読んだ日本ミステリ(文庫本)2023/07/11



小松亜由美 『誰そ彼の殺人』
仙台、社乃宮大学法医学教室の解剖技官、梨木楓は准教授の今宮貴継と共に事件や事故の現場に赴き、検屍と司法解剖を行なう。
今回解剖するのは紅葉旅館で見つかった濡れた不審死体、沼地に捨てられた手首と足首が切断された全裸死体、蓮池村の蓮池に浮かんでいた異状死体、轢き逃げされた女子高校生の遺体など。
今宮は解剖結果から犯人を特定していく。

小松さんは臨床検査技師免許を持ち、大学医学部法医学教室で解剖技官を務めているので、解剖に関しての知識は半端ではないのがうかがえます。
しかしデビュー作ゆえミステリとして稚拙な面が見られたのが残念でした。

内藤了 『LIVE 警察庁特捜地域潜入班 鳴瀬清花』
警察庁特捜地域潜入班のもとに、清花のもと上司の反町から調査依頼がくる。
青森の旧家で起きた火災現場から”変なもの”が見つかったというのだ。
班長の土井と共に赴くと、焼け残った土蔵に14体の花嫁人形が保管されていた。
その人形を調べて行くと…。

「警察庁特捜地域潜入班 鳴瀬清花」シリーズの二作目。
ゾクッとくることはくるのですが、明らかになった真相が切ないです。

浅倉秋成 『六人の嘘つきな大学生』
IT企業「スピラリンクス」の採用試験の最終選考に残ったのは六人。
一ヶ月後の最終選考ではグループディスカッションが行なわれる。
六人がチームを結成して行なったディスカッションの内容がよければ、六人全員に内定を出すこともあるという。
六人全員の内定を勝ち取るために、六人は交流を深め、連携していくが、急に課題が変更される。六人の中から一人しか選ばないというのだ。
一転して仲間からライバルになる六人。
最終選考で六人の嘘を暴露する怪文書が現れる。
いったい誰が…。

内定を獲得した人物が十年前に最終選考で起きた事件の真相を探っていくというお話です。
もはやだいぶ過去になってしまった採用試験ですが、二度と受けたくないですわ。
その時のことを思い出しながら読んでいきましたが、救いのある話でよかったです。
人の印象なんて簡単に変わるものですものね。

塔山郁 『「舌」は口ほどにものを言う 漢方薬局てんぐさ堂の事件簿』
漢方薬局てんぐさ堂の専務・天草奈津美は新しく雇った宇月啓介に不満を抱いていた。彼は漢方医学に関する知識は豊富で、お客へのカウンセリングも十分だが、如何せん売上げに貢献していないのだ。
しかしやがて奈津美は宇月が様々な悩みを抱えた患者に適切な解決法を与えているのに気づいていく。

薬剤師・毒島花織シリーズを書いた塔山さんの新シリーズ。
宇月は毒島さんと知り合いだったはず。
読むと漢方に関する色々なことがわかります。
奈津美がウザい女で、毒島さんほど魅力的ではないです。薬剤師試験に三回も落ちてるって、そんなことある?
シリーズになりそうなので、これからの宇月の活躍に期待しますわ。

杉井光 『世界でいちばん透きとおった物語』
ミステリ作家の大御所、宮内彰吾が死んだ。
彼の隠し子である僕は宮内の長男からの連絡を受け、はからずも宮内の遺稿探しをすることになる。

評判の本らしく、アマゾンで売り切れになっていて、書店に行ったら品切れになっていました。しばらくしてアマゾンでまた売り始めたので、買いました。
電子書籍(しないとは思うけど)になったとしても、紙で読みましょう。
本の最初と最後がちょっと残念。すべて考えて欲しかったですね。
なるほどと思いましたが、期待が大きすぎたのか、感動はしませんでした。

東野圭吾 『クスノキの番人』
直井玲斗は不当解雇された会社に忍び込み、盗みをして逮捕された。
そこに玲斗の祖母に依頼されたという弁護士が現れる。
依頼人の命に従うのならば、弁護士費用は依頼人がすべて払うという。
コイントスをして、従うことにする玲斗。
そうすると本当に保釈され、弁護士に依頼人が待つホテルに連れられて行く。
ホテルの部屋にいたのは、柳澤千舟という玲斗の母の腹違いの姉だった。
彼女は玲斗に「クスノキの番人」をやることを命じる。

『ナミヤ雑貨店の奇跡』みたいなファンタジー系のお話です。
クスノキの謎は明かされず、玲斗が自分で探っていきます。その過程で、いい加減な奴だった玲斗が変わっていきます。
優美みたいな女に甘いところが今一ですが、笑。

面白い順番ではなくて、読んだ順番に載せています。
どの本も読みやすくて、それなりに面白いので、お暇なときに手に取ってみてください。

コメント

_ ろき ― 2023/07/11 23時22分45秒

『六人の嘘つきな~』いいですよね。オセロゲームのように印象が変わって、人が人を判断するのは難しいと思わされます。
『世界でいちばん~』はすごいアイデアを実行したなあ、と感心するけど、肝心のストーリーはごまかした感じ。これで許していいのか。
漢方薬局てんぐさ堂はちょっと読んでみたい。勉強になりそう。でも奈津美さんウザいのかあ・笑。

_ coco ― 2023/07/12 07時48分05秒

『六人〜』はとても面白かったのですが、彼が死んじゃうところが私としてはちょっと気にくわなかったです。
『世界で〜』は話自体がありきたりで、最後にそこがそうなのと、作者の奮闘は讃えますがねぇ…。
てんぐさ堂は漢方初心者にはいいかも。奈津美はほっておいていいですわ。勝手にほざいてるでしょうから、笑。

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