「潜水服は蝶の夢を見る」を観る2008/03/12

久しぶりに夫と有楽町でデートをしてきました。
お互いに早く職場を出られたので、新しくできたビッグカメラの8階にあるシネカノン有楽町1丁目で映画を観たのです。
彼はあまり映画を観ない人なので、フランス映画はどうかなとは思いましたが、無理矢理観せることにしました。
観たのは『潜水服は蝶の夢を見る』。
雑誌の書評を見て、本を探しているのですが、たまたま書評にこの本が紹介されていて、読んでみたいなと思っていたのです。
本の前に映画になってしまいました。
普段行く映画館は都心から少し離れた所です。
そのため意外と空いていて、椅子もいいので気に入っていたのですが、今回の映画館は後から作ったものなので、座り心地ちがあまりよくありませんでした。
夫は『アイ・アム・レジェンド』でいい椅子に座っていたのが記憶にあるらしく、「椅子が悪くて尻が痛くなった」と文句を言っていました。
贅沢な奴だ。
さて、映画ですが…。

ジャン=ドミニク・ボビーはファッション雑誌「Elle」の編集長で、きままに生きていました。
妻(籍は入れてない)と三人の子がいるのに、家族と別居して愛人とくらしています。
子ども達に会いに行った日、新車に息子を乗せ、ドライブをしている最中に気分が悪くなります。
脳梗塞を起こしていたのです。
気がつくと、病院にいて、耳は聞こえ、目は見えるのですが、体が動かず、しゃべれなくなっていました。
locked in syndrome(閉じ込め症候群)になってしまったのです。
絶望する彼ですが、彼の係になった言語療法士アンリエットはまばたきを使い、人とコミュニケーションを取る方法を考えます。
そうして書かれたのが、この本なのです。

何回も潜水服(古い方のです)を着て、海の中にいる姿が映され、彼の不自由な姿を暗示しています。
そのような姿になっても、想像力と記憶力は衰えません。
きれいな女性の胸を見たり、変な夢想にふけったりと、性欲も衰えないのです。

たんたんと描かれているので、アメリカ映画に慣れた人には盛り上がりにかけるように思えるでしょうが。
夫は内容を知らずに行ったので、ジャンの状況についていくのが大変だったようです。
私としては、ジャンが勝手気ままに生きてきた様子がかいま見られるので、あまりかわいそうには思えませんでした。自業自得?

一番最初にジャンに会いに来て、それ以来子どもを連れて会いに来る妻には感心しました。
子どもにこんな姿になった父親の姿を見せたくないなどと思う母親もいそうですから。
愛人が電話をかけてきて、そんな姿になったあなたを見たくはない。
でもいつもあなたのことを思っていると言った時に、「毎日、きみのことを思っている」とまばたきで答え、それを妻に取り次がせた時は、妻に対してそれはないでしょうと思いました。
「Elle」の編集長のわりに、服装がダサイと思いましたが、それもご愛敬ですかね。

重い内容の割に、そんなに暗くならない映画です。
あ、そうそう、映画で使われている「La Mer」は私の好きなシャンソンです。