南杏子 「老坂クリニック」シリーズ ― 2025/11/27
医師でもある南さんが書いた、軽い医療小説シリーズ。
自由が丘の坂の上にある「老年内科」のクリニック、「老坂クリニック」に来る患者たちのお話。
「老坂クリニック」には68歳の院長の老坂小町とJ医科大学附属病院の老年内科出身で医師六年目の山里羊司の二名の医師がいる。
小町医師は赤茶色に髪を染め、自分の作った短歌を患者に渡すという型破りなお方で、山里医師は小太りの温和な羊か?。

『老坂クリニック 坂の途中に椅子ひとつ』
「第一話 私のトリセツ最終章ー嘉門晃(75歳)エンディングノート」
嘉門晃は戸惑っていた。嫁の富久美からエンディングノートを書くように勧められたからだ。「何かが起きる前に」とは言うが、まさか財産を狙っているのか。そんなことを考えているからか、なかなかエンディングノートを書くことができない。
そんなある日、区の健康診断で血圧が高いと言われていたので、評判のいい「老坂クリニック」に行ってみると、若い山里医師が診て、毎朝、血圧を測り、一カ月後に家族と来て欲しいと言われる。
そんな時に、図書館でめまいがして、倒れてしまい、ある女性に助けられる。
心配だったので、翌日、老坂クリニックに行ってみると…。
「第二話 もう一つのまなざし 片倉順子(68歳)白内障手術」
片倉順子は友人が緑内障で失明するかもしれないと聞き、不安になり眼科に行くと、白内障だと言われ、手術をすすめられる。本当は手術なんかしたくないのだが、成り行きで同意書にサインしてしまう。
手術の時、取り乱してしまい、順子は医師の股間を蹴り上げてしまう。当然、手術はキャンセルになる。
その一週間後、糖尿病の治療と健康管理に通っている老坂クリニックに行くと、小町医師が現れ、娘から聞いたらしく白内障手術のことを言い出す。
「第三話 キーを置いたその先にー鈴鹿朔太郎(82歳)運転免許返納」
鈴鹿朔太郎は半年前にメルセデス・ベンツを買った。もちろん免許返納なんてこれぽっちも考えていない。
ある日、妻が踏み台から落ち、捻挫をする。ベンツで妻を連れて行った老坂クリニックで、ふとしたことで免許返納の話になる。認知症のテストをすると、まあまあいい点数で認知症ではないと言われる。
しかし、それから一週間ほど経った頃に朔太郎は梅酒に入っていた青梅を食べすぎてしまい…。
『老坂クリニック 坂の上に見える窓』
「第一話 はずれの音ー稲葉哲郎(70歳)難聴」
稲葉哲郎は驚く。老坂クリニックに来て二時間経つのになかなか名前が呼ばれないと思っていたら、一時間以上も前に名前が呼ばれていたというのだ。
その日に行われた同窓会に行っても、だれが何を話しているのか聞き取れない。
テレビの音量も大きくなっている。
そこで哲郎は死んだ兄の補聴器を使ってみる。すると音そのものは大きく聞こえるが、会話は聞き取れず、高い音がハウリングする。そんなこんなでバタバタしているうちに、間違えてクスリと電池を一緒に飲んでしまう。
急いで老坂クリニックに行くが…。
「第二話 やっかいな持病ー高橋恵美子(74歳)軽度認知障害」
高橋恵美子は毎朝から夫に質問されるのにうんざりしていた。まるで拷問だ。
ある日、夫に老坂クリニックに連れていかれる。いろいろと調べ、認知症とは言えないMCI、認知症の前段階だと言われる。ついでに夫の行為は「ニンハラ」、「認知症が疑われる人へのハラスメント行為」に当たるので、止めるようにと注意してもらえる。
老坂医師によると、「MCIと判定された高齢者のうち14パーセントが認知症に進んだ一方、46パーセントが正常に戻った」そうだ。サポートグループも紹介してくれ、さっそく夫婦で行ってみると…。
「第三話 いまどきの病ー関根忠男(78歳)エドワズライ」
関根忠男は一人息子の祐介がウィーンに赴任することになり、日本の大学に通う孫の晴人と一緒に暮らすことになる。二人の暮らしは気ままで楽しい。しかし、そのうち忠男の体の調子がおかしくなる。疲労感が増し、食欲もなくなり、動くのがおっくうになり、寝てばかりいるのだ。心配した孫に老坂クリニックに連れられていくと…。
六人の患者さんのお話ですが、どのお話も暗くならずに明るい終わり方です。
年を取ると誰もが通る道を分かりやすく書いてあります。
小町医師の短歌は、まあ、それほどうまくはないけれど、味があるという感じですかww。
特にこの頃問題になっている免許返納や軽度認知症の話なんかは役に立ちそうですね。
本に出てきた終活カードゲーム、日本語訳「もしバナゲーム」はここで売っています。私もそのうちに買ってみようかと思います。
エンディングノートは見てみましたが、書くところが多くて、面倒ですね。
もっと簡略化したものがないのでしょうか。
免許返納関係では「ジョーズ運転倶楽部」みたいな所が本当にあるのでしょうか。
東京では車を運転しなくても問題がありませんが、交通機関が不便なところでは車があるかないかは死活問題ですよね。
本のように簡単にはいかないでしょうね。
高齢化社会の今、必要なのは老坂クリニックのような老年内科クリニックでしょうね。というか、今時クリニックにいるのは老人ばかりですよね。
老坂クリニックのようなクリニックが増えてくれればいいのですが、私の家の周りは医師まで年寄りです。
山里医師のような人は滅多にいないのでしょうね。
とても読み安いので、どの章か一つでも興味を持った方は是非手に取ってみてください。
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