南杏子 『いのちの波止場』 ― 2024/12/20

まほろば診療所の看護師・星野麻世は院長の白石咲和子からすすめられ、能登さとうみ病院が主催する『緩和ケア病棟エキスパート看護実習』の実習生として六ヶ月間、最新の緩和ケアの知識と技術を学ぶことになる。
元院長の仙川徹が故郷の穴水町に帰っていて、能登さとうみ病院の顧問として週一回勤務している。
麻世が関わったのは、頑なにモルヒネを使うことを拒む老婦人、ICD(植え込み型除細動器)が埋め込まれている元海女、認知症と癌で余命幾ばくもない父親に胃瘻をつけようとする息子、両親を面会拒否にしている息子、そして、実習の最後に、仙川徹。
実習が終わり、麻世はまほろば診療所に戻る。
2024年1月1日に能登半島地震が起る。
その八ヶ月後、麻世は野呂を誘い穴水を訪れる。
緩和ケアというと、とにかく患者の症状や苦痛を和らげるというのが第一だと思いますが、家族の中には余命が少ないことを認められない、いいえ、認めたくなくて、余命を伸ばせるのなら何だってしてもらいたいと思う人がいて、必要のない医療をしてくれということがあるようです。
その人の気持ちはわかりますが、自分がされる身だったらと考えると、無駄なことはして欲しくないです。
死ぬなら静かに苦痛無く死なせて欲しいです。
こういうことは元気なうちから家族に繰り返し言っておき、書いておいた方がいいですね。死はいつ来るかわかりませんし、死は何回も経験できるものではないし、その時になるとどうしたらいいかわからなくなると思うので、自分の意志は伝えておけば、どうにかなるでしょう。たぶんww。
緩和ケアと言ってもピンとこない人がいると思います。
本にはこう書いてあります。
緩和ケア科で目指すのは、「心地よく生ききるための医療」すなわち「心地よく死ぬための医療」で、「より苦痛なく死を全うできるよう、患者さんを支えるために緩和ケアがある」のだそうです。
だから患者が行きたいところに連れて行ってくれるのですね。
でも本当にこういうことをしている緩和ケア科はどれだけあるのかしら。
このような緩和ケアが一般的になるといいですね。
仙川先生がいいこと言っているので、参考に書いておきます。
「機嫌よく生きる、と決心」
「あとは、死ぬまで成長」
「最後に、『これも人生の味わいだ』と現状を楽しむこと」
何故成長かというと、「人間、年を取ったり病気になったりすれば、できないことが次々に増えてくる。そんなできない自分を受け入れるには、心の成長が必要だ」そうです。
この心の成長がわたしには一番難しいかもしれません。
心穏やかに暮らしたいものですが、まだまだ修業が足りませんww。
緩和ケアについて知りたい方や自分の最期の時にどう死にたいか考えたい方、どうぞ読んで下さい。
わたしは本の中に出てくる能登半島の景色の描写が素敵で、いつか行きたいと思いました。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://coco.asablo.jp/blog/2024/12/20/9740909/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。