中山七里 『カインの傲慢』 ― 2020/07/03
一年の半分が終わってしまいました。
後半分。いいことがあるといいのですけど。
「みんなのミシマガジン」の益田ミリさんの「今日の人生」(毎月2日更新)を読んでほっこりしますわ。

中山七里、デビュー10周年記念12ヶ月連続新作企画第5弾の『カインの傲慢』を読みました。
刑事・犬養隼人シリーズの最新作です。
そういえば私って犬養刑事の物って読んでいたっけ?
散歩中の犬が雑木林で少年の遺体を見つける。
遺体の腹には切開痕があり、肝臓の一部が取り出されていた。
少年は栄養失調の傾向があった。虐待されていたのか、貧困家庭で育ったのか?
なかなか身元が判明せず、犬養隼人と同じ班に属する高千穂明日香は外国人ではないかと思い、調べてみる。そうすると一週間の予定で日本に入国した12歳の中国人であることがわかる。
中国に留学したことのある明日香は中国へと飛ぶ。
そこで見たのは…。
その後、次々と腹に切開痕のある少年の死体が見つかる。
そのどれもが肝臓の一部が切り取られており、貧困家庭の子供だった。
なかなか事件の突破口が見つからない頃、犬養は葬儀を見に来ていた野次馬たちの中の一人の男に目を止め、職質を掛ける。
彼は東朋大学医学部の中国人留学生だった。
事件が動く。
日本は臓器提供者が少ないから臓器移植はあまり盛んではありませんが、中国はアメリカに次ぐ臓器移植国だそうです。
中国では1週間から4週間で適合する臓器が見つかるといいます。
何故かというと、死刑囚が多く(46種類の罪名に死刑が適用されている)、その死刑囚から承諾を得られれば、死刑執行後すぐに臓器を摘出できるからだそうです
が、調べてみると恐ろしい事実がわかってきます。
中国はとんでもない国ですわ。
臓器移植をすれば生きられるとわかったら、誰もが移植を望むでしょう。
それが自分の子供だったら、どんなことをしても生きて欲しいと思うのは親心でしょう。
でもその臓器が違法なものだったら、どうしますか。
それでも自分の子供の命のことを考え、移植しますか。
ミステリーとしては物足りないですが、臓器売買問題を扱った重い内容の話です。
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