「画家ボナール ピエールとマルト」を観る ― 2024/10/04
ナビ派の画家、ピエール・ボナールの映画を観てきました。
ボナールは1867年に父親が陸軍省の局長というブルジョアの家に生まれ、法律を学びましたが、画家になる道を選びました。
ナビ派とは、ゴーギャンの色彩とセザンヌの構成力を参考にした、ポスト印象派とモダンアートの中間点に位置する画家集団のことを指します。
ボナールはナビ派の中でも特に日本美術に影響を受け、遠近法を取り入れていない平面的で奥行きのない構成の絵を描いたので、ナビ・ジャポナール(日本かぶれのナビ)とか、室内情景など、身近な題材を好んで描いたので、アンティミスト(親密派)とか呼ばれています。
この映画に登場するマルトとは1893年頃に出会ったそうです。

ピエールはそこら辺で出会った女にモデルになってもらい、その日のうちに二人は結ばれる。
女はマルトと名乗る。
ピエールは金持ちのパトロンに金を出してもらい、暮らしていた。
やがて二人は一緒に暮らし始める。
それからしばらくして、二人は田舎暮らしを始める。
そこにモネや友だちたちがやって来る。
マルトの喘息の発作が起り、診察に来た医師に心臓が弱いので長く生きれないだろうと言われる。
喘息を治すために一時間は水に浸かっているようにし、時には転地療法に出かけるようにとアドバイスされる。
ピエールはマルトのために浴室を作り、いつでもお風呂に入れるようにする。
マルトは病弱な自分を持て余し、ピエールに近付く女性に激しく嫉妬する。
特にパトロンの妻でピアニストのミシアは気になる存在だ。
1914年頃からピエールは毎週パリに行くようになる。
不安になったマルトがパリのアトリエに行ってみると、そこに美術学校生のルネがいた。
ルネのことが気にいったマルトは、ルネを田舎の家に招く。
ある日、三人の生活に我慢できなくなったルネは家を出て行く。
追いかけるピエールにルネは結婚を迫る。
ピエールはマルトに嘘をつき、ルネとローマに行き、結婚することにするが、ピエールはマルトを忘れられない自分に気づく。
ピエールはルネをイタリアに残し、マルトのところに帰る。
やがて二人は結婚する。
マルトはピエールのいない間に絵を描いていた。
マルトの絵の展覧会の日、ピエールは全く思いもしなかったことを聞いてしまう。
ネットで調べると、マルトのことは「病弱なうえに神経症気味で風呂好き」と書いてあります。
医師に風呂を勧められたのだから、風呂好きは仕方ないですよね。

≪浴室の裸婦≫ 1936年
ピエールはマルトだけを一途に愛したのかと思ったら、全く違い、モデルによく手を出している感じでした。
その中でもルネに対するやり方は、最悪です。
映画であったことが事実なら、よくバスタブに横たわる妻を描き続けて行けたなぁと思います。
(家に帰ってから調べてみると、ルネを見つけたのはピエールで、その後から浴室のマルトを描き始めたそうです。どういう精神構造をしているのかわかりませんわ)
マルトは不思議な人で、出会ってから32年後にピエールと結婚したのですが、それまで自分の名前も家族のことも秘密にしていたそうです。
何故なのかしら?
ボナールにとってはそんなことは些細なことで、彼女が側にいてくれるだけでよかったようですけどね。
マルトは絵を描いていましたが、結婚してからは止めてしまったようです。
映画で見た限りでは、とてもいい絵だったので、もったいないです。
続けていればよかったのに。
ピアニストのミシアが金持ちの男と結婚し、ピアノを止めたことを責めていましたが、マルトも同じですよね。
ボナールに依存して生きていますよね。
72歳で亡くなったといいますから、長生きしましたね。
ピエール・ボナールは「色の魔術師」とか「幸福の画家」とか言われていたそうです。
2018年に日本で「ピエール・ボナール展」が開かれ、見に行きました。
色彩は綺麗だけど…という感じで、それほど絵に魅力を感じなかったです。
映画を観た後は、絵だけではなく、人間的にどうなのという思いが増しただけです。
フランスでは彼の展覧会が2015年に開かれ、歴代二位の動員数だったと言いますが、この映画の後はどうなんでしょうね。
どう考えても、日本ではそれほど人気が出るようには思えません(失礼)。
私は映画の内容か、音楽か、映像のうちどれか1つでも良ければ、満足できます。
この映画はフランスの田舎の風景が素敵で、とても良かったです。
モネが小舟を漕いで遊びに来ていました。
絵に興味があって、フランスの田舎の風景を見て癒やされたい方が見に行くといいと思います。
芸術家の関連する映画を観ていますが、何かスカッとするものを観たいですね。
探してみます。
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