リン・メッシーナ 『公爵さま、執事には負けません』 ― 2025/07/16
「行き遅れ令嬢の事件簿」シリーズの六作目。

ベアトリスはケスグレイブ公爵のダミアン・マトロックと結婚し、公爵夫人となった。
しかし、使用人に会うのが怖い。
彼らは事あるごとに「奥さま」を連発し、「奥さま」と呼ばれるたびにベアトリスはビクッと縮みあがるのだ。
覚悟を決めて、家政婦と話しに地階へ行ったベアトリスは、間違って執事の作業部屋に入ってしまい、執事のマーロウと従僕のジョセフの話を聞いてしまう。
ジョセフがムッシュー・アルフォンスの不幸な死についてベアトリスに調査をお願いしたいと言うのを、マーロウは女性に殺人事件の調査はできないと断言してはねつけたのだ。
マーロウがベアトリスや女性を軽蔑するのは彼の勝手だが、人殺しを突きとめる才能を物笑いの種にされ、頭に来たベアトリスはアルフォンスの件を調査すると、マーロウに宣言する。
ムッシュー・アルフォンスはヨーロッパで一番有名なフランス人シェフで、二年前に銀行家のメイヒューに雇われた。
ジョセフによると、昨日、殺される前に、家政婦のミセス・ウォレスに仕事を辞めると言っているのを聞いたという。
ムッシュー・アルフォンスは”小型のギロチン”の刃を調整している時に誤って自分の首を切断してしまったのだから、事故であると判断されたらしい。
ベアトリスは公爵さま抜きで、一人で調査を始める。
まずは家政婦から話を聞いて、それからメイヒューから話を聞かなければ。
意気揚々とメイヒュー邸に赴くベアトリスだった。
さて、ベアトリスはマーロウの鼻を明かし、使用人たちの尊敬を勝ち取ることができるのか。
ベアトリスの想像力は普通ではないですね。
そういう彼女だからこそ公爵さまが気に入ったのでしょうが、これからも殺人事件に首をつっこみ、危ない目に遭いそうです。
彼女に翻弄されそうなケスグレイブ公爵家の使用人たちが可哀想に思えてきました。
狡猾な銀行家のメイヒューとの丁々発止の会話が今回の目玉です。
私は貴族社会の仕来りが面白かったです。
ベアトリスはそれほど身分が高くなかったので、使用人と気楽に暮らして来たようです。結婚して公爵夫人になりましたが、公爵は爵位の一番上ですから、やりたい放題、権力は使い放題ww。いいですね。
公爵さまはいつまでベアトリスを溺愛するんでしょうね。
新婚の二人はいちゃいちゃしすぎです。
このシリーズは今年の三月に十三冊目が出版されています。
七作目は『A Ghastly Spectacle』。
公爵夫人になっても殺人事件の調査を止めないベアトリスのために、レディ・アバクロンビーが殺人ミステリの晩餐会を開催します。その中で起こる架空の殺人事件をベアトリスが解くはずでしたが、本物の殺人事件が起きてしまうようです。
翻訳者が頑張ってくれてるらしく、今年中に七作目が出版されるようです。
<シリーズの順番>
①『公爵さまが、あやしいです』
②『公爵さま、いい質問です』
③『公爵さま、それは誤解です』
④『公爵さま、前代未聞です』
⑤『公爵さま、これは罠です』
⑥『公爵さま、執事には負けません』(本書)
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