宮部みゆき 『子宝船 きたきた捕物帖(二)』2022/07/08

きたきた捕物帖』の続編です。
北一のことは前のブログに書いたので、今回は書きません。
気になったら、前回のブログを読んでみて下さい。


阿漕な万作夫婦と喧嘩をし、独立した北一ですが、様々な人たちの助けによって何とか文庫づくりも軌道に乗ってきています。

<第1話:子宝船>
ある日、北一は「長命湯」で釜焚きをしている喜多次のところに行き、焚き付けを仕分けるのを手伝いながら、商売の参考にしようと引札を探していました。
そうすると宝船の絵が捨てられています。
その絵は変わっていて、弁財天が見る者に背中を向けています。
面白い絵なので、貰って帰りました。

そんな頃、村田屋治兵衛から宝船の絵に関わる揉め事の話を訊きます。
酒屋『伊勢屋』がお年賀に配った子授けの力があるという宝船の絵のせいで、煙草と線香の店「多香屋」の生まれたばっかりの赤子が死んでしまったというのです。
不思議なことに宝船の絵の中から弁財天が消えていたと言います。
うちの子も多香屋のように連れ去られるんじゃないかと大騒ぎにならないように、噂を抑えているようです。
「長命湯」で見つかった絵のこともあり、北一は調べてみることにします。

<第二話:おでこの中身>
「おべんとう 桃井」は北一がちょっと懐が温かいときに利用している店でした。
亭主は角一と言い、おつねという女房とまだよちよち歩きの二歳の娘・お花がいました。
二年前におつねが馴染みの客にしつこく付きまとわれるので、四ッ谷から深川にやって来たのです。
ところが長月の十日の朝、手習所の師匠・武部言左衛門が北一の所に来て、桃井の雨戸が一枚も開いていない上に、嫌な臭いがすると言います。
一緒に桃井に行くと、家族三人が土間で死んでいました。
ショックを受ける北一。
店の前で呆然としていると、一人の女が目に入ります。

<第三話:人魚の毒>
弁当屋「桃井」の一家三人殺しの件は進展を見ぬままでした。
そんなある日、北一は検視の与力、栗山周五郎から、桃井の件が正しい解決を見るまで、彼の下について使いっ走りをする気はないかと言われ、承知します。
栗山は北一に言います。彼が手がけた検視で見つけた手掛かりのうち、七割方は無駄になってきたと。
北一は桃井の件がうやむやにされないように、本所深川方同心・沢井蓮太郎らに知られぬように、三人が殺された日の朝に見かけた女の行方を捜すことにします。

久しぶりの北一はまだまだ一人前の岡っ引きにはほど遠いのですが、検視の栗山に鍛えられ、少しずつ成長していくようです。
今回は喜多次はあまり活躍しません。二人一緒に謎解きをしていくのかと思ったのですが、どうも違うようです。
そうそう、「ぼんくら」シリーズのおでこの三太郎が出てきて、びっくりです。
なんと結婚していました!弓之助は長崎に行っているらしいです。
他にも懐かしい名前が出てきました。
北一が岡っ引きになるのかどうかわかりませんが、とにかく一人前になるまで、続いていくシリーズのようです。