読んだ本2022/01/25

まとめて読んだ文庫本を載せておきます。


井上理津子 『親を送る その日は必ずやってくる』
元気だった母親がやけどをして入院してから数日で容態が急変し、亡くなってしまいます。最期は見違えるほどの姿に…。享年79歳でした。
遺されたのは認知症を患っている84歳の元歯科医の父親。
しかし父も、家族で頑張って介護をしようとしてもできなくなり、老人ホームに入れますが、肺炎から心不全を発症し、母の死から四ヶ月後に亡くなってしまいます。

親の死というものは、急に来るものでもあり、ゆっくり来るものでもあり、それは選べません。どちらであろうとも、親がある程度の年齢になったら覚悟し、終末期の医療に関してのコンセンサスは家族間できちんとしておいた方がいいですよ。
あとがきにありますが、「百人いれば百通りの親の送り方」があるのです。
前に読んだ『いつか来る死』という対談集にも、「残された家族は何かしら後悔するんです。(中略)それは仕方のないことで、時間をかけて納得していくしかないんでしょうね」という言葉がありました。
これから親の死を迎える人や親を見送った人にこの言葉を贈ります。

小湊悠貴 『ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人5』
ホテル猫番館のパン職人・高瀬紗良が石窯を見に行った時に、製菓専門学校のクラスメイトの秋葉洋平とルームシェアをしていた愛美に再会します。
秋葉とは猫番館の専属パン職人の座を巡って争ったことがあります。
愛美とは彼女の彼氏とのことで喧嘩別れをして以来です。
気まずい思いをする三人。さて、どうなるのか…。

他に高瀬誠と本城宗一郎の馴れそめと、事務員の泉と友人のありさとのこと、
要とカメラについてのお話です。
いつも言っていますが、こんなホテルがあったら、マジに泊まりたいです。

秋川滝美 『おうちごはん修行中!』
総合建具会社の営業、和紗は健康診断でメタボ予備軍とされてしまいます。
これではいけないと奮起し、自炊をしようとするが、全く料理なんかしたことがないので、失敗ばかり。
そんな時に同期の営業で一番できる男・村越が料理でも張り合おうとします。
なんで村越までと思う和紗。
果ては村越のアパートで一緒に料理をするハメに…。

軽い恋愛物なので、じっくり本を読みたくない時にどうぞ。

つるみ犬丸 『おにぎり処のごちそう三角 家族を結ぶ思い出の食卓』
妻が亡くなり、創作料理店「秋雪」を続けていけなくなった衣川秋宗は料理から離れ、知らない土地でやりなおそうと思います。
引越した先の御石荘の一階に「おにぎり処バーベナ」があり入ってみたら、洒落た外観のわりに味がよくありません。
おにぎりに頼みもしない梅干しが入っていて、猛烈な吐き気が…。
バーベナの店主は御石荘のオーナーでもある御石桜子で、具の中身を間違えた男の子は夏樹だということがわかります。
桜子が間違えたお詫びにとランチをサービスしてくれましたが、どうも店は閑古鳥が鳴いている様子です。

ある日、夏樹の声が聞こえ、心配になった秋宗が店に行ってみると、桜子が顔面蒼白でうずくまっていました。救急外来に行きますが、問題はみあたらなく、経過観察で一日入院します。
そんなことがあったため、図らずも秋宗はバーベナでアルバイトとして働くこととなり、わかったことは、夏樹と桜子との複雑な関係でした。

おにぎりも美味しそうでしたが、それ以上に家族とは何かを考えさせられました。
秋宗が桜子と夏樹の仲を取り持つうちに、いつしか妻を亡くした悲しみが癒やされていきます。

つるみ犬丸 『おにぎり処のごちそう三角2 宴を彩る門出のお品書』
桜子のその場でおにぎりを握るというアイデアを活かした秋宗のおかげで、なんとかバーベナにもお客がつき、前途洋々かと思っていたら、桜子の父親が難物でした。
八月度の持続可能な売り上げを、前年比四十パーセントアップしなければ、閉店だと言い渡されたのです。
ちょうどその頃、前に創作料理の店を営んでいたビルのオーナー、川口さんがバーベナにやって来て、まだ店を前のままの状態にしてあるから、もう一度秋雪をやらないかと言われます。

子に苦労させたくないと思う親の気持ちは尊いけれど、でも子を千尋の谷に突き落すような気概を持ってこそ、子は強く成長するのではないでしょうか。
亡き妻・雪美のことも思い切れ、これから新しい一歩を踏み出す秋宗と桜子、夏樹です。

思っていた以上にいい本でした。

おにぎりの具って何が好きですか?
今のように多彩な具がなくて、家で作り食べるしかなかった時には鰹節が好きでした。
ネコかよ、笑。
今はいっぱいありすぎて、どれがいいか言えませんわww。

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