堂場瞬一 『共犯捜査』2024/03/23

「検証捜査」シリーズの三作目。
今回は福岡県警捜査一課強行犯の刑事、皆川慶一朗が活躍します。
このシリーズは先に『検証捜査』を読み、その後二作目から四作目は好きなものから読み、『凍結捜査』、最後に『共謀捜査』と読むのが良さそうです。


太宰府市で誘拐事件が発生。
被害者は七歳の小学校一年生の女の子。
四時の帰宅時間になっても帰らず、午後七時に「娘を預かっている。現金五千万を用意しろ」という脅迫電話がかかってきたという。

福岡県警捜査一課強行犯の刑事、皆川慶一朗は先輩刑事の馬場と覆面パトカーで身代金を奪った犯人を追跡する。
しかし、突然、犯人が東浜埠頭でスピードを上げ、海へ…。
運転していた犯人は死亡し、身代金の入ったボストンバックは見つからない。
福岡県警史上最大の失敗か。
やがて市営海づり公園で、被害者の遺体が見つかる。

謹慎していた皆川の処分が一番軽い、所属長注意であると告げられた日に、横浜の特別捜査チームの一員だった警視庁の刑事、神谷悟郎から連絡が来る。
彼のところで強盗事件を起こして捕まった人間が、誘拐事件の共犯だと自供しているという。

東京ヘ飛ぶ皆川。
容疑者の長池は誘拐した事実を認めるが、肝心なことは一切明かさない。
他の共犯の存在を疑うが…。

そんな時に誘拐事件が起ったというタレコミがある。
二度目の誘拐事件か。
被害者の父親は事実関係を否定するが、調べて行くと、誘拐の可能性が高まっていく。
何故父親は嘘をつかねばならないのか?

皆川の頭に、同一犯による連続誘拐事件という文字列が浮かぶ。
果たして皆川は失態を挽回できるのか…。

元駅伝選手の皆川は十歳年下の大学を出たばかりの女性と結婚し、子どもが生まれたばかりです。そのため子どもを誘拐された親の気持ちは独身の頃よりも身に染みてわかるようになっています。
でも、奥さん、刑事の妻として大丈夫?心配だな。
前作の若林に比べれば、断然皆川の方が共感できますね。

何となく筋が読めてしまい、事件の動機が最後にサラッと書かれていて、もっと深みがあったら良かったような気がします。
前回と同じように永井と神谷が出てきたのが嬉しかったです。
堂場作品は推理を読むのではなく、登場人物を読むものと思って読むといいようです。

滅多にラーメンは食べませんが、豚骨ラーメンが食べたくなりました、笑。