E・C・ネヴィン 『ブック・フェスティバルは大騒ぎ』 ― 2026/06/01
新しいシリーズ、「さえないミステリ作家の事件簿」の一作目です。

ジェイン・ヘップバーンは四十二歳の身長が180センチ以上もある大柄な売れないミステリ作家。
家電の保険を扱う会社の管理部スタッフとして働く傍ら、探偵小説を書き続け、これまでに<私立探偵サンドラ・ベイカー>シリーズを六冊出版している。
結婚はせずに母親と暮らしてきたが、唯一の友でもあった母親は亡くなってしまった。
この二カ月、メールを出したのに、エージェントも担当編集者も返事を寄こさない。
二人をとっ摑まえ、べつのエージェントや版元に顔を売ろう。
人脈作りをするのだ。
そう思って、ジェインはイギリス、カンブリア州の村、ホスルウィットで行われるキラー・ラインズ・クライム・フィクション・フェスティバルにやって来た。
ところが、なんと、来場作家リストに名前はないわ、売れている新人作家に嫉妬してしまうわ、大物編集者や書評家に話しかけられないわで、何しにやって来たのやら。
それなら物販ブースの目立つ場所に自分の小説を移動させようと、夜中にテントに忍び込むと…。
見つけたのは、ジェインを担当するマークス・リテラリー・エージェントの社長キャリー・マークスの死体。
ジェインはキャリーが本が動機で殺されたと思うが、警察は彼女の考えを歯牙にもかけない。
すべて諦めて家に帰ろうと列車に乗ると、列車は動物が侵入したために停止。
その時、ジェインはマークス・リテラリー・エージェントのインターン、ダニエル・サーストンを見かけ、話しかける。
ジェーンの本のファンを自認するダニエルに焚きつけられ、二人はフェスティバルに戻り、キャリー・マークスを殺した犯人捜しをすることにする。
しかし、前途多難。一筋縄ではいかないのが本の関係者たち。
心が折れたジェインがトイレで泣いていると、個室から現れたのが、期待の新人作家ナターシャ・マルテス。
二人は意気投合し、トイレでワインを空けていると、彼らに気づいたダニエルが仲間入り。(トイレで飲むのか…)
三人は一緒にキャリー・マークス殺しの犯人捜しをすることになる。
さて、私立探偵サンドラ・ベイカーのように、ジェインも犯人を見つけられるのか?
最初はとっつき難く、読むのを止めようかと思いました。
もともとの原文が面白くないのか、翻訳が下手なのか?
それにジェインの自己評価が低すぎて、彼女の愚痴らしきものを聞いているのがつらいわ。
でもブック・フェスティバルってどんなものか興味があったので、我慢して読み進んでいきました。
最後の方では文に慣れたのか、ジェインがいい方向へ変わっていったのがよかったのか、無事に読み終えることができました。
二作目『A Killer Plot』は今年の八月に出版され、日本でも近いうちにも出版する予定だそうです。
出版記念パーティで起こった編集者の殺人事件を、パーティに参加していたジェーンとダニエル、ナターシャの三人が解決していくというお話のようです。
一作目の殺人事件を解決したということで、ジェインはネットで有名なったようです。
二作目を読もうかどうか考え中です…。
桜木紫乃 『異常に非ず』 ― 2026/06/02

昭和54年(1979年)1月。
毎報新聞の社会部記者、海原雅志は昨年9月に札幌から大阪に転勤してきたばかりでまだ大阪に慣れていないときに、えらい事件に遭遇する。
阪央銀行北畠支店で猟銃を持った男が客と行員を人質に立て籠ったのだ。
大阪府警察は投降するように交渉し、犯人を説得するために母親を呼ぶが、男は会話を拒否。
事件発生から三日目に狙撃隊が突入し、男は射殺される。
犯人は三十歳になる花川清史で、彼は警官官二名と店長、行員を射殺していた。
毎報新聞は花川が立てこもりの終盤に語った、「オレは精神異常やない。道徳と善悪をわきまえんだけや」からタイトルを『異常に非ず』とし、花川清史という人間を追う連載企画をスタートさせる。
雅志はデスクの近藤と共に、花川の三十年の生涯をあぶり出していく。
実際にあった「三菱銀行人質事件」をもとに書かれた作品です。
桜木さんはその時に取材をしていた記者との会話からこの小説を書こうと思ったそうです。
三菱銀行北畠支店は三菱UFJ銀行北畠支店として事件のあった場所に未だあるそうですよ。
この物語は花川と縁のあった二人の女性に焦点が当たっています。
一人は花川の母のカヨ。
貧しい家に生まれ、十歳で遊郭に売られるが、器量がよくない上に口下手だったため、飯炊き女となり、それ以来、働き続けの人生を送っています。
三十を過ぎ、工場で働いているときに上司の勧めで配管工の繁と結婚し、四十二のときに清史を産みます。
遅くできた子だったためか、清史を溺愛し大事に育てます。
たとえ息子に暴力を振るわれても誰にも言わずにじっと耐えていました。
息子が窃盗を皮切りに十五歳で強盗殺人を犯しても、息子のやったことは自分ではどうしようもない運命だと見なし、被害者のことを思いもしません。
貧困と無学が負い目。
あくまでも母は息子の味方で、息子のためなら命さえ惜しくはないのです。
もう一人が清史と八年間暮らしていた亜紀。
広島の田舎町を飛び出してからホステスになり、店を転々とし、ミナミの老舗のクラブ「海鳥」に勤めているときに、黒服の花川と出会います。
最初はそれほどではなかったのに、次第に亜紀を束縛するようになり、果てには暴力を振るい始めます。
清史に翻弄されながらも、カヨと亜紀は母と娘のような関係になっていきます。
人の中には犯罪者の資質のようなものを持って生まれる人がいて、どんなに道徳とか善悪を言い聞かせてもダメな人っているんですね。
同じような境遇に生まれても、少しでもいい生活をしようと努力していく人もいれば、自分の境遇を嘆き、世間を恨むだけで何もしない人もいます。
残念ながら花川清史という人は後者で、どうしようもない人だったようですが、この本を読んでも彼が何故あのような犯罪を犯したのかがまったくわかりませんでした。
自分をないがしろにした世間へ復讐したのでしょうか。
昭和と男と女の確執を書かせたら、桜木さんの右に出る作家はいません。
お勧めの一冊です。
いつするのかが問題だ… ― 2026/06/04

次々と紫陽花が咲いていき、梅雨になるのがいつか気になりますね。
ついこないだ眼科に行くと、気になることを言われました。
その前に簡単に説明すると、私は小学校五年生の時に左目に石がぶつかり、たぶんその後遺症だと思うのですが、三十代に緑内障と診断されました。
十五、六年前に手術をし、真ん中の視野が欠けてしまいました。
去年ぐらいから炎症を繰り返すようになり、眼圧も上がっています。
左目の眼圧は10ぐらいだったのに、今は14です。
視野検査は手術後ずっと変わっていません。
医師は「次に炎症を起こしたら白内障といっしょに緑内障の手術もした方がいい」と言います。
いつ炎症が起こるかわかりませんが、近々起こるのは確実です。
手術をすることになるのかしら、嫌だわ…。
嫌なことを忘れるにはわんこたちと遊ぶのがいいです。
ヨーキー弟はしばらく持って来いをやらなくなっていたのですが、復活しました。
ネズミ狩りの本能は健在です。
前よりも回数は減りましたが、楽しそうにアヒルのおもちゃを追います。

アヒルちゃんを見あげています。

やる気満々の12歳(人間で64歳)になるヨーキーです。
肝臓が悪いと言われていたのに、いつのまにか良くなって健康診断も満点です。
一方、14歳(人間で72歳)になるチワマル兄は、ママのベッドの上で…。

気付かれてしまいましたが、毎日、こんな風にグ~スカ寝ています。
そのためか中性脂肪がとっても高いですww。
藤岡陽子 『青のナースシューズ』 ― 2026/06/05

岡崎成道は看護師になるために星林看護大学に入学した。
父親が交通事故で亡くなり、その時の事故で弟は足が不自由になり、今は車椅子の生活をしている。
シングルマザーになった母は働きづめなので、成道が弟の面倒をみている。
そのため高校に通うことだけが精一杯でクラブ活動も、友だちと遊ぶことさえもできなかった。
高校卒業後は働くことを望まれたが、成績が一番か二番になれば授業料免除になると聞き、星林看護大学を受験し、二番で入学できた。
授業料免除にならなかったら大学を辞めるしかない。
クラスは40人だが、男子学生はたったの五人。
覚悟はしていたが、看護業界は女性中心で、講義も実習も男性であることからやりにくいことがある。
最初の実習では男だからと断られた。
この業界では男は必要とされていないのかと思い悩む成道ではあったが…。
成道自身のこと、成道の家庭のこと、男子学生たちのこと、病院実習のことなど様々なことが書かれていました。
でも、四年間の大学生活のことがそれほど書かれていなくて、それを期待して読んだので、ちょっと物足りなかったです。
いっぱい詰め込み過ぎではないでしょうか。
看護師と言えば昔は「看護婦」と言われていたように、長らく女性の職業とされていました。
男性が「看護士」になれたのは1968年(昭和43年)からだそうです。
(同じ仕事をしていても、2002年まで女性は「看護婦」で男性は「看護士」と呼ばれていました)
本の中で男性看護師を「黒うさぎ」に例えていますが、実際にそういう例えはないそうです。
お年よりの男性患者から男の実習生は嫌だと断られて、成道君はめげていますが、そういう男性患者は今でも多いんでしょうか。
男性が男性に看護される方が気楽だと思うんですけど。
私も入院した時は女性看護師の方がいいです。
こう思うのって差別ですか?
男性だって女性に看護されるのが嫌な人がいると思いますよ。
男性看護師がもっと増えて、女性看護師か男性看護師かどちらか選べるようになるといいのでしょうね。
成道君は今でいうヤングケアラーです。
不思議だったのが、母親です。
交通事故を起こしたのが無職の人だったため、全く損害賠償金がもらえず、祖父母が助けを申し出たのに断っています。
そのためどれほど成道君に無理をさせていたのか、考えてもいません。
自分だけのことしか考えられない人なんですね。
そういう親っていますが、子供が不憫です。
まっとうに育った成道君はえらい。
それこそグレたり、家出したり、精神的な病になってしまっても仕方ないですよね。
藤岡さんの小説はあまり読んでいないのでわかりませんが、こういういいお話が多いんでしょうか。
不幸を詰め込み過ぎで、出てくる人がいい人多すぎという感じですが、男性看護師のことを知るにはいいお話でした。
看護師を目指す男子に読んでもらいたい本です。
みんなでお散歩 ― 2026/06/07
久しぶりにわんこたちとママパパでお散歩しました。

可愛いピンクの紫陽花が咲いていました。

本当は紫陽花の前で写真を撮りたかったのですが、パパが通り過ぎてしまいました。

仕方なくランタナの前でと思ったら…。

おやつを見たため、舌がベロンになってしまいましたww。
高校は体育祭で盛り上がっていて、神社は夏祭りで神輿を担いていました。
雨が降らなくてよかったですね。

舌は出していましたが、それほど暑くない(24℃ぐらい)ので、水は飲みませんでした。
水を飲ませようとしたパパが相変わらずかわいそうでしたwww。
兄はおやつがあると、ママの方を見ます。ちゃっかりしています。
小路幸也 『アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド』 ― 2026/06/08
東京バンドワゴン・シリーズの21作目。今回は通常運転です。

<東京バンドワゴン>の隣地のお風呂屋を買い取って<ステージバス>という<クリエイターズ・ビレッジ>を作るという計画が山場を迎えている。
「夏 さかのぼればそこであい」
以前、イギリス(『グッバイ・イエロー・ブリック・ロード』参照)でお世話になったロンドン警視庁のジュン・ヤマノウエがロイド警部補と結婚することになり、ハネムーンで日本に来ることになる。亡き日本人の父親の故郷、日暮里に行きたいとのことなので、堀田家に泊まってもらうことにする。
そんな頃、研人がCMソングで共演した小松稚奈の日暮里にある実家から、有名イギリス人画家の行方不明になっていた絵画が見つかる。
こんな時にロンドン警視庁美術骨董盗難特捜班のジュンとロイドがやって来るとは偶然か?
「秋 残されて追いかけて手を取って」
勘一は亜美と木島夫婦と一緒に、一年前に岡山に引越した常連の元刑事、茅野に会いに岡山に行く。その時、亜美は一人の女性に尾けられているのに気づく。彼女は
カフェで不思議な行動を取る人だったが、何故、彼女は勘一たちを尾行しているのか?
「冬 猫に未来にこんばんは」
作家になった紺と猫たちのドキュメンタリーを撮っている時に、縁側の下から猫の鳴き声がしてくる。それは母猫と四匹の生まれたばかりの子猫だった。飼い主が居ないようだが、堀田家にも犬二匹と猫四匹がいるのでこれ以上飼えない。
この猫たちをどうしようかと悩む堀田家のみんなだった。
「春 アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド」
久しぶりに妊娠騒ぎが起こる。さて、どんな結論がでるのやら。
今回は恋人たちに関する事件がいろいろと起こりますが、いつものようにとてもいい終わり方になっています。
現実では堀田家のような大家族が少なくなり、20代で結婚する若者たちも減ってきていますが、この小説には今はなき良き日本が書かれていて、なんかほっとします。
番外編もいいのですが、この四季に合わせたお話の方が私は好きです。
来年はいよいよ<ステージバス>が始動します。
マンネリしたといいつつも、また一年、頑張って、来年また堀田家のみんなに会えるのを楽しみに生きていこうかなという気になっていますww。
アン・クリーヴス 『水面の弔花』 ― 2026/06/10
待たれていた<ヴェラ・スタンホープ警部>シリーズの翻訳本の一作目。
実はシリーズの三作目です。
TVドラマの「ヴェラ~信念の女警部」シーズン1の第一話で取り上げられているので、最初に訳したのでしょうね。
出版社側の気持ちはわかりますが、できれば一作目の「The Crow Trap」から訳してもらいたかったです。

深夜、夜遊びから帰ったジュリーが見つけたのは、野の花々が浮かんだ浴槽に沈む息子のルークだった。
ルークは15歳の学習障害を持つ子供で、唯一の友だちだったトーマスが溺死したことによる心的外傷後ストレス障害で精神科の病院に入院しており、三週間前に退院して家にもどって来ていた。
やって来たのは太った女性刑事、ヴェラ・スタンホープ警部。
父親が死んでから元駅長の住まいだった家に一人で暮らしている。
仕事から帰るといつも酒を飲むので、酒を切らしたことは一度もない。
事件が起こると、俳優のように関係者の心のなかにはいりこみ、その人物になりきるのがヴェラのやり方だった。
ヴェラと部下たちは関係者からの聞き取りを始めるが、これと言った情報は得られない。
そんな時に浜辺で新たな死体、水面にうかぶ花々の真ん中に横たわる死体が見つかる。
それはヘプワースの小学校で教育実習生をしているリリー・マーシュだった。
現場に撒かれた花という類似性はあるが、二人の被害者には何ら関係性はないように思われたが…。
「ヴェラ~信念の女警部」のシーズン1を見ていたからか、それとも本を読んだのを忘れてしまっていたからか、なんか知ってる話だよなぁと思いながら読み進めていきました。
読んだ感じではドラマのヴェラと小説のヴェラはそれほど隔たりはありません。
プロデューサーが見る目があったのと、ヴェラ役のブレンダ・ブレシンがうまい役者だからでしょう。
日本のドラマは原作無視で、主要な登場人物が違う性に変わっていたり、年齢も若くなっていたり(そういえば年寄りになることはあまりないですねぇww)は当たり前ですから。
内容が少し違っているのはドラマですから仕方ないですが…。
そうそう、小説ではヴェラは一人で行動することが多いのですが、ドラマではジョー・アッシュワースといっしょに行動していて、ジョーの出番が多かったです。
やっぱりドラマにはイケメンが必要ですか。
それからドラマでは気にならなかったのですが、ヴェラの父親への思いが複雑みたいなのがわかりました。
アマプラでシーズン2も見られるようになったので、続けて見てみようと思っています。
ドラマはシーズン14で終わりになったようです。
次に翻訳するのはどれでしょうね。
一作目の「The Crow Trap」をキンドルで買っているみたいなので、そのうち読んでみますわ。
ペーパーバッグも値上がりしていて、なかなか手が出ませんけど。
兄犬、14歳になる ― 2026/06/12

チワマル兄が14歳になりました。
人間の年齢では70代です。
見かけはいつまでも若いのですが、たまにヨタヨタすることもあり、年齢は隠せません。
お散歩に行く前の元気さはすごいのですが、歩いているとだんだん遅くなります。
食欲だけは衰えません。

10年以上前の写真ですが、若いですね。

今と比べると毛の質が少し違っているようです。
というか、トリミングから時間が経っているからボサボサなだけですかww。
昨年はいっしょに何回か旅行に行きましたが、今年はパパが忙しいので、まだ旅行に行っていません。
車に弱くて、修善寺に行った後に具合が悪くなりましたが、今は元気です。
今年はあまり旅行に行けそうもありませんが、なるべく近場でのんびりできるところに行きましょうね。
今朝、パパが仕事に行った後、ママの寝床にまた来たいとかわいい鳴き声で訴えてきました。

ママの邪魔をしていたのですが、諦めて寝る体勢に。

しばらくすると寝ています。
正面から写真を撮りたかったのですが、顔を背けるので仕方がないですねぇ。
今年のケーキは市販のものにしました。

豆乳ベリームースです。美味しそうですね。
ヨーキー弟と半分ずつにしてあげました。(兄の方がちょっと多いかな)

見せるとすぐに食べようとします。

ガッツいていますw。

見て下さい。舐めるように食べています。
もっと下さいと言っていますねww。
美味しいんでしょうね。
小型犬の平均寿命は14歳から15歳といいます。
今のところこれといった病気はありません。
できるだけ長く元気でいられるようにママも頑張ります。
エリカ・ルース・ノイバウアー 『イスタンブールの殺人』 ― 2026/06/13
ジェーン・ヴンダリー・シリーズの四作目。

1026年。
ジェーン・ヴンダリーは豪華客船オリンピック号でニューヨークに到着した後、レドヴァースと共に故郷のボストンにやって来た。
というのもジェーンとレドヴァースは婚約したので、ジェーンは父親のヘンリー・ヴンダリーとレドヴァースを会わせたかったからだ。
家に着くと、何かおかしい。
居るはずの父はいない。
週に二、三回来るはずの家政婦はしばらく来ていないようだ。
図書室兼書斎のデスクの上に銀行からの通知書が数通あり、開けて読んでみると、父は家を担保にして銀行から多額のお金を借りたらしく、数週間以内に返済しなければ、家は銀行に取られてしまうという。
なんのために大金が必要だったのだろう?
父はいつ、どこに行ってしまったのか?
銀行に行くと、父は九万ドル借りていた。
三週間の返済猶予をもらい、ジェーンとレドヴァースは家政婦のところに行く。
家政婦のミセス・ジョージによると、父は三週間前にイスタンブールに行ったのではないかとのこと。
家に帰り、二人が家のなかを徹底的に調べると、父の書いた手紙が見つかる。
やはりイスタンブールに行ったようだ。
ジェーンとレドヴァースはまた豪華客船に乗り、イスタンブールへ向かう。
イスタンブールの父の定宿に行くと、驚いたことに、そこにミリー叔母と彼女の婚約者のエドワード・ヒューズ卿が現れる。
叔母には父を探しにイスタンブールに向かうと電報を打っておいたのだが、来るとは思わなかった。
どうも叔母はジェーンの父、つまり兄のヘンリー探しに参加するつもりらしい。
父は<スルタンの心臓>を探しているようだが、行方はようとして知れない。
そのうちジェーンたちを尾行する何者かが現れ、父の研究を手伝っていた人が殺され、得体の知れない者たちが近づいて来たりと何やら怪しい雲行きに…。
コンスタンティノープルとイスタンブールは同じ都市を表します。
正式には1930年からイスタンブールとなったそうです。
名称の変更の経緯に関してはここには書きませんので、調べてみて下さい。
読んでいるとジェーンたちといっしょに観光(ではないですがw)をしている感じになります。
イスタンブールの高級ホテル、ぺラ・パラス・ホテルに泊まり、トプカプ宮殿やスレイマニエ・モスク、グランドバザール、バシリカ貯水池などを観光し、ジャーロウル・ハマム(トルコ式蒸し風呂の公衆浴場)で疲れを癒し、トルココーヒーを飲み、メイハーネ(大衆向け飲食店)で食事をして、夜はナイトクラブに行く。
そしてオリエント急行に乗り、ハンガリーに行き、ワイナリーツアーに参加する。
いいじゃないですかぁ。
今回はイスタンブールという魅力的な町が舞台だったからか面白かったです。
ジェーンのお父さんは考古学の教授だと思いますが、浮世離れした人なので、次回以降にも何かやらかしてくれそう。
このシリーズは七巻まで出版されています。
次回の『Secrets of a Scottish Isle』ではもはや旅ミステリではなくなるようです。
ジェーンは一人、オカルト集団に潜入するという任務につきます。
レドヴァースと同じエージェントの仕事についてしまったのかしら。
それにお父さんも登場しないみたい。
わけのわからないシリーズですねww。
原田ひ香 『♯台所のあるところ』 ― 2026/06/14

6つの台所をめぐる、6人の女たちのお話。
彼女たちは木曜二十四時三十分からの「台所のあるところ」というドラマを観て、Xの投稿を見るのを楽しみにしている。
「ままならないキッチン、ままならない人生」
55歳の飯盛敦子は一人で広い家に住んでいる。子どもたちは巣立ち、夫は定年退職を機に海外へ行ってしまい、一人家に残されたのだ。
そんな時に冷蔵庫が壊れ、買い替えをしなければならなくなるが、冷蔵庫が選べない。
「半殺し」
27歳の村松陽愛乃は彼と恵比寿の1LDKで同棲中だが、なんでもコスパ・タイパ優先の彼との暮らしに窮屈さを感じている。ひょんなことからファイナンシャルプランナーと話すことがあり、自分の生活を考えなおすことになる。
「冷凍庫冷蔵庫合わせて五台」
65歳の鈴木寿子は不思議な風習のある島で暮らしている。もともとは東京出身だったのだが、結婚を機に島にやってきたのだ。夫に先立たれ、子供はみな島を出て行った。そろそろ自分の置き場所を決めなくてはと思う。
「毎日、揚げもの」
48歳の高木花絵は四人の子を持つシングルマザー。訪問介護の仕事をしている。
毎日、忙しくて、夕食は簡単な揚げものにしてしまう。高校生の長女は反抗期なのか、いつも花絵の揚げ足を取り騒ぐ。元夫は養育費を払っているのをいいことに、ことごとく口を出してくる。今回は長女の進路についてだ。
「犬のご飯、私のご飯」
41歳の海原多美は東京の会社を辞め、地方の町に移住して新聞配達員をして暮らしている。深夜から明け方まで働き、保護犬3匹とたわむれ、日が落ちたら寝る生活だ。そんなある日、いつも門の前で新聞を待っている老人の姿がなかったことから思いもかけないことが起こる。
「鎌倉の家」
5人の女たちのその後と「台所のあるところ」を企画した脚本家のお話。
第175回直木三十五賞の候補作品だそうですが、原田さんだったら他にもっといい本があるのではないでしょうか。
「台所のあるところ」というドラマはそれほど面白いとは思えないのですが、なんでみんな見るのかなと不思議に思いました。
登場人物たちはそれぞれ日常生活に満たされない思いを抱いていますが、感情移入できる人はいませんでした。
特に三人の女性は不可解でした。
飯盛はなんで夫といっしょに海外に行かないのか、村松はなんでバカ男とサッサと別れないのか、高木はなんで子供に家事を教えないのか。
島の変な風習はホラーが始まるのかと思ってしまいましたw。
一番いいなと思ったのが、海原かな。わんこと楽しそうでいいですね。
最終章にみんなが出てきて、高木以外は幸せになりそうな感じなので、読後感はよかったです。
原田さんの小説としては可もなく不可もなく。
短時間で読めてしまうお話です。
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