劇団四季「ウェストサイド物語」を観る2007/11/17

『ウェストサイド物語』は1957年に発表されたミュージカルです。その後、映画化され、ヒットしました。
私は映画もミュージカルも観ていませんでしたが、流石ヒットしただけあって、音楽の80%ぐらいは知っているものでした。

ストーリーは…。
アメリカのニューヨーク、マンハッタンのスラム街の白人非行少年グループ、ジェット団は、アメリカに新しく移民してきた、プエルトリコ人の非行グループ、シャーク団が自分たちの縄張りに入ってきたことに頭にきていました。
白人といっても、プアーホワイトたちで、主流のWASPの仲間にも入れない人たちです。
イタリア、ポーランド、アイルランドなどからの移民の子ども達で、親が居なかったり、いてもアル中、売春婦、麻薬中毒などになっている、家庭的に恵まれていない少年達です。
一方プエルトリコ人達、特に女性は、アメリカに夢を抱いています。
ジェッツのリーダーのリフは、シャーク団達を追い払うための最後の手段として、決闘をすることを思いつきます。
その夜、ダンス・パーティが開かれるので、その時にシャーク団と話し合いをすることにします。
よせばいいのに、ジェッツ団から足を洗って、まじめに働いている、義理の兄弟みたいに親しいトニーもパーティに誘います。
トニーは最初は嫌がっていたのですが、リフのしつこさに抗しきれず、頼みを聞き入れてしまいます。

パーティで、トニーは運命の人と出会います。
シャーク団のリーダー、ベルナルドの妹のマリアです。
二人は一目で恋に落ちてしまいます。
パーティの後、マリアを捜しに行ったトニーは、マリアと会うことが出き、ここで有名な「Tonight」が歌われます。(写真の場面)

一方話し合いは行われ、決闘は各グループの代表が素手で、一対一で戦うことになりました。
次の日、マリアを職場に迎えに行ったトニーですが、決闘のことを知ったマリアに、決闘を止めてくれと頼まれてしまいます。
優柔不断?のトニーはこれまた断ることができず、一人で決闘の場に行きます。
そして、悲劇が起こるのです。

アメリカ移民たちの階級争いがこのミュージカルには描かれています。
移民で、後から来たものが下層になるという。
人間は自分以下を求める気持ちがあるんですね。
考えてみると、もともとアメリカにはネイティブ・アメリカンがいたのにね。

前にアメリカの非行少年達の争いを描いた映画を見たことがあります。
その中では、殺し合いの連鎖が描かれていました。
憎しみは憎しみしか生まない。このことがよくわかる映画でした。

このミュージカルでは、兄も愛する人も殺されたマリアが、要になります。
ちょっとした疑問ですが、自分の兄を殺した人を、それでも愛し続けていくことが出来るのでしょうか?

ミュージカルとしての質を考えると、残念ながら私的には低い点になります。
最後まで違和感が漂っていました。
何故なのだろうと、よくよく考えてみると、それは英語と日本語のもつ音の違いのように思います。
歌の音楽と歌詞が合っていないのです。
終わりの唐突さも、よくありませんでした。
え、ここで終わるの!という感じです。
隣に座っていた女性達も、「エ~、終わり方どうにかしてよ」などと言っているのが聞こえました。
翻訳物ミュージカルは難しいですね。