麻見和史 『琥珀の闇 警視庁文書捜査官』2023/03/13



梅が満開になりました。
東京では桜は明日が開花予想日ですね。見頃は来週でしょうか。
人がいないところか朝早くに出かけて花見をしようと思います。
お年の犬たちは歩けるかな?



警視庁捜査一課科学捜査係文書解読班に出動要請が来る。
神田署に招集されたのはSITと所轄、文書解読班、そして新設された情報分析班。
情報分析班は文書解読班を目のかたきにし、解体しようと画策している岩下管理官が直接指揮をする部著で、過去の捜査情報や犯行情報を検索し、分析し、そのデータを使って現在の捜査を支援するのだという。

事案は略取・誘拐疑いで、事件性が高いものだ。
千代田区神田駿河台にある東京文学博物館の敷地内で手書きした文章をコピーした不審な文書と一枚の写真が見つかり、文書には『アキチャン』という人物を略取または誘拐したという声明文と思われるメッセージが書かれていた。

まだ事件にもなっていないような案件に文書解読班や情報分析班にまで出動要請がかかったのを疑問に思う文書解読班のメンバーたち。
そんな彼らに岩下管理官は勝負を持ちかけてくる。
文書解読班と情報分析班のどちらが捜査に貢献できるのか、競争しようと言うのだ。
そのため情報分析班と文書解読班はそれぞれ自分たちの手柄のために捜査を進めることになる。

なかなか捜査に進展が見られない中、笹塚の保育園で第二の封筒が見つかり、前回と同じ人物が書いたと見られるメッセージと写真が同封されていた。

事件解決のために情報共有が必要だと考えたSITの泉係長はふたつのチームを協力させようと一芝居を打つが…。

なによりも事件解決が優先だと思うのですが、岩下のような変な管理官がいるとやりにくいですね。
途中で両者は協力するようにはなりましたが、それでもまだ何かありそうな感じがします。岩下は結構執念深そうですもの。
最初の頃はこれが文書解読かと疑問に思うところもありましたが、やっと文書解読班はそれぞれの得意なところを生かして上手く回るようになったようです。

次に岩下はどんな意匠返しをするのか。
楽しみに次回を待ちますわ、笑。

明利英司 『海原鮮魚店のお魚ミステリー日和』2023/03/06

魚に関するミステリーって珍しいと思って読んでみました。
主人公は表紙の真ん中にいる女性だと思ったら…。


山中幸太、24歳。
宮崎県から上京し、東京の大学に通い、卒業したというのに、未だアルバイト暮らしを続けている。
帰省した時に父親からいつまで東京にいるんだと聞かれ、ついつい言ってしまった。「俺のやりたいことは東京でしかできない。料理人になりたい」と。
そんなの嘘よ~ん、笑。
料理さえまともにしたことがないのに、なれるはずないわ。
お父さん、まともに受けちゃって、自分の息子のことを知らないのねぇ。
自分が東京の大学に通っていた頃にちょくちょく通っていた店を息子に紹介するんだから。

というわけで、幸太は父から紹介された一品料理屋≪天倉≫という隠れた名店でバイトをすることになります。
このお店は店主の天倉五助と妻の文子が二人で営んでいるのですが、そろそろお年で手伝いが欲しいなぁと思っていたところに話が来たので、運良く(?)幸太が雇われたのです。
しかし料理人になんかなりたくない幸太ですから、料理人の修行はせずに適当にしばらく働き、切りのいいところで辞めようと思っています。
そういういい加減な奴ですが、仕事だけは手抜きをせずに真面目にやります。
幸太、おマヌケ(失礼)だけど、いい奴です。

そんな幸太ですが、出入りの魚屋「海原鮮魚店」の娘の波美と親しくなってから気持ちが少し(ほんの少しよ、笑)変わっていきます。
波美は22歳、元気のいいお魚命の女性。
みなさん、幸太は頼りになりそうもない奴だから、誰が謎を解くんだと思っていたでしょう。
そうです。波美がこの本の探偵役です。
彼女は魚に関する知識はもちろんのこと推理力も抜群なのです。

お話は6篇。それぞれ美味しそうなお魚が出てきます。
真牡蠣、サーモン、婆鰈、脂坊主、鮎、伊勢海老。
脂坊主は食べたことがあるかどうか記憶にないのですが、他の魚は美味しいですよね。
幸太は魚は滅多に食べないようですし、そうそう、何故か賄いも食べないのです。
私だったら、喜んで賄いを食べますけどね。不思議な子です。

≪天倉≫で働きたかった板前志望の女性と幸太は真牡蠣対決をしたり、波美と二人で、というか主に波美がですが、回転寿司で母と娘の不正を暴き、常連客の友人の危機を回避させ、幸太がバイトしていたスーパーで働いていた女性の謎を解き、旅先で出会った男性の冗談をまともにとった幸太の馬鹿さ加減を思い知らせ(ウソよん)、最後には幸太が波美の悩みを解決していきます。
冗談で波美は「結婚しようよっ」と言いますが、二人は結構合っているかも。

思ったよりもページ数がありますが、面白くて、サクサクと読んでいけますので、お魚ミステリーってどんなものかと興味のある方は是非読んでみてください。
シリーズになったら続けて読んでみたいお話です。

櫻田智也 『蝉かえる』2023/03/04

魞(「エリ」は魚偏に「入」)沢泉シリーズの第二弾。
実はこちらの方を先に読み、後から『サーチライトと誘蛾灯』を読みました。
この本は第74回日本推理作家協会賞と第21回本格ミステリ大賞を受賞しています。


「蝉かえる」
糸瓜京助は山形県西溜村にある<御隠神社>を再訪する。
そこで蝉を食べるという男女に出会う。女は長野県の上高地大学で昆虫学の研究をしている鶴宮で男は魞沢泉。
糸瓜は十六年前の震災直後にこの村にボランティアできていて、ここで行方不明になっていた女児の幽霊を見たという。
鶴宮に請われて糸瓜はその奇妙な体験を話す。

「コマチグモ」
市営元町団地の部屋で女性が倒れているという通報があり、救急車と県警吉良警察署の捜査一課の刑事が急行する。
発見者によると、一緒に暮らしている娘は帰宅しており、発見者が119番に電話した後、部屋から出て行ったという。
娘はその三分後に団地から二百メートルほど離れた交差点でミニバンに撥ねらていた。
娘はその日の学校の帰宅途中、友人と待ち合わせをしていたのにもかかわらず公園で大きな水たまりに石を投げて遊んでおり、その後見知らぬ男性とススキをみていたという目撃証言があった。
男性は魞沢と名乗り、このあたりにある女子中高生に人気のクレープ屋のクレープを買いにきたというが…。

「彼方の甲虫」
瀬能丸江(『サーチライトと誘蛾灯』の「ホバリング・バタフライ」に登場)は昨年自宅を改装しペンションにした。
秋の行楽シーズン前に瀬能に招待され、魞沢はペンションを訪れる。
魞沢以外に客は日本の大学院で学位をとってまもなく帰国予定のアサル・ワグディという中東の男性のひとりだった。
翌朝、アサル・ワグディは湿地帯の丘陵地で遺体となって発見される。

「ホタル計画」
サイエンス雑誌『アピエ』の編集長の斉藤ことオダマンナ斉藤に北海道に住む中学生で常連投稿者のナニサマバッタから電話が来る。
彼によると繭玉カイ子がいなくなり、彼に自分に何かあったらオダマンナ斉藤に連絡してほしいと言われていたという。
斉藤は東北新幹線に飛び乗り、北海道に向かう。
カイ子は『アピエ』の元ライターで、五年前に行方をくらましていた。
斉藤はナニサマバッタに案内されカイ子の家に行き、カイ子が大事なものは『アピエ』の中にはさんでおくというので探してみると、ネガがはさまっていた。
ネガに写っていた白衣の男性は大学の研究者で、急死していた。
彼の死とカイ子の失踪は何か関係がありそうだと思った斉藤は大学の研究室を訪れる。

「サブサハラの蠅」
医師で<越境する医師たち(MFF)>のメンバーの江口は日本に帰国する時にツェツェバエのサナギを持ち帰る。
彼と同じ飛行機に十数年ぶりに再会した大学の友人の魞沢が乗っていた。
それから数ヶ月後、魞沢は江口のクリニックにやって来る。
MFFを辞めた江口はある計画を立てていて、魞沢はそれを止めに来たのだ。

今回わかった魞沢君のこと。
中学校の時、北海道に住んでいた。
小さい時から虫好きで、投稿マニアというちょっと変わった子で、切れ者なのは昔からなのですね。
大学時代は学生寮に住んでいて、医学部の江口がよく遊びに来ていたことを考えると、友だちがいないわけではなさそう。
わざわざ中高生女子に人気のクレープを買いに行くというように意外と流行に敏感で、甘いものに目がないのね。
彼は一見人と上手くやっていけそうもないのですが、実は人たらしという感じ。
法医昆虫学者の赤堀先生ほど変人ではないかも、笑。

今回は前回よりも虫にまつわる事件が多くなったようです。
短編で読みやすく、昆虫学だけではなく民俗学やら医学やらが散りばめられていて、面白いです。
どこから読んでも問題ないので、興味を持ったお話から読んでみてはいかがでしょうか。


<今週のおやつ>
また体重が減らなくなっています。チョコのせいかもwww。


紅マドンナ(たぶん)とロイヤルクイーン苺にチョコがついたもの。
量が多くないので、大丈夫かと思いますが…。

櫻田智也 『サーチライトと誘蛾灯』2023/03/02



主人公の魞沢泉(えりさわせん)は三十代の虫オタクで、本人曰く、職業は独身貴族。これ、真面目に(たぶん)言っているのよ、笑。
虫を求めて日本各地を訪れています。仕事は何かしら?
ちょっとコミュニケーション障害が入っているようですが、彼の観察力と推理力は抜群。とぼけた感じで次々と事件を解いていきます。

「サーチライトと誘蛾灯」
公園にカブトムシが現れると聞き、カブトムシを捕りに行った魞沢だったが、ホームレスに間違えられて公園から追い出される。
その次の日、昨夜魞沢と同じように公園から追い出された泊という私立探偵の死体が公園で見つかる。

「ホバリング・バタフライ」
五年ぶりに瀬能丸江はアマクナイ高原を訪れた。彼女にはある目論見があった。
アマクナイ高原は『アマクナイ倶楽部』というNPO法人が管理しており、丸江の夫は倶楽部の創立メンバーだったが、組織が変わり、近頃管理が杜撰になってきていた。
駐車場で丸江は魞沢がアマクナイ倶楽部の軽ワゴン車に入り込んだ蝶を捕らえようとしているところに出くわす。
魞沢はバスで帰ろうとするが、もはやバスはなく、丸江が彼を途中まで送っていくことにする。
車中で魞沢は丸江が空き缶にサインを書き捨てていたのを見たと話す。
それを聞いた丸江は彼に事情を話すので、手伝って欲しいと頼む。

「ナナフシの夜」
バー<ナナフシ>に初めて訪れたエリサワは常連の倉田詠一と保科俊之と知り合う。
保科は妻の結と待ち合わせをしていた。二人は月に一度か二度金曜日の夜に待ち合わせをするようだ。
どうも結に気分の波があるらしく、その日も結が敏之を責め始める。
しかしタイミングよく、エリサワが敏之のスーツに水割りをこぼし、二人の喧嘩は終わりとなる。
次の日、敏之が妻に殺されたという報道がある。
心配になった倉田が<ナナフシ>に行くと、そこにエリサワがいた。

「火事と標本」
魞沢はある宿に泊まっていた。
その宿には標本箱があり、魞沢はそれを長いこと鑑賞していた。
その夜、宿の近くで火事が起り、火事を見に行った宿の主人の譲吉は三十五年前のことを思い出す。
たまたま魞沢も火事を見に来ており、ふと譲吉は彼に標本箱にまつわる昔話をしてみたい気分になる。

「アドベントの繭」
ある日の朝、住吉台教会で牧師が変死体となって発見される。
たまたま友人の墓を訪ねにやってきた魞沢は礼拝に参加しようとして死体を見つける。
牧師の息子の申がいなくなっていた。
牧師の妻は五年前に通り魔に刺され亡くなっており、犯人はその二年後に自死。
牧師は加害者の骨を教会で引き受けると申し出、そのため息子が父親と教会を憎み、部屋に引きこもるようになったという…。

最初に断っておきますが、虫と事件は全く関係ありません。
ただ泉君が虫好きってだけです、笑。一応虫に関する蘊蓄は出てきますが。
そして誰が主人公だったっけという感じです。ホント、彼って影が薄いわぁ。
それでもミステリーとしては面白いですので、読んでみてください。
サラッと読めます。

今野敏 『審議官 隠蔽捜査9.5』2023/02/13



竜崎伸也が警視庁大森署長から神奈川県警刑事部長に異動してから起った周囲の出来事を描いた短編9篇。

「空席」
竜崎が神奈川県警に異動した日、後任の北海道警から大森署に異動してくるはずだった女性キャリアの着任が遅れ、一日署長が空席となる。
そんな日に限って難題が持ち込まれ、にっちもさっちもいかなくなり、竜崎がいればどうしただろうかと思う貝沼副署長と斉藤警務課長。
結局貝沼は新任の署長に、斉藤が竜崎に電話をしてお伺いを立てることになるが…。

「内助」
竜崎冴子はテレビのニュースに妙な既視感を覚えた。
いったん家に戻って来た夫の竜崎に話してみるが、「警察がちゃんと捜査をしている。おまえがあれこれ考える必要はないんだ」と言われる。
すっきりしない冴子は竜崎のいない間にこの謎を解いてみようと決意する。
仕事から帰って来た娘の美紀の助けを借り、冴子が辿り着いた犯人とは…。

「荷物」
竜崎の息子の邦彦は悩んでいた。
ポーランド人のヴェロニカから頼まれ、アントニという男性から預かったバッグの中に白い粉が入っていたからだ。
ヴェロニカとは連絡がつかなくなっていた。
ヴェロニカは一体何をしているのだ。まさか覚醒剤の売買では…。自分は運び屋なのか?
邦彦は一度ヘロインの所持・使用で捕まっていた。
父は家族の不祥事を問われ、懲罰的な降格人事をされた。
今度捕まったら父がどんな処分を受けるかわからない。そんなことに耐えられないと思う邦彦。
そんな時に竜崎が部屋にやって来る。冴子に様子を見てこいと言われたというのだ。忙しいだけと言いごまかしたが…。

「選択」
竜崎の娘の美紀は通勤途中で痴漢だと思われる男の逃亡を阻止する。
しかしその後、痴漢詐欺の共犯ではないかと疑われ、ターゲットとされた男性からは名誉毀損で訴えると言われる。
会社では警察に事情を聞かれ遅刻してきたのを咎められ、プレゼン失敗の責任をおしつけられ、課長のパワハラの餌食にされる。
八方塞がりだと思い、どうしようもなくなった美紀。
帰宅して食事をしていた時、母から「どうしたの?何かあった?」と訊かれ、ちょうど父もいたので、美紀は今までのことを話してみることにする。

「専門官」
板橋捜査一課長は困っていた。捜査一課の捜査官の矢坂が前任の本郷部長の時と同じように新人の竜崎部長に楯突くのではないかと思っているのだ。
そんな中、港北署管内で連続強盗事件の一つではないかと思われる強盗事件が起り、矢坂が臨場する。
板橋が捜査本部設置の可能性を告げると、矢坂は設置に反対だと竜崎に抗議しに行く。

「参事官」
池辺刑事総務課長と竜崎刑事部長が佐藤県警本部長に呼び出される。
阿久津参事官と参事官兼任の平田組織犯罪対策本部長の折り合いが悪いので、なんとかしろと言うのだ。
ノンキャリアはキャリアを嫌っている者がいるが、阿久津と平田の対立の原因もそこなのか?
とりあえず池辺に何かわかったら教えるように指示する竜崎だったが…。

「審議官」
竜崎は長瀬審議官に米海軍犯罪捜査局(NCIS)の特別捜査官リチャード・キジマが日本国内の事件の捜査をしていたことを自分に知らせなかったことを咎められる。
彼は海外の捜査機関が好き勝手に日本国内で捜査できるとなれば、日本の警察の権威は失墜し、日本の警察の危機を招くと言い張り、ついては竜崎の処分を考えろと佐藤本部長に命じる。
竜崎は何が問題なのか理解に苦しむ。
しかし阿久津参事官から情報を仕入れ、竜崎はいい解決方法を思いつく。

「非難」
大森署副署長の貝沼は困っている。
第二方面本部の野間崎管理官が署に頻繁にやって来るのだ。
それも藍本署長に会うために。
藍本百合子警視正は四十歳のキャリアで、彼女の大きな特徴が見る者を引きつけずにおかない美貌なのだ。
野間崎が署に来る言い訳が、戸高の非違行為について調べる為というが、野間崎は署長にはその話はせず、するのは世間話ばかり。
解決策の浮かばない貝沼は伝家の宝刀を抜くことにする。

「信号」
竜崎は避けていたキャリア会に八島警務部長の強引な誘いに負け参加することになる。
後日、そこで話し合われていた赤信号を守るかどうかという話が外に漏れ、県警トップが交通法規を守らなくていいと、自ら公言したと物議を醸し出す。
どうしようもなくなった本部長は竜崎を呼び出す。

原理原則に忠実でぶれない竜崎がいいです。
人はどうしても、他の人や自分より階級の上の人がどう思うのかを考えてしまいがちです。
そのため考えなくていいことまで考えてしまい、どうすればいいのかわからなくなってしまいます。
竜崎は人の思惑なんてどうでもよく考慮に入れないので、彼に相談すれば、単刀直入にどう解決すればいいのか答えてくれます。
それにしても嫌な奴はどこにでもいるもので、竜崎はそういう奴にも負けずに冷静に対処していくのが流石です。
そしてたとえ妻の言うことであっても、真摯に受け止め、聞くという姿勢がいいです。

奥さんの冴子さんは竜崎に負けないくらいいいキャラしてます。
息子や娘(たぶん竜崎も)をよく見ています。自分の力でできるところまでやらせて、ここを過ぎるとまずいという時に手を差し伸べるタイミングがいいのです。
娘さんはパワハラ上司に辟易しながらも、回りに助けてくれる人がいてなんとかやっていけそうなのですが、息子は大丈夫かと言いたくなりました。
彼はまた何かやりそうです。竜崎に面倒かけるなよ、笑。

「荷物」と「選択」で気になったのが、邦彦や美紀は竜崎の子どもだったから警察の尋問を逃れられたけれど、もし親が普通の人だったらどうなるのかということです。
そう簡単にいかないように思うのですが、どうなんでしょうね。

次回の『隠蔽捜査10』では美貌の藍本署長と一緒に何かやってくれるといいのですが。もちろん問題刑事(失礼)の矢坂と戸高もね。


<昨日の兄犬>
昨日、兄犬が変でした。
散歩で外に出た途端に歩かなくなったので、ママが抱いてお散歩をしました。


具合の悪そうな顔をしています。どうしたのでしょう?
また膝が痛くなったのでしょうか?特に足を引きずっているわけではありませんが…。


こんな写真を見つけました。
珍しく兄犬が楽しそうに笑っている写真です。
これからはあまり無理をさせずに、わんこたちが楽しく暮らせるように考えていきますわ。

<今週のおやつ>
バレンタイン前なのに、チョコレートを食べてしまいました。
今年は美味しそうなのを沢山買っています。


日本のウィスキーが海外で流行っているそうですね。
竹鶴の入ったチョコを食べてみました。


ウィスキーの匂いがプンプンしました。アルコール分は3%。食べ過ぎると酔いそうです。


インターナショナルチョコレートアワード、アジアパシフィック大会で金賞と銀賞になったというチョコレートの入ったセットです。
右上「ごま抹茶」が銀賞で、左下「濃い抹茶」が金賞です。
私、馬鹿舌らしく、あまり抹茶の苦みを感じませんでした。
どちらも甘さ控えめです。

穂波晴野 『吉祥寺うつわ処 漆芸家・棗芽清乃の事件手帳』2023/02/08



英明大学二年生の花岬麻冬は岐阜県から吉祥寺に引越してきた。
一年が経っても回りから浮いていて、友だちは出来ない。

「第一章 割れ」
麻冬は考古学演習Ⅰの講義課題である土器のスケッチを修正しようと思い早朝博物館に行くと、展示室にあった土器が割れていた。
展示室には麻冬以外の人はいなかったので、教授は麻冬の弁明を聞こうともせず、彼女が土器を壊したと断定し、みんなの前で非難した。

ある日、吉祥寺をうろついている時に、麻冬は店頭に<壊れモノ、繕います>というふしぎな張り紙を見つける。
それは陶磁器を扱う店で、店主は棗芽清乃という整った造作をもつ美人だった。
店では販売のほかに修繕サービスもしており、清乃は<金継ぎ>をしてうつわを直しているという。
清乃から金継ぎのやり方をみせてもらった麻冬は土器を直せないかと思い訊いてみるが、難しいといわれる。
麻冬が何か困っている様子に気づいた清乃に尋ねられ、麻冬は教授に土器破壊の犯人扱いをされ、大講義室で白い目で見られたことを話す。
そうすると清乃は話を聞いただけなのに真相の目星がついたので、自分に出張修繕を依頼するようにしろと言い出す。

「第二章 ひび」
麻冬は木蓮陶房でアルバイトを始める。
仕事は接客と清掃、店舗事務などで、負担は軽いのに給与は高い。
清乃は職人気質で、金継ぎに集中すると寝食を忘れがちな人で、麻冬は心配している。

ある日、高取さくらという小柄なお婆さんが店にやってくる。お猪口を直して欲しいというのだ。
お猪口には<ひび>が入っていて、傷が深いので、清乃は一度割ってから金継ぎで修繕する方法をすすめた。しかし高取は割りたくないといい、悩む時間をくれと言ってうつわを置いて帰っていった。

別の日、店のブログを見たと言って波佐見椿姫という車椅子に乗った女性がやってくる。
金継ぎをしたうつわを見てみたいというので見せていると、高取の置いていったお猪口を手に取り、どこで手に入れたのか尋ねてくる。
清乃は波佐見が高取のことを知っていると確信する。

「第三章 欠け」
麻冬は上京してからずっと吉祥寺東分寮で暮らしている。
ところがこの学生寮が火事になってしまう。
泊めてもらえそうな友だちもいない麻冬は途方に暮れて駅前広場に立っていると、<朧月夜>の板前見習いの逸流と遭遇する。
彼に事情を話すと、清乃に電話をしてくれ、麻冬はしばらく清乃の家で世話になることになる。

ある日、ポストに<棗芽清乃は大罪を犯した>と書かれたコピー用紙が入っていた。麻冬はたまたまやって来た逸流に協力を求めることにする。
それから連日、同じことが印刷されている紙がポストに投函される。
一体誰が脅迫状を送っているのだろう。
麻冬は自分が清乃のことを何も知らないと痛感する。

陶器に関するミステリーかと思って読み始めたらそうではなく、一般的な日常に潜む謎ものでした。
孤独なワケあり女子大生が美人で聡明な金継ぎ職人女性と仲良くなっていくという、よくありそうなお話ではありますが、嫌いではないです。
ただし第一章で、土器を割った犯人がちゃんと罪を償ったのかどうか曖昧なのが気になりました。
次回の展開がどうなるのかに期待して待ちますわ。

<今週のわんこ>


新しいおもちゃに夢中のヨーキー。


カットしても乱れ髪です。

小西マサテル 『名探偵のままでいて』2023/02/05

第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
小西さんはラジオ番組の構成をしている方らしいです。
表紙と内容から女性を想像してしまいましたが、男性でした(恥)。


小学校教師をしている楓の祖父は元小学校の校長で、71歳になる。
幻視や記憶障害といった症状が現れるレビー小体型認知症を患っている。
ひとり暮らしをしている祖父が心配で、楓はほぼ毎週祖父の家を訪れている。
楓は祖父にできるだけ彼女の身の回りで起った日常の謎の話をするようにしている。
というのも話を聞くだけで祖父はその謎を解いてしまうのだ。

祖父の解く謎は6つ。
「第一章 緋色の脳細胞」
ネット書店で買った瀬戸川猛資の評論集に挟まれていた、四枚の訃報記事の謎。
「第二章 居酒屋の”密室”」
祖父が贔屓にしていた割烹居酒屋で起きた殺人事件の謎。
「第三章 プールの”人間消失”」
プールから消えた”マドンナ先生”の謎。
「第四章 33人いる!」
小学校六年生の英会話授業に現れた三十三人目の正体とは…。
「第五章 まぼろしの女」
遊歩道で起きた殺傷事件を目撃したウォーキングママは何故逃げたのか。
「終章 ストーカーの謎(リドル)」
楓をストーキングしていた男の正体とは…。

『このミステリーがすごい!』大賞受賞作品は好き嫌いか分れますが、今回はとんでもないキャラの人はいないし、嫌悪感を抱くような気持ちの悪い事件も起りません。
そのためコメントに「万人向け」と書いてあるのが納得できます。
それに特にミステリーが好きじゃなくても読んでいけます。
謎は難しくて、私には解けませんでしたが(笑)、楓とおじいちゃんの会話がほっこりしていていいです。


<今週のおやつ>
ヴァレンタインデーではないのに、チョコレートを食べてしまいました。


昨年食べて気にいったマリアージュフレールの「ショコラデマンダレン マルコポーロ」です。


昨年は香と味に感動しましたが、今年は香がそれほどでもないような…。
チョコが古かったのか、私の鼻が悪くなったのか?
昨年も書いてますが、他にアールグレイやらサクラやらがあるようなので、今年こそ買ってみようと思います。

中山七里 『祝祭のハングマン』2023/02/02



春原瑠衣は警視庁捜査一課に勤めている。
昨日、富士見インペリアルホテルで毒物による大量殺人事件が起り、地取り捜査に駆り出される。
その時にたまたまトラックが通行人を跳ねたという事故と遭遇する。
運転手と通行人から話を訊いていくと、どうも突き飛ばされたらしく、犯人は現場から逃走していた。
被害者の藤巻亮二は瑠衣の父が勤めているヤマジ建設の資材課に勤務していた。
その日家に帰ると、父は藤巻のことを知っておりしつこく訊いてきて、個人的に便宜を図ってくれとまで言い出す。
瑠衣はそんな父に違和感を感じる。

数日後、瑠衣が属する宍戸班は藤巻の事件を担当することになる。
しかし犯人特定に繋がる情報はなかなか得られない。

そしてさらにヤマジ建設の経理課長・須貝謙治が駅構内で転落死する。
瑠衣は葬儀で案山子を想像させる男が気になったが、彼は私立探偵の鳥海明彦と言い、須貝の友人だと言う。

瑠衣は何かを知っていると思われる父と話しをしようとするが、話をする前に父は作業中の事故で亡くなってしまう。
瑠衣はヤマジ建設関連の事件から外され、焦燥感に苛まれる。

そんな瑠衣の前に地検特捜部の神川が現れる…。

なかなか犯人が特定されず、その上、題名の「ハングマン」は事件とどう関係するのかがずっとわからず、途中でちょっと中だるみし、動きがあるのは最後でした。
書き方によってはもっとワクワクするように出来たでしょうに。
瑠衣よりも鳥海たちのことを書いた方が絶対に面白かったと思います。
キャラ的に瑠衣は面白くないですもの。これからの彼女の行く末が気にはなりますが。
シリーズになるのかしら?

中山さんの本に期待しているので、辛口になってます(ゴメン)。

柚月裕子 『教誨』2023/01/10



吉沢香純と母の静江は東京拘置所の職員からの電話で、遠縁の死刑囚三原響子の死刑が執行されたことを告げら、驚いたことに、香純と静江が身許引受人になっているので、遺体か遺骨、遺品を引き取りに来て欲しいといわれる。
響子の祖父と、静江の父親が兄弟なので、響子は静江にとって従姪にあたるが、交流は皆無だった。
とりあえず一旦、遺骨と遺品を引き取り、あとで本家に相談することにして、香純は東京拘置所に行く。
刑務官の小林によると響子の最期は、執行直前まで静かな態度で立派だった。そして最期の言葉は「約束は守ったよ。褒めて。」だという。

香純は響子と小学生の時に一回だけ会ったことがある。
その時の印象から彼女がふたりの子どもを殺した極悪人とは思いきれなかった。

やっと本家の嫁の寿子と連絡が取れるが、響子の骨を三原の墓に入れることは頑なに拒まれる。
困った香純たちは響子の教誨師で東京の小平にある光圓寺の住職、下間に相談する。
下間は本家のある青森県中津郡相野町の菩提寺、松栄寺で葬ってもらえないか訊いてくれ、もし断られたら、彼の寺で供養してもいいと言ってくれる。
危惧したように松栄寺で断られたが、香純は松栄寺を訪れ、住職に直談判することにする。

松栄寺の住職の柴原は三原の家の複雑な事情を話し、香純に津軽日報社の新聞記者、樋口純也を紹介する。
樋口は響子の事件を担当した記者で、逮捕された後も事件について調べているという。
樋口は彼と響子は小学校の時にいじめられっ子同士だったことを語る。

香純は響子のことと彼女の最期の言葉は誰とのどんな約束だったのかを知りたいと思い、しばらく相野町に滞在し、関係者と会い、話を訊いていくことにする。

期待して読んだわりには、小さな町独特の閉鎖感や、不幸の連鎖、DV、いじめなどの諸々のお話がありきたりである上に、響子が自分のやったことに対して無自覚過ぎて、それほど感動しませんでした。
それに香純が響子にこれほどこだわる必然性が私には感じられませんでした。
これも映画になりそうですね。


<今週のおやつ>


見ておわかりのように、クリスマスのものです。
おやつがなかったので、やっと食べました。
缶とチョコのトナカイと帽子などがクリスマスを思わせますね。
ヴァレンタイン用のチョコもこれと似たものかしら?

読んだ本2023/01/06

初出勤した夫曰く、「同僚が年末にコロナに罹って休んだ。息子が飲みに行きまくっているらしい」。
若い人たちは滅多に重症化しないので、我慢するのはもう嫌になったのでしょうね。気持ちはよ~くわかります。
年配者としては症状は人によるので、どうなるのかかかってみなければわからないのが、ロシアンルーレットみたいで嫌です。
医師が処方する薬は解熱剤だけで、買い物ぐらいはしてもいいと言うそう。
もはや防ごうとしても無理という段階ですね。

お正月は遅く起き、二食の生活だったのですが、普通の生活が始まり、朝食を食べ始めると、胃が痛くなりました。
三食は胃に負担なのかも。
胃の不調でやっとプラトー脱出できる…かな?


青木裕子 『これは経費では落ちません!10』
天天コーポレーションで税務調査が始まり、調査官たちがやって来る。
森若沙名子は想定外の事態が持ち上がらないかと心配している。
問題は吸収合併したトナカイ化粧品。大丈夫か…。
私生活では太陽との結婚話が持ち上がるが。

経理のお仕事をしている人にとっては身近な税務調査のお話です。
いよいよお話も大詰めです。
森若さん、生真面目過ぎですよぉ。太陽に結婚へのタスク一覧を渡すんですからね、笑。
次回の天天コーポレーションのみんなのリアクションが楽しみです。

小湊悠貴 『ホテルクラシカル猫番館 7』
ブライダルフェアの準備は着々と進んでいる。
ウエディングドレスは地元のドレスデザイナーに頼むことになる。
新作のドレスが作られることになるが、モデルはホテルの従業員をというデザイナー側の依頼で、紗良が選ばれる。
しかしドレスのデザイナーが要の元カノだった。
やっとつき合い出した紗良と要はどうなるのか。

なかなか進まない二人の関係ですが、ブライダルフェアをきっかけに上手くいくといいですね。
いつも書いてますが、こんなホテルがあったら、泊まりに行きたいです。

森晶麿 『チーズ屋マージュのとろける推理』
美藻はDV彼氏から逃れ、ひょんなことから神楽坂にあるチーズ専門のレストラン、マージュでウエイトレスとして働くことになる。
マージュのシェフの真沙流は料理の腕も確かなのだが、推理力が抜群で、お客さんの悩みやトラブルを次々と解決していく。
ついでに美藻の方の問題も…。

森さんというと、黒猫シリーズが好きなのですが、この本には美学やポーのお話は全く出てきません。チーズに関する蘊蓄も少ないです。そこが私としては残念。
ヒロインもただのおバカ女か(失礼)。

風野真知雄 『潜入味見方同心 五 牛の活きづくり』
兄の敵を取った魚之進は今度は上さまの毒殺未遂の容疑者捜しをしている。
そんな中でも食べ物に関する謎ーー傷だらけの麺のうどんや結びどじょう汁、牛の活きづくり、青い飯などーーが次々と持ち上がり、魚之進は謎解きに奔走する。
いつしか魚之進は兄を超えているのに、そうは思わず、兄嫁との仲も進まず、どうなるのか。

『チーズ屋…』はシリーズになるのかどうかわかりませんが、他のシリーズ物は面白く、すぐに読めますので、時間つぶしに何か読みたい時にどうぞ。