江國香織 『神様のボート』2007/10/01

ピアノ科の大学教授と結婚していながら、別の男と恋に落ち、子どもを産んだ女(ママ)とその娘の話です。
大学教授と別れた後、娘と二人、町から町へ渡り歩き、定着することがありません。
ママはいつか男が彼女たちを捜しに来てくれるという幻想に取り付かれています。
幼いうちは娘はママの話を信じていたのですが、成長するにしたがい、ついて行けないものを感じ始めます。
娘の高校入学と共にママと娘の世界が壊れます。
一人になったママは、バランスを崩し、いつしか狂気の世界に・・・。
小説はそのことを思わせる最後です。

なにげない日常を描きながら、その影に含まれている狂気の世界を、独特のタッチで描いています。
好き嫌いはやっぱり別れるでしょうね。