乃南アサ 『雫の街 家裁調査官・庵原かのん』2023/07/20



2020年4月に家裁調査官の庵原かのんは福岡家庭裁判所北九州支部から横浜家庭裁判所川崎中央支部に異動した。
コロナ禍が落ち着くのを待っているといつになるかわからないので、東京の動物園でゴリラを担当している栗林と結婚した。
川崎中央支部では家事事件の担当になる。

家事事件とは「家庭内の紛争(離婚、養育費、相続、成年後見、不在者等)などの家庭に関する事件」のことで、今回かのんが担当したのは、身元不明の記憶喪失の男に対する就籍問題、モラハラ夫の子に対する面会交流申立、遺産分割調停、歯科医の夫の失踪宣告、自閉症スペクトラム障害らしき夫との離婚調停、親により離婚させられた母親の子どもとの面会交流申立、自分のではない子を押しつけられて結婚し、離婚した元夫からの慰謝料請求、内縁関係の解消の申立などです。
一つ一つの事件を読むたびに溜息がでます。小説だからとは思えないのです。
現実にこのようなことは起っているのでしょうね。もはや小説より現実の方が先を行っているかもしれません。
かのんたち調査官はどんな人に対しても平等に接し、真摯な姿勢で話を聞き、お互いにとって最良の解決策を探していきます。
かのんは当事者と面接した後、甘い物を食べてストレス発散していますが、よくわかります。ホント、やってられませんよね。
わたしには無理ですわ。忍耐力がなく、感情がすぐ顔に出ちゃうんで、笑。

七話あるお話の中で、「再会」と「キツネ」、「はなむけ」が印象に残りました。
特に子どもが関係するお話はやるせない気持ちになります。
この頃報じられるニュースでも信じられない親たちがいて、犠牲になる子どもたちがかわいそうになります。

前作を読んでいなくても大丈夫ですので、是非読んでみてください。
最終話ではハンカチをお忘れなくww。

コメント

_ ろき ― 2023/07/24 00時17分13秒

こちら、遅レスですみません。
想像を絶するような現実の家庭内事件が、ありますよね。
大変な仕事だろうなー、尊敬します。
フィクションでもスッキリ解決とはいかない件もありそうですが、機会があれば読んでみたいです。

_ coco ― 2023/07/24 14時01分28秒

それぞれの事件はすっきりしないとはいえ決着がついていますが、人生は続きますから、それからどうなるのかわかりません。
上手く行かなくても、自暴自棄にならず、ましてや他の人の命を狙ったりなどせずにいて欲しいですねぇ。
コロナ禍以降、日本では痛ましい事故が続いています。

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