髙森美由紀 『羊毛フェルトの比重』2022/07/18



地元の短大を卒業してから手芸店・八戸クラフトに勤めて10年。30歳になった根城紬の唯一のストレス発散方法が羊毛フェルトでぬいぐるみを作ることだった。
職場の先輩の豊崎にはいびられ、店長からは趣味のぬいぐるみを、時間外手当も、材料代もなしで、タダで店に提供するように言われる。
無職でパチンコ屋のバイトをしている彼氏の慎也は自分の都合のいい時にやって来て、ご飯を食べ、泊まり、お金までせびる。羊毛フェルトを金にもならないので時間の無駄だと言い放つ。
母親には嫌われないように、怒られないように、いつも顔色をうかがってしまう。
心にフタをして、理不尽なことを言われても反論せず、言いたいことも言わず、相手の言うがままに行動する。
そうやって毎日をやり過ごしていた。

ある日、店で小学生の男の子が棚にディスプレイしていた紬の作ったぬいぐるみを盗もうとした。
彼は湊日向と名乗り、ぬいぐるみが昔飼っていた犬のタイヘイにそっくりだと言う。紬は彼にぬいぐるみをあげた。
その後、日向の父親がぬいぐるみのお礼にやって来て、それ以来紬は湊親子と親しくなる。
日向は羊毛フェルトに興味を持ったので、紬が彼に教えてあげた。

義妹と会った後、アパートに帰ると焦げ臭い。作業机と途中まで作っていたぬいぐるみが焦げている。慎也の煙草だ。慎也と連絡を取ろうとしても、取れない。
紬の中で何かが壊れた…。

やがてぬいぐるみの依頼が少しずつ増えていくにつれ、紬は自分の生き方を考え直していく。

紬の、特に彼氏に対する態度にイライラしました。
こんな男とは別れりゃいいのに、何で言いなりになっているのか、私にはわかりません。
人が作った料理に文句は言うわ、給料日から一週間も経っていないのに、全部お金を使ったって、どういう使い方してるんだよ。
あ、その前に、会社を辞めた時点で、私は別れるわ。
まあ、小さい頃からの性格はそう簡単には変わらないわよねぇ。
それにしても紬は自己肯定感が低過ぎ。
湊親子や喫茶店アフォガードの女店主と娘、そして義妹の直美など、素敵な人たちが周りにいてくれてよかったわね。
それじゃなきゃ行く末は…(怖)。
親には理解してもらうんじゃなく、違った意見の人と思って付き合うしかないですね。
最後にやっと「幸せや人生の意味は他人が決めるものじゃない。自分が決めるんだ」と思え、紬が新しい一歩を踏み出せてよかったです。

今の自分に自信の持てない女子が読むと、勇気をもらえるお話です。

そうそう、本の中に出てきた青森のおにぎり「こびりっこ」を食べてみたいです。
南部煎餅の間に赤飯をはさんだものだそうです。


<今日のわんこ>


兄犬の前足がブーツのように切ってありました。
気がつきませんでした。


弟はバランス感覚がいいです。
流しにいるパパの方を見て、遊ぼうよと言っています。

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