ローラ・ブラッドフォード 『レンタル友人、はじめました 崖っぷちエマの事件簿1』2023/03/17



可愛らしい表紙ですが、私は原書の表紙が好きです。


このシリーズは「A Friend for Hire Mystery」シリーズとして二巻まで発売されています。1巻目が『A Plus One for Murder』で二巻目が『A perilous Pal』。
表紙を見て、なんで原書の方が好きかわかったでしょう。
殺人現場に可愛いわんこがいるからです、笑。
名前はスカウト。ゴールデンレトリバーです。
今までの本の中ではダントツに犬の出現率が高いです。

英語のシリーズ名とは違い、日本では「崖っぷちエマの事件簿」。
というのもエマは文字通り今や崖っぷち。
彼女は旅行会社を経営していましたが、顧客が次々といなくなり、ここ数ヶ月一件も予約が入っていないのです。
頼みの綱は半年前から始まった週に一度のドッティとの儀式とも言えるお茶会。
これはドッティの夫、アルフレッドとの約束で、エマがドッティとお茶するたびに彼の遺産から小切手が出るのです。
今のままでは大おばから受け継いだ家を手放し、両親のいるニューヨークに戻らなければなりません。
エマから話を聞いたドッティは「レンタル友人」ビジネスをやるようにアドバイスし、彼女の知り合いを二人紹介します。

最初のお客はビック・マックスという老人で、高齢者センターでのダンスのパートナーの依頼。
二人目は週三回ジムに一緒に行って欲しいという正看護師のステファニー。
やろうかどうか迷うエマでしたが、とにかくお金が入ってくれば御の字なので、引き受けることにします。
会ってみると、二人ともなんとも言えない魅力のある人たちです。

二人もお客が現れたことで、ひょっとしたらドッティのアイディアが上手く行くかもしれないと思ったエマは万にひとつのチャンスにかけてみることにして、スイート・ファールズのコミュニティ掲示板にバーチャルの広告を載せます。
そうすると次の日の朝、ブライアン・ヒルという男性から電話がかかってきます。
その日の夜に<ディーターズ>で行われるオープン・マイク・ナイトで彼が作品を読み終わったときに拍手をする人間としてエマを雇いたいというのです。
彼が招待した人たちは彼が読むものを聞いて、拍手ではなく彼を殺したいと思うだろうからだとか。
三件も仕事が入って喜ぶエマでしたが、ブライアン・ヒルのことを調べてびっくり。
彼はフリーのジャーナリストで、地元のトラブルメーカーだったのです。

その夜、ブライアンはエマに四枚の写真が貼られた紙の入ったフォルダーを「必要になったときのために」と言って渡します。
写真の人たち全員が<ディーターズ>に来ていて、ブライアンの死を望んでいるらしいのです。
ブライアンはステージにあがって朗読を始めますが、途中でスツールから落ちて床に倒れてしまいます。
彼が死んでいるという声を聞いて、動揺したエマはフォルダーを持って店から立ち去ってしまいます。

ブライアンの死が頭を離れないエマはジムでステファニーにそのことを話します。
それをスイート・フォールズの保安官補リオーダンが聞いていて、エマに話しかけて来ます。
ブライアンから渡されたフォルダーを持ってきたことで証拠を隠した罪になり、逮捕されるのではないかとエマは怖くなります。

次のジムの日、驚いたことにステファニーは、ブライアンはエマに自分を殺そうとしている人がだれか、そしてその理由を知ってもらいたがっていたから、一緒に殺人事件の捜査をしようと言い出します。
その上、ドッティまでもが捜査に協力するというのです。
コージー・ミステリが大好きな彼女は真相を突きとめるために必要な経験があると思っているのです。
気が進まないエマでしたが、しぶしぶ三人でチームをつくり、捜査に乗り出しますが…。

今までのコージー・ミステリとは違い、主人公が殺人事件の捜査に乗る気ではないことに好感が持てます。
でも二作目からはどうなのかしら?
二作目はレンタル友人になった女性が元夫を殺した容疑者になるようですが。
スカウトは出てくるかしら?
それが気にかかりますww。
翻訳は来年なのかな。ひょっとしたら原文でよむかも。


<今週のおやつ>


カフェタナカの生チョコレート。
箱が可愛いです。


チョコは思っていたよりもビターでした。

また落ち武者…2023/03/14



庭のクリスマスローズが細々と満開になっていました。


下を向いているので撮るのが難しいです。
白い花は鉢から移植したもので、意外と根付いています。

さて、うちのわんこたちがまた家の中で暴れ回りました、と言ってもたいしたことないけれど、笑。


弟犬の匂いを嗅ぐ兄犬。
そういえば弟は兄の匂いをめったに嗅ぎません。

弟がおもちゃの持ってこいを始めました。


「わーい、楽しいな」


しばらくすると…。


アラ、またタテガミが…。

 
お兄ちゃんは珍しくおやつがないのに前を向きました。
「ママ、早くおやつ下さい」と目で訴えています。


「ママ、まだまだぼくはやりますよぉ」


「おねがい、ママ、弟と遊ぶの止めておやつにしましょうよ」


「ママ、早く投げて下さい」
ボッサボサです、笑。


おやつが欲しくて待てなくなった兄が切なそうに鳴き声をあげます。


なかなか止めない弟。


とうとう兄がソファから下りて来ました。


もう終わりにしておやつにしましょうね。

ところが兄はどんなおやつでも食べるのですが、この頃弟はおやつの好き嫌いがあるようで、クッキーやおかきを食べず、鹿肉や馬肉系の燻製しか食べません。
贅沢な奴め。

ママは兄と同じでどんなおやつでも食べます。

<今日のおやつ>


パパが同僚の人に渡すために買うついでに買ってきたチョコレートをくれました。
ヘーゼルナッツのダークチョコと桜の匂いのするピンクのチョコが入っています。


これはママが内緒で食べるビーガンクッキーです。
プレーンと塩、チョコの三種類のクッキー。
バターが使われていないのでカロリーが低いはず。
スイーツが止められないので、体重がまた減らなくなりました(恥)。

桐野夏生 『真珠とダイヤモンド』2023/03/08



1986年、伊東水矢子と小島佳那は萬三証券株式会社・福岡支店に入社する。
水矢子は高卒で営業部補佐に、佳那は短大出で営業部一課のフロントレディに配属された。

水矢子は中学校の時に父を亡くし、母と暮らしている。
母は仕事から帰ると酒に溺れる毎日。
そんな母に愛想を尽かし、水矢子は金を貯め、二年後に東京の大学に進学しようと決めていた。

一方、佳那は、フロントレディは男性社員の結婚相手として雇われているような存在だったが、バリバリ働きたいと思っていた。
やる気のある目立つ存在だったことが裏目に出て、女子社員たちから除け者にされてしまう。

水矢子はフロントレディたちとは一線を画されている高卒社員だったこともあり、仲間はずれになった佳那と立場が近かったため親しくなっていく。

しばらくして佳那は同期の男性社員で野心家の望月と結託してのし上がろうとするが、望月は彼女の姉の元恋人を踏み台にし、危ないやからとも繋がり、なりふり構わずマネーゲームの渦中へと身を投じていく。

やがて佳那は東京に栄転が決まった望月と結婚し、仕事を辞め、ディズニーランドの見えるマンションで贅沢な生活を始める。
水矢子は第一志望校に落ち、東京の女子大に入学するが…。

バブル期のことはあまりよく覚えていません。
地上げや財テク、海外旅行、ホテルのクリスマスなどこの頃からかな?
この本のような証券会社や一流企業に勤めている人たちやお金持ちの方々がバブルの恩恵を受け、うちのようなお金のない普通の家庭にはそれほど影響がなかったんじゃないかなぁ…?

読んでいると、証券会社には勤めたくないと思いました。
人を騙すような形で金を出させ、投資させ、上客じゃなければ損をさせてもいいなんて、ふざけんじゃないよと言いたくなりました。
でも儲けようと思う、欲の皮のつっぱった人も似たようなものよね。
そんなにいい話はあり得ないと思わないと。
いい話に裏があるとは思いながらも、自分は騙されないと過信しているのでしょうね。

佳那と望月が我が世の春を謳歌していても、どこか地に足が着いていない危うさが感じられ、バブル崩壊後のことを思うと切なかったです。
二人のことは仕方ないと割り切れたのですが、地道に生きていた水矢子のことはネタバレになるので詳しくは書きませんが、可哀想だったです。

バブルって一体何だったのでしょうね。
その頃、企業で戦っていた人たちは今どう思っているのでしょうか。
懐かしいのかな?思い出すのも忌まわしいのかな?
邯鄲の夢みたいなもんなのかしら?

もう一度バブル期の高揚感を味わいたい人やバフル期ってどんなだったのか興味がある方は是非読んでみてください。
上下二巻ですが、あっという間に読み終わりますよ。


<今日のおやつ>
「ロンヤス饅頭」をもらいまいた。


この饅頭は1983年11月11日に日の出町にある日の出山荘で行われた日米首脳会談を記念して幸神堂が作ったものです。
当時の首相は中曽根康弘(ヤス)でアメリカの大統領はロナルド・レーガン(ロン)でした。


↑こんな山荘だそうです。(写真は公益社団法人東京市町村自治調査会からいただきました)
粒あんが結構美味しかったです。
近くに行くことがあったら買って食べてみて下さい。
幸神堂には武蔵五日市駅からバス5分で行けるみたいです。
秋川渓谷でバーベキューができますよ。

ニタ・プローズ『メイドの秘密とホテルの死体』2023/02/26



モーリー・グレイは高級ホテル<リージェンシー・グランド>の客室メイド。
社会生活に上手く順応できない上に人とうまくコミュニケーションがとれない。
秩序だって決まっていることは得意なので、客室を掃除することにかけては人には負けず、完璧にやる。
発達障害なのかなぁ?彼女と一緒に働くのは大変そう。
モーリーはわからないことはおばあちゃんに聞いて、だんだんと人のしぐさを正しく読み取れるようになってきた。
しかしおばあちゃんは九ヶ月前に亡くなってしまい、天涯孤独の身となる。
おばあちゃん亡き後は、彼女の語った言葉を思い出しながら暮らしている。
実は祖母が亡くなる前にモーリーの大学の学費として貯めていたお金をすべてボーイフレンドに持ち逃げされてしまった。
おばあちゃんが払ってくれていた家賃が自分の稼ぎだけでは払えず、部屋から追い出されそうになっている。

ある日、いつものように仕事をしようと最上階のブラック夫妻のスイートルームに行くが、ブラック夫人のジゼルがバスルームを使っていたため、バスルームだけ清掃できなかった。
他の部屋の清掃を終わらせ、ブラック夫妻のバスルームを清掃しに行くと、なんとベッドルームでミスター・ブラックが死んでいた。

モーリーは人を見る目がなく、すぐに人を信じてしまい、聞かれると何でも話してしまうので、話したことを悪用され、とうとう殺人罪で逮捕されてしまう。
絶体絶命の苦境に追い込まれたモーリーはたった一人の味方に助けを求めるが…。

純真で一途なモーリーちゃんが可哀想でした。
なんであんな男を信用して惚れてしまうのか。
ちゃんと警告してくれる人がいたのに、モーリーは聞こうともしなくて、いいように利用されて苦境に陥っている。
私は騙されてるよ、なんでわかんないの、とハラハラしていました。
でも切羽詰まると自分の味方は誰かをちゃんと見抜き、助けを求め、一緒に戦っていけたのでよかったです。
最後にモーリーの意外な一面が出てきて、ちょっとびっくりしました。
彼女は悪いことといいことの区別がまだできていないのかな?
騙されてもまた人を信用してしまうのは、人はあくまでも善だと思っているから?
それでもこれからはおばあちゃんがいなくてもどうにかやっていけそうです。

500ページ以上あり、半分ぐらいが彼女の日常のお話で、残りが殺人事件を解決していくお話です。
ミステリーとしてはそれほどではないのですが、モーリーが意外と魅力的で、楽しく読んでいけました。
ちょっと変わったヒロインに興味がある方、読んでみてください。
映画になるらしく、ヒロインが『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のエイミー役のフローレンス・ビューだそうです。


<今日のランチ>
用事で立川に行ったついでにソラノホテルでランチを食べてきました。
ホテルだからあまり人がいないと思ったら、とんでもありません。
ほぼ満員です。土日は予約が必須です。


最初の一品はサラダ。
私には少なすぎで、いつもはこの四倍ぐらい食べてます、笑。


六種類のおかずとご飯、菜の花のお吸い物。


デザートにイチゴのタルトと黒豆茶を頼みました。
タルトが小さくて、ダイエットをしている私にはいいのですが…残念。

ホテルの裏にショッピングモールがあり、ブラブラしてみました。
ペットショップで、今朝兄が吐いてベッドが使えなくなったので、セールになっていたベッドを買いました。
立川の駅前はすごい人出で、家のある駅についたらホッとしました。

エリカ・ルース・ノイバウアー 『メナハウス・ホテルの殺人』2023/02/22



時は1926年9月。
戦争で夫を亡くし、22歳で戦争未亡人になったジェーン・ヴンダリーは、父の妹のミリー・スタンリーに誘われエジプトにやって来た。
ミリーはジェーンの夫の隠された姿を知らない。
そのためミリーは30歳になったジェーンがまた結婚できるように、彼女に合うと思われる男を捜し紹介してくる。
しかしジェーンは結婚なんか、金輪際まっぴらだと思っている。

エジプトでは大ピラミッドの近くのメナハウスという高級ホテルに滞在。
旅行費用はすべて叔母持ちだ。
ホテルに着いてすぐに叔母はバーラウンジに直行して飲み始める。
ジェーンも叔母に付き合って飲んでいると、男が話しかけてくる。
抜かりのない叔母が彼にジェーンの名前を教えたという。
男はレドヴァースと名乗り、銀行員だと言うが怪しい。
バーラウウンジでジェーンは好印象のジャスティス・ステイントン大佐と娘のアンナとも知り合う。

次の日の朝、ミリーは珍しく早起きをしており、リリアン・ヒューズとマリー・コリンズという若い女性と一緒にゴルフをするという。
叔母によるとリリアンの父親と知り合いで、メナハウスにいるあいだ、娘の面倒を見てやって欲しいと頼まれたそうだ。

三日目の朝、ジェーンが朝食に行こうと廊下を歩いていると、ステイントン大佐と出くわす。
彼は娘のアンナを起こそうとしたが反応がないので、ジェーンに娘の部屋に入ってみてくれないかと頼んでくる。
再度ドアを叩いても反応がないので、ジェーンが部屋に入ってみると、アンナはベッドの上で射殺されて死んでいた。

事件を担当するハマディ警部はジェーンとアンナが口論をしていたことやアンナの部屋にあったバッグの中にジェーンのブローチが入っていたこと、レドヴァースをめぐってふたりの間に確執があったと見られることなどを総合的に判断し、ジェーンにホテルの敷地から出ないようにと申し渡す。
ハマディに疑われていると思ったジェーンは、疑いを晴らすために犯人を捜すことにする。
レドヴァースはジェーンに協力してくれるが、はたして彼は味方なのか…?

カイロ郊外のギザにあるピラミッドがこのお話で出てくるピラミッドです。
町からピラミッドまで遠いと思っていたら、意外と近いんですね。
どうりでヴァランダー刑事のおとうさんが1人で行けたはずです。

この小説はアガサ賞の最優秀デビュー長編賞を受賞したそうですが、ミステリーとして読むよりもエジプト旅行記として読んだ方がいいような気もします。
ピラミッド見学がしたくなりましたもの。
読んでいると日本人がピラミッドに感じるものと西洋人が感じるものとは違うように思いました。
なんてったって大英博物館にいっぱいありますものね、笑。

ひょっとしてこのシリーズは旅物?
二作目はアメリカに帰る前にイギリスで一休みし、三作目はアメリカに渡る船の上、四作目は父を探してイスタンブールですから。
コージーミステリーの一種だと思いますが、小さな町で殺人が次々と起るよりは、旅先で起る方がいいかもww。
二作目も楽しみに待ちますわ。


<今週のおやつ>
またまたチョコレートです。それも私の好きなドライフルーツチョコレート。


マンゴーにチョコレートがかかったもの。


オレンジにチョコレートがかかったもの。
買っていませんが、オレンジピールのものが一番すきです。

リン・メッシーナ 『公爵さまが、あやしいです 行き遅れ令嬢の事件簿①』2023/02/15

新しいコージーミステリーのシリーズです。
シリーズ名が「行き遅れ令嬢の事件簿」なんて、今時の若い子は「行き遅れ」などという言葉を知っているのかしら?


十九世紀初頭のイギリスでは、ミドルクラス以上の女性たちに仕事に就くという選択肢はなく、実家を出て行くには結婚するしかなかった。
主人公のベアトリス・ハイドクレアは五歳の時に両親をボートの事故で亡くし、叔父夫婦に引き取られた。
そのため常に周りに気兼ねしながら生きてきたので、本来の性格とは違う内気な性格になってしまった。
その上特に美人というわけでもなく、結婚市場では誰にも見向きもされず、いつしか二十六歳の行き遅れになってしまい、こうなったら叔母の話し相手になるか、従兄弟たちの子どもの家庭教師になるしか選択肢はなかった。
しかしベアトリスはどちらも嫌だった。

九月下旬のある日、叔父夫婦は湖水地方にある侯爵家のハウスパーティに招待され、ベアトリスも従兄弟たちと一緒に同行させられた。
侯爵夫人と叔母さんが女学校時代の友人だった。
ベアトリスたち以外のゲストは、ケスグレイブ公爵ダミアン・マトロックと資産家のトーマス・オトレー、侯爵夫人の学友だったオトレーの妻アメリア、オトレー夫妻の娘エミリー、侯爵の息子アンドリューの友人アマーシャム伯爵、そして侯爵のいとこのヌニートン子爵。

ケスグレイブ公爵は見目麗しいルックスと明晰な頭脳、そして資産まであり、何から何まで完璧過ぎて、ベアトリスはすぐに嫌悪感を抱いてしまう。
オトレー夫妻は娘をアンドリューと結婚させるためにハウスパーティにやって来たようだが、ベアトリスの見たところ、叔母も同じ狙いがあるようだ。
しかし叔母の娘のフローラは美貌のエミリーに夢中だ。
はたから見ているぶんには楽しめるのだが、ベアトリスはパーティなんかよりも読書している方がよかった。

その日は部屋にひきあげてもベアトリスに眠りは訪れず、仕方なく図書館に伝記の本を探しに行くことにする。
しかしそこでベアトリスはオトレー氏の死体を見つけてしまう。
それのみか死体のそばに公爵がいたのだ。
ベアトリスは公爵に体よく追い払われてしまう。
次の日、驚いたことにオトレー氏は自殺をしたことになっていた。
もしかして公爵が彼を殺したのか?
疑心暗鬼になるベアトリスだったが、いつしか公爵と協力して犯人を捜す羽目に…。

十九世紀の貴族の様子が垣間見られるお話です。
とにかくこの時代の貴族の女性にはなりたくないですわ。
色々と面倒なんですもの。
ちなみに貴族の階級は、公爵→侯爵→伯爵→子爵→男爵だそうです。

公爵と接していくうちに、だんだんとベアトリスは失われていた自分を取り戻していきます。
階級社会なので、公爵の言うことが絶対らしいのですが、内気なはずのベアトリスは躊躇せず、公爵に自分の意見を言っていきます。
公爵はそういう女性に出会ったことがなさそうで、初めは面食らっているようでしたが、だんだんとベアトリスを憎からず思うようになっていきます。
これから二人の間がどう進展していくのか、興味があります。

不満といえば、題名です。
原題は『A Brazen Curiosity(厚かましい好奇心)』なのに、『公爵さまが、あやしいです』ですか。
主人公が26歳にもなる女性だとは思えない題名ですねぇ。
二巻目の『A Scandalous Deception』をどうするのかしら。「公爵さま、スキャンダルです」かな?
楽しみですわww。

11巻まで出版されているようです。


<バレンタインのチョコレート>
この頃、企業では義理チョコは止めましょうというお達しがあるそうですが、夫が貰って来たのがこのチョコレート。


JOHN KANAYAの葉巻ショコラ(赤ワイン)。
「伝説のレストラン「西洋膳所ジョンカナヤ麻布」のオーナー、ジョン金谷鮮治氏が愛し、トレードマークにもしていた葉巻をモチーフにして作られた」チョコレートだそうです。
「クリームをあえて使わず、赤ワインだけで仕上げたガナッシュチョコレートにクーベルチュールチョコレートを薄く塗り、職人技で巻き上げ」ているそうです。
赤ワインと一緒に食べるといいらしいです。
昨日は赤ワインがなかったので、見るだけでした。
週末にワインと一緒に食べてみますわ。


缶が可愛くて、自分で食べるには高いけど買ってしまったKEITAMARUYAMAの詰め合わせチョコレート。
五種類のチョコレートが入っています。
包み紙も可愛い。


特に気にいったのがチェリークランベリー。2個しか入っていないのが残念。
5種類ありますが、どれも好きです。
クッキーもあるそうなので、買いたいと思ったら遅かった。柄の缶入りは売り切れです。
次は絶対に買うことにします。

今野敏 『審議官 隠蔽捜査9.5』2023/02/13



竜崎伸也が警視庁大森署長から神奈川県警刑事部長に異動してから起った周囲の出来事を描いた短編9篇。

「空席」
竜崎が神奈川県警に異動した日、後任の北海道警から大森署に異動してくるはずだった女性キャリアの着任が遅れ、一日署長が空席となる。
そんな日に限って難題が持ち込まれ、にっちもさっちもいかなくなり、竜崎がいればどうしただろうかと思う貝沼副署長と斉藤警務課長。
結局貝沼は新任の署長に、斉藤が竜崎に電話をしてお伺いを立てることになるが…。

「内助」
竜崎冴子はテレビのニュースに妙な既視感を覚えた。
いったん家に戻って来た夫の竜崎に話してみるが、「警察がちゃんと捜査をしている。おまえがあれこれ考える必要はないんだ」と言われる。
すっきりしない冴子は竜崎のいない間にこの謎を解いてみようと決意する。
仕事から帰って来た娘の美紀の助けを借り、冴子が辿り着いた犯人とは…。

「荷物」
竜崎の息子の邦彦は悩んでいた。
ポーランド人のヴェロニカから頼まれ、アントニという男性から預かったバッグの中に白い粉が入っていたからだ。
ヴェロニカとは連絡がつかなくなっていた。
ヴェロニカは一体何をしているのだ。まさか覚醒剤の売買では…。自分は運び屋なのか?
邦彦は一度ヘロインの所持・使用で捕まっていた。
父は家族の不祥事を問われ、懲罰的な降格人事をされた。
今度捕まったら父がどんな処分を受けるかわからない。そんなことに耐えられないと思う邦彦。
そんな時に竜崎が部屋にやって来る。冴子に様子を見てこいと言われたというのだ。忙しいだけと言いごまかしたが…。

「選択」
竜崎の娘の美紀は通勤途中で痴漢だと思われる男の逃亡を阻止する。
しかしその後、痴漢詐欺の共犯ではないかと疑われ、ターゲットとされた男性からは名誉毀損で訴えると言われる。
会社では警察に事情を聞かれ遅刻してきたのを咎められ、プレゼン失敗の責任をおしつけられ、課長のパワハラの餌食にされる。
八方塞がりだと思い、どうしようもなくなった美紀。
帰宅して食事をしていた時、母から「どうしたの?何かあった?」と訊かれ、ちょうど父もいたので、美紀は今までのことを話してみることにする。

「専門官」
板橋捜査一課長は困っていた。捜査一課の捜査官の矢坂が前任の本郷部長の時と同じように新人の竜崎部長に楯突くのではないかと思っているのだ。
そんな中、港北署管内で連続強盗事件の一つではないかと思われる強盗事件が起り、矢坂が臨場する。
板橋が捜査本部設置の可能性を告げると、矢坂は設置に反対だと竜崎に抗議しに行く。

「参事官」
池辺刑事総務課長と竜崎刑事部長が佐藤県警本部長に呼び出される。
阿久津参事官と参事官兼任の平田組織犯罪対策本部長の折り合いが悪いので、なんとかしろと言うのだ。
ノンキャリアはキャリアを嫌っている者がいるが、阿久津と平田の対立の原因もそこなのか?
とりあえず池辺に何かわかったら教えるように指示する竜崎だったが…。

「審議官」
竜崎は長瀬審議官に米海軍犯罪捜査局(NCIS)の特別捜査官リチャード・キジマが日本国内の事件の捜査をしていたことを自分に知らせなかったことを咎められる。
彼は海外の捜査機関が好き勝手に日本国内で捜査できるとなれば、日本の警察の権威は失墜し、日本の警察の危機を招くと言い張り、ついては竜崎の処分を考えろと佐藤本部長に命じる。
竜崎は何が問題なのか理解に苦しむ。
しかし阿久津参事官から情報を仕入れ、竜崎はいい解決方法を思いつく。

「非難」
大森署副署長の貝沼は困っている。
第二方面本部の野間崎管理官が署に頻繁にやって来るのだ。
それも藍本署長に会うために。
藍本百合子警視正は四十歳のキャリアで、彼女の大きな特徴が見る者を引きつけずにおかない美貌なのだ。
野間崎が署に来る言い訳が、戸高の非違行為について調べる為というが、野間崎は署長にはその話はせず、するのは世間話ばかり。
解決策の浮かばない貝沼は伝家の宝刀を抜くことにする。

「信号」
竜崎は避けていたキャリア会に八島警務部長の強引な誘いに負け参加することになる。
後日、そこで話し合われていた赤信号を守るかどうかという話が外に漏れ、県警トップが交通法規を守らなくていいと、自ら公言したと物議を醸し出す。
どうしようもなくなった本部長は竜崎を呼び出す。

原理原則に忠実でぶれない竜崎がいいです。
人はどうしても、他の人や自分より階級の上の人がどう思うのかを考えてしまいがちです。
そのため考えなくていいことまで考えてしまい、どうすればいいのかわからなくなってしまいます。
竜崎は人の思惑なんてどうでもよく考慮に入れないので、彼に相談すれば、単刀直入にどう解決すればいいのか答えてくれます。
それにしても嫌な奴はどこにでもいるもので、竜崎はそういう奴にも負けずに冷静に対処していくのが流石です。
そしてたとえ妻の言うことであっても、真摯に受け止め、聞くという姿勢がいいです。

奥さんの冴子さんは竜崎に負けないくらいいいキャラしてます。
息子や娘(たぶん竜崎も)をよく見ています。自分の力でできるところまでやらせて、ここを過ぎるとまずいという時に手を差し伸べるタイミングがいいのです。
娘さんはパワハラ上司に辟易しながらも、回りに助けてくれる人がいてなんとかやっていけそうなのですが、息子は大丈夫かと言いたくなりました。
彼はまた何かやりそうです。竜崎に面倒かけるなよ、笑。

「荷物」と「選択」で気になったのが、邦彦や美紀は竜崎の子どもだったから警察の尋問を逃れられたけれど、もし親が普通の人だったらどうなるのかということです。
そう簡単にいかないように思うのですが、どうなんでしょうね。

次回の『隠蔽捜査10』では美貌の藍本署長と一緒に何かやってくれるといいのですが。もちろん問題刑事(失礼)の矢坂と戸高もね。


<昨日の兄犬>
昨日、兄犬が変でした。
散歩で外に出た途端に歩かなくなったので、ママが抱いてお散歩をしました。


具合の悪そうな顔をしています。どうしたのでしょう?
また膝が痛くなったのでしょうか?特に足を引きずっているわけではありませんが…。


こんな写真を見つけました。
珍しく兄犬が楽しそうに笑っている写真です。
これからはあまり無理をさせずに、わんこたちが楽しく暮らせるように考えていきますわ。

<今週のおやつ>
バレンタイン前なのに、チョコレートを食べてしまいました。
今年は美味しそうなのを沢山買っています。


日本のウィスキーが海外で流行っているそうですね。
竹鶴の入ったチョコを食べてみました。


ウィスキーの匂いがプンプンしました。アルコール分は3%。食べ過ぎると酔いそうです。


インターナショナルチョコレートアワード、アジアパシフィック大会で金賞と銀賞になったというチョコレートの入ったセットです。
右上「ごま抹茶」が銀賞で、左下「濃い抹茶」が金賞です。
私、馬鹿舌らしく、あまり抹茶の苦みを感じませんでした。
どちらも甘さ控えめです。

小西マサテル 『名探偵のままでいて』2023/02/05

第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
小西さんはラジオ番組の構成をしている方らしいです。
表紙と内容から女性を想像してしまいましたが、男性でした(恥)。


小学校教師をしている楓の祖父は元小学校の校長で、71歳になる。
幻視や記憶障害といった症状が現れるレビー小体型認知症を患っている。
ひとり暮らしをしている祖父が心配で、楓はほぼ毎週祖父の家を訪れている。
楓は祖父にできるだけ彼女の身の回りで起った日常の謎の話をするようにしている。
というのも話を聞くだけで祖父はその謎を解いてしまうのだ。

祖父の解く謎は6つ。
「第一章 緋色の脳細胞」
ネット書店で買った瀬戸川猛資の評論集に挟まれていた、四枚の訃報記事の謎。
「第二章 居酒屋の”密室”」
祖父が贔屓にしていた割烹居酒屋で起きた殺人事件の謎。
「第三章 プールの”人間消失”」
プールから消えた”マドンナ先生”の謎。
「第四章 33人いる!」
小学校六年生の英会話授業に現れた三十三人目の正体とは…。
「第五章 まぼろしの女」
遊歩道で起きた殺傷事件を目撃したウォーキングママは何故逃げたのか。
「終章 ストーカーの謎(リドル)」
楓をストーキングしていた男の正体とは…。

『このミステリーがすごい!』大賞受賞作品は好き嫌いか分れますが、今回はとんでもないキャラの人はいないし、嫌悪感を抱くような気持ちの悪い事件も起りません。
そのためコメントに「万人向け」と書いてあるのが納得できます。
それに特にミステリーが好きじゃなくても読んでいけます。
謎は難しくて、私には解けませんでしたが(笑)、楓とおじいちゃんの会話がほっこりしていていいです。


<今週のおやつ>
ヴァレンタインデーではないのに、チョコレートを食べてしまいました。


昨年食べて気にいったマリアージュフレールの「ショコラデマンダレン マルコポーロ」です。


昨年は香と味に感動しましたが、今年は香がそれほどでもないような…。
チョコが古かったのか、私の鼻が悪くなったのか?
昨年も書いてますが、他にアールグレイやらサクラやらがあるようなので、今年こそ買ってみようと思います。

群ようこ 『たりる生活』2023/01/31



群さんのエッセイ集。他のエッセイ集を読んだかどうか記憶にありませんが、彼女の本では「パンとスープとネコ日和」シリーズが好きです。
2020年以降続きが発売されていないので、そろそろお願いしますね。

どうしてこのエッセイ集を読んだかというと、引越のお話だったからです。
私は今まで10回以上も引越しをしています。
この頃、引越の虫が騒ぎ出しています。
今の場所は大きい公園が近くにないので、次は大きい公園のそばに住み、犬たちと公園でまったりしたいのです。

群さんは賃貸物件にずっと住んでいるそうです。
前のマンションには27年(だったかな?)も住んでいたそうで、すごいですね。飽きっぽい私には無理ですわ(恥)。
飼い猫が亡くなり、前期高齢者(群さんは1954年生まれ)の仲間入りをし、友だちの弟さんが五十四歳で亡くなった後の騒動のことを聞いて、自分の行く末のことを考え、今のマンションは広すぎるので、断捨離をしてもっと狭いところに引越そうと思ったのです。

本が多くて、なかなか捨てられないというのは、よくわかります。
私も昔は引越屋さんに本が多いと言われました。引越屋さんは重いので本が嫌でしょうね。
この頃はもう一度読みたくなったら図書館で借りればいいと思うようにし、単行本はできるだけ図書館で借り、文庫本はkindleにし、紙の本はなるべく買わないようにしています。
本が溜まらなくなったのはいいのですが、その代わりに食器や洋服が溜まっています。
群さんは気にいった物件に出会い、一応断捨離をしてから引越をすることになるのですが、それでも段ボールが130個もあったそうです。(多いのかどうか、私にはわかりませんが)
引越した先でも物を捨てています、笑。
捨てられないというのは、人間の性なのかしら?

わが家では親が亡くなり、屋根裏部屋に沢山物が残されていたので、業者に頼み全部捨てることになりました。
私の時もそうなりそうなので、できるだけ物は減らしたいとは思います。
そうは思いながら、捨てようと思う物を見て、これってどうやって捨てるのかと迷うことが多々あります。
迷うと面倒なので、そのままにしておくという無限ループにはまってますwww。
そこでふと思いました。
捨てられない人は処分にかかるお金と手間賃を残しておけばいいんじゃないかしら。
いくらかかるのかしら?

引越してから1年経ち、やっと床に物を置かないで済む部屋になった群さん。
余計なお世話ですが、落ち着いてから、また物が増えるのではないかと心配です。
私ならそうなりますが、群さんは大丈夫よね。
そこのところがどうなったのか、次のエッセイ集に書いていただけるとありがたいです。


<今週のおやつ>
おやつはなるべく買わないようにしていますが、ついつい美味しそうなのを見ると買ってしまいます。


2022年度トレンドグルメ2位(1位というところもある)のカヌレです。


冷凍なので、外側のカリカリ感があまりありませんでした。
上にチョコのかかっていない方が好みです。

秋川滝美 『ひとり旅日和 福招き!』2023/01/28



「ひとり旅日和」シリーズの四作目です。
三作目ではコロナ禍でなかなか旅へ行けなかったのですが、今回はコロナは終わっているみたいです。

行った先はまず長野と名古屋。
たまたま先輩の間宮麗佳に有給が余っているから取りなさいと言われた時に、父親のホテルに無料で泊まれる特典が使えることになり、運良く人気旅館が予約できたので行くことになったのです。
何故長野と名古屋かと言うと、『一筆書き切符』などというものがあることを片思いの蓮斗から聞き、使って旅をすることにしたからです。
『一筆書き切符』とは、「乗車駅から複数の駅を経由して、一筆書きするように乗車駅へ戻って来る経由で購入された切符」のことで、運賃がお得なんですって。そんな切符があるなんて、初めて知りました。
日和は長野から名古屋に行って東京に戻るルートを考えたのです。
長野から名古屋は三時間ぐらいかな。意外と近いですね。

この旅行の後、麗佳の家でお土産宴会をやることになります。
出席するのは麗佳はもちろんのこと、彼女の夫の浩介となんと蓮斗です。
彼女たち三人はもともと友達同士で仲がいいんです。
日和は変なことを考えてしまい、落ち込んでしまいます。
仲のいい人たちの中に入っていくのは結構大変ですものね。
だからといってねぇ…。

この飲み会の後、蓮斗とSNSで頻繁にやりとりをしていたのに、それも続かなくなり、日和の旅行熱も下がってしまいます。
そんな時に蓮斗が旅行に行かなくても計画すると楽しいよと言ってきます。
そこで日和は四国への旅を考えてみますが、考えたらもちろん行きたくなります。
そんなわけで、行ったのが高知と愛媛。レンタカーの旅です。

そして最後の旅は、休日出勤の代休で取れた三連休を使って、宮崎と鹿児島へ。

ちなみに私の行ったことのない県は、岩手・秋田・富山・福井、滋賀(たぶん)・宮崎・鹿児島・熊本・大分・佐賀・高知・愛媛・徳島の13県です。
九州と四国が多いですね。
都道府県は47ありますから、結構行っているのかな?

行った場所を日和と一緒に回るのが楽しかったです。
私が行かなかったところに行っていたり、行ったところに行っていても行動が違ったりしてね。
今はコロナが心配なので、電車を使う旅よりも車の旅をしようと思いますが、どちらの旅も一長一短ですよね。
コロナの心配がなくなったら、鉄軌道王国の富山に行きたいですわ。

読んでいる途中で日和のネガティブな思考が嫌になったりもしましたが、それでも次に日和がどこに行くのかが楽しみなシリーズです。
若い子はガイドブック代わりに読むといいでしょう。


<今日のわんこ>


前は見てくれなくても可愛らしく舌を出している兄犬です。
毛がボサボサですがww。

<今日のおやつ>


神戸のラトリエ・ドゥ・マッサのガレット・デ・ロワです。
サクサクとしたパイ生地とアーモンドクリームが美味しかったです。
他のケーキも食べたいですが、神戸は遠い…。