原田ひ香 『♯台所のあるところ』2026/06/14



6つの台所をめぐる、6人の女たちのお話。
彼女たちは木曜二十四時三十分からの「台所のあるところ」というドラマを観て、Xの投稿を見るのを楽しみにしている。

「ままならないキッチン、ままならない人生」
55歳の飯盛敦子は一人で広い家に住んでいる。子どもたちは巣立ち、夫は定年退職を機に海外へ行ってしまい、一人家に残されたのだ。
そんな時に冷蔵庫が壊れ、買い替えをしなければならなくなるが、冷蔵庫が選べない。

「半殺し」
27歳の村松陽愛乃は彼と恵比寿の1LDKで同棲中だが、なんでもコスパ・タイパ優先の彼との暮らしに窮屈さを感じている。ひょんなことからファイナンシャルプランナーと話すことがあり、自分の生活を考えなおすことになる。

「冷凍庫冷蔵庫合わせて五台」
65歳の鈴木寿子は不思議な風習のある島で暮らしている。もともとは東京出身だったのだが、結婚を機に島にやってきたのだ。夫に先立たれ、子供はみな島を出て行った。そろそろ自分の置き場所を決めなくてはと思う。

「毎日、揚げもの」
48歳の高木花絵は四人の子を持つシングルマザー。訪問介護の仕事をしている。
毎日、忙しくて、夕食は簡単な揚げものにしてしまう。高校生の長女は反抗期なのか、いつも花絵の揚げ足を取り騒ぐ。元夫は養育費を払っているのをいいことに、ことごとく口を出してくる。今回は長女の進路についてだ。

「犬のご飯、私のご飯」
41歳の海原多美は東京の会社を辞め、地方の町に移住して新聞配達員をして暮らしている。深夜から明け方まで働き、保護犬3匹とたわむれ、日が落ちたら寝る生活だ。そんなある日、いつも門の前で新聞を待っている老人の姿がなかったことから思いもかけないことが起こる。

「鎌倉の家」
5人の女たちのその後と「台所のあるところ」を企画した脚本家のお話。

第175回直木三十五賞の候補作品だそうですが、原田さんだったら他にもっといい本があるのではないでしょうか。

「台所のあるところ」というドラマはそれほど面白いとは思えないのですが、なんでみんな見るのかなと不思議に思いました。
登場人物たちはそれぞれ日常生活に満たされない思いを抱いていますが、感情移入できる人はいませんでした。
特に三人の女性は不可解でした。
飯盛はなんで夫といっしょに海外に行かないのか、村松はなんでバカ男とサッサと別れないのか、高木はなんで子供に家事を教えないのか。
島の変な風習はホラーが始まるのかと思ってしまいましたw。
一番いいなと思ったのが、海原かな。わんこと楽しそうでいいですね。
最終章にみんなが出てきて、高木以外は幸せになりそうな感じなので、読後感はよかったです。

原田さんの小説としては可もなく不可もなく。
短時間で読めてしまうお話です。

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