丸山正樹 『刑事何森 孤高の相貌』2023/07/24



全く記憶にないのですが、デフ・ヴォイス・シリーズに何森(いずもり)刑事が出ていたようです。
デフ・ヴォイス・シリーズ随一の人気キャラクターなんですって。そうなんですか…。

何森稔は埼玉県警の刑事。
刑事として有能であるが、組織不適合者と見なされ、所轄署をたらい回しにされている。

「二階の死体」
何森は久喜署刑事課強行犯係に所属している。
深夜に殺人事件が起る。
被害者は五十七歳の女性で、二階から大きな物音がしたので、不審に思った娘が知己であったケースワーカーの相原に電話をかけ、駆けつけた相原が二階に上がり被害者が倒れているのを発見し、通報したのだ。
娘は半身不随で車椅子を利用している。
何森は県警本部の捜査員・間宮とペアを組み捜査を始める。

「灰色ではなく」
何森は強行犯係から盗犯係へと配置換えになった。
二週間前に資産家の高齢者世帯で強盗事件が起った。
逮捕された被疑者は青山典夫といい、何森の記憶が確かなら、取調官に迎合し、相手が望むような供述をしている可能性があった。
何森は荒井みゆきを呼び出し、青山を救うためにみゆきに協力を求める。

「ロスト」
平成二十五年二月に起った現金二億円強盗事件の容疑者は記憶喪失だったが、完全責任能力が認められるとして懲役7年9か月を言い渡された。共犯者は見つかっていない。
ある日、飯能署刑事課記録係に所属する何森は同期の刑事で、強行犯係の係長・森下から話しかけられる。
記憶喪失の男が仮釈放され、日高市にある更生保護施設に身を寄せるので、当時のことをよく知っている何森に彼の行動確認をしてもらいたいというのだ。
荒井みゆきが何森の手伝いを申し出、二人は事件の真相を探っていく。

『供述弱者』という言葉があるのを知りませんでした。
もし私が警察に逮捕され、断言はできませんが、何度も何度も同じことを聞かれ、自白を迫られたら、取調官が望むような供述をしてしまうかもしれません。誰にでも起こりうることだと思います。
なにしろひとたび警察に犯人だと目されたら、ちょっとやそっとで無罪放免なんてしてもらえませんからね。
日本では起訴されたら99.9%が有罪。冤罪が怖いです。

荒井みゆきとは、そうです、デフ・ヴォイス・シリーズの荒井尚人の妻です。
彼女の刑事としての顔を見られて嬉しいですし、荒井とのことも書いてあり、思い出せませんでしたが(恥)、何森と荒井、二人の間にそういうことがあったのかがわかったので、よしとしますわww。
その他に何森にも辛く悲しい過去があるのがわかりました。
最後の「ロスト」で、何森の気持ちも浄化できたのではないでしょうか。
弱者に寄り添う、刑事何森の姿が好ましいです。

刑事何森もシリーズ化され、二巻目の『刑事何森 逃走の行先』が発売されています。
なんと『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』がNHKでテレビドラマ化され、草なぎ剛が主演だそうです。私の荒井のイメージとちょっと違うような…。
韓国では映画になるようです。
楽しみですね。

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