西條奈加 『かぜゆら』 ― 2026/10/27



宇多次は風鈴職人。
師匠夫妻が亡くなり、未熟な技のまま、回向院で風鈴作りの芸をしながら風鈴を売っている。
師匠夫妻には娘が一人いたが、男と駆け落ちをして行方不明になっている。
その娘が帰って来ることを案じた師匠の妻の頼みで、宇多次は二年間、風鈴師の看板を下ろさず、松兵衛長屋で暮らすことになっている。

夏が終わるとともに、風鈴商いも終わる。
明年の春までどうしようかと考えているところに、大家から別の親方のところでの修行話が持ち込まれる。
前に紹介されたところを半年で辞めたこともあり、宇多次はその気になれず、返事もせずに放っておいた。

数日後、宇多次の不細工な風鈴をただ一人、贔屓にしてくれた小丸という小僧のことを思い出していると、大家がやってきて、宇多次は無理やり修行話のあった国平のところに連れられていく。
国平は三十手前の若いびいどろ師で、加賀野屋からの注文で南蛮医や学者が使う見たこともない硝子細工を作っている。
国平の中に元師匠の姿を見た宇多次は彼の仕事を手伝うことにする。
するとそこに、加賀野屋の奥女中、お櫂がやって来る。
宇多次は小丸が加賀野屋の小僧で、五日おきに注文や細工の引き取りに来ていたが足を痛めたので、彼女が代わりに来たことを知る。

国平のもとで働くことにした翌日、国平の長屋に向かう途中で宇多次は小丸と再会する。
しかし、小丸は顔と右の足首が腫れ、変わり果てた姿になっていて、宇多次の顔を見た途端に倒れてしまう。
宇多次は小丸を国平のところに運び、国平の家でしばらく面倒をみることにする。

お櫂から小丸の怪我の理由を聞いた宇多次は小丸を引き取り、いっしょに暮らすことを決意する。
だが、小丸を連れ松兵衛長屋に戻った宇多次は驚く。
長屋に六年前に出奔した師匠の娘、お勢がいたのだ。

奇妙な三人暮らしが始まる。
宇多次はお勢に何やら違和感を感じてはいたが、小丸の柔軟な発想からヒントを得て、新しい風鈴作りを始める。

もともと風鈴はお寺の軒先に吊るす青銅製の風鐸に由来する「長瓜型で、土筆の頭のような細長い形」でしたが、江戸時代中期(1700年)ごろからガラス製の丸い風鈴が作られ始めたそうです。

昔は音を愛でるという習慣がありましたが、今は風鈴なんか外に吊るしていたら騒音となってしまいそうですよね。
風鈴は部屋に吊るして、たまに音を聞くというのが現実的でしょうか。
表紙の風鈴はどれも欲しくなる、いいデザインです。

江戸時代に暮らす人々を書かせたら、西條さんですね。
ちょっとミステリ色も加えた作品で、ハッピーエンドでよかったです。


<今週のおやつ>
胃の具合がよくなったママもわんこたちと同じようにおやつを食べたくなってしまいました。


銀の森の「森の恵みクッキー プティボワ Autumn」。
クッキーよりもキャラメリゼしたピスタチオとアーモンド、ヘーゼルナッツが美味しかったです。
食べすぎるとまずいので、残りは夫に食べてもらいます。
生クリームやあんこのようなものは食べる気がしないのですが、あまり甘くないものは大丈夫です。
今年はクリスマスケーキは頼まず、お店の小さなショートケーキになりそうです。


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