内藤了 『BLOOD 警視庁特捜地域潜入班 鳴瀬清花』2025/07/09

DOLL 警視庁特捜地域潜入班 鳴瀬清花』に続く、シリーズの六作目。
今までは日本の民俗学を基に書かれたミステリでしたが、今回は海外の伝説や事件を基に書かれているようです。


警察庁特捜地域潜入班に出向中の鳴瀬清花は追うべき案件がないため、警視庁の資料室でボスの土井火斗志と過去の未解決事件の資料を当たっていた。
そんな時に、清花たちが前に身柄を保護した犯罪関係者である江口裕真から連絡が来る。
先週末のゲリラ豪雨で浸水した大田区の家から棺桶らしき箱が見つかったので、来てくれという。便利屋のバイトで片付けに行った先の地下室で見つけたという。
早速、出向く潜入班。

地下室からはエログロポルノを売りにした雑誌や絵、写真、トルソーなどのコレクションが見つかっていた。
箱は重く、チェーンで取っ手が縛られていた。
チェーンを切って中を開けると・・・。
箱は液体で満たされ、全裸の少女が浮いていた。

家の持ち主は妻が亡くなってから様子がおかしくなり、妻を生き返らせようとしていた節がある。娘によると、自殺したという。
三百万の領収証が見つかり、そこには『特殊水槽』と但し書きがあり、発行人は
Wemptiとなっていた。

箱に入っていた少女は妊娠初期で、年齢は十四、五歳。
頸動脈のあたりに小さな穴があり、体内にはほとんど血液がなかった。
監察医は薬で眠らせて頸動脈から血を抜いたのではないかと推測していた。

土井は潜入班の面々に話をする。
2003年と2004年に死斑が薄い、もしくは出ていないいくつかの変死体が見つかった。
土井は何かおかしいと気になり調べて始めたが、妻が末期ガンであることがわかり、捜査一課をやめたため継続して捜査ができなかった。
土井は二十年前の事件と今回の事件の間に何らかの繋がりがあるのではないかと思っているのだ。

人の血を抜く吸血鬼がまた活動を始めたのか。
それとも土井の妄想なのか。
潜入班は一致団結して捜査に乗り出す。

今回は珍しく潜入班は東京から動かず、現代的な問題、機能不全家族やトー横キッズ、発達障害などを扱っています。
行き場のない子はどこに行けばいいんでしょう。
最期がこんな風とは、悲し過ぎます。

潜入班に飛ばされたという思いにとらわれていた清花はやっとふっきれて、立派に潜入班の一員となりました。
残念なのが通信官の福子さん。彼女の異常さが増幅してきましたww。普通の人でいいのに。
土井は悔いの残る事件が一応解決し、彼なりに心の整理ができたのではないでしょうか。
「警察官は完璧じゃない。そして警察官は一人じゃないのだ」
いい感じになってきた潜入班です。

次回の『SOUL』は郡上八幡が舞台らしいです。
一度行ったことがありますが、今度は郡上おどりを見に行きたいです。

*ちなみに江口裕真は『COLD』に出てきた人かな。

王谷 晶 『ババヤガの夜』2025/07/06

『ババヤガの夜』はイギリスの英国推理作家協会が主催する「タガー賞」翻訳部門で賞を受賞した作品です。
だいぶ前にどこかで紹介されていたのでkindleで買っていたのですが、賞を受賞したということなので早速読んでみました。


祖父から暴力の英才教育を受け、暴力が生きがいになっている新道依子は、祖父母が死に、東京に出て、バイト暮らしをしていた。

ある日、映画を見に歌舞伎町に行くと、酒に酔ったチンピラに尻を叩かれ、新道はその男に制裁を加える。
警察が呼ばれると面倒なので、その場から逃げようとすると、ガラの悪い男たちが現れ、彼らから暴力を振る舞われる。
新道は後頭部を殴られ、失神する。

新道が連れられて行った先は関東最大規模の暴力団興津組の直参である内樹會の会長、内樹源造の邸宅だった。
新道を拉致した柳という男は、内樹の娘のボディガードとして新道をスカウトした。言う通りにしないとドーベルマンを殺す、と言う。
犬には罪はないと思った新道は言うことをきくことにする。

源造の娘の尚子は古風な風体の美少女だった。
新道は屋敷に住み込み、毎日、尚子の運転手兼ボディガードとして働いた。
しばらくして、間男と逃げた女房を内樹が必死に探していることと尚子に婚約者がいることがわかる。
初めは新道に必要最低限の命令か、言葉だけお上品な罵倒しか投げてこなかった尚子だったが、次第に気心が通うようになる。

しかし、そんな暮らしも新道が間違った人物を殴ってしまったために終わりを告げる。

「ババヤガ」とはスラブ民話に登場する魔女のことだそうです。
新道依子はスラブ人の血が混じっているんでしょうかね。
これは「シスターバイオレンスアクション」の小説らしいです。
ミステリには思えなかったのですが、ミスリードがあるので、一応ミステリにしておきました。
暴力を振るう場面がありますが、大したことがなく、それよりもどういう風にいたぶっていくかという表現の方にゾゾっとしました。
変態男ばかりで、○○○さんたちってこんな人ばかりではない、まともな○○○さんもいると思うのですが。
こんな男ばかりの中にいると新道依子も尚子もまともじゃないけど、まともに見えてしまいます。
残念だったのが柳です。彼にもう少し活躍の場を与えてもらいたかったです。
最後があっけなくも、せつなかったです。

暴力の場面が気にならなければ読んでみてもいいでしょう。
思ったよりもページ数が少なく、サクサクと読めました。
私の好みではなかったですが、翻訳がどうなっているのか興味があります。

中山七里 『武闘刑事』2025/07/02

早いもので、もう七月になりました。
年々、一年が過ぎるのが早くなります。
そう思えるのは、「ジャネーの法則」で説明されているそうですが、その他に日常がルーティン化しているからということもあります。
何か新しいことをしてみるのがよいというので、Duolingoで途中になっていたフィンランド語をオンラインで学習してみることにしました。
4月開講の初心者クラスなので、他の受講者たちは私よりも先を行っていますが、頑張って追いつきます。(できるかなぁ?)

高頭冴子シリーズの三巻目。


千葉県警捜査一課所属の郡山弦爾が親しくしていた、同じマンションの隣室に住む小湊雪美と娘の真央が至近距離から銃で撃たれ殺される。
見つかった弾丸は米軍の軍用モデルのSIG SAUER P320に採用されているパラベラム弾。
射入角度から犯人のおおよその身長は百七十五から百八十センチの間。
そして防犯カメラと米兵の証言から、容疑者として横田基地所属の在日米軍曹長スチュアート・ヒギンスが浮かんできた。
スチュアートに事情聴取をしようとするが、横田基地からは証拠不充分であるという回答が来て断られる。

このままでは引き下がれない高頭は横田基地での張り込みを開始するが、在日米軍司令部から警察庁経由でクレームが来る。
それでも食いついて行くのが高頭。
日米友好祭に乗り込み、スチュアート軍曹を基地の外へ連れ出そうとするが、郡山が捕らえられてしまう。

高頭たちの前に日米地位協定という壁が立ちはだかる。

前の二作と比べると派手な武闘場面はありません。
あの高頭冴子と郡山弦爾が珍しく頭を使っているというのが面白いですね。
読んでいくと郡山がなかなか釈放されないのでイライラしました。
犯人の動機がイマイチです。

調べてみると、米軍関係者の一般刑法犯の起訴率は1割から2割、不起訴率は8割から9割で、日本全国では起訴率が約3割から4割だそうです。
米軍関係者だけではなく、ニュースなどで問題になっている某国の人たちの不起訴率はどうなんでしょうね。

現代の社会問題を扱ってくれる中山七里さんなので、これからも色々と書いてくれることでしょう。期待しています。

<高頭冴子シリーズ>
①『逃亡刑事』
②『越境刑事
③『武闘刑事』(本書)

近江泉美 『教授のパン屋さん ベーカリーエウリカの謎解きレシピ』2025/05/21



薔薇が満開で、どこかのバラ園に行きたくなりますが、混んでいるのでしょうね。
近所のお庭で我慢しますわ。


熱くなったので、わんこたちが水を飲むようになりました。
兄は普通のドッグフードじゃなくウエットフード+野菜類になると痩せ始めたので、ドッグフードを水でふやけさせてやるようにしました。
吐かないかと心配でしたが、大丈夫でした。
アスリートのヨーキー弟はソファに飛び乗っていたのですが、この頃やらなくなりました。
兄は6月で13歳、弟は8月で11歳。お年なのです。


札幌にある美味しそうなパン屋さんのお話かと思って読んでみました。


おれこと福丸あさひは仕事が休みの日に気分転換としてパンの食べ歩きをしている。
昔、おばあちゃんが『フクマルパン』というパン屋を営んでいたので、おやつといえばパンだった。

ある休日に福丸はパン屋巡りをしようと札幌市時計台の方へ歩いていた。
すると幻のベーカリーといわれている、神出鬼没の移動式パン屋<ベーカリーエウリカ>の看板を見つける。
<ベーカリーエウリカ>の店主は、四、五十代の濃いグレーのスーツを着た英国紳士を思わせる男性だった。
早速、クランベリーとクリームチーズのパンを買い、その場で食べてみると、「ふつう」だった。
つい声が出てしまい、「ふつう」とは何だと店主に絡まれている時に、警察がやって来て、尋問される。
着ていた派手なパーカーのせいで、昨晩、観光客にケガをさせた犯人と思われたのだ。
困っていると、紳士にパンを改良するアイデアを授けてくれるなら、無実の証明をしてやろうといわれる。
お願いすると、紳士は何だかんだとパンと工学の蘊蓄をたれ、脱線するので、ただの変人かと思っていると、三つの質問をしてきて、答えを聞いた後に見事に福丸が無実であることを証明する。
その上、驚いたことに、福丸の職業まで当ててしまう。

この紳士は亘理一二三という国立大学工学部の教授で、大学に副業申請をして、パン屋を営んでいた。
紳士は「工学とパンはよく似ている」といって説明するのだが、福丸にはちんぷんかんぶん。(私もw)
このことが縁となり、紳士がホームズであさひがワトソンという関係ができあがり、パンと工学を組み合わせ、推理し謎を解いていく。

クリームパン、チョココロネ、ちくわパン、あんパンと美味しそうな日本のパンが出てきます。
私は北海道出身ですが、ちくわパンは食べたことがないです。
1983年に札幌市豊平区の「どんぐり」というパン屋さんが開発したそうで、このお店は今もあるそうです。


こんな感じのパンらしいです。(写真はフジパンのHPよりお借りしました)
フジパンは明太マヨのようですが、元祖はツナマヨみたいです。

ちなみに「エウリカ(Eureka)」とはギリシャ語で「わかった!」、「発見した!」という意味です。
いかにも亘理教授がつけそうですね。

シリーズ物らしいので、次も美味しいパンが出てくるでしょう。
お腹が空いていると、無性にパンが食べたくなるので、気をつけて読んでくださいね。

鳴海響一 『湘南機動鑑識隊 朝比奈小雪』2025/05/17

鳴海さんの新しいシリーズです。


朝比奈小雪は鑑識体制の強化を目的に新設された機動鑑識隊江の島分駐所の新米鑑識員。
機動鑑識隊は湘南地域で発生した事件に二十四時間対応する遊軍部隊だ。

小雪は江ノ島生まれで、今も江ノ島に住んでいる。
美術大学を出てから二年間は県警総務部広報県民課の事務職員をやっていたが、途中から警察官になりたくなり、警察官試験を受け採用された。
警察学校を卒業し、麻生署の交番勤務を経て、今年の四月に希望の刑事部機動鑑識隊に異動できた。

小雪の属する機動鑑識隊、縮めて機鑑隊のメンバーは池田班長と平井、戸川、磯辺、そして小雪の五名だ。
小雪は初めての出動でヘマをしてしまう。
マンションの5階の自室から転落したらしいマルガイ(被害者)を見て気を失ってしまったのだ。
その上、被害者の部屋にシャム猫の首が置かれているのを見て、意識を失った際に嘔吐してしまう。現場を汚してしまったのだ。

一ヶ月半が過ぎた頃、小雪の努力が実り、「手先が器用な新人鑑識」として認められるようになる。

異動してから三カ月経ち、少しだけ仕事に慣れてきた頃、変死している一人暮らしの老人の家で小雪は奇妙な足跡を見つける。
侵入者のうちの一人の足跡に迷いがないのだ。
小雪はこの『迷いなき男』が気になる。

それから半月も経たないうちに、小雪はまた『迷いなき男』と出会う。
現場に現れた捜査一課特命係の向井警部補は小雪の推理に関心を持つが・・・。

小雪は鑑識をするよりも刑事になった方がよさそうに思えますが、これからどうなって行くのか、一作目ですから様子見しましょう。
彼女のお父さんが有名な画家で、絵筆の扱いになれているので、娘にメイクをする場面が出てきて、笑ってしまいました。
これからもお父さんが登場してくれるといいですね。
同僚にはいけ好かない先輩がいますが、上司には恵まれているようなので、小雪もそのうちに戦力になるでしょう。
小雪の好きな絵はオランダのエレイン・デ・クーニングの≪無題(闘牛)≫でアーディゾン美術館にあるそうです。


なんとも言えない絵です。私には苦手な抽象画だわww。
美術館で見たかどうか、記憶にありません。

今のところヒロインの小雪にあまり魅力は感じていませんが、鑑識の仕事に興味があるので、続けて読んでみるつもりです。

麻見和史 『最後の告発』2025/05/07

旅行から帰ってからもわんこたちは元気です。
心配だった兄は朝ごはんを食べた後に大量のブツを排出しました。
よかった、よかったwww。

ママにはフルーツアレルギー疑惑がありましたが、たまにしか症状がでないので、気にしないでいました。
今回ホテルの朝食でフルーツを食べている時に、喉にブツブツができました。
食べたのは、イチゴ、パイナップル、メロン、ぶどうを2個または2切れずつです。ぶどうが一番あやしいかな。
バラ科(りんご、いちご、さくらんぼ、ももなど)の果物に反応を引き起こす可能性がありそうですが、今朝いちごを食べても大丈夫でした。
少量を食べるように気をつけますわ。

警視庁文書捜査官シリーズの11作目。


二月二十四日に警視庁捜査一課の科学捜査係文書解読班に一通の手紙が届いた。
それは再捜査の依頼と犯行の予告とも取れる手紙だった。
二枚目の便箋に七年前、東京都昭島市にすむ男性が行方不明になり、知人の男性の行動に不審な点があるので、調べてみるべきだと書かれており、二枚の写真が同封されていた。
文書解読班の班長・鳴海理沙は財津係長に許可を求め、捜査を始める。

三月六日に、また手紙が届く。
今度は二年前、足立区西新井で起きた殺人事件のことが書かれていた。
容疑者と見られる男はサラ金から借金をしており、強盗をするだけの動機があり、逃走して現在も行方不明だが、建設工事に関わっているらしいと書かれており、その男の写真が同封されていた。
文章や筆跡から、前回と同じ通報者だと考えられた。
鳴海は自分たちを指名しているのだから、その人物の期待に応えたいと、続けての捜査を申し出る。

そして、三月十三日に三通目の手紙が届く。
そこには四年前、北区王子在住のフリーアルバイターの女性が行方不明になっており、趣味の写真サークルで知り合った男性が彼女を殺害した疑いがあり、男性が額装していた風景写真が手がかりになるだろうと書かれていた。
鳴海たちは再々度捜査を始める。

「善良な市民」を名乗る差出人はいったい何者なのか。
何故、文書解読班に手紙をよこしたのか。
そして、真の目的はなんなのか。

疑惑を持ちながらも、文書解読班は捜査に取り組むが、捜査は意外な展開を見せる。

今回は文書解読に関係ない事件でした。
足でかせぐタイプの矢代と夏目がせっせと動き回り、情報を集め、最後に鳴海が閃いて事件を解決するという感じです。
そんなに事件現場に謎の文書は残されていませんから、仕方ないですね。
主人公が鳴海から矢代に変わったのかな?
四月の組織の改編や異動関係で何かありそうなことをほのめかしているので、次回に明らかになりそうです。
私は財津係長が異動し、代わりに国木田哲夫警部補が文書解読班に異動してくるのではと予想していますが、どうでしょうね。


警視庁文書捜査官シリーズ
④『灰の轍 警視庁文書捜査官』
⑤『影の斜塔 警視庁文書捜査官』
⑥『愚者の檻 警視庁文書捜査官』
⑦『銀翼の死角 警視庁文書捜査官』
⑧『茨の墓標 警視庁文書捜査官』
⑨『琥珀の闇 警視庁文書捜査官』
⑩『追憶の彼女 警視庁文書捜査官』
⑪『最後の告発 警視庁文書捜査官』(本書)

石持浅海 『殺し屋、やってます。』&『夏休みの殺し屋』2025/04/26



殺し屋シリーズは4巻まで出版されているようです。
私は知らずに4巻目の『夏休みの殺し屋』から読んでしまいました。
読み終わってから気づいて1巻目の『殺し屋、やってます。』を読んだのですが、問題ありませんでした。
このシリーズはどの巻から読んでも大丈夫なようです。
ちなみに2巻目は『殺し屋、続けています。』で、3巻目は『女と男、そして殺し屋』です。

日本で殺し屋というと、古いですが、私は「必殺仕掛人」を思い出します。
現代には、いましたっけ?
あくまでも映画などからの影響ですが、A国やR国、C国にいそう。
この本の殺し屋さんは、なんの変哲もない普通の男の人です。
名前は富澤充といい、経営コンサルティング会社を経営しています。
殺し屋は副業です。

殺しのお値段は650万円。高いか安いか。どう思いますか。
私は安いと思いました。映画の殺し屋はもっともらっていますよね。
この金額には理由があります。
650万円は東証一部上場企業の平均年収で、「日本を代表する社員が1年間懸命に働いてようやく得られる金額を払ってまで、相手を亡き者にしたいのか、依頼人にその覚悟を問うている」のだそうです。
それでも依頼人がとても軽い動機で人を殺そうとしているので、なんだかなと思います。
650万円は安過ぎです。

どういう風に殺しを依頼されるかというと、こういう感じです。
連絡係①が口コミでやって来た依頼人と会い、依頼を受け、連絡係②に標的の名前と写真、住所や仕事場などの情報を渡す。
連絡係②から依頼を聞いた殺し屋は殺される人物が実在し、写真の人物であるかどうか確認し、依頼内容に間違いがないか調べ、三日以内に引き受けるかどうかの返事をする。
殺害を引き受けると、前金の三百万円が払い込まれる。
入金を確認してから二週間以内に実行する。
完了後、残金の三百五十万円が振り込まれる。
このシステムは依頼人と殺し屋の間に連絡係を二人置くことによって、お互いの情報を知り得ないようになっているので、互いに裏切りの心配がなく安全だそうです。(安全かなぁ?)

殺し屋はあくまでもビジネスライクに仕事をこなしますが、いかんせん、依頼人や標的の奇妙な行動が気になるのです。
例えば、子どものいない男がおしめを買う理由や毎晩公園で水筒を洗う女の謎、ベンチャー企業の社長の殺害が二度もキャンセルされたのは何故かなど。
殺し屋の富澤充は仕事をやりながら、見事に謎を解いていきます。

短編集なので、時間がなくてもすぐに読めます。
暇つぶしにぴったりな軽いミステリです。


<今週のおやつ>

美味しいと言うので、買ってみたイギリスのBen's Cookiesのクッキー。
チョコレートチャンク入りのが美味しい、激甘のソフトクッキーです。
飲み物がなければ食べられませんわwww。
一枚310~360キロカロリーぐらいあります。
食べるのが怖いクッキーです。

岩井圭也 『中華街の子どもたち 横浜ネイバーズ6』2025/04/24



ヒトツバタゴ、別名なんじゃもんじゃの木の花が満開です。
先週まではまだ咲いていませんでしたが、暑くなり、いっぺんに開いたのでしょうか。


昨年までは見に行くのが遅くて、枯れかけていましたが、今年はやっと間に合いました。

さて、横浜ネイバーズ・シリーズの最終巻です。


ロンは二十四歳になったが、未だに法律事務所のバイトの身だ。
祖父の良三郎からは家に金を入れろと言われているが、無視している。
友人のマツは料理人を目指し働いている。
大学に入学したヒナは大学生ながら起業しようとしている。
一体自分は何をしたいのだろうと悩む毎日だ。

そんなある日、ロンはマツから問われる。母親の南条不二子のことをどうするのかと。
捜査は警察に任せるとは言ったが、気になり、刑事の欽ちゃんに聞くと、母親の組織は強盗の割合を減らしてフィッシング詐欺に手を広げているという。
ロンは自分のために南条不二子を捜索し、会うことを決意する。

早速、ロンは仲間たちに協力を求め、組織のことを探り始めるが、それは危険な領域に入っていくことでもあった。

今回はロンが南条不二子に会うまでを描いた作品です。
相変わらずの無鉄砲で、考えなしなところが笑えます。
このままでいくと、ヒナのお尻にしかれっぱなしになりそうですねぇ。
将来の目標も決まったようですが、ひょっとしてそれになるのがとても難しいということを知らないのかな。ロンならありえそう。
電話番号さえ記憶するのが大変なロンがなれるのか。甘いんだよ。

まあ、予想できる終わり方でした。(一応ミステリに入れてるけど、謎解きがないのでミステリではないです)
第一シーズン完結と書いてあるので、そのうち第二シーズンが始まり、組織のトップの<アルファ>との対決がメインですかね。
第二シーズンも読むかどうかは今のところ不明ですが、岩井さんの別の本も読んでみようかと思います。

横浜ネイバーズ・シリーズ
⑥『中華街の子どもたち 横浜ネイバーズ6』(本書)

中山七里 『氏家京太郎、奔る』2025/04/23

鑑定人 氏家京太郎』の続編。


東日暮里のアパートの一室で腐乱死体が発見される。
部屋はゴミ屋敷と化し、死後二月が経っており、殴殺された形跡があった。
被害者は天才ゲームクリエイターの九十九耕輔で、現場から採取されたティッシュのDNAから九十九の同僚である御笠徹二が逮捕される。

警視庁科学捜査研究所のOBで、今は民間の<氏家鑑定センター>の所長である氏家京太郎はネットニュースを見て驚く。
御笠徹二は高校時代からの親友だった。

御笠は一度も九十九の家に足を踏み入れていないと主張し、犯行を否認する。
氏家は御笠の無実を証明するために、自ら奔走する。

前作に比べると、ちょっと中だるみかな。
親友のためなら、クールな氏家も本気になり、刑事事件に不慣れな美能弁護士に不安を覚えながらも、きっちり仕事をします。
警察と検察のやり方が汚いですが、何しろ経験値が低い美能弁護士ですから、見くだされても仕方ないです。
最後にやっとドンデン返しがありますので、お楽しみに。

最後の方で氏家の言うことに同意します。

「(前略)犯罪を犯した者を分母としてサンプルを取っているが、経済的貧困や教育的貧困に喘ぎ、家庭内暴力や愛情不足に悩まされても真っ当に育った人間は大勢いる。まともに育っているからサンプルに選ばれていない。こういう統計の取り方をすれば当然、劣悪な家庭環境に育った子どもが長じて犯罪者になる確率は高くなる。数字のマジックだ」

特殊清掃人の五百旗頭(いおさべ)と私立探偵の鳥海が氏家と仕事をし、氏家の頭の中にだけ御子柴弁護士が出てきます。
そろそろ御子柴弁護士に会いたいのですが、五月は高頭冴子シリーズの新刊が出版されるようです。

岩井圭也 『ディテクティブ・ハイ 横浜ネイバーズ5』2025/04/21

横浜ネイバーズ・シリーズの五冊目。


「1.きみはアイドル」
涼花の友だちがメン地下グループのヴェスパーズの郁斗推しをしていて、八十万もチェキ券を買いまくり、最近パパ活を始めたらしい。涼花はロンにその友だちにパパ活を止めさせ、郁斗を成敗してほしいと頼む。ロンはこれは郁斗個人だけの問題ではなく、グループやグループ活動をプロデュースしている事務所にも問題があるので、事務所にこのシステムを止めさせるしかないと考え、引き受けることにする。

「2.柔らかな闇」
ロンの祖父の良三郎が交通事故に遭い、しばらく入院することになる。そういう時にロンはカンさんの件でお世話になった清田弁護士に呼び出される。清田は法律事務所を首になり、開業しようと思ったが、立地がよくて家賃が手ごろな場所が見つからないので、元翠玉楼の場所を貸してほしいという。マツと彼の母親に迫られ、しぶしぶ三週間という期限をつけて貸すことにするが、どうも清田は人柄はよさそうだが、意外と狡猾なようだ。いつの間にかロンは清田の事務所の事務員にされ、三週間で出ていくはずだったのだが引き伸ばされる。
清田は母親が闇金業者から金を借りているという息子からの相談を引き受けるが、警告だけですまそうとする。ロンは納得がいかなく、勝手に動く。

「3.抜け穴と落とし穴」
清田のお使いで小田原まで出かけていたロンは大雪で電車が止まってしまって困っていた。混雑した駅のなかを歩いていると、男とぶつかる。男がプラスチックボトルを落としたので、拾って渡そうとするが、相手は気づかずに行ってしまう。ボトルの中には白いグミが十粒ほど入っていて、ボトルには<カンナビノイド>と記されていた。
<カンナビノイド>をスマホで調べ、とりあえず警察に持っていこうと決めた時に・・・。

「4.ディテクティブ・ハイ」
須藤という警察官が殺された。先月、交番に直接通報があり、その夜の当直だった須藤は一人でマンションへ行き、音がした部屋に駆けつけた。須藤が一向に戻ってこないので、心配した通報者が再度交番に連絡。別の警察官がやってきて、部屋に踏み込むと、うつ伏せに倒れている須藤と拘束された住人が発見されたという。
彼の影響で警察官になった欽ちゃんは須藤を殺した犯人と強盗事件の実行犯と指示役を捕まえ、トクリュウを壊滅させると決意する。欽ちゃんの話を聞いたロンは協力を申し出、欽ちゃんから警察ではできないことを頼まれる。

今回のキーワードは、メンズ地下アイドル、推し活、チェキ券、闇金、大麻グミ、匿名・流動型犯罪グループ(通称「トクリュウ」)などです。

特に推しのグループとかアーティストはいないので、「チェキ券」って何って感じです。
調べてみると、「チェキ」って富士フイルムのインスタントカメラのことで、「チェキ券」とはファンがアイドルやアーティストとチェキで写真を撮るために必要なチケットのことです。
イベントによって、アーティストと会話をしたり、サインやメッセージを書いてもらったりできる様々な種類のチェキ券があるそうです。
要するにファン心理をついた金儲けですね。

ロンは一本ネジが外れているからか、とても無謀で、殺されても仕方ないようなことを毎回平気でやっています。
いつも助けが来るのはお話だから。現実社会で彼のようなことをすると、とっくの昔に死んでいますよ。

六巻目が発売されましたが、第一シーズンの最終巻だそうです。
いよいよロンが母親と対決するのかしら。
今までよりももっと危険な目に遭いそうです。


<週末のランチ>
植木を買いに行くついでにランチをしてきました。


駐車場からお店に入る入り口は緑がいっぱいです。
入ってすぐ右側にレストランの入り口があります。


犬を連れて店内に入れるみたいです。レストランはテラス席なら犬OK。


店内からテラス席を見たところ。


キッシュセットを頼みました。
これにサラダとスープ、コーヒーがついています。パンが美味しいです。
プラス300円でデザートが頼めます。
お店でパンが売っていたので、買って来ました。