オルセー美術館展2010 「ポスト印象派」@新国立美術館2010/05/29

「モネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ルソー、傑作絵画115点、空前絶後」などというキャッチフレーズがついています。
26日からの開催で、金曜日の午後遅くに行ったので、思ったよりも空いていました。
オルセー美術館の印象派のギャラリーは今改修中だとのことで、その間に世界中の美術館をまわり稼ごうという感じですね(笑)。

そんなに混んでいないようなので、イヤホン・ガイドを借りてみることにしましたが、使っているうちに、ナレーションが妙に短かったり長過ぎたりし、説明もわかりきったことを言ってたりするので、必要なかったみたい。
だんだんと苦痛になってきました。
ヘッドフォンじゃなく、片耳に機械をあてて聞く形式なので、手と耳が疲れます。
人間、視覚と聴覚、同時に使えるのかというと、絵を見るときには私は駄目です。次回はイヤホン・ガイドは借りないで、見ることに徹しますわ。

会場は10に分かれています。

<第一章 1886年―最後の印象派>
モネの「日傘の女性」「睡蓮の池、緑のハーモニー」とドガの「階段を上がる踊り子」が展示されています。
 

やはりモネの興味の関心は人ではなく、光です。暑い夏の燃えるような大気、草いきれ、青い空、風・・・。
「日傘の女性」は3枚あるようで、最初の一枚は妻のカミーユと息子を描いており、オルセーにある妻が死んでからの2枚(右向きと左向き)は再婚した妻の娘がモデルだそうです。

 
モネの描く日本の太鼓橋を模した橋のかかっている睡蓮の池は、未だにそのままで残っているようです。
フランスに旅行することがあったら、モネの家のあるジヴェルニーに行ってみたいです。
 

ドガの踊り子です。踊り子シリーズの中で好きな作品のひとつです。
踊り子たちの一瞬の動きを瞬時に書き写したような感じがいいです。

1886年最後の印象派展が開かれ、この後からはポスト印象派が活躍することになります。

<第二章 スーラと新印象主義>
スーラと言えば、点で絵を描いた人です。彼は光学や色彩学などの知識を応用して独自の点描技法を考案したそうです。ようするにテレビのブラウン管のように絵を描いたってことですかね。
一枚の絵を書き上げるまで、素描や下書きなどを何枚も描き、構想を練ったようで、<ポーズする女達>の修作が展示されています。

            「ポーズする女、後ろ向き」
 
点を打つだけで、相当時間がかかったでしょうね。
性格的に凝り性?粘着質?
スーラは31歳で亡くなったそうですが、こんな絵を描くんじゃ長生きしなさそうですね。(あくまでも個人的感想です)

<第三章 セザンヌとセザンヌ主義>
印象派展に一時参加したセザンヌですが、袂を分かち、故郷のエクス=アン=プロヴァンスに隠遁し、創作に励みました。
公に作品を発表しなかったのに、何故か人気があったそうな。何故でしょう?

                              「サント=ヴィクトワール山」
       
<第四章 トゥールーズ=ロートレック>
南仏の名門伯爵家出身のロートレックはパリで暮らし、踊り子、娼婦、芸人などを描きました。
彼は13歳と14歳の時に脚を骨折したため、成長しても身長152cmしかなく、このことが社会的に底辺にいる彼女たちとの結びつきを固くしたのでしょうか。

               「黒いボアの女」

<第五章 ゴッホとゴーギャン>
いろいろとゴッホの絵は見ていますが、今回の展覧会の絵7点の中で一番気に入ったのが「星降る夜」です。


空の星と町の明かり。左下には男女のカップル。平和な幸せな風景です。
まだ精神的に壊れる前に描いたのでしょうか。
この絵が描かれた1888年にゴーギャンとアルルで共同生活をして、悲劇的な破局がありました。
私はゴッホが好きなので、ゴッホを裏切ったゴーギャンはどうも好きになれません。
彼の晩年の様子を見ると、ゴッホ以上に不幸だったようです。
ゴッホには弟テオがいて援助してくれましたが、彼には誰もいませんでしたから。

<第六章 ポン=タヴェン派>
ポン=タヴェンはブルターニュ半島にある小村です。
そこに暮らし、絵を描いていたベルナールとゴーギャンの二人が「クロワゾニスムに基づく、主観的な内容を総合するという総合主義の理論を打ち立て」、多くの画家が彼らの元に集まってきたそうです。
クロワゾニスムとは、「太い輪郭線で平面を仕切り、平らで単純な色面を配置することによって画面をつくり上げること」。
私には苦手な絵です。

<第七章 ナビ派>
 

ポール・セリュジエが1888年、ゴーギャンに直接の手ほどきを受けてこの『タリスマン』を描き、パリに戻って、この実験的な作風を広めたことで、この作品はナビ派に取って象徴的な意味を持つことになりました。
ナビ派の特徴は、「画面の二次元性の尊重と、造形要素そのものの表現力において、絵画表現の上での装飾性と表現性の二つの重要な特色をクローズ・アップ」していること。日本の浮世絵にも影響を受けているようです。
神秘主義的で装飾的な画風だそうです。平坦な感じが好きではありません。

<第八章 内面への旅>
象徴主義の代表的な画家といえば、ルドンやモロー。
彼らは目にみえない思想や魂を絵にしました。

                                  モロー 「オルフェウス」

なんとも幻想的で詩的な絵です。昔の宗教画に通じるものを感じます。

            ルドン 「目を閉じて」
 
ルドンの絵の瞑想的なこと。男とも女ともつかない人が自分の内面深く降りていっているのがわかります。色彩に目覚めた頃のルドンです。

ここで、ハンマースホイに出会いました。

             ハンマースホイ 「休息」

<第九章 アンリ・ルソー>
ルソーの作品、2点、「戦争」と「蛇使いの女」が展示されています。

<第十章 装飾の勝利>
ナビ派は雑誌の挿絵やポスター、舞台芸術など様々な造形活動をしていました。
そのなかで部屋の装飾に使われていた絵画が展示されています。

115点すべてをじっくり見るには時間が足りません。
イヤホン・ガイドを借りずに、好きな絵だけじっくり見ればよかったと後悔しました。もう一度行って、見たいものだけ見ようかしら。

疲れてお腹が空いたので、地下にあるカフェテリア・カレで軽く食事をすることにしました。
「オルセー美術館展2010」特別メニューの「豚肩ロース肉とりんごのノルマンディー風 バターライスとジャガイモのゴーフレット添え」(クロード・モネ<睡蓮の池、緑のハーモニー> 1899年より)1200円を頼みました。


じゃがいものゴーフレットがカロリー過多になっちゃうので、いらなかったかも。でも美味しかったです。
ミュージアム・ショップには色々なものがあり、バッグフェチの私としては欲しいものがあったのですが、値札を2度見てびっくり。
最初7500円に見えたのに、2度目に見ると47500円!4万円が余計です。
レジに持っていかなくてよかったわ~。