受け継いだ家を手放し、両親のいるニューヨークに戻らなければなりません。
エマから話を聞いたドッティは「レンタル友人」ビジネスをやるようにアドバイスし、彼女の知り合いを二人紹介します。

最初のお客はビック・マックスという老人で、高齢者センターでのダンスのパートナーの依頼。
二人目は週三回ジムに一緒に行って欲しいという正看護師のステファニー。
やろうかどうか迷うエマでしたが、とにかくお金が入ってくれば御の字なので、引き受けることにします。
会ってみると、二人ともなんとも言えない魅力のある人たちです。

二人もお客が現れたことで、ひょっとしたらドッティのアイディアが上手く行くかもしれないと思ったエマは万にひとつのチャンスにかけてみることにして、スイート・ファールズのコミュニティ掲示板にバーチャルの広告を載せます。
そうすると次の日の朝、ブライアン・ヒルという男性から電話がかかってきます。
その日の夜に<ディーターズ>で行われるオープン・マイク・ナイトで彼が作品を読み終わったときに拍手をする人間としてエマを雇いたいというのです。
彼が招待した人たちは彼が読むものを聞いて、拍手ではなく彼を殺したいと思うだろうからだとか。
三件も仕事が入って喜ぶエマでしたが、ブライアン・ヒルのことを調べてびっくり。
彼はフリーのジャーナリストで、地元のトラブルメーカーだったのです。

その夜、ブライアンはエマに四枚の写真が貼られた紙の入ったフォルダーを「必要になったときのために」と言って渡します。
写真の人たち全員が<ディーターズ>に来ていて、ブライアンの死を望んでいるらしいのです。
ブライアンはステージにあがって朗読を始めますが、途中でスツールから落ちて床に倒れてしまいます。
彼が死んでいるという声を聞いて、動揺したエマはフォルダーを持って店から立ち去ってしまいます。

ブライアンの死が頭を離れないエマはジムでステファニーにそのことを話します。
それをスイート・フォールズの保安官補リオーダンが聞いていて、エマに話しかけて来ます。
ブライアンから渡されたフォルダーを持ってきたことで証拠を隠した罪になり、逮捕されるのではないかとエマは怖くなります。

次のジムの日、驚いたことにステファニーは、ブライアンはエマに自分を殺そうとしている人がだれか、そしてその理由を知ってもらいたがっていたから、一緒に殺人事件の捜査をしようと言い出します。
その上、ドッティまでもが捜査に協力するというのです。
コージー・ミステリが大好きな彼女は真相を突きとめるために必要な経験があると思っているのです。
気が進まないエマでしたが、しぶしぶ三人でチームをつくり、捜査に乗り出しますが…。

今までのコージー・ミステリとは違い、主人公が殺人事件の捜査に乗る気ではないことに好感が持てます。
でも二作目からはどうなのかしら?
二作目はレンタル友人になった女性が元夫を殺した容疑者になるようですが。
スカウトは出てくるかしら?
それが気にかかりますww。
翻訳は来年なのかな。ひょっとしたら原文でよむかも。


<今週のおやつ>


カフェタナカの生チョコレート。
箱が可愛いです。


チョコは思っていたよりもビターでした。

S・J・ベネット 『エリザベス女王の事件簿 バッキンガム宮殿の三匹の犬』2023/03/07

一作目の『エリザベス女王の事件簿 ウィンザー城の殺人』は2016年4月のお話でした。
二作目の今回は2016年7月以降のことになります。


2016年6月、イギリスでは国民投票でEU離脱が決まり、7月にテリーザ・メアリー・メイが首相になった。
その頃バッキンガム宮殿では大規模な改修計画が行われていた。

そんなある日、エリザベス女王はポーツマスの海軍基地で行われていた海景色画展に、かつて自分の寝室を出たところに飾ってあったブリタニア号の絵が展示されているのを目にする。
女王は秘書官補のロージー・オショーディにこの絵画がポーツマスの海軍基地に保管されるにいたった経緯を調べ、速やかに返却に向けて手はずを整えるように命じた。
海軍基地の施設管理責任者によると、その絵は国防省の所蔵品のうちの一点で、長年海軍軍令部次長の執務室に飾られているものだとのこと。
しかし女王は最後にその絵を見たのは、1990年代だという。
ロージーは再度調べるように命じられ、各方面の宮殿関係者に尋ねて回ることになる。

その頃、中傷を目的とした手紙やメッセージが女王手許金会計長官のアシスタントや年配の家政婦などあちこちに送りつけられており、しばらくしてロージーにまで送られてくる。

10月の某日、バッキンガ宮殿のプールサイドで嫌われ者の家政婦ミセス・ハリスが死んでいるのが見つかる。
ウィスキーグラスを片付けようとして足を滑らせて転倒し、割れたグラスの破片で足首のうえの動脈が切断され、失血死したようだった。

女王にミセス・ハリスが問題を抱えていなかったかどうか聞かれ、嫌がらせの手紙の件を話したロージーは、内密にしておきたかった秘書官のサー・サイモンに激怒される。

やがてロンドン警視庁からウィンザー城の事件に関わったストロング主任警部が派遣されてくる。

消えた絵画と中傷目的の手紙、そして家政婦の死は関係があるのか。
女王の推理は…。

相変わらず女王は冴えています。
犬たちに対する愛情も素晴らしいです。
そうそう、フィリップ曰く、”あの悪趣味で、見られたもんじゃない小品”のブリタニア号の絵をなんでしつこく返却させるように言い張ったのかは最後にわかります。
ヒントは「愛」です。

それにしてもバッキンガム宮殿にプールがあるなんて、知りませんでした。
もともとはジョン・ナッシュが温室として設計したのを、1930年代にジョージ六世が幼い王女たちのためにプールに改築したんですって。
外から見られたり、写真を撮られないようにしたのかもね。

どういう人たちが王室に使えているのかと思ったら、上のポストには軍の高級将校が多いようです。
「高級将校というものはまちがいなく有能で、周囲からの期待に遺漏なく応えてくれるものである」とか「高級将校の地位にあった者は、おしなべて、残酷なほど効率性を決してろこつではない形で徹底しつつ、職員たちの団結力を引き出すことで、女王が求める組織を作りあげてくれる」などと書いてあります。
日本で皇室に自衛官幹部が使えるなんて、考えられませんよね。
そういえばロージーは王立騎馬砲兵隊に在籍してから民間の銀行勤務を経て、王室職員になったらしいです。
彼女の上司のサー・サイモンは海軍でパイロットをしていて、その後外務省で外交官をしていたと言いますから有能な人なのでしょうね。(二人とも実在しませんけどww)

興味深いのが当時のメイ首相。
全く覚えていないのですが、彼女の靴って有名でしたっけ?
ファッションも独特ですね。
私、顔しか見ていなかったみたい、笑。
「各紙の一面に靴の写真がのることがお約束になっていた」なんて…。
検索してみるといっぱい出てきますね。


いつもスニーカーしか履かない(実は履けない)私は憧れますわ。
首相として何をやったのか浮かばない人ですが、ファッションは素敵です。
日本人はおしなべて暗い色の服を着ますが、彼女みたいにカラフルな色を着るといいかも。
パーソナルカラー診断でもしてもらおうかしら。

三作目「Murder Most Royal」が昨年八月に出版されています。
イギリス王室がクリスマスを過ごすサンドリンガム・ハウスの近くの浜辺で切断された手が見つかるようです。
エリザベス女王の活躍が楽しみですね。

ニタ・プローズ『メイドの秘密とホテルの死体』2023/02/26



モーリー・グレイは高級ホテル<リージェンシー・グランド>の客室メイド。
社会生活に上手く順応できない上に人とうまくコミュニケーションがとれない。
秩序だって決まっていることは得意なので、客室を掃除することにかけては人には負けず、完璧にやる。
発達障害なのかなぁ?彼女と一緒に働くのは大変そう。
モーリーはわからないことはおばあちゃんに聞いて、だんだんと人のしぐさを正しく読み取れるようになってきた。
しかしおばあちゃんは九ヶ月前に亡くなってしまい、天涯孤独の身となる。
おばあちゃん亡き後は、彼女の語った言葉を思い出しながら暮らしている。
実は祖母が亡くなる前にモーリーの大学の学費として貯めていたお金をすべてボーイフレンドに持ち逃げされてしまった。
おばあちゃんが払ってくれていた家賃が自分の稼ぎだけでは払えず、部屋から追い出されそうになっている。

ある日、いつものように仕事をしようと最上階のブラック夫妻のスイートルームに行くが、ブラック夫人のジゼルがバスルームを使っていたため、バスルームだけ清掃できなかった。
他の部屋の清掃を終わらせ、ブラック夫妻のバスルームを清掃しに行くと、なんとベッドルームでミスター・ブラックが死んでいた。

モーリーは人を見る目がなく、すぐに人を信じてしまい、聞かれると何でも話してしまうので、話したことを悪用され、とうとう殺人罪で逮捕されてしまう。
絶体絶命の苦境に追い込まれたモーリーはたった一人の味方に助けを求めるが…。

純真で一途なモーリーちゃんが可哀想でした。
なんであんな男を信用して惚れてしまうのか。
ちゃんと警告してくれる人がいたのに、モーリーは聞こうともしなくて、いいように利用されて苦境に陥っている。
私は騙されてるよ、なんでわかんないの、とハラハラしていました。
でも切羽詰まると自分の味方は誰かをちゃんと見抜き、助けを求め、一緒に戦っていけたのでよかったです。
最後にモーリーの意外な一面が出てきて、ちょっとびっくりしました。
彼女は悪いことといいことの区別がまだできていないのかな?
騙されてもまた人を信用してしまうのは、人はあくまでも善だと思っているから?
それでもこれからはおばあちゃんがいなくてもどうにかやっていけそうです。

500ページ以上あり、半分ぐらいが彼女の日常のお話で、残りが殺人事件を解決していくお話です。
ミステリーとしてはそれほどではないのですが、モーリーが意外と魅力的で、楽しく読んでいけました。
ちょっと変わったヒロインに興味がある方、読んでみてください。
映画になるらしく、ヒロインが『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のエイミー役のフローレンス・ビューだそうです。


<今日のランチ>
用事で立川に行ったついでにソラノホテルでランチを食べてきました。
ホテルだからあまり人がいないと思ったら、とんでもありません。
ほぼ満員です。土日は予約が必須です。


最初の一品はサラダ。
私には少なすぎで、いつもはこの四倍ぐらい食べてます、笑。


六種類のおかずとご飯、菜の花のお吸い物。


デザートにイチゴのタルトと黒豆茶を頼みました。
タルトが小さくて、ダイエットをしている私にはいいのですが…残念。

ホテルの裏にショッピングモールがあり、ブラブラしてみました。
ペットショップで、今朝兄が吐いてベッドが使えなくなったので、セールになっていたベッドを買いました。
立川の駅前はすごい人出で、家のある駅についたらホッとしました。

エリカ・ルース・ノイバウアー 『メナハウス・ホテルの殺人』2023/02/22



時は1926年9月。
戦争で夫を亡くし、22歳で戦争未亡人になったジェーン・ヴンダリーは、父の妹のミリー・スタンリーに誘われエジプトにやって来た。
ミリーはジェーンの夫の隠された姿を知らない。
そのためミリーは30歳になったジェーンがまた結婚できるように、彼女に合うと思われる男を捜し紹介してくる。
しかしジェーンは結婚なんか、金輪際まっぴらだと思っている。

エジプトでは大ピラミッドの近くのメナハウスという高級ホテルに滞在。
旅行費用はすべて叔母持ちだ。
ホテルに着いてすぐに叔母はバーラウンジに直行して飲み始める。
ジェーンも叔母に付き合って飲んでいると、男が話しかけてくる。
抜かりのない叔母が彼にジェーンの名前を教えたという。
男はレドヴァースと名乗り、銀行員だと言うが怪しい。
バーラウウンジでジェーンは好印象のジャスティス・ステイントン大佐と娘のアンナとも知り合う。

次の日の朝、ミリーは珍しく早起きをしており、リリアン・ヒューズとマリー・コリンズという若い女性と一緒にゴルフをするという。
叔母によるとリリアンの父親と知り合いで、メナハウスにいるあいだ、娘の面倒を見てやって欲しいと頼まれたそうだ。

三日目の朝、ジェーンが朝食に行こうと廊下を歩いていると、ステイントン大佐と出くわす。
彼は娘のアンナを起こそうとしたが反応がないので、ジェーンに娘の部屋に入ってみてくれないかと頼んでくる。
再度ドアを叩いても反応がないので、ジェーンが部屋に入ってみると、アンナはベッドの上で射殺されて死んでいた。

事件を担当するハマディ警部はジェーンとアンナが口論をしていたことやアンナの部屋にあったバッグの中にジェーンのブローチが入っていたこと、レドヴァースをめぐってふたりの間に確執があったと見られることなどを総合的に判断し、ジェーンにホテルの敷地から出ないようにと申し渡す。
ハマディに疑われていると思ったジェーンは、疑いを晴らすために犯人を捜すことにする。
レドヴァースはジェーンに協力してくれるが、はたして彼は味方なのか…?

カイロ郊外のギザにあるピラミッドがこのお話で出てくるピラミッドです。
町からピラミッドまで遠いと思っていたら、意外と近いんですね。
どうりでヴァランダー刑事のおとうさんが1人で行けたはずです。

この小説はアガサ賞の最優秀デビュー長編賞を受賞したそうですが、ミステリーとして読むよりもエジプト旅行記として読んだ方がいいような気もします。
ピラミッド見学がしたくなりましたもの。
読んでいると日本人がピラミッドに感じるものと西洋人が感じるものとは違うように思いました。
なんてったって大英博物館にいっぱいありますものね、笑。

ひょっとしてこのシリーズは旅物?
二作目はアメリカに帰る前にイギリスで一休みし、三作目はアメリカに渡る船の上、四作目は父を探してイスタンブールですから。
コージーミステリーの一種だと思いますが、小さな町で殺人が次々と起るよりは、旅先で起る方がいいかもww。
二作目も楽しみに待ちますわ。


<今週のおやつ>
またまたチョコレートです。それも私の好きなドライフルーツチョコレート。


マンゴーにチョコレートがかかったもの。


オレンジにチョコレートがかかったもの。
買っていませんが、オレンジピールのものが一番すきです。

マイクル・コナリー 『ダーク・アワーズ』2023/02/17

ハワイ出身のロス市警ハリウッド分署深夜勤務担当刑事レネイ・バラードが主人公のシリーズ、二作目。
愛犬を失ったバラードは、ビーチでのテント生活を止め、マンションに部屋を借りました。


2020年大晦日。ロス市警は毎年恒例の警戒態勢に入っていた。
バラードは性犯罪課のリサ・ムーアと組んで、午後六時からの十二時間勤務についていた。
バラードは五週間の間にふたりの女性を襲った二人組のレイプ犯、ミッドナイト・メンを追っており、彼らが今夜再度犯行をおこなうのではないかと警戒していた。

新年の午後零時のカウントダウンのあと、空に向けて銃の発砲がおこなわれるタイミングで、ハビエル・ラファという男性が銃で撃たれたという通報が入る。
調べてみると彼は後頭部を至近距離から撃たれていた。
目撃者は現れなかったが、ラファの息子が場違いに見える男を見ていた。
ラファは元ラス・パルマス13団のギャングだったが、十四年前に金を払い、足を洗って堅気になっていた。
バラードはラファが金を払って足を洗った経緯を聞ける相手を探すが、なかなか見つからない。
そんな中、薬莢から別の事件がヒットする。
それは2011年の未解決事件で、捜査担当者はハリー・ボッシュだった。
バラードはボッシュに会いに行く。

ボッシュと別れ、マンションに着いた時に連絡が入る。
ミッドナイト・メンの被害者が昨晩レイプされたと、いまになって通報してきたというのだ。

射殺事件と二人組のレイプ犯の二つの事件を追うことになるバラードだったが、はからずも彼女は警察の暗部に足を踏み入れることになる。

バラードの地道な捜査が素晴らしいです。
彼女と比べると、無能な同僚女がウザかったです。こんな女、いるなぁ、バラードは甘いなぁと思いながら読んでいくと、期待通りに(笑)とんでもないことをしてくれます。自分のした行為を棚に上げ、バラードを恨んで陥れようとするんですから。女の敵は女というのは、ある面で正しいと思いますよ。
バラードって女友だちがいなさそうで、女のしたたかさやかけひきを知らないんでしょうね。

ロス市警は2020年5月のフロイド事件をきっかけに広がった市民の警察への反感や不信感、嫌悪感から起きた抗議行動により事なかれ主義に陥り、益々腐敗していったようです。
バラードはそんな現状を憂え、警官として市警にいることが苦痛になっていた時にボッシュという素晴らしいメンターに出会ったこともあり、心境に変化が訪れたようで、意外な行動を起こします。
次作で彼女がどうなっているのか、楽しみです。

もうボッシュが主人公のシリーズは書かれない感じで、残念です。
これから彼はバラードをバックアップする立場になるのでしょうね。
今という時代背景で書かれたミステリーの中で、コナリーの作品は面白く読めます。
次作の『Desert Star』はこの続編だということなので、早く読みたいです。
あとがきに「衝撃的な内容」と書いてあるので、もしや…。

リン・メッシーナ 『公爵さまが、あやしいです 行き遅れ令嬢の事件簿①』2023/02/15

新しいコージーミステリーのシリーズです。
シリーズ名が「行き遅れ令嬢の事件簿」なんて、今時の若い子は「行き遅れ」などという言葉を知っているのかしら?


十九世紀初頭のイギリスでは、ミドルクラス以上の女性たちに仕事に就くという選択肢はなく、実家を出て行くには結婚するしかなかった。
主人公のベアトリス・ハイドクレアは五歳の時に両親をボートの事故で亡くし、叔父夫婦に引き取られた。
そのため常に周りに気兼ねしながら生きてきたので、本来の性格とは違う内気な性格になってしまった。
その上特に美人というわけでもなく、結婚市場では誰にも見向きもされず、いつしか二十六歳の行き遅れになってしまい、こうなったら叔母の話し相手になるか、従兄弟たちの子どもの家庭教師になるしか選択肢はなかった。
しかしベアトリスはどちらも嫌だった。

九月下旬のある日、叔父夫婦は湖水地方にある侯爵家のハウスパーティに招待され、ベアトリスも従兄弟たちと一緒に同行させられた。
侯爵夫人と叔母さんが女学校時代の友人だった。
ベアトリスたち以外のゲストは、ケスグレイブ公爵ダミアン・マトロックと資産家のトーマス・オトレー、侯爵夫人の学友だったオトレーの妻アメリア、オトレー夫妻の娘エミリー、侯爵の息子アンドリューの友人アマーシャム伯爵、そして侯爵のいとこのヌニートン子爵。

ケスグレイブ公爵は見目麗しいルックスと明晰な頭脳、そして資産まであり、何から何まで完璧過ぎて、ベアトリスはすぐに嫌悪感を抱いてしまう。
オトレー夫妻は娘をアンドリューと結婚させるためにハウスパーティにやって来たようだが、ベアトリスの見たところ、叔母も同じ狙いがあるようだ。
しかし叔母の娘のフローラは美貌のエミリーに夢中だ。
はたから見ているぶんには楽しめるのだが、ベアトリスはパーティなんかよりも読書している方がよかった。

その日は部屋にひきあげてもベアトリスに眠りは訪れず、仕方なく図書館に伝記の本を探しに行くことにする。
しかしそこでベアトリスはオトレー氏の死体を見つけてしまう。
それのみか死体のそばに公爵がいたのだ。
ベアトリスは公爵に体よく追い払われてしまう。
次の日、驚いたことにオトレー氏は自殺をしたことになっていた。
もしかして公爵が彼を殺したのか?
疑心暗鬼になるベアトリスだったが、いつしか公爵と協力して犯人を捜す羽目に…。

十九世紀の貴族の様子が垣間見られるお話です。
とにかくこの時代の貴族の女性にはなりたくないですわ。
色々と面倒なんですもの。
ちなみに貴族の階級は、公爵→侯爵→伯爵→子爵→男爵だそうです。

公爵と接していくうちに、だんだんとベアトリスは失われていた自分を取り戻していきます。
階級社会なので、公爵の言うことが絶対らしいのですが、内気なはずのベアトリスは躊躇せず、公爵に自分の意見を言っていきます。
公爵はそういう女性に出会ったことがなさそうで、初めは面食らっているようでしたが、だんだんとベアトリスを憎からず思うようになっていきます。
これから二人の間がどう進展していくのか、興味があります。

不満といえば、題名です。
原題は『A Brazen Curiosity(厚かましい好奇心)』なのに、『公爵さまが、あやしいです』ですか。
主人公が26歳にもなる女性だとは思えない題名ですねぇ。
二巻目の『A Scandalous Deception』をどうするのかしら。「公爵さま、スキャンダルです」かな?
楽しみですわww。

11巻まで出版されているようです。


<バレンタインのチョコレート>
この頃、企業では義理チョコは止めましょうというお達しがあるそうですが、夫が貰って来たのがこのチョコレート。


JOHN KANAYAの葉巻ショコラ(赤ワイン)。
「伝説のレストラン「西洋膳所ジョンカナヤ麻布」のオーナー、ジョン金谷鮮治氏が愛し、トレードマークにもしていた葉巻をモチーフにして作られた」チョコレートだそうです。
「クリームをあえて使わず、赤ワインだけで仕上げたガナッシュチョコレートにクーベルチュールチョコレートを薄く塗り、職人技で巻き上げ」ているそうです。
赤ワインと一緒に食べるといいらしいです。
昨日は赤ワインがなかったので、見るだけでした。
週末にワインと一緒に食べてみますわ。


缶が可愛くて、自分で食べるには高いけど買ってしまったKEITAMARUYAMAの詰め合わせチョコレート。
五種類のチョコレートが入っています。
包み紙も可愛い。


特に気にいったのがチェリークランベリー。2個しか入っていないのが残念。
5種類ありますが、どれも好きです。
クッキーもあるそうなので、買いたいと思ったら遅かった。柄の缶入りは売り切れです。
次は絶対に買うことにします。

M.C.ビートン 『ゴシップ屋の死』2023/02/10

アガサ・レーズン・シリーズを書いたビートンの新しいシリーズ。


主人公はスコットランドの北部ハイランド地方の小村ロックドゥの巡査ヘイミッシュ・マクベスです。
彼は三十五歳を過ぎているのに、独身で、村人にはたかり屋だとか人の邪魔ばかりしているとか、色々と言われています。
実は彼の父親は小作農で、彼の弟と妹の六人の子どもたちを養えるだけの稼ぎがないので、彼が仕送りをして養わなければならないのです。
本に書かれていたのですが、ケルト系の家族では、長男があとに生まれた弟や妹が自立するまで独身でいるのが当然だと考えられているそうです。今はどうなんでしょうね。
そんなわけで、彼は家族に給料を仕送りするためにロックドゥ村の巡査になり、給料の他に鹿肉やサケを密漁し、飼っているニワトリやガチョウの卵の儲けなども両親に送っています。
ヘイミッシュは持ち前の気楽で素直な性格なので、この運命を受け入れているようですが…。

夏の間、ロックドゥ・ホテルに泊まりながらロックドゥ・サケマス釣りスクールで釣りを習うことができます。
このスクールは手ごろな料金で絶好の釣り場で釣りができるということで、釣りのアマチュアだけではなく熟練の釣り師にも人気があります。
今週行われるスクールには参加者が八人:ニューヨークから来たロス夫妻、労働党議員の未亡人のレディー・ウィンターズ、ロンドンからジェレミー・ブライスとアリス・ウィルソン、マンチェスターから十二歳のチャーリー・バクスター、前にも参加したことのあるピーター・フレイム少佐、そしてオックスフォードからダフネ・ゴア。

楽しくレッスンできるかと思ったら、とんでもありませんでした。
レディー・ウィンターズは参加者たちの住所を手に入れ、汚点を探っていたようで、参加者たちの秘密をバラしていくのです。
彼女の行いに苛立つ参加者たち。
ヘイミッシュは厄介なことが起らなければいいと思っていましたが、とうとう恐れていたことが起こります。
スクールの四日目にレディ・ウィンターズが殺されたのです。
ストラスベイン警察からブレア警部がやって来て、ヘイミッシュを事件の捜査から外します。
ヘイミッシュはこんな高度な犯罪を扱うには経験不足で、自分たちは経験豊富だからだと言うんです。
最初はやる気のなかったヘイミッシュですが、こんな風にバカにされては黙っていられません。

さてヘイミッシュはブレアよりも先に犯人をつきとめることができるのでしょうか。

ブレアとヘイミッシュの間に何かあったのでしょうか?
それともブレアの性格が悪いだけでしょうか、笑。
村人たちからは昼行灯みたいに思われているヘイミッシュですが、やればできる人で、その上家庭に問題がある子どもを助けたり、失恋した女性を慰めたりととっても優しい人です。
地主の娘プリシラ・ハルバートン・スマイスのことが好きみたいですが、身分の差もありますし、兄弟を養わなければならないので、結婚をそう簡単にできそうにありません。
でもプリシラはヘイミッシュの良さをわかっているようなので、これから進展があるかもしれませんね。
楽しみにして読みましょう。

マクベス巡査シリーズは35巻まで出版されているようです。
ビートンさんはお亡くなりになっていますので、これ以上増えませんが、こんな小さな村で35人も殺されたら、住民がいなくなっちゃうわねwww。
二巻のあらすじを見てみると、ブリシラはロンドンの劇作家と婚約してしまうみたいです。
アラ、ヘイミッシュの思いは届かなかったのかしら…。

順番に翻訳されるかどうかわからないので、アガサのように英語で読んでみようかどうか考え中です。

ジョアン・フルーク 『ココナッツ・レイヤーケーキはまどろむ』2023/01/30

レイヤーケーキって何だろうと思いませんでした?
「幾つかの層を重ねて作ったケーキ」とのことで、スポンジケーキだと思えばいいみたいです。

<クッキー・ジャー>を経営しているハンナ・スウェンセン・シリーズの日本で翻訳されている23巻目です。


歯科医のノーマンと保安官助手のマイクという素敵なボーイフレンドがいるのに、よく知りもしない男のロスと結婚式を挙げちゃったハンナ。
今までの行いが悪かったのでバチが当たったのか(?)、ロスが失踪し、彼に騙されていたことがわかり…というのが前までのお話。

ロス亡き後のハンナの心配は、妊娠。
検査で妊娠していないことがわかり、ホッとするハンナに義父のドクは休暇を取るように勧めます。
そこでハンナは母のドロレスと一緒に友達のリン・ラーチモントの引越しの手伝いにロサンゼルスに行くことにします。

しかしロサンゼルスの生活を楽しんでいるハンナのところに妹のミシェルから緊急事態だからすぐにレイク・エデンに戻ってきて欲しいと電話が来ます。
ミシェルの恋人で保安官助手をしているロニー・マーフィーが高校の同級生、ダーシー・ヒックス殺しの第一容疑者になったというのです。
ハンナは急いでレイク・エデンに帰ります。

レイク・エデンの保安官事務所では大変なことが起こっていました。
まずマイクはロニーのパートナーなので捜査から外され、ロニーの兄で刑事のリックは近親者なので捜査に携われません。
残るは保安官のビルと新人の助手ひとりで、ろくに捜査ができなさそう。

ハンナはみんなの期待と協力を得て、捜査に乗り出します。

どうにかなりませんか、このシリーズ。
いつも読み終わるとガッカリします。
読まなきゃいいのですが、ハンナが誰と結婚するのかが気になって、読んでしまうのです。
二人のボーイフレンドのうちのイケメンのマイクは何故かハンナがお菓子や料理を作り終わってみんなが食べようとする時に現れるという、ただの食いしん坊に成り下がっています。
ノーマンとハンナはいい感じなのですが、とにかくノーマンがいい人過ぎて、ハンナはノーマンの気持ちを知りながら、彼を利用し、振り回している嫌な女に思えてしまいます。
終わるに終われなくなって、作者も困っているのかな?
もうノーマンとハッピーエンドにしましょうよ。

アメリカでは後四冊も発売されているようで、まだまだ続くようです。

ヘニング・マンケル 『手 / ヴァランダーの世界』2023/01/25

この本が刑事ヴァランダー・シリーズの最後の本です。
最後ではありますが、あとがきによると「手」は2004年にオランダのブックフェアのために、ミステリ小説を買った客に書き下ろしの本を一冊プレゼントするという企画で書かれた作品だそうです。
時代は2002年10月、ヴァランダーは五十歳前半で、『霜の降りる前に』の後のお話です。


「手」
日曜日に家で休んでいるヴァランダーにマーティンソンから電話が来る。
田舎に住んで犬を飼いたいと思って物件を探しているヴァランダーに見せたい家があるという。彼の妻の親戚の家だ。
早速ヴァランダーは見に行く。
周辺の静かな様子が気にいったヴァランダーは買うことにする。
しかし家の裏庭で足先になにか当たったのが気になる。
見に行くと、それは地面からにょきっと出ている人間の手の骨だった。

地面の下には骸骨と衣服が埋まっていた。
手の主は誰なのか、死因はなにか…。
ヴァランダーはとりあえず家の持ち主を過去まで遡って調べてみることにする。

せっかく気にいった家が見つかったのに、横槍が入ってしまったヴァランダーです。
誰でも庭に死体が埋めてあった家には住みたくないですから仕方ないですね。

若手だったマーティンソンの頭のてっぺんが薄くなったなんて書いてありますw。
そういえば彼は仕事中でも妻と電話を掛け合って話しているわね。何を話しているのかしら?
ヴァランダーが自分の結婚生活が破綻したのは電話を掛け合わなかったからかと自問していますが、関係ないと思いますけど、笑。

「ヴァランダーの世界」
マンケルによるシリーズの始まりのお話や十二作品の紹介、登場人物と場所の説明、人物索引、ヴァランダーの好きなもの、登場人物や本、音楽などの文化索引があります。

世界史にあまり詳しくないので、1960年代以降のヨーロッパやアフリカのことで色々とわからないことがありましたが、それなりに面白く読んでいけました。
今になってもっと、特に戦後の歴史を学んでおけばよかったと思います。
今からでも遅くないから頑張ってみますか…(たぶん)。

夫は名前が覚えられないからと外国のミステリーは苦手で読みませんが、同じように外国のミステリがあまり好きじゃない方はドラマ「刑事ヴァランダー」を見てみて下さい。
今から思い起こすと、ケネス・ブラナーは結構本の中のヴァランダーに似ていたと思います。
若い頃のヴァランダーを描いたドラマもあるそうです。
Netflixなので私は契約していないので見られませんが、見られる方は「新米刑事ヴァランダー」を見てみて下さいね。たぶん面白いでしょうw。

ヘニング・マンケル 『苦悩する男』2023/01/22

刑事クルト・ヴァランダー・シリーズの最後の長編小説。
もう一冊、『手/ヴァランダーの世界』という本があります。


ヴァランダーは五十五歳の時に田舎に家を買い、ユッシという犬を飼い始めた。
それから三年が経った2007年。
ヴァランダーの糖尿病は進み、毎日インシュリンの注射をするようになっている。
一番変わったのはリンダだ。妊娠し、女の子を産んだ。
赤ん坊の父親は投資信託会社でヘッジファンドを扱う部門で働いているハンス・フォン=エンケという貴族出身の男で、二人は同棲している。
ハンスの父親のホーカン・フォン=エンケは退役した海軍司令官で、母親のルイースは元語学教師で、ヴァランダーが思っていた以上にいい人たちだった。

ある日、ヴァランダーは家で手入れをするために銃を持ち帰った。
そしてその夜、突然思い立ち、イースタの町に行き、レストランで食事をした。
次の日、マーティンソンにその拳銃を見せられる。レストランの椅子に忘れていったというのだが、ヴァランダーは何も思い出せなかった。
内部調査が行われることになり、ヴァランダーは休暇を取らせられる。

ハンスの父親が七十五歳の誕生日パーティを開くというので、リンダから誘われ、暇になったヴァランダーは出席することにする。
パーティの最中にヴァランダーはファン=エンケから1980年代に起きた謎の潜水艦事件の話しを聞く。

そのパーティの三ヶ月後、突然ホーカン・フォン=エンケが姿を消す。

フォン=エンケがいなくなってから四十八時間が経ち、息子のハンスからストックホルムへ行って捜査に協力して欲しいと頼まれる。 
病欠をとっていたヴァランダーは引き受けることにする。
ハンスもルイースも心当たりがないというが、ヴァランダーはパーティの時のフォン=エンケに違和感を持っていた。

海軍時代の知り合いに話を聞きにいくが、何も手がかりを得られなかった。
そのような中で、妻のルイーズまでもが姿を消す。

イースタ署にはマーティンソンとニーベリ以外に前に一緒に働いていた同僚はもういません。私はフーグルンドに注目していたのですが、一体彼女はどこに行ったのでしょう?
マーティンソンは孫のいる年齢になっています。ヴァランダーとの間は前と同じ感じになっていますが、ヴァランダーが銃を忘れたことをマスコミにチクったのは彼か、署長なのか?それとも…。

日本とスウェーデンとの違いは、子どもができたからといって結婚するわけではないというところと、子どもの親にはなっても、一生一緒に暮らすとは限らないと思っているところですね。
同棲カップル(サンボという制度があるらしい)も結婚カップルも社会的にも法的にもほぼ同じように扱われているからなのでしょうね。

ヴァランダーは老いることをとても恐れています。
彼自身が気づくほど記憶力が減退してきているので、なおさらなのかもしれません。
そんな中、一人で捜査をしていき、すべてが明らかにはならなくても、それなりに真実に近付いていけたのは流石です。
バイバとのことは、これは男性の願望ですかね。女は別れた男のことをサッパリと忘れると思いますよww。

このシリーズはミステリーではありますが、人間がよく描かれています。
ヴァランダーと同じ年代の男性が読むと、なお一層身につまされ、感慨深いものがあるのではないでしょうか。是非読んでみてください。


<今日のわんこ>
やっとパパの水を飲んでくれました。


昨日寒かったので、今日は厚着をさせたからでしょうか?
二匹共に飲んでいます。
しかし…。


ママには塩対応です(>o<)。