メアリー・ウィンターズ 『追伸、奥さまは殺されました 伯爵夫人のお悩み相談<1>』2023/11/20

ヴィクトリア朝時代の伯爵夫人が活躍するコージーミステリです。


1860年、ロンドン、メイフェア。
アミリア・エイムズベリーは伯爵未亡人。
もともとはサマセットで人気の宿屋の娘だったが、たまたま宿泊したエドガー・エイムズベリーに気に入られ、求婚され、求婚を承諾した後に彼が伯爵だと知らされた。
当時エドガーは変形疾患に侵されており、二年前に結婚からわずか二ヶ月でこの世を去った。
残されたのはエドガーの姪で、両親も亡くしたウィニフレッドという娘。
アミリアは彼女の養育者として彼女の成長を楽しみに暮らしているが、それだけでは飽き足らず、秘密の仕事をしている。
週刊誌のお悩み相談欄の人気回答者、”レディ・アガニ”とは彼女のことだ。

ある日、いつものようにお悩み相談の手紙を読んで回答していると、気になる手紙に遭遇する。
今夜九時にセント・ジェームズ・パークで会えないか、奥さまは殺されたと思うと書いてあったのだ。
大切な読者を放ってはおけない、だけど自分の正体はバレるとまずい。
そう思ったアミリアは変装して行くことにする。
その夜、侯爵のサイモン・ベインブリッジが晩餐会にやって来たが、なんとか口実をつけて抜け出し、待ち合わせ場所に向かうと、なんと手紙の差出人の女性は殺されていた。
そこにサイモンが現れる。
彼は館から出て行くアミリアを見て、後をつけてきたのだ。

自分がレディ・アガニだと知られたらどうなるのかを考え、警察に自分の正体を明かすことはできないと思ったアミリアは、サイモンにすべてを話し、犯人捜しに協力してもらうことにする。

ここでイギリスの貴族階級の復習をしておきましょう。(私が覚えていないだけだけど、笑)
公爵(Duke)→侯爵(Marquess)→伯爵(Earl)→子爵(Viscount)→男爵(Baron)だそうです。ということは、アミリアよりもサイモン・ベインブリッジの方が位が上ってことですね。

アミリアは田舎育ちだからか、上流社会では顰蹙ものらしいのですが、素直に話し、ものすごく積極的で行動力があります。無理矢理(?)サイモンを引き連れ、関係者の邸宅などに押しかけていきます。
侯爵相手だと何をされても下の爵位の人たちは文句が言えないんですね。

ヴィクトリア朝時代の貴族階級の暮らしや当時の女性たちの悩みがよくわかるお話です。
二作目は来年の二月に出るようですので、翻訳本は再来年かな?
サイモンに頼まれ、彼の妹が駆け落ちしないようにしようと奮闘するアミリアですが、どうなるのかしら?

ヴィクトリア朝時代に興味がある方は是非読んでみて下さい。