面白い時代小説三冊2023/02/06



畠中恵 『わが殿』
畠中さんの初めての史実に基づいた小説です。
殿とは越前国大野藩七代目藩主・土井利忠。
主人公はその殿に仕える、わずか八十石の内山家の長男・七郎右衛門。
幕末期にはほとんどの藩が財政赤字に苦しんでいたが、大野藩も例外ではなかった。藩主・利忠は藩政改革を行い、藩の財政を立て直そうとする。その時白羽の矢が立ったのが金勘定に優れた七郎右衛門だった。
彼は幕府から大きな借金をし、面谷鉱山で新鉱脈探しを行い、金を作る。一方藩主は面扶持を断行する。
しかし借金がどうにかなるという見通しがつくと、藩校明倫館を作るために金が必要になる。そうこうするうちに江戸城が、その二年後に江戸の上屋敷、中屋敷が火事で燃え、立て直しを余儀なくされたりと、金は出て行くばかり。
七郎右衛門は命を狙われ、恨み嫉みで嫌な思いをすることもあったが、打ち出の小槌とはよく言ったもので、誰も考えないような金策を次々と考えていく。
やがて黒船が到来し、時代は移り変わっていく。

七郎右衛門に絶大な信頼を寄せる藩主と「殿、命」と仕える七郎右衛門の関係がいいです。偉大な功績を残した君主のもとには素晴らしい家来がいるのですね。七郎右衛門の才能を発掘し、登用した殿の見る目の確かさは流石です。
淡々とした書き方で、話が長く、途中で飽きちゃうこともありましたが、江戸時代の藩がいかに財政赤字に苦しんでいたのかがよくわかりました。
こうしておけば幕府にたてつく暇がないですものね。
福井はまだ行ったことがないので行って、天空の城「越前大野城」を見てみたいです。

泉ゆたか 『春告げ桜 眠り医者ぐっすり庵』
藍は生まれ育った茶農家の”千寿園”で西ヶ原の名物となるお茶を作り出すという研究に打ち込んでいる。
そんな藍のところに『万屋一代記』という格言集で人気を博した商売人の万屋一心がやって来る。
千寿園は滝野川の京料理を出すことで有名な高級料亭「桜屋」に千寿園の茶葉を仕入れてもらおうと画策しており、一心が桜屋と話をつけてくれたのだ。
藍が一心と一緒に桜屋に行き女将と話していると、桜屋は一心に江戸者たちが喜ぶような桜の宴を考えるように頼んでいたことがわかる。
そこで一心がとんでもないことを言い出す。
藍に三月ほど桜屋で働きながら、お江戸の客を魅了する催しを見つけろというのだ。
女中たちと一切変わらぬ扱いで働き始める藍だったが…。

藍は桜屋の女将と江戸対京のお茶対決をします。
京は宇治茶が有名ですが、東京のお茶って何がありましたっけ?
狭山茶は有名ですけど、埼玉県ですよね。
今回は眠り医者が付け足しみたいでしたが、お茶がとても美味しそうでした。
この頃ほうじ茶ばかり飲んでいますが、たまにはゆっくりと煎茶を飲むのもいいかも。もちろん和菓子は必須ですww。

横山起也 『編み物ざむらい』
黒瀬感九郎は凸橋家から召し放ちになり、父から勘当を申し渡され、行くところもなく、大川のほとりで得意の編み物をしていた。
そこで女が浪人たちに因縁をつけられているのに遭遇し助けようとして怪我をしてしまう。
女は御前、彼女を助けに来た異形の侍は能代寿之丞といい、なんと手妻師だという。感九郎は彼らの住む「墨長屋敷」に連れられていき、しばらく世話になることになる。屋敷には彼らのほかに戯作者のコキリという女がいて、感九郎が編み物をすると知ると、最上級の絹糸で手袋を編んでくれと言い出す。「仕組み」のために必要なのだという。
成り行きから感九郎は彼らの仕事に協力することになる。

題名が面白いので、読んでみました。
江戸時代に編み物をする侍がいたなんて、驚きですよね。
本によるとメリヤスが入ってきたのは安土桃山時代、織田信長や豊臣秀吉の時代から江戸初期にかけてで、南蛮から来た宣教師がもたらし、刀の柄袋やメリヤス足袋、手袋から襦袢や股引まで編んでいたそうです。
感九郎には、ここには書きませんが編み物以外にも特殊能力があります。
墨長屋敷のメンバーもキャラ立ちしてますが、感九郎の婚約者のマオさんはいいキャラです。
侍はこうであらねばならぬとギチギチと締め付けられた江戸時代を舞台にした痛快な時代小説です。

今回読んだ三冊はどれもオススメです。
一冊というと、『編み物ざむらい』かな。是非読んでみてください。

読んだ時代小説三冊2023/02/03



馳月基矢 『友 蛇杖院かけだし診療録』
シリーズの三作目。
ある日、蛇杖院に北町奉行所の定町廻り同心の大沢振十郎が現れる。
怪しげな薬で騒ぎを起こしている黒い暖簾の正体が蛇杖院の蘭方医・鶴谷登志蔵であるという投げ文があり、その証として大沢は帳面を持っていた。
登志蔵は見習い医の長山瑞之助に右のまぶたのあたりにやけどの痕がある男を見かけたら、気を許すなと告げた後、姿を消す。
一体誰が登志蔵を陥れようとしているのか。
登志蔵の隠された過去に関係があるようだった。

瑞之助は少しずつではありますが、医師として成長しています。
今回、先輩医師の登志蔵の過去が明かされます。
それにしても男の男に対する嫉妬は酷いと聞いたことがありますが、これほどとは思いませんでした。恐ろしいです。

和田はつ子 『小雪ずし 料理人季蔵捕物控』
時は師走。塩梅屋では小雪寿司が評判になっている。
北町奉行の烏谷が季蔵のところにやって来る。
金江藩主の息女伽耶姫と清水川藩主の三男龍之介との縁談が持ち上がり、龍之介の女関係を糊塗とすることになった。
しかしその中でただ一人、女絵師の清原彩香だけは示談に応じなかった。
彼女と龍之介は男女の仲ではなかったからだという。
困ったことに龍之介は片思いゆえの下心が窺える代物を彩香に贈っているという。
今回の季蔵の密命は、その贈った物を取り戻すことだった。
次の日の早朝、季蔵は松次親分に起こされる。
浮世絵師の喜多見国麿の骸を検めて欲しいというのだ。
助っ人として来た疾風小僧によると、お奉行からのお役目と喜多見国麿殺しは関わりがあるという。
季蔵は疾風小僧と共に彩香の家に行き、季蔵に化けた疾風小僧が彩香に小雪ずしの作り方を教えている間に季蔵が屋敷内を調べることにする。

いつも思うのですが、料理ネタが長すぎます。
料理のことをほどほどにすると、事件がもっと際立つと思いますけど…。

坂井希久子 『ねじり梅 花暦居酒屋ぜんや』
年の瀬となると、押し込み強盗が多く現れる。
狙われたのが、熊吉の奉公する俵屋。
何者かが熊吉を名乗り、女中に潜り戸をあけてくれないかと告げた。
熊吉と若旦那は居酒屋ぜんやの女将・お妙の父がかつて売っていた薬をもとに作られた「龍気補養丹」を上方で売るために旅立っており、そろそろ戻って来る頃合いだった。
女中の機転で俵屋は事なきを得ましたが、声や口調、喋る早さまで熊吉と似ていたと言う。

お花は宝屋に海苔を注文しに行った帰りに自分を捨てた母親と再会する。
母は堅気の男と所帯を持ち幸せそうだった。
母に自分と会ったことをお妙たちに内緒にすること、そして毎月一のつく日に会いたいと言われ、お花は断れなかった。
しかしこのことが後にぜんやにとんでもないことを招く。

とってもイライラするのがお花の言動です。
15歳ぐらいになればもっとしっかりしませんかね。
大事にならなかったからいいのですが、今のままでは心配です。
「花暦居酒屋ぜんや」シリーズになり、若い熊吉とお花たちの世代のことになってから、あまり面白くなくなりました。
私はお花のような性格の子が苦手なようです。


<きょうのわんこ>


相変わらず髪がボサボサの弟犬です。
彼はこの頃ソファに跳び乗れなくなりました。
勢いをつけて跳ぶのですが、胸をソファにぶつけてしまうのです。
懲りたのか今は階段を使ってソファの上にのります。
悲しいことに犬も人と同様に年を取って、だんだんと出来ないことが増えていくのですね。

読んだ本2023/01/06

初出勤した夫曰く、「同僚が年末にコロナに罹って休んだ。息子が飲みに行きまくっているらしい」。
若い人たちは滅多に重症化しないので、我慢するのはもう嫌になったのでしょうね。気持ちはよ~くわかります。
年配者としては症状は人によるので、どうなるのかかかってみなければわからないのが、ロシアンルーレットみたいで嫌です。
医師が処方する薬は解熱剤だけで、買い物ぐらいはしてもいいと言うそう。
もはや防ごうとしても無理という段階ですね。

お正月は遅く起き、二食の生活だったのですが、普通の生活が始まり、朝食を食べ始めると、胃が痛くなりました。
三食は胃に負担なのかも。
胃の不調でやっとプラトー脱出できる…かな?


青木裕子 『これは経費では落ちません!10』
天天コーポレーションで税務調査が始まり、調査官たちがやって来る。
森若沙名子は想定外の事態が持ち上がらないかと心配している。
問題は吸収合併したトナカイ化粧品。大丈夫か…。
私生活では太陽との結婚話が持ち上がるが。

経理のお仕事をしている人にとっては身近な税務調査のお話です。
いよいよお話も大詰めです。
森若さん、生真面目過ぎですよぉ。太陽に結婚へのタスク一覧を渡すんですからね、笑。
次回の天天コーポレーションのみんなのリアクションが楽しみです。

小湊悠貴 『ホテルクラシカル猫番館 7』
ブライダルフェアの準備は着々と進んでいる。
ウエディングドレスは地元のドレスデザイナーに頼むことになる。
新作のドレスが作られることになるが、モデルはホテルの従業員をというデザイナー側の依頼で、紗良が選ばれる。
しかしドレスのデザイナーが要の元カノだった。
やっとつき合い出した紗良と要はどうなるのか。

なかなか進まない二人の関係ですが、ブライダルフェアをきっかけに上手くいくといいですね。
いつも書いてますが、こんなホテルがあったら、泊まりに行きたいです。

森晶麿 『チーズ屋マージュのとろける推理』
美藻はDV彼氏から逃れ、ひょんなことから神楽坂にあるチーズ専門のレストラン、マージュでウエイトレスとして働くことになる。
マージュのシェフの真沙流は料理の腕も確かなのだが、推理力が抜群で、お客さんの悩みやトラブルを次々と解決していく。
ついでに美藻の方の問題も…。

森さんというと、黒猫シリーズが好きなのですが、この本には美学やポーのお話は全く出てきません。チーズに関する蘊蓄も少ないです。そこが私としては残念。
ヒロインもただのおバカ女か(失礼)。

風野真知雄 『潜入味見方同心 五 牛の活きづくり』
兄の敵を取った魚之進は今度は上さまの毒殺未遂の容疑者捜しをしている。
そんな中でも食べ物に関する謎ーー傷だらけの麺のうどんや結びどじょう汁、牛の活きづくり、青い飯などーーが次々と持ち上がり、魚之進は謎解きに奔走する。
いつしか魚之進は兄を超えているのに、そうは思わず、兄嫁との仲も進まず、どうなるのか。

『チーズ屋…』はシリーズになるのかどうかわかりませんが、他のシリーズ物は面白く、すぐに読めますので、時間つぶしに何か読みたい時にどうぞ。

明けましておめでとうございます2023/01/01



「あけましておめでとうございます」by 兄犬
「ハッピーニューイヤー。大晦日に間違えて言っちゃった、(;^^)ヘ..」by 弟犬

今年はさっぱりした姿で御挨拶ができました。
珍しくパパが協力してくれたので、犬たちはまっすぐ前を向いて…いるかな?
兄に近づかないように腰が引けている弟犬ですが、よしとしましょうww。


こんなのも撮れていましたがね、笑。
「ママ、変な写真のせないで下さい」と犬たちが怒っております。ゴメン。


相変わらず散歩の写真はまともなのが撮れません。


やっと年の最後に一枚、兄犬の可愛い写真が撮れました。(前を見てないけど)

今年のお節は昨年同様、デパートの和洋中の三つのものにしました。


しかし味が今一。中華が一番ましなので、来年は中華のお節を頼むことにしました。(「生きて、忘れていなかったらね」by 夫)

では恒例の(かな?)昨年面白かった本の紹介をしましょう。
あくまでも私が読んだ本で、昨年発売された本ではないです。
そうそう他の人が何冊読んだか書いていたので、真似をして数えてみました。
そうすると、約284冊でした。(何故「約」がつくかというと、数え間違いがありそうだからですww)
一日一冊は無理でしたね。
この他にマンガがあるので、マンガも入れると300冊は超えています。
仕事を辞めて引きこもっているから…と言いたいのですが、読む時間は毎日寝る前の1時間から多くて3時間ぐらいです。

今年注目した日本人作家:
 澤田瞳子 『若冲』、『落花』
 一色さゆり 『光をえがく人』、『ピカソになれない私たち』
私は伝記物や画家やアートの世界を描いた作品が好きです。

外国ミステリー:
北欧のものがこの頃のお気に入りです。
アイスランド・ミステリー:
 アーナルデュル・インドリダソンの「エーレンデュル捜査官」シリーズ
ノルウェー・ミステリー:
 ヨルン・リーエル・ホルストの「刑部ヴィスティング」シリーズ
スウェーデン・ミステリー:
 ルースルンド&ヘルストレムの「グレーンス刑部」シリーズ 
 ヘニング・マンケルの「刑事ヴァランダー」シリーズ              
英米ミステリ:
 「刑事ハービンダー・カー」シリーズ
 「ワシントン・ポー」シリーズ
 「ジョー・タルバート」シリーズ

日本のテレビドラマ
 「黒猫ルーシー」、「幼獣マメシバ」、「犬飼さんちの犬」などの動物もの。
 「名建築で昼食を」、「ちょこっと京都に住んでみた」等テレビ東京系列のドラ  
 マが面白いです。
 「ヒロシのぼっちキャンプ」が自分の中では今年一番のヒットかな。  
 また山に行きたくなったけど、体力と膝がもたないか…。

外国のテレビドラマ
 「ブラウン神父」シーズン9、「ボッシュ:受け継がれるもの」シーズン1、
 「刑事ヴァランダー」

番外編でワークアウト動画:「Walk At Home」がメインでたまに「室内散歩」

個人的なことでは、昨年、ダイエットに成功しましたが、今年も引き続きやっていきたいと思います。
とりあえずの目標まであと3㎏。なかなか減りません。

コロナ禍で引きこもり生活を続けていましたが、今年はもう少しアクティブになり、犬連れでお出かけしたいと思います。もちろん人がそれほどいないところですが。
旅行は双子に会いに岐阜へ行き、家族で北海道の十勝地方を回りたいです。
海外へはまだ行けませんね。

昨年は戦争が始まり、世界的に不穏な感じになってきました。
その中で日本が果たすべき役割はなんなのでしょうか。
今の様子では政治不信が広まりそうな気がします。

とにかく2023年が穏やかで平和な年でありますように。
みなさま、今年もよろしくお願いいたします。

読んだ本2022/12/29

とりあえず読んだ文庫本を載せておきます。


佐藤正午 『月の満ち欠け』
第157回直木三十五賞受賞作品。

小山内堅に会いに来た男、三角哲彦は小山内に彼と正木瑠璃という女の驚くべき愛の物語を語る。
三角に再び会うために瑠璃は何度も生まれ変わっているというのだ。
妻と共に亡くなった小山内の娘、瑠璃は正木瑠璃の生まれ変わりなのか。
そして…。

三角と瑠璃の間が純愛なのか…私にはなんとも言えません。
年月が経つに従い三角は年を取り、瑠璃は生まれ変わるたびに幼くなっていきますよね。う~ん、ちょっとキモいかも。
それにしても瑠璃の旦那の正木竜之介が可哀想です。
映画になっているようですが、どんな感じなんでしょうね。
私には予想がつきません。
まあ生理的に受け付つけないところもありますが、最後まで読ませる佐藤正午はさすがです。

篠綾子 『吾亦紅 小烏神社奇譚』
小烏神社に尼がやって来る。
宮司に亡き人の魂を浄土へ渡して欲しいというが、亡き人の魂がどこにあるのか分らないという。
竜晴は居場所がわからなければできないと断る。
尼が帰った後、小烏丸の様子がおかしくなる。記憶を失くす前に彼女を見たことがあるような気がするという。
猫のおいちがいなくなり、玉水は淋しそう。氏子の花枝と大輔が虫聞きの会を開いて平山弥五助とおいちを呼んではどうかと提案する。竜晴は早速虫聞きの会をすることにする。
虫聞きの会で泰山が近頃、寝付きが悪くなったり、悪夢で目が覚めて眠れなくなる人が増えているという話をする。
次の日、鷹のアサマがやって来る。伊勢殿が悪夢にうなされているという。
寛永寺で虫聞きの会があるので、竜晴はその時に伊勢殿に確かめてみると約束するが…。

今回は『平家物語』に登場する、清盛に寵愛された白拍子の祇王にまつわるお話です。彼女の人生をよく知らなかったのですが、色々とあったんですね。

平谷美樹 『貸し物屋お庸謎解き帖 百鬼夜行の宵』
江戸の貸し物屋、湊屋両国出店の主・お庸はまっすぐな気性で男勝り、口の悪さで知られている。彼女の店に様々な客がやって来る。
凧の骨を借りに来た十歳ほどの童や四十絡みの家の仲介を頼んできた男、三十五、六の坊主の着物を借りに来た二人の男たち、お庸を手籠めにしようと目論み、卒塔婆を借りに来た二人の大店の跡取り息子たち、十組の布団を借りにきた中年男、花嫁装束を借りに来た陸奥国神坂家の江戸家老、橘喜左衛門。
彼らは何のために物を借りに来たのか、お庸はその裏事情を調べて行きます。

はっきり言ってお庸のことが嫌いでした。しかし今回、お庸が今までとは違って、人の意見を聞いたり、助けを借りたりするようになってきました。
色々と経験するうちに大人になったってことでしょうか。
これなら次作も読めそうです。

なかなか年の瀬は本に集中することができません。
図書館から借りた本が貯まっています。なんで一遍に来るんでしょう。
2、3冊は読まずに返してしまいそうです(悲)。

読んだ本2022/11/22

軽く読める文庫本の紹介をします。


五十嵐佳子 『願い針 結実の産婆みならい帖』
シリーズの三作目。
結実が祖母の真砂に弟子入りをし、産婆見習いの修行をしてから八年が経った。
もうひとりの産婆見習いのすずは幼馴染みの町火消しの英吉と祝言をあげ、子どもができる。
六月のすずのお産が始まった晩に真砂が卒中で倒れ、結実は否応なしにひとりですずのお産を取り仕切る。
七月に結実は父がいとなむ大地堂で見習い医師をしている源太郎と祝言を挙げる。
突然独り立ちをせざるおえなくなり、戸惑いと不安でいっぱいの結実だが、今やお産を扱うのは結実ひとりとなってしまう。
さて、結実は産婆として独り立ちできるでしょうか。

「産婆」って何?と思う人が多いでしょうね。
実は実家の祖母が産婆をやっていたので、わたしは祖母にとりあげられています。何かの用事でお産をしているお宅に行った時に出てきた祖母の手が血で真っ赤だったのを覚えています。とりあげる途中だったのかしら?

昔も今も女性が仕事を持つことは大変なんですね。
結実と源太郎夫婦が共に一人前に成る日が来るのが楽しみです。

山本巧次 『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 司法解剖には解体新書を』
おゆうこと関口優佳は江戸と現代の二重生活を送っている。
現代はコロナ禍なので、おゆうは江戸にコロナを運ばないように気をつけている。
そんなある日、おゆうと南町奉行所定廻り同心の鵜飼伝三郎は南町奉行所内与力の戸山兼良から呼び出される。
筑前守の配下だった河村右馬介が急に三日前に亡くなり、河村と長崎在勤の頃から懇意だった唐物商の平戸屋市左衛門も五日前に死んでいた。
河村は心の臓の発作が死因だと言われているが、これまで一度も心の臓が弱いとか悪いとか言われたことがなく、ふたりの亡くなり方がそっくりだったという。
戸山が何か隠しているのではと思いつつも、おゆうたちは二人の死の調査を始める。

今回の歴史上の有名人は杉田玄白の弟子・大槻玄沢です。
おゆうが玄沢にも関係した事件を解決したので、おゆうは玄沢のサイン入り『重訂解体新書』をもらいます。そうとうの値打ち物ですね。
「千住のせんせい」の宇田川はバラして分析したいと言い出しますが、笑。
次にどんな有名人が関わってくるのか、楽しみなシリーズです。

澤村御影 『准教授・高槻彰良の推察8 呪いの向こう側』
深町尚哉君は捜査一課の刑事の佐々倉から柔道を習い始める。というのも簡単な護身術も教わりたいと佐々倉に言ったら、早速佐々倉は柔道場を貸し切ってしまったからだ。口は災いの元、笑。
尚弥は投げられてばかり。珍しく佐々倉は高槻とケンカをし、むしゃくしゃしているようだ。

第一章:押し入れに棲むモノ
正月に実家に帰省した尚哉。親と彼の間には色々とあり、互いに遠慮し合っている。親が新しく飼いだした犬のムギを散歩させていると、小学校で同級生だった田崎涼と偶然に出会う。
新学期が始まり、高槻からバイトだと呼び出される。それは涼の兄で小学校の先生をしている田崎晋からの依頼で、『モンモン』というお化けが学校に出たという。高槻は尚哉に友達がいたと喜ぶが、複雑な気持ちの尚哉。
大学の講義では童謡(『サッちゃん』や『かごめかごめ』、『なべなべ底抜け』)にまつわる怪談や都市伝説を扱う。

第二章:四人ミサキ
春休みに尚哉は自動車教習所に通い始める。
休みでも高槻からのバイトの呼び出しが入る。
今回は高槻の五歳下の従弟、優斗の妻、美華子からの相談だ。
彼女が通っていた英会話学校の友達の光莉が怖い目に遭っているという。
彼女と小学校の時に仲の良かった四人グループのうちの一人、美紗紀が亡くなり、その後に美紗紀から彼女の描いた絵をおしつけられた可乃子が亡くなる。
そして家のポストにその絵が描かれた紙が入っていた芽衣はインフルエンザから肺炎を起こして入院したという。
可乃子も芽衣もその絵が来てから、美紗紀の夢を見、美紗紀に呼ばれると言って恐れていたようで、光莉は次が自分が呼ばれる番だと思って怖がっているのだ。
果たして不幸は連鎖するのか。

第三章:雪の女
高槻と佐々倉といっしょに尚哉は新潟の湯沢町にあるゆきのや旅館の『幸運の猫』に会いに行く。高槻と佐々倉はスキーもやるという。スキーがあまり得意ではない尚哉に高槻たちはちゃんと面倒をみてやるというが。
スキー場で高槻たちが休憩をしている時に同じ宿に泊まっている男女五人組に話しかけられる。その中の一人、野中が二十年以上も前に会った雪女を探しに来ていると聞くと、高槻はもう我慢ができない、笑。
なんと野中は雪山に迷い込んだ時に雪女に助けられたというのだ。
本当に雪女はいるのか。

高槻の家族の話が出てきました。徐々に高槻の秘密が明かされてくるのでしょうかね。

七海花音 『英国紅茶予言師』、『英国紅茶予言師 古城の悪魔』
イギリスのパブリック・スクールについて知りたかったので読んだ本です。
主人公は風森心という十六歳の男の子。
彼は東京の下町にある小さな児童養護施設で育った。施設の前に捨てられていたのだ。何故かシンは誰にも引き取られず施設に残っていたので、園長の風森がシンを気の毒に思い養子にした。
彼は記憶力がよい上にケタ外れに賢く、一昨年、園長がイギリス留学試験を見つけてきてシンに勧めた。シンは見事合格し、奨学金をもらい、三年間パブリック・スクールのレイトン校で学ぶことになった。
園長はシンが合格したのを知ると安心したのか、しばらくして亡くなってしまう。
そんなわけで、シンは今や天涯孤独の身だ。

財団が援助してくれるのは、学費と寮費と食費、教科書代などで、渡航費と生活費は援助してくれない。
十三年生が着る燕尾服などフルセットで三千ポンド(約四十五万円)もする。
お金のないシンは制服を卒業生から譲ってもらうことにする。

卒業式でシンはエドワード・エリントンという伯爵家の次男と出会う。
シンはエリントン家のみんなから気に入られ、学校が始まるまでロンドンのエリントン家のタウン・ハウスで過ごし、エドワードから制服を譲ってもらう。
学校には彼をからかう奴らや日本人に敵対心を持つ学園長がいるが、寮の同室になったギルことギルバート・クラークソンとはすぐにいい友達になる。
ギルは没落貴族で、根暗でネガティブなことばかり考える子だったが、シンが紅茶を飲むと二、三日後の予言ができることを知ると、紅茶占いで人助けをしないかと提案する。
シンが紅茶予言師(ティー・カウンセラー)になり、ギルが紅茶を選び、見料は七ポンドで、シンとギルがそれぞれ三ポンド、残りは茶葉ということにする。
後にシンはこのことで大事件に巻き込まれることになる。

これはYA向きの本ですね。大人が読むと、わたしみたいなパブリック・スクール好きじゃなければ、怒っちゃいますね。
でもわたしはシン君の過去が気になるので、続けて読みますけど。

どれもシリーズ物ですが、それなりに面白いので、軽いものを読みたい方、手にとってみてください。

風野真知雄 『わるじい慈剣帖10 うそだろう』2022/11/18

減量講座が終わって、気が抜けて、また食べ出すかと思ったら、大丈夫です。
でも体重の減りは緩やかで、ひょっとしたらプラトー(停滞期)かも。

食事は「あすけん」のアプリを使って、1500カロリーを目安に摂取カロリーをみています。あまり細かく材料を量るのも面倒なので、適当。
困るのは料理を選ぶと、材料に何を使っているのかとか何を何グラムで一人前なのかがわからないことです。せめて一人前〇〇グラムと表示して欲しいですわ。

エクササイズも続けています。毎日は疲れるなぁと思って調べてみると、毎日やらなくてもいいようです。週に3日ぐらい、一日置きにやればいいかなと思っていますが、やらないのも物足りないので、軽いエクササイズを探してやっています。(結局毎日してるんかい、笑)
おばさんなので、初心者用の軽いのをやります。
体力のない人とか中年以降の方は参考になるかもしれないので、何をしているのか載せておきますね。(けっして回し者ではないですがww)
Marina Takewaki」の「10分で1000歩 おうちで歩こう」、「20分で2000歩 おうちで歩こう」、「室内散歩10分」、「室内散歩20分」を気分によって組み合わせて30分から40分やります。まりなさんが可愛くて、いっしょにやろうという気になります。色々とあるので、物足りない人は他のもやってみるといいかも。
たまにお母さん(60歳!)も登場しますが、彼女、インストラクターらしく、キレッキレです。
わたしはステップを覚えられないので(恥)、単純なものを選んでいます。
軽くやろうと思う日は母(81歳!)と娘がやっている「yes2next」。
お母さんがキュート!英語ですが、二人で会話をしながらのんびりやっているのがいいです。これは何歳でも出来そうです。
後は「やさしいエアロビクス」とか「アゲトレ」。「アゲトレ」ではやさしい口調のインストラクターさんといっしょにアニソンメロディーに合わせて歩くとかいうのもあり、楽しめます。
今度試そうと思っているのが「Walk at Home」です。色々な体型の人たちが集まって歩くというのがアメリカらしいですね。

さて、本の紹介です。


『わるいじい慈剣帖』も十巻目になりました。なんと残念なことに、今回で完結となります。

やっとやくざの抗争も終わりかと思っていたら、収まらなくなっていました。
今まで銀治郎に従っていた連中の半数が東海屋千吉を、後の半数が新しい親分を担ごうとしているのです。
愛坂桃太郎は孫の桃子と思う存分触れあえると思っていたのにね。
雨宮五十郎が上司の南奉行所の町回り方与力、松島凡太郎を連れて、抗争を鎮める知恵を借りにきました。
桃太郎は千吉よりも人望も実績もある男はいないのかと聞きますと、牢獄に入っているが、一人いると言います。
果たして桃太郎の目論見は上手く行くのか。

そんな頃に、大家の卯右衛門が飼っていたタコが一匹から五匹まで増えたのに殺されたり、夜明けから日没まで二階の窓から通りを見下ろしている侍や変な音を出す男が現れます。
これらの謎を解くことができるのか、桃太郎。

そして最後には、ビックリすることが起こります。
人との縁はどうなるのか分りませんね。
桃太郎と桃子、そして珠子の幸せを祈るばかりです。


お菓子類は買わないと思ったのですが、減量講座に参加する前に頼んでいたものが届きました。沢山ではなくちょびっとだけ食べたいのですよ。


ムッツィのパネットーネ クラッシコです。
クリスマスらしい包み方です。


まだ食べないので、どんなものかわかるように上についていた写真を乗せてみました。頼む時にどれぐらいの大きさか確かめていなかったので、大きく(1000gですよ)てびっくりしました。
これは食べきれませんわ。切ったら冷凍庫に入れておくしかなさそうです。
夫はまばら食いなので、一切れは食べるでしょうが、その後食べるかどうかわからないから困ります。だから太らないのかもね。

中島久枝 『浜風屋菓子話 日乃出が走る<二>&<三>』2022/10/11



『浜風屋菓子話 日乃出が走る<二>』
百日で百両、菓子を売って稼ぐという勝負に勝った日乃出は、浜風屋に残り、菓子修行を続けています。
彼女の中では西洋菓子を学びたいという思いが募ります。
そういう時に、ロビンソン商会のタカミナと出会い、彼からホテルにある彼の店で働けば西洋菓子を教えて貰え、行く末は日本一の西洋菓子の職人になれるとまで言われ、日乃出の心は乱れます。
そういう気持ちでいると、上手く行かないもので、浜風屋でいっしょに働いている勝次や純也ともぎくしゃくとしてきます。
浜風屋でたまたま働き始めた葛葉は、兄を探しているとはいえ、何やら秘密があるようです。

西洋菓子に惹かれるのはわかります。でも和菓子さえもろくに作れないのに、色々と手を出したくなる日乃出です。
思い切ってホテルに勤めたのですが、そうは問屋が卸さない。
タカミナの考えていたことがわかり、自分の立場をちゃんと理解したかな。
お嬢さん育ちですから、なかなか心根は変わりません。

天敵・谷善次郎の妾のお利玖は見上げた女性です。
女郎になり、病気になった姉の世話をし、鷗輝楼の経営もやり、谷に頼らずにもっと上を目指しています。
明治になって「刀の代わりに、金が力を持つ。人を動かす」と言い切るお利玖から目が離せません。

『浜風屋菓子話 日乃出が走る<三>』
結局、浜風屋に戻って来た日乃出。浜風屋が彼女の居場所です。
江戸で三本の指に入るといわれた名料亭、深川松から還暦の祝いの引き菓子を頼まれます。
しかし、そこに白柏屋が横槍を入れてきます。自分たちが橘屋の本流だというのです。
そんなわけで、双方で菓子を作り、祝いの席にいるお客にどちらの出来がいいか決めてもらうことになります。
これを皮切りに、白柏屋対浜風屋の勝負が続きます。
次は中が空っぽの饅頭、そして最後の勝負として、干菓子。
さて、どうなるのか。

そしてその頃、お光に縁談、日乃出には恋…。

日乃出も失恋して、少しは大人になったかな?
お菓子の方の発想はいいんだけど、勝次がいないとダメじゃない。自分で作れないんだから。当分修行が続きそうですね。
新しい職人、五郎が浜風屋に入りますが、どうなることか。
橘屋の再建はできるのか。
まだまだシリーズは続きそうです。

江戸時代のお菓子屋シリーズ2022/09/24



中島久枝 『菊花ひらく 日本橋牡丹堂 菓子ばなし<10>』
鎌倉の旅籠屋の娘、小萩は春に日本橋牡丹堂の菓子職人の伊佐と祝言をあげてから、季節は秋になりました。
小萩庵には次々とお客がやってきます。
反射式のぞき眼鏡のお披露目会のための菓子や過ぎさったことを思い出に変えるための十五夜のお菓子、重陽の節句に菊好きが集まる宴で出す菓子、占い師から用意するように言われた亥の子餅などを頼まれます。
ちょうどその頃、曙のれん会では天敵勝代が関係する面倒事が起っていました。
そして店の跡取り息子、幹太は芸妓千波と逢瀬を重ねていましたが…。

菊を楽しむとはどういうことか、それぞれの幸せとはなどと色々と考えさせられました。

知野みさき 『深川二幸堂 菓子たより』
「深川二幸堂 菓子こよみ」シリーズに続くお話です。
「すくすくー小太郎-」
光太郎とお葉の間に子が生まれます。お葉の連れ子の小太郎は指南所で心ないことを言われ、お葉は光太郎と小太郎を進造のもとへ行かせることにします。
「睡蓮ー八郎ー」
八郎は菓子屋・よいちで蓮と言う女と出会います。蓮はどういうつもりかわかりませんが、八郎に会いに二幸堂まで来て、次に八郎がよいちに帰る日に合わせて王子に行くとまで言います。蓮の腹づもりは…?
「千両箱ー暁音-」
いつまでも埒が明かない玄太と汀の関係をどうにかできないかと暁音は相談され、一計を案じます。
「伯仲ー孝次郎ー」
網代屋の菓子番付が出ました。菓子好きの七は番付に合点がいかず、網代屋に番付を書いた鷲兵衛に会わせろと頼み込みますが、けんもほろろに断られました。
鷲兵衛の番付も今年で二十年。お年を召されて、舌が利かなくなったのではないかと思わないこともなく、とにかく食べてもらわないと始まらないと考え、菓子くらべをすることにします。

七のお菓子に対する執念にはびっくりです。
和菓子が無性に食べたくなるお話です。

中島久枝 『浜風屋菓子話 日乃出が走る<一>』
十六歳の日乃出は御三家、大名家のご用も務める大店、元老舗菓子司橘屋の一人娘だった。
しかし明治維新で半年、一年とまとめていただくはずのお代は帳消しになり、ご用立てしたお金は戻らず、さらに主人の仁兵衛が白河の関で客死したため、店を閉めることになる。
日乃出は叔父が日本橋で営む千鳥屋に引き取られる。
日乃出はひいおじいさんが越後の寺の住職からもらった掛け軸のことが気になって仕方がなかった。掛け軸には「菓子は人を支える」という意味の言葉が書かれていて、橘屋の魂のようなものなのだ。
日乃出は夜中に掛け軸を取りに店に行くが見つかってしまう。
その翌日、橘屋を買った谷善次郎の屋敷に呼ばれ、日乃出は谷と言い合いをしてしまう。
おもしろがった谷は日乃出に百日の間に百両をつくれたら掛け軸をやるという勝負を持ちかける。
日乃出は後先も考えずに、父の仁兵衛しか作り方を知らない幻の菓子、薄紅で百両を作ると言ってしまう。

日乃出は松弥という腕のいい職人がいるという横浜の浜風屋に送り込まれるが、なんと松弥は死んでいない上に日乃出は下働きということになっていた。
店は草ぼうぼうの路地にあり、古くて小さく、滅多に客は来ない。
さらに店にいたのは仁王様のような浜岡勝次と女形のような角田純也の二人で、彼らの作る大福はこんなにまずい大福をつくれるものかと思うほどだった。
これでどうやって百両を作れというのだ。

日乃出はなんとか二人の男たちを味方にし、百両目指して孤軍奮闘、試行錯誤し頑張るが…。

お嬢様だった日乃出がなんでお菓子を作れるのか、不思議でした。見ていただけで作れるほど簡単なものじゃないと思うのですけどね。
それに不味い大福を作る職人が短期間で上手になるものか?
あ、江戸時代といいながら、明治時代が紛れ込んでますね、すみません。
明治時代と言えば文明開化ですから、西洋菓子が入ってきています。
シリーズになっているようですが、どういう風に続いて行くのかしら?

人情物を読みたい方は日本橋牡丹堂か深川二幸堂シリーズを、根性物を読みたい方は浜風屋菓子話を、どうぞ。
日本茶に練りきりか栗のお菓子を食べながら読みたいですね。

畠中恵 『こいごころ』2022/08/19



しゃばけシリーズの最新刊。五つのお話。
表紙の狸さんがカワイイですね。

「おくりもの」
廻船問屋兼薬種問屋、長崎屋の若だんなの一太郎は贈り物について悩んでいます。
長崎屋とつき合いのある商家、三野屋の当主が父の藤兵衛に縋ってきたのを聞き、若だんなも考えてみたのです。
ことの始まりは、三野屋の上の子がはしかに罹り、まだ発疹があるのに、瀬戸物問屋伊和屋の息子たちと遊びたくて、伊和屋に行ってしまったことです。
それから伊和屋の息子たちだけではなく、子どもの世話をしている主の妹、お沙江まで麻疹に罹ってしまい、運の悪いことにお紗江は治った後に床に伏す日が長く続いているというのです。
お詫びに甘味を持っていったのですが、もう一回、詫びの品を贈りたいので、何がいいかということなのです。
妖たちと話し合い、若だんなたちは伊和屋に客として行ってみることにします。

「こいごころ」
若だんなのところに厄介なお願い事が持ち込まれます。
熱があるというのに、夢の中にやって来たのが、妖狐の老々丸とその弟子の笹丸。
老々丸は笹丸の力が尽きかけているので、若だんなの祖母のおぎんのいる荼枳尼天の庭に入れてもらえないかと言うのです。
その時、誰かが夢を引き裂いてしまったため、若だんなと小鬼たち、老々丸、笹丸は遠くに吹き飛ばされてしまいます。
飛ばされた若だんな達は、寛朝のいる広徳寺に向かうことにし歩いていると、途中で化け狸の田貫屋に出会います。田貫屋は広徳寺の金印を食べてしまい、糞と一緒に出てくるのを待たれていたのに、身の危険を感じ、広徳寺から逃げて来たのでした。
田貫屋を連れて広徳寺に着いた途端に若だんなが倒れてしまいます。
寝るとすぐに悪夢を喰らう漠、場久が現れます。
若だんなが広徳寺にいることを聞き、場久はひとまず安心したのですが、笹丸を見ると様子が変わり、老々丸と笹丸は何を本当に望んでいるのかと知りたがります。
笹丸は若だんなとまた会いたかったのだと答えます。若だんなは覚えていなかったのですが、前に二人は会っていたのです。
とりあえず妖狐達は広徳寺に置いてもらえることになりますが、気づくと田貫屋がいません。
若だんなは田貫屋を探すために長崎屋の妖達を呼びます。
田貫屋は見つかるのでしょうか。そして笹丸は…。

「せいぞろい」
長崎屋では一太郎の誕生の日のお祝いをすることになります。
しかし妖達は加わることができません。
妖達を可哀想に思った一太郎は、妖達だけの宴をすることにします。
しかし、そのことを聞きつけた日限の親分が参加すると言い出したのが発端に、次々と…。

「遠方より来たる」
若だんなを長く看てくれていた源信医師が隠居することになります。
そのため長崎屋がどの医師を選ぶかが注目されています。
候補者は五名。源信の弟子の黄源と信青、鳥辺野から来た火前坊、佐助に恨みがあるらしい喜田庵、そして白岩。
さて、一体誰に決まるのでしょうか。

「妖百物語」
日限の親分が、通町近辺に住んでいる大店の旦那方が、新しい医師と若だんなを、百物語の会に招きたいと言っていると言ってきます。
この頃江戸では百物語が流行っているのです。
しかし長崎屋の妖たちが顔を出す百物語の会に本物の妖が現れたら、色々とまずいことが起りそうです。
どうしようかと話し合う一太郎と妖達。

マンネリ化している感じのしゃばけシリーズでしたが、今回は面白かったです。
妖は不死身だと思っていたのですが、そうではないのですね。
悲しい別れがありましたが、新しい出会いもありました。
これからもこのシリーズは続いて行くようです。
毎年楽しみにして、読みますわ。
若だんな、いつ病弱から脱却できるのでしょうねwww。


<今月のスコーン>


自分で作るのが面倒になったので、スコーンは頼んでいます。
九州の<トミーズショートブレッドハウス>のスコーンです。
ケーキが二つあり、嬉しいです(ダイエットが…)。
「マンスリースコーン」シリーズで月一回の配送予定だったのですが、来月のスコーンがまだ発表されていません。
二回で終わるのかしら?