C.S.ロバートソン 『特殊清掃人グレイス・マクギルと孤独な死者たち』2026/05/24



グラスゴーに住むグレイス・マクギルは孤独死現場の清掃をする特殊清掃人。
その傍ら、孤独死の現場を忠実に再現したミニチュア模型を作っている。
誰かに見せるためというよりも、孤独死した死者への敬意と自分の心の拠り所としてだ。

ある日、グレイスは気づく。
近頃担当した清掃現場に遺されていた共通のものの存在に。
勇気を振り絞って警察署に行くが、相手にされない。
一度気になると、放っておけないグレイスは、現場に遺されていた古い新聞と写真をもとに調査を始める。
そうすると、ある行方不明の女性の存在が浮かび上がってくる。

グレイスは35歳、独身でオスの猫ジョージと暮らしています。
彼女は機能不全家族の中で育ちました。
父親がDV男で、酒を飲んでは母親を殴るような奴で、母親が亡くなった後は仕事もせずに、グレイスに寄生して生きています。
毎日、グレイスに電話をかけてきては、お金や酒、食べ物がなくなったので、持って来いと命令します。
グレイスはそんな父親を捨てられず、罵声を浴びせられることがわかっているのに、彼のところに行って面倒をみてしまうのです。
そんな生い立ちと本に書かれていることから、彼女はADHDなのではないかと思いました。

気になったら止められなくなるグレイスの無茶苦茶な行動を読み進んでいくうちに、なんとなくもしかしたら…と薄々感じていたことが明らかになり、それからは私の彼女の見方がガラッと変わり、なんか納得がいかないままに読み終わってしまいました。
ちょっとネタバレしますが、彼女の倫理観がね。
しかし、そんなことはどうでもよくて、サスペンスでもなく、典型的ミステリというわけでもないのですが、なかなか面白い作品です。
孤独死の現場の悲惨さや特殊清掃人の仕事について詳しく書いてあるので、そういうのが読みたくない方にはお勧めしませんが、今年度のおすすめの一冊になる本です。

孤独死の現場のミニチュア模型(ジオラマ)というと思い出すのが、前に紹介した『事故現場をドールハウスに』に出て来たフランシス・グレイスナー・リーのことです。彼女のことがこの小説の中にも書かれていました。
実際、日本に孤独死の現場のミニチュア模型を作っている女性がいるそうで、本の表紙は彼女の作ったミニチュア模型の写真だそうです。
この小説は彼女の作品から着想を得て書かれたそうです。
彼女のことを知りたい方は下の記事を読んでみて下さい。


コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://coco.asablo.jp/blog/2026/05/24/9856284/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。