読んだ文庫本(日本文学)2025/05/11



高瀬隼子 『おいしいごはんが食べられますように』
第167回芥川賞受賞作品。
どこの会社にでもありそうなことが書かれています。
体が弱いを理由になんでも許されてしまう芦川と彼女を批判的に見てはいるが、言い出せずにいるがんばり屋の押尾。
食べることに無頓着な二谷は芦川と付き合ってはいるが、彼女の押し付けがましさに辟易しつつも、受け入れている。
二谷と押尾はたまに一緒に飲みに行き、芦川のことを話のダシにしている。
二人はよくわからない関係ですね。
私自身は押尾側で、芦川風の女性がいつも大変な仕事から逃げているのを見て、なんだかなぁ・・・と思っていましたが、いっしょに仕事をしたのは一年間だったので、よかったです。
普通の男性は芦川風女性が好きなのよ。女性に仕事を求めていない。
私の時代はそうだったのだけど、今もそうなんですねぇ。
色々と思い出すことがありましたが、小説としてどうなんでしょう。
私は芥川賞受賞作品とは相性が悪いので、いい作品かどうかわかりませんが。

小路幸也 『小説家の姉と』
僕こと朗人には五歳年上の姉、美笑がいる。彼女は二十歳の時に、小説を書いてることを家族の誰も知らなかったのだが、新人賞を受賞し、小説家になり、二十一歳で小金井市の実家を出て、都内のマンションで一人暮らしを始めた。
僕が大学二年生になって一ヶ月経った頃、姉から防犯のために一緒に住んで欲しいと頼まれる。
断る理由もなく、一緒に暮らし始めるが、実はこれは姉のはかりごとだった。

なんか仲の良い姉と弟でいいですねぇ。朗人みたいな弟ならいてもいいかも。
小路さんですから、大きな出来事がこれといってない、ふんわかしたお話です。
朗人君、将来、何ができるか、何をしたいか、はっきりするといいね。

ほしおさなえ 『言葉の園のお菓子番 大切な場所』
一葉が亡くなった祖母が通っていた連句会「ひとつばたご」で連句を初めてから二年半が経つ。
一葉が「きりん座」の同人誌に父親のことを書いたことがきっかけに、父親はまた写真を撮り始める。大輔といい繋がりが持てたようだ。
ひとつばたこでも文芸マーケットで販売する雑誌を作ることになったり、SNSで連句会を開催するという企画が持ち上がる。
「あずきブックス」ではイベントで詩の朗読会が行われる。

次々と人の輪が広がっていく様子がいいですね。
実際の日常生活ではこんな風に広がっていくことは滅多にないですよね。
一葉は恵まれています。
今回、連句会の様子が少なかったので、次回は増やして欲しいです。

<シリーズの順番>
①『言葉の園のお菓子番 見えない花
②『言葉の園のお菓子番 孤独な月
③『言葉の園のお菓子番 森に行く夢
④『言葉の園のお菓子番 復活祭の卵
⑤『言葉の園のお菓子番 未来への手紙
⑥『言葉の園のお菓子番 大切な場所』(本書)

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