柴田よしき 『ドント・ストップ・ザ・ダンス』 ― 2026/10/19
花咲慎一郎シリーズの六作目になります。
2009年に出版されてから書かれていませんが、物語は終わりではないので、麻生龍太郎シリーズのように作家さんの気まぐれで続きを書いてくれるのを待つしかないようです。

花咲慎一郎ことハナちゃんが園長をしている無認可保育園「にこにこ園」では、昔は人気があったが今は売れない推理作家の並木俊太郎の子で、五歳の浩太郎を長時間、預かっている。
逃げた母親が残した借金の返済があるため、並木は仕事を探しながら、昼間に小説の執筆をし、ハローワークに通い、夜にオフィスビルの掃除とラーメン屋の皿洗いのバイトを掛け持ちしている。
その頃、ハナちゃんは城島に呼ばれ、パリでケーキコンテストの賞を取り、日本に帰国したケーキ職人内野真哉の身辺調査の仕事を任される。
経費は使い放題だというが、うさん臭さを感じながらも、背に腹は代えられないと調査を始めるが、内野には殺人疑惑があり、命を狙われているという噂があった。
そんなある日、並木が何者かによって金属バットで頭を殴られ、病院に運び込まれる。
手術は成功したが、意識不明のままの状態が続いている。
このままでは浩太郎をどうするのか、入院費は誰が払うのかという問題が発生する。
仕方なくハナちゃんはケーキ職人の身辺調査をやりながら浩太郎の母親、久美の行方を捜し始める。
ピンチに陥りながらも、ハナちゃんは捜索を続ける。
すると思いがけない接点が見つかる。
いつも思うのですが、ハナちゃんの子どもに対する思いが素晴らしいです。
子どものためならたとえ火の中、水の中であろうが躊躇なく飛び込んでいきます。
子どもは未来の希望ですものね。
彼のように思う人が増えれば、日本ももっとよくなるとは思いますけど…。
残念ながら山内練との絡みは少なく、まあ、彼の秘書の長谷川環が出てくるからいいかって感じです。
でも、これで終わりはないでしょう。
続きをお願いします。
私はその間に猫探偵正太郎シリーズかお勝手のあんシリーズを読んでいます。
<シリーズの順番>
①『フォー・ディア・ライフ』
②『フォー・ユア・プレジャー』
③『シーセッド・ヒーセッド』
④『ア・ソング・フォー・ユー』
⑤『ドント・ストップ・ザ・ダンス』(本書)
<ヨーキー弟のこの頃>
兄は一人(一匹)できままに走るのが好きですが、ヨーキー弟はおもちゃがないと走りません。

ビニールのアヒルちゃんはお年なのか、この頃咥えにくいらしいので、仕方なくカモちゃんを渡しました。
カモちゃんをママが取りにくるように、わざと床に置いています。
明日にでもヨーキーとカモちゃんの様子をお伝えしますねw。
柴田よしき 『ア・ソング・フォー・ユー』 ― 2026/10/18
花咲慎一郎シリーズの四作目。
なんで続けて紹介しているかというと、五作目がkindleでは発売していなくて、文庫本を図書館で借りたのです。
期限があるので、返す前にサッサと五冊目を紹介したいのです。
それにまた四冊、新刊の予約本が入ったとメールが来たし。
出版社にも新刊を出す時期を考えてもらいたいものです。
他にもやらなければならないことがあり、眼精疲労がひどくなるばかりです。

では、花咲慎一郎ことハナちゃんが関わった案件を紹介していきましょう。
「ア・ソング・フォー・ユー」
ハナちゃんが城島から紹介されたクライエントは、エミコ・バーナビーというハリウッド・スターの妻。
案件は人探し。十五年前、美容師として働きながら横浜のアパートで一人暮らしをしていた頃のこと。地下鉄の銀座線に乗っていた時、座っていた彼女の前に大学受験用の参考書を見ている高校生の男子が立っていた。問題集の表紙を見つめていた彼女の膝の上に呪いの藁人形が落ちて来た。その藁人形を持っていた男子を探して欲しいというのだ。
「アカシアの雨」
にこにこ園のある建物と隣の建物の隙間に誰かが生後数日の新生児を捨てていった。警察に届けると、赤ん坊をくるんでいたタオルから覚醒剤が見つかる。
まさか小学生が赤ん坊を産み、捨てたのか…。気になるハナちゃん。
そんな時に、城島が寄こしたのは、行方不明のオカメインコ探し。
「プレイバックPART3」
ハナちゃんの知り合いの元ハコ師で今は靴磨きをしているカンちゃんが女に突き飛ばされて足を骨折した。怒ったハナちゃんはその女を探すことにする。
「骨まで愛して」
ハナちゃんは恋人でカウンターだけのレストランのオーナーシェフ、里紗から探偵仕事の依頼を受ける。常連客の母親が内縁だった男性の骨を家に置いておいたら、それがなくなったという。盗んだ相手は見当がついているというが…、
長谷川環がまた登場。嬉しいですね。
ハナちゃんが気に入ったようで、彼女がハナちゃんをいたぶるところなんか、好きですww。
山内練の片思いの男=麻生龍太郎までちょこっと出てきて、欣喜雀躍。
シリーズも後、一冊になってしまい、読み終わるのが楽しみでもあり、終わってしまうのが悲しくもありという感じです。
<この頃の兄犬>

夜はママのベッドの上で寝るのが定位置になってきました。
ママに遅くまで予定があると、起きれないことがあり、ママのベッドにはこれませんが、頑張って起きようとしています。

これなんか、ぐっすり眠っていて、ママが動いでも起きません。
かわいいんですが、朝の五時半ごろにママの上にのって起こすのは止めて欲しいですw。
柴田よしき 『シーセッド・ヒーセッド』 ― 2026/10/16
本業、保育園の園長、副業、探偵という花咲慎一郎シリーズの三作目。

「ゴールデンフィッシュ・スランバー」
花咲真一郎のところに城島からストーカー被害に遭っている女性依頼人がまわされてきた。
立花亮子、二十一歳、自由業。
ここ二、三年以内に別れた恋人が、俳優の辰波嶺二。
ここで芸能音痴のハナちゃんは気づく。
この女は中・高校生にカリスマ的人気を誇る歌手、A-YAだと。
三ヶ月前、一部の人間にしか教えていない携帯に無言電話がかかってきた。
非通知の着信を拒否したら、今度は白紙のハガキが三~四日おきに届くようになり、最後の一枚にエンボス加工で「死ね」という文字が施されていた。
何で売れっ子の芸能人が城島のところに仕事の依頼をしたのか?
何か裏があるのでは?
そう思い城島に問い詰め、警察に介入してもらうように進言したが、とにかく城島は脅迫者が誰なのか突き止めてくれと言う。
とりあえず亮子がピックアップした携帯番号と住所を知っている人のリストをもとに、聞き込みを始める。
そんな時に亮子のマネージャーから亮子にまつわる思わぬことを聞く。
「イエロー・サブウエイ」
山内練の個人秘書、長谷川環から依頼を受ける。
生後二か月の赤ん坊の母親捜し。
赤ん坊の父親があのイースト興行社長、山内練で、母親はイースト興行傘下のデートクラブで働いていた菅野美夏。
彼女は山内のマンションの部屋の前に赤ん坊を置いていなくなった。
美夏とマンションの部屋をシェアしていた女に話を聞くと、美夏が置いて行った荷物を会員制スポーツクラブのロッカーに保管してあるという。
なんとそれは大粒のダイヤモンドらしき宝石が埋め込まれた、大きなブローチ。
赤ん坊の母親捜しが、とんでもない騒動に巻き込まれることになるのか…。
「ヒー・ラブズ・ユー」
城島から三日でカタがつく、ヤバクないという仕事を受ける。
ある女の尾行を含む素行調査。
依頼人はノーベル化学賞の候補者、竹本信三。
竹本に会ってみると、ストーカーかと思えるほど、その女に関して情報収集をしていた。
明日からロンドンに行くらしく、毎日、調査結果をメールするように指示される。
メールだって!JPEGって何だ?インターネットなんてやってないよ、と焦るが、とりあえず園のバイトの子に教えてもらう。
尾行はひとりではできないので、助っ人を笹村えつ子に頼む。
えっちゃんは探偵のイメージから遠い女性で、女性探偵の中でも指折りの優秀な探偵だ。
えっちゃんは早々にターゲットが勤める研究室の教授と仲良くなる。
ところがビルの非常階段の踊り場で監視をしていると山内が現れ、美夏の子どもと正式に親子鑑定をしたいと言い出す。
なにやら事情が変わったというが。
ついでに山内は園で預かっている子供の保護者のことで忠告して去っていく。
そんな日に、ターゲットはいつもと違う行動を取る。
彼女は誰かを脅迫しているのか…。
今回は短編集でした。
一章であったことをずっと引きずっているハナちゃんでしが、どうしようもないです。それも彼の気の良さの表れです。
山内練が出てきて、嬉しくなりました。
RIKOシリーズとはまるっきり違う山内です。
彼は女はあまり好きじゃないようです。
ハナちゃんは男で身体の芯から善人だから、山内は彼に対して優しい(程度の問題です)のでしょう。
とても魅力的な登場人物が出てきました。
長谷川環です。
彼女は性別適合手術を受けて女性になった人です。
子ども好きな面があり、用事がなくても「にこにこ園」にやって来て、子どもたちと触れ合っています。
このシリーズを読まなければわからなかった一面です。
ハナちゃんがメールやらネットで困っているのは、この本が出版されたのが2005年だからです。
その頃は今ほど一般的ではなかったのです。
今の若者は携帯とかネットがなかったころなど想像ができないでしょうね。
あと二冊あるようなので、楽しみに読んでいきます。
中山七里 『刑事葛城 正義の銃弾』 ― 2026/10/10
中山さんはすごいですねぇ。
『暗殺の交響曲』の後、一カ月でこの本が出版されました。
新しいシリーズです。

新宿歌舞伎町で広域指定暴力団宏龍会とトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の大規模な銃撃戦が起きた。
銃撃戦は鎮圧されたが、その現場で組織犯罪対策課の鍬形松彦が至近距離から額を撃ち抜かれて死亡しているのが発見された。
そばに凶器となったトカレフが落ちていた。
鍬形は殉教者として祭り上げられ、警察庁主催の葬儀が執り行われた。
警視庁捜査一課の葛城公彦は鍬形の死に疑問を持つ。
鍬形は至近距離にいた身内に狙撃されたのではないのかと。
葛城は新宿署刑事課の紅島雛多と組み、聞き込みを始める。
このお話では鍬形を殺した犯人は最初からわかっていますが、あえてここには書きません。
犯人は動揺がすぐ顔に出る人らしく、動機がイマイチで、ちょっと残念でした。
葛城ってどのシリーズに出て来たのか、記憶にありません。
そこでAIに聞いてみると、『静おばあちゃんにおまかせ』や『秋山善吉工務店』、『有罪、とAIは告げた』に登場しているそうです。(間違っていたらAIのせいよw)
葛城って刑事らしさが一片も感じられず、「澄んだ目に童顔、物腰の柔らかさは実直な営業マンを彷彿させる」人らしいです。
滋賀県出身で彼女がいるらしい。(高遠寺円の彼らしい)
ようするに平凡な男で、温厚で人当たりがよく、威圧感を感じさせないので、子ども受けがいいようです。
「一番刑事らしくない刑事」、「善意の塊」で、「罪は憎んでも、犯人は憎まない」という信念の人だそう。
刑事の中で一番やっかいな刑事ですね。
そういう刑事なので、私は彼にあまり魅力を感じませんでした。
やっぱり癖のある刑事の方が好きです。
中山さんはこれから葛城のシリーズを書いていきそうですが、葛城が犯人をどうじわじわと追い詰めていくのかという犯人との心理戦が主となるのでしょうね。
次回はもっと骨のある犯人をお願いしますww。
堂場舜一 『鋼鉄のレガシー』 ― 2026/10/09
この頃、またブログが表示され難くなくなりましたね。
ホント、どうにかして欲しいです。
やっぱり、他に移ったらいいのかしら。
考えちゃいます。
「待望の豪華初競演デビュー25周年記念」の作品ということです。
昨年からやってなかったっけ?私の記憶間違いですかね。

警視庁捜査一課に所属する29歳の日下啓太は朝比奈由宇がリーダーを務める、特別捜査チームへの参加を命じられる。
将来を嘱望されながら代議士を一期で引退した山岡健人が、八年前の引退直後、失踪した。
失踪課で捜査したが、山岡は見つからなかった。
ところが、先週、八王子市内で同じく失踪中の暴力団幹部・白井宏と一緒にいるのが目撃された。
特別捜査チームは山岡の再捜索を始める。
日下は捜査一課追跡捜査係の沖田大輝と組んで捜査を始める。
しかし、若い女性の誘拐事件が発生し、日下は捜査一課に呼び戻される。
その容疑者は世田谷南署の警察官、鳴沢了だった。
関連のなさそうな二つの事件だったが、捜査していくと…。
堂場さんのシリーズに出てくる主要な登場人物が総動員です。
シリーズを読んでいる人にとってこれほど嬉しいことはありません。
読んでいない人は登場人物が多すぎて、楽しめないかもしれません。
ネタバレしないので、登場人物とシリーズ名、特徴を載せておきます。
目黒中央署 朝比奈由宇 「ボーダーズ」シリーズ。
女性初の刑事部長を目指している。
捜査一課追跡捜査係 沖田大輝・西川大和
「警視庁追跡捜査係」シリーズ
SCU(特殊事件対策班) 八神佑 「ボーダーズ」シリーズ。特殊な目を持つ。
失踪人捜査課 明神愛美 「警視庁失踪課・高城賢吾」シリーズ
捜査一課 大友鉄 「アナザーフェイス」シリーズ。イケメン。
犯罪収益対策課 綿谷亮介 「ボーダーズ」シリーズ。 SCUの武闘派。
総合支援課 柿谷晶・高尾ひなた 「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ。
特別対策捜査官 二階堂悠真 「セレブ・ケース」シリーズ。
追跡捜査係 林麻衣 「警視庁追跡捜査係」シリーズ。
機動捜査隊 藤田心 「刑事・鳴沢了」シリーズ。鳴沢ストッパー。
世田谷南署 鳴沢了 「刑事・鳴沢了」シリーズ。
二十四時間、365日刑事でいたい、原理原則の男。
失踪課 高城賢吾 「警視庁失踪課・高城賢吾」シリーズ。
捜査一課 岩倉剛 「ラストライン」シリーズ。スバ抜けた記憶力の持ち主。
まだいたかもしれませんが、抜けていたら教えてください。
私は「セレブ・ケース」シリーズは読んでいません。
「刑事・鳴沢了」は一冊ぐらいは読んでいたような…?
これから暇があったらこの2つのシリーズを読んでみます。
推理小説としてはそれほどではないと思いますが、意外性があり、とにかく堂場さんのファンなら読んで損のない内容です。
私としてはイケメン大友鉄の活躍がないのが残念でした。
彼も50代なんですね。時間が経つのが速いです。
新人、日下君が失踪課に異動して高城の後釜になり、新シリーズができそうな感じですね。
自分のことを「誰もが使いたがる、最上の助っ人」と言われて、そう思ってしまうところがうぶと言うかなんというか…ww。
日下君に会うのを楽しみに待ってあげましょう。
柴田よしき 『フォー・ユア・プレジャー』 ― 2026/10/08
花咲慎一郎シリーズの二作目。

花咲慎一郎ことハナちゃんが満身創痍で家出娘の捜索と、実の父親がハナちゃんだと言い張る不良少年の件を無事に片付けたおかげで、『にこにこ園』にエアコンが入り、新生児室と遊び場ができた。
しばらくは副業をやらないとは言ったが、城島は待ってはくれない。
城島からの仕事は、自称三十歳、OLという女がひと月前にナンパされてベッドインした、胸にアゲハの墨(タトゥー)の入った男捜し。
それ以外に、恋人で地中海料理レストランを経営している佐々里里紗から、彼女の腹違いの妹、美貴子のストーカー捜しも頼まれる。
それだけでも忙しいのに、『にこにこ園』に一日限りということで預かった乳児のことも考えなければならない。
しかし、ただの人探しだったはずが、タトゥー男が薬の売人であることがわかり、里紗が行方不明になり、彼女を助けた時に死体を見つけてしまい、ハナちゃんは警察に追われ、元警察官同期のために『走れメロス』状態に陥ってしまう。
またまた絶体絶命のピンチ。
ハナちゃん、どうなる。
次から次へとやってくる理不尽なトラブルに直面するハナちゃんがかわいそうです。
心優しいハナちゃんは人の不幸を見て見ぬふりをすることができなく、放っておけないお人よしなんです。
山内練はそれを知りながら、深みにはまるハナちゃんをおもしろがっているようです。
これからも試練は続きそうです。
次回にも関係がありそうな登場人物が出てきました。
元妻で弁護士の麦子さんと元警察官同期の斎藤雅美、元警視庁辰巳署捜査二課勤務の北田健司。
彼らがどうこれからハナちゃんと絡むのか、楽しみです。
ハナちゃんの脳内会話がおもしろく、同意することがたくさんあります。
ヤクザに関連したトラブルを扱いながらも、ジェンダー問題や社会問題も描いた、心温まる作品です。
このシリーズは二回、ドラマになっているみたいです。
一回目は2006年日本テレビで高橋克実さんがハナちゃん役の「保育探偵危機100発」。
二回目は2015年1月から3月までテレビ東京で山口智充さんが主演の「保育探偵25時~花咲真一郎は眠れない‼~」。
どちらもコメディっぽさを前面に出している感じかな?
山口さんは私のハナちゃんのイメージとは合わない感じです。
高橋さんの方は番組のポスターが探せなかったので、わかりません。
今、ドラマにするならハナちゃん役は誰がいいかしら?
柴田よしき 『フォー・ディア・ライフ』 ― 2026/10/06
「海は灰色」三部作の二部が出る前に、麻生龍太郎と山内練が登場する作品を読んでおこうと思い、花咲慎一郎シリーズを読み始めました。
このシリーズは山内練のやくざとしての面が見られるものです。

花咲慎一郎ことハナちゃんは新宿二丁目にある無認可の私設保育園『にこにこ園』の園長。
元警察官で、あることがあってから警察を辞め、離婚をし、ボロボロになっている時に『にこにこ園』のオーナーの風見恭子に拾われ、『にこにこ園』を任された。
『にこにこ園』は働いている女性はみな保母の資格を持ち、おやつも食事も自家製で、営業は二十四時間。
あずけられる子どもたちの親は新宿で働く様々なバックグランドを持った水商売の女たち。
そんな女たちのために、『にこにこ園』の料金は安くしてある。
実はハナちゃんには別の仕事がある。
『にこにこ園』の赤字を補填するために探偵をやっているのだ。
仕事を回してくれるのが『城島探偵事務所』の城島で、城島がふってくるのは自分のところの探偵にやらせられないヤバイ仕事だ。
いつものように城島に呼び出され探偵事務所に行くと、やはりヤバイ仕事だった。
依頼人のゾク崩れのヤンキーで美山組の組事務所に出入りしていた弟がトルエンをさばくのに調子に乗って百々井組のシマを荒らしてしまい、百々井に捕まり、事務所に監禁されているという。
ハナちゃんの仕事は組長の百々井に迷惑料の交渉をして、そのガキをもらい受け、足を洗わせて東京を離れさせることだ。
なんとか痛い目に遭いながらも最初の仕事をやり遂げると、城島から別の仕事を振られた。
二カ月前に家出をした十三歳の女子中学生の捜索だ。
一見、簡単そうだったが、おかしなことに担当していた城島のところのベテラン探偵が八日前から行方不明なのだ。
そしてもっと不可解なのが、依頼人がハナちゃんを希望したというのだ。
嫌な予感がするハナちゃんだったが、背に腹は代えられない。
ところが中学生女子を探している時に、ハナちゃんは東京を出たはずのガキを見つけてしまう。
百々井と体を張って話をつけたというのに…。
命の危険を感じ、焦るハナちゃん。
それなのに、ガキはハナちゃんが自分の父親だと言い始める。
彼の母親が高校時代、ハナちゃんの同級生だったのだ。
『にこにこ園』の仕事をやりながら、人探しと、ガキ相手と、やらなければならないことが満載。
果たしてハナちゃんは無事に生き長らえることができるのか…。
ハナちゃんが心の底から『にこにこ園』の子どもたちを愛していることがわかります。
生と死が紙一重な探偵業をしながらも、彼には偽りのない正義があります。
子どもたちのためなら、粉骨砕身、決死之覚、肝脳塗地…?
山内練を楽しみに読み始めたのに、ハナちゃんファンになってしまいました。
山内練とハナちゃんの出会いは、保育園の子どもを連れて行った、春日組幹部、韮崎誠一の愛人だった無保険医、野添奈美の診療所ででした。
そこに山内は眠れないからと眠剤を求めてやって来たのです。
後に山内ととんでもない縁ができてしまいます。
山内の会社、イースト興行が『にこにこ園』がある場所を買い取ったのです。
『にこにこ園』を潰さないためにハナちゃんは山内に四千万円の借金をすることになってしまいます。
生命保険に入らされ、四千万は十年分割で、利息は年十五。
支払いを忘れたら、その翌日が命日だとまで言われます。
恐ろしい男です。山内は。
山内との腐れ縁がどのように展開していくのかが読みどころのひとつですねw。
手に汗を握るドキドキする場面がありますが、RIKOシリーズほどではないので、安心して読み進んでいけます。
ちょっとヤクザの世界を覗いてみたい方は読んでみてもいいかも。
ハードボイルドをお望みの方には物足りないかもしれません。
中山七里 『暗殺の交響曲』 ― 2026/10/03
「御子柴弁護士」シリーズ、七作目。

大阪梅田で街頭演説をしていた野党民政党の党首で、首相経験者の溝呂木久邦が刺殺された。
犯人は二十八歳の入山和奏。
入山は溝呂木政権時代の政策に対する怨恨による犯行だと供述した。
入江和奏はテロリストか、それとも失われた世代の被害者か。
彼女が指名した弁護士は、御子柴礼司。
大阪地検では、「能面検事」の不破俊太郎が担当することになる。
御子柴が入山和奏の過去を探っていくと、就職氷河期に翻弄され、絶望の淵に突き落とされた彼女の姿が浮き彫りになる。
事件の裏には意外な事実が…。
私の姪が就職氷河期ではありませんでしたが、何社受けても受かんなくて、苦労していたのを思い出しました。
入社試験に落ち続けると、自分の存在を否定されているように感じてしまうものです。
姪は痩せていたのが不利だったようで、痩せていると体力がないのではないかと思われたようです。
どんな仕事をやらせるつもりだったのかしらね。
中山さんの本を読んでいると、こんなことがあったのかとびっくりすることがよくあります。
今回もそうでした。
本当にそんなことがあったのでしょうか。
信じられないというか、そんなことがあってほしくないと思いました。
最後にとんでもないどんでん返しがありますので、期待して読んでいってください。
私は「交響曲」というので、岬洋介シリーズと勘違いしていました。
彼のシリーズは作曲家の名前入りでしたねww。
内藤了 『MARK 警察庁特捜地域潜入班 鳴瀬清花』 ― 2026/09/25
「警視庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花」シリーズの八作目。

特捜地域潜入班に元警視庁第八方面本部立川警察署の鑑識課長で、今は行政書士をしている富沢秀夫がやって来る。
彼が警察官を辞めるきっかけとなったのが、三年前の2020年10月に立川警察署管内で起きた妊婦殺人事件の現場で採取した指紋データに、関係のない指紋を混入させたというミスで、原因究明をしたが、わからなかったという。
ところが、小金井署で同じ状況が起きた。
先週の木曜日に、南小金井駅の駐輪場で男子中学生が死亡しているのが見つかった。死因は駅ビルから転落したことによる失血死で、防犯カメラで少年は一人だったため自殺を疑っている。
少年が転落した場所の手すりからは少年の指紋以外に二人分の指紋が見つかり、左手指紋が警視庁の指紋リストと合致した。
しかし、その左手の指紋は、昨年三月に武蔵野警察署管内で起きた強盗殺人事件の、すでに死亡している被害者のものだった。
富沢の件も現場で採取した指紋が、すでに死亡した人物のものだったという。
特捜地域潜入班は不可解な指紋の謎を解くため、立川署と武蔵野署、小金井署で起きた未解決事件を再度洗い直し、共通点を探すが…。
六作目までは特捜地域潜入班に部屋はなく、班長の土井のキャンピングカーを使用していましたが、七作目から新しく部屋ができました。
私は地方の風習や伝説を扱った事件が結構好きだったので、ちょっと残念です。
これからはより現代風な未解決事件を扱うようになっていくのでしょうね。
詳しくは述べませんが、今回は「指紋」がキーワードで、悲愴な芸術家の人生が関わっています。
解決しても、よかったで終わらないシリーズです。
離婚したことを内緒にして、家族といっしょに暮らしている清花ですが、二度と前のような夫婦関係に戻ることはないのでしょうか。
ちょっと彼女がかわいそうに思えるこの頃です。
伏尾美紀 『最悪の相棒』 ― 2026/09/21

花園警察署刑事課強行犯係所属の広中承子は花園団地で起こった事件に臨場した時に、一番会いたくない奴、潮崎格と再会する。
彼と初めて出会ったのは、潮崎が十一歳、広中が九歳の時で、潮崎は広中の警察官だった父親が担当した被害者家族だった。
父親は被害者家族に寄り添いすぎたため、心身を壊し、若くして亡くなってしまった。
そのため広中は潮崎に憎しみを感じていたのだ。
広中は先週、捜査一課の新部署への異動を内示されていたが、正式な配属の前に同じくメンバーに選ばれたもう一人の刑事と一緒に、ある事件を解決せよというテストを課せられていた。
その相手が、なんと潮崎だったのだ。
捜査一課にいきたいという夢が叶うというのに…。
潮崎については自由奔放、傍若無人、唯我独尊…などという散々な評判が聞こえている。
しかし、彼の能力の高さは警察上層部にまで知られているらしく、彼の行動は不問にされている。
彼のことを「犯罪被害者家族心理分析官」と皮肉交じりで呼ぶ人もいる。
顔を合わせれば喧嘩になるような潮崎と広中コンビだったが、団地で起きた老々介護殺人事件を皮切りに、団地内で起こった些末な事件に関わりつつ、最後に起きた母娘の殺害事件を共に解決していく。
最初は短編集かなと思って読んでいきましたが、違っていました。
そのためか話があっちこっちに行ってしまい、記憶力の乏しい私は登場人物がどの人かしばらく思い返す時間が必要でした。
外国のミステリーのように登場人物の紹介があった方が親切ですね。
日本のミステリーでも登場人物が多い時につけてくれるとありがたいです。
潮崎が「心理分析官」というほどかというのも疑問でした。
広中はプライドばかり高く、捜査にはそれほど役に立っていないです。
潮崎のお目付け役が主な仕事で、塩崎が全て解決しています。
潮崎のトラウマがまだ解消していないので、続きがある可能性が高く、次回は潮崎が「心理分析官」らしい働きをして、広中が動き回って活躍し、二人が最高の相棒になる姿を見たいものです。
私としてはこのシリーズの続編よりも、『百年の時効』風の長編を期待していますけどね。
<美味しいランチ>
シルバーウィークはどこにも行かないので、雨の中、近くのイタリアレストランに行ってきました。

シラスのピザ。

ヤリイカのパスタ。
これに前菜を食べました。
前菜はイマイチでしたが、ピザもパスタも美味しかったです。
もちろん、胃のために四分の一以下の量しか食べませんでした。
食べすぎたかなと思って、翌朝、体重を量ると増えていません。
もう十分に痩せたので、今以上に痩せる必要はなさそうなので、楽しんで食事をしていこうと思います。
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