「筆耕屋だんまり堂」シリーズ 1~32026/05/27



麻宮好 『筆耕屋だんまり堂ー心の色を文字にします』
    『筆耕屋だんまり堂(2)姉への恋文』
    『筆耕屋だんまり堂(3)一文字の想い』

水沢数馬は姪の春佳と深川今川町の蜜柑長屋に住み、筆耕屋を営んでいる。
数馬は上州郷埼藩の出で、水沢家は代々、藩の奥右筆を務めてきたが、五年前、兄の代で屋敷が火事となり、兄夫婦は亡くなり、数馬は声を失った。
水沢家は出火の咎でお取り潰しになり、叔父の勧めで兄夫婦の忘れ形見の春佳とともに江戸にやって来たのだ。
今や9歳の闊達で明るい娘となった春佳が口のきけない数馬の唇の動きを読み取り、理解し、彼と依頼人の間を取り持つ大事な役目を果たしている。

数馬には人にも言えない秘密がある。
文字に触れると書いた人の想いや過去が心に浮かぶのだ。
そんな彼が書いたものは、依頼人に寄り添ったものとなり、数馬に頼むと願いが叶うと言われるようになった。
そして、もう一つ、秘密がある。
火事が起きたときに持って逃げた兄の形見の硯箱の中身、つまり硯と墨、そして文鎮が数馬に話しかけてくるのだ。

今日も数馬のもとに依頼人がやって来る。
迷子の娘を探し続ける夫婦、冥途からの文を求める飛脚、結婚する大店の娘に料理帖を託したい女中、姉の許婚だった男からの恋文を願う弟…。
ともすれば依頼人に同情し、突っ走ってしまう春佳に閉口しながらも、数馬は依頼人にとって何が一番よいのかを熟考しながら、彼らに寄り添った文を書いていく。

切ないけれど、心が温かくなるお話です。
火事で亡くなった兄夫婦の影にある藩の秘密を、これから数馬は解き明かしていくことになるのでしょうか。
春佳ちゃんには幸せな人生を願っていますが、彼女の性格からして、数馬にどこまでもついて行きそうです。
お勧めのシリーズで、四巻目が待たれます。

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