畠中恵 『アコギなのかリッパなのか』&『さくら聖・咲く』2023/09/06

「しゃばけ」シリーズの畠中さんが書いた時代小説ではなく、珍しい現代のミステリ・シリーズ、「佐倉聖の事件簿」。二冊出ています。


佐倉聖は元不良、今は21歳の大学生。普通ならば青春を謳歌しているはずなのに、ろくに会ったことのない父親が姿をくらましたため、中学生の異母弟を養わなければならなくなり、元大物政治家・大堂剛の事務所『アキラ』で事務員のアルバイトをしている。
バイトの内容は、料理、掃除、オヤジ(大堂)のおもり、『風神雷神会』の雑用、そしてこれが厄介なことなのだが、オヤジにふられた風変りな相談事の処理だ。

聖が扱った相談事というと、有力後援者の飼っている猫の毛の色変わりの謎、後援会幹部の殴打事件の謎、議員に寄付された絵を新興宗教団体から奪還するという依頼、選挙応援に行った立候補者のダイエット問題など。
なんで政治家がこんなことを解決してやらなければならないのとは思いますが、選挙に勝つためにはやらなきゃならないのね、笑。
聖は持ち前の負けん気と機転をきかして、次々と解決していきます。


聖も大学三年生になりました。
弟を養わなければならないので、就職をすることにしました。
元政治家事務所にそのまま就職しちゃえばいいんじゃないと思いますが、聖は意外と真面目で、弟を養う身としては堅い仕事で、議員と関わることのない、民間企業に就職することにし、コネに頼らず就活を始めます。
オヤジや彼のところによく来る議員たちは、聖の就職活動に興味津々。

ところがインターンシップは首になるし、なかなか内定がもらえません。
そうこうするうちに聖のところに、エントリーしていない五つの企業からほぼ同時に内定通知が届きます。
この五社に聖とオヤジの繋がりを話した奴は誰なのかと思う聖でしたが、二日の内に事を見抜いて何とかしないと、皆で勝手に就職先を決めると宣言されてしまいます。

相談事を解決しながらも就活していく聖はホント、大変です。
周りは彼のことを認めていて、事務所に残って欲しいようで、色々とちょっかいを出してきます。
如何せん、聖は自分が何をしたいのかということがまだわかっていませんでした。
弟の方が上手みたいです。
大学三年生で未来のビジョンがしっかりとある人ってどれだけいるんでしょうかね。私はなかったわぁ。
まあ、終わりよければすべてよしですね。

政治家の事務所の様子が垣間見られて、面白かったです。
本当にこんなことしているのって感じですけど、笑。
畠中さんらしい、ユーモアに溢れたお話でした。

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