読んだ本2022/12/29

とりあえず読んだ文庫本を載せておきます。


佐藤正午 『月の満ち欠け』
第157回直木三十五賞受賞作品。

小山内堅に会いに来た男、三角哲彦は小山内に彼と正木瑠璃という女の驚くべき愛の物語を語る。
三角に再び会うために瑠璃は何度も生まれ変わっているというのだ。
妻と共に亡くなった小山内の娘、瑠璃は正木瑠璃の生まれ変わりなのか。
そして…。

三角と瑠璃の間が純愛なのか…私にはなんとも言えません。
年月が経つに従い三角は年を取り、瑠璃は生まれ変わるたびに幼くなっていきますよね。う~ん、ちょっとキモいかも。
それにしても瑠璃の旦那の正木竜之介が可哀想です。
映画になっているようですが、どんな感じなんでしょうね。
私には予想がつきません。
まあ生理的に受け付つけないところもありますが、最後まで読ませる佐藤正午はさすがです。

篠綾子 『吾亦紅 小烏神社奇譚』
小烏神社に尼がやって来る。
宮司に亡き人の魂を浄土へ渡して欲しいというが、亡き人の魂がどこにあるのか分らないという。
竜晴は居場所がわからなければできないと断る。
尼が帰った後、小烏丸の様子がおかしくなる。記憶を失くす前に彼女を見たことがあるような気がするという。
猫のおいちがいなくなり、玉水は淋しそう。氏子の花枝と大輔が虫聞きの会を開いて平山弥五助とおいちを呼んではどうかと提案する。竜晴は早速虫聞きの会をすることにする。
虫聞きの会で泰山が近頃、寝付きが悪くなったり、悪夢で目が覚めて眠れなくなる人が増えているという話をする。
次の日、鷹のアサマがやって来る。伊勢殿が悪夢にうなされているという。
寛永寺で虫聞きの会があるので、竜晴はその時に伊勢殿に確かめてみると約束するが…。

今回は『平家物語』に登場する、清盛に寵愛された白拍子の祇王にまつわるお話です。彼女の人生をよく知らなかったのですが、色々とあったんですね。

平谷美樹 『貸し物屋お庸謎解き帖 百鬼夜行の宵』
江戸の貸し物屋、湊屋両国出店の主・お庸はまっすぐな気性で男勝り、口の悪さで知られている。彼女の店に様々な客がやって来る。
凧の骨を借りに来た十歳ほどの童や四十絡みの家の仲介を頼んできた男、三十五、六の坊主の着物を借りに来た二人の男たち、お庸を手籠めにしようと目論み、卒塔婆を借りに来た二人の大店の跡取り息子たち、十組の布団を借りにきた中年男、花嫁装束を借りに来た陸奥国神坂家の江戸家老、橘喜左衛門。
彼らは何のために物を借りに来たのか、お庸はその裏事情を調べて行きます。

はっきり言ってお庸のことが嫌いでした。しかし今回、お庸が今までとは違って、人の意見を聞いたり、助けを借りたりするようになってきました。
色々と経験するうちに大人になったってことでしょうか。
これなら次作も読めそうです。

なかなか年の瀬は本に集中することができません。
図書館から借りた本が貯まっています。なんで一遍に来るんでしょう。
2、3冊は読まずに返してしまいそうです(悲)。