メアリー・ウィンターズ 『前略、駆け落ちしてもいいですか?』 ― 2024/05/23

紫陽花が益々綺麗に咲き誇るようになりました。
梅雨入りは遅いと言っていますが、本当でしょうか。

兄は5分ほどの散歩を楽しんでいます。(他の犬がここでオシッコをしたのか、クンクンと嗅いでいます)
今のところ散歩では右足を上げないので、このまま手術をしないでもいいようになって欲しいものです。

『追伸、奥様は殺されました』に続く「伯爵夫人のお悩み相談」シリーズの二作目、『前略、駆け落ちしてもいいですか?』。
伯爵未亡人のアミリア・エイムズベリーが”レディ・アガニ”という名で書いている週刊誌のお悩み相談欄は好評だった。
そんなところに、侯爵のサイモン・ベインブリッジの妹、マリエールが手紙を寄越す。
マリエールは許されない恋をしていて、もはやその相手と駆け落ちをするしかないと書いていた。
サイモンによると、相手は屋敷で馬丁頭として働いていたジョージ・デイヴィスで、ギャンブル好きの野心家のろくでもない男だという。
アミリアはサイモンに頼まれ、駆け落ちを踏みとどまるようにという回答を書く。
そんなある日、マリエールとデイヴィスがオペラに招かれたということを知ったサイモンに頼まれ、アミリアは彼と一緒にオペラに行く。
オペラの上演後、デイヴィスがいなくなったので、マリエールはサイモンとアミリアと一緒に帰ることになる。
しかし、馬車を探している時に、マリエールが死体となったサイモンを見つけてしまう。
付き合うことに反対していた兄に反発していた妹に、自分が妹の側にいることを納得してもらうために、サイモンはデイヴィスを殺した犯人を捕らえることを決心する。
もちろんアミリアも手伝う。
この頃、アミリアにはマリエールのこと以外にも心配なことがあった。
エドガーの姪で娘のように思っているウィニフレッドに新しい友人ができ、二人が何か隠し事をしているようなのだ。
そして、親友のキティ・ハムステッドがロンドンからいなくなるかもしれない。
というのも、子爵夫妻が息子の、つまりキティの夫のオリヴァーの誕生日にノーフォークの田舎屋敷を贈ってくれたはいいが、ただちにそこを引継いで欲しいとせっつかれているのだ。
タビサおばの力を借り、アミリアは子爵夫妻を説得することにするが…。
さて、すべてがきちんと収まるところに収まるのか。
日本での題名に「追伸」と「前略」と来たら、次は「拝啓」かしら?
お悩み相談には世相が反映されていて、面白いです。
コージーミステリですので、謎解きは大したことはありませんが、1860年代のヴィクトリア朝時代の貴族たちの暮らしとか考えを知るにはいいお話です。
イギリス貴族は馬好きだとは聞いていますが、自分の馬が勝つためには何だってするんですね。
女性たちがとても魅力的です。特にタビサおばさんが気に入りました。
意外にも彼女は野外競技の猛者で、クロッケーや蹄鉄投げが上手いんですよ。
そのうちアミリアの味方になって、いい相談相手になってくれそうです。
最後に彼女は、サイモンに心を動かせられているアミリアに、ベインブリッジにもアミリアにも責務があり、乗り越えられるものではないとピシャリと言いますが、二人の関係はこれからどうなるんでしょうね。
まだ三作目が発売されていないので、楽しみに待ちましょう。
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