時代小説シリーズ(文庫本) ― 2026/10/28

髙田郁 『志記(二)瑠璃と玻璃』
江戸で出会った医を志す蔵源美津と刀匠を目指す高越暁は、期せずして同時期に壁にぶつかる。
暁は昨春から火床に立つことを許され、鋼潰しの作業を任されたが、やっとの思いで仕上げたへし鉄は使い物にならない。
美津は正式な三肱塾生になってひと月経ち、診察を任せられるが、女であるがゆえに診察を拒まれる。遅れて美津と同期になる保科樹がやって来る。彼は家事が得意な上に医学まで優秀だ。互いに切磋琢磨し合うのみと思う美津ではあるが…。
そんな頃、海の向こうから長崎に難儀な疫病が持ち込まれていた。
美津は暁のことが気になってしょうがありませんが、暁は己の修行にしか興味がなく、つれない態度を取ります。
美津はいいところのお嬢さまなので、まだまだ甘いところがありますが、女ゆえの困難に直面し、女である自分に何ができるかを真剣に考え始めます。
やっと美津と暁が同じ地点に立てましたね。
これからの展開が楽しみです。
和田はつ子 『塩梅屋冷や汁 料理人季蔵捕物控』
季蔵のところに北町奉行所の同心・田端の妻で、元岡っ引きだったお美代がやって来て、八丈島から戻って来る娘のことが気になり霊岸島へ行くという。その娘は父親の米屋板倉屋惣左衛門を殺したお千賀だった。田端に内緒で行くというので、季蔵はお供を申し出る。
霊岸島にはお千賀の兄、板倉屋長兵衛がお千賀を迎えに来ていた。ひょんなことから彼と懇意になった季蔵は長兵衛の”生き直しの会”に協力することになるが、思わぬことが…。
美味しい江戸時代のお料理が出てくるお話ですが、今回は賄い団子と夏魚御膳、熊料理が出てきました。中華料理で熊の掌が有名ですが、美味しいのでしょうか。
上野のお店で熊汁が食べられるところがあるそうですが、行ってみようかしら。
今回の季蔵はお奉行の烏谷からの命ではなく、純粋に親しくなった長兵衛のために働きます。でも山奥に熊を仕留めに行かせるなんて、烏谷はとんでもない狸親父です。
思い人の瑠璃さんがちょっとしか出てこなくて残念でした。
なお、前作の『日ノ本一のおせち』も読みましたが、紹介しようと思っているうちに忘れてしまいましたw。
麻宮好 『筆耕屋だんまり堂(四) 時をかける文』
「第一話 あの世からの文」
菓子屋のみよし屋に亡くなった父親の名で文が届いたという。文字に触れると、それを書いた人の心が見えるという不思議な力を持った筆耕師の水沢数馬は、表書きと中に入っていた手順書の文字の鑑定といつ頃書かれたのか調べて欲しいと頼まれる。みよし屋には何か隠しごとがあるようだ。
「第二話 文字絵」
数馬は小間物屋「木野屋」から化粧水の引札作成を頼まれるが、最初の引札はあまり功を奏していないので、別の引札を作ることになるが、女店主のおふうの書いた文字から数馬はただならぬ思いを感じる。
「第三話 鳴らない太鼓」
浅草の太鼓屋、伝五郎商店から太鼓の皮を使った看板の文字を頼まれ、納めにいくと、めずらしいことに皮張りの皮が破れた。太鼓の胴はいいものなのに、皮を張ると鳴らない。太鼓の中を見てみると、銘と俳諧のような文言が書かれていて、数馬が触ると、五十年前の職人が太鼓をお玉という女のために作ったことがわかる。
気になった数馬はお玉を探すことにする。
今回のお話はどれもいいものです。特に第三話の「鳴らない太鼓」が好きです。
数馬と隣に住むおりんは互いに思い合っているのですが、数馬が兄の死に疑念を抱いているため、踏み出すことができません。そんなことをしているからおりんは義母の看病をしに行ってしまい、なかなか帰ってきません。そろそろ数馬は心を決めなければなりませんね。
風野真知雄 『わるじい義剣帖(八)まあだだよ』
「第一章 犬がいちばん偉い家」
愛坂桃太郎はおきゃあとおぎゃあの姉妹から石問屋<大岩屋>で犬がいちばんえらい謎を探るように頼まれる。犬は店の初代の生まれ変わりだと言われているというが。
「第二章 タイは尻尾だけ』
おれんの店に行くと、尾張町あたりを回っている魚の棒手振りからタイの尻尾だけを三十文で買っていくお女中がいるという話が出て、みんなで推測しておもしろがっていたところ、先に帰った綺羅綺羅屋のおやじが戻って来て、話に出ていた棒手振りの魚屋が斬られて死んでいるという。辻斬りか。
翌日、おれんの店で北斎に会い、あるお侍の家の話を聞いた桃太郎はピンときて、朝比奈を誘い、調べ始める。
「第三章 タダで食わせる店」
新場橋の<浜屋>といううどん屋が客の十人に一人くらいの割合でタダにするという。おれんの店でタダのうどんの話をすると、おれんが面白がり、桃太郎にその謎を解いてくれという。早速、おれんと共にうどん屋に行ってみるが…。
「第四章 見いつけた」
金物屋の左文字屋に元正妻の幽霊が出るというのを聞いた桃太郎だったが、うさん臭く思い、放っておいた。しばらくしてその幽霊が捕まったが、知らない女だったそうだ。すると、左文字屋の嫁のおさよが息子の梅吉といっしょに桃太郎に会いに来て、幽霊の謎を解いてもらいたいと頼まれる。早速、桃太郎は左文字屋に行って調べてみると、あることがわかる。
孫の桃子愛が強い桃太郎ですが、謎解きの腕は鈍っていません。
何やら陰謀があるようですが、孫に何かあってはいけないと、巻き込まれないようにしている桃太郎ですが、そうは問屋がおろさないようです。
四冊ともなかなか面白かったです。
料理人季蔵シリーズは 51冊目で、わるじいシリーズは『わるじい秘剣帖』で10冊、『わるじい慈剣帖』で10冊、『わるじい義剣帖』で8冊とありますので、今から読むと大変です。
『志記』か『筆耕屋だんまり堂』あたりから読み始めるといいかもしれません。
コメント
_ ろき ― 2026/10/29 03時59分30秒
_ coco ― 2026/10/29 07時33分39秒
ろきさん、女岡っ引きは公的記録にはないそうです。でもいてもおかしくないと思います。女忍者はいたのですもの。
熊の手は高級料理で、コラーゲンとゼラチンでプルプルだそうです。お肌に良さそうですが、毛をピンセットで一本ずつ抜いたりするのがめんどくさそうです。料理する状態にするまで丸一日はかかるんですって。
熊の手は高級料理で、コラーゲンとゼラチンでプルプルだそうです。お肌に良さそうですが、毛をピンセットで一本ずつ抜いたりするのがめんどくさそうです。料理する状態にするまで丸一日はかかるんですって。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://coco.asablo.jp/blog/2026/10/28/9883368/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
女性岡っ引きって、いたの?
庶民グルメもいろいろあって、食べて見たくなりますね。熊は…美味しいのか?w