堂場瞬一 『複合捜査』2024/03/22

検証捜査シリーズの二作目。


さいたま市内繁華街における夜間の治安悪化に対応するために、県警刑事部と地域部、交通部は合同で夜間緊急警備班(Night Emergency Security Unit 通称NESU)を発足した。
西浦和署刑事課係長の警部・若林佑が夜間緊急警備班班長に任命される。
若林は部下の失態で出世の道を外れたため、今回の仕事が起死回生になる、いや、しなければならないと思って張り切っている。
彼は仕事一筋の男で、部下たちを無能扱いし、信用もしていない。
端から見ると、彼の前時代的な気合いの入れ方、勤務ダイヤを無視した仕事の割り振り、すぐに現場へ出ようとする出しゃばり性格などが上滑りしているが、本人は気づいていない。
大宮中央署刑事課からNESUに出向してきた副官格の警部補・桜内省吾は若林の暴走を阻止するストッパー役を期待されていたが、若林を持て余している。

NESUが発足してから三つの夜に事件が立て続けに起る。
4件の連続放火、2件の殺人事件、コカインの所持で2人の逮捕、浦和駅西口で起きた乱闘事件。
何かおかしいと思う若林。
警察が西浦和グループとつけた奴らが関係しているのか?

捜査は迷走するが、やがて犯人の狙いが判明し…。

神谷は板橋中央署の刑事課係長になっていて、桜内をナイスフォローしてくれます。
永井理事官も登場しますが、前回とは違ったキャラに変わっています。
これからも検証捜査の特命メンバーの一人が主役として登場し、神谷と永井の二人、凛もかな、が関わってくるのでしょうね。

今回は桜内が脇役で、若林という嫌われキャラのおっさんが主人公なのが残念でした。
若林はパワハラ体質で、女性蔑視もありそうで、彼みたいな上司がいると、周りは大変です。
わたしは若林が殺され、桜内が事件を解決することを期待して読んでいたのですが、アララ、若林が最後の方でキャラ変…。
犯人、やることが杜撰過ぎよ(怒)。
若林に共感も感情移入もできませんが、そんな奴だと思って読んでいくと、犯人がわかった当たりから面白くなっていきますので、我慢して読んでいってください。
でも、最後が甘いわぁ。
わたしは最後まで最初の若林のままでいて欲しかったわww。